マーケティングフレームワークとは?代表的な14種類の内容とそれぞれの活用シーン、注意点を解説

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Sprocket編集部

マーケティングフレームワークとは?代表的な14種類の内容とそれぞれの活用シーン、注意点を解説

情報整理、分析、戦略立案などで活用できる思考の枠組みである「フレームワーク」。フレームワークを通じてマーケティング特有の思考パターンや分析手法を身につけることで、効果的な施策を講じることができるようになります。ビジネス課題を解決するフレームワークの中から代表的な14種類をピックアップし、それぞれの活用シーンや注意点について解説します。

企画の立案、思考整理に役立つフレームワークをご存知ですか?主要な18のフレームワークを解説した資料をご用意しました。

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マーケティングフレームワークとは?

マーケティングフレームワークとは、マーケティングにおいて課題を抽出、分析、解決するための思考の枠組みのことを指します。

マーケティングフレームワークのメリット

マーケティングでは、その時に応じてさまざまな課題に直面します。その度に一から考え、自分なりのメソッドで課題解決を目指すとなると、膨大な時間や人的コストがかかります。

マーケティングフレームワークは論理的に適切な考え方を導き、情報の取捨選択を助けます。また、チームにとって「共通言語」として機能し、フレームワークに沿って話し合うことができます。結果としてコミュニケーションが円滑になり、より少ない時間やエネルギーで、効果を最大化します。

マーケティングフレームワークのデメリット

マーケティングフレームワークはあくまでも「枠組み」です。しかし、日本のビジネスシーンでは往々にして、フレームワークの活用を目的化する傾向があります。

その結果、具体的なアクションに結びつきづらいといったことが起こり得ます。あくまでもマーケティングフレームワークは手段であることを忘れないようにしましょう。

論理的思考力と洞察力を養い、問題解決能力を伸ばすためには多角的な視点を持つことが重要です。Sprocketでは顧客心理を読み解くためのヒントをわかりやすくお届けするメディア「スプ論」も公開しています。知見を広げる情報発信を行っていますので、ぜひご覧ください。

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マーケティングフレームワークの活用シーン早見表

以下では、本記事で取り上げる代表的なフレームワークの活用シーンをまとめました。

マーケティングにおける活用シーンフレームワーク
消費者の購買に至るプロセスを分析

マーケティングファネル、AIDMA

自社の立ち位置を把握し、事業戦略を策定する 3C分析、STP分析
商品やサービスのマーケティング戦略を策定する 4P分析、4C分析
顧客分析 RFT分析、コホート分析
問題解決 なぜなぜ分析、ロジックツリー
自社に与える競争要因を分析 5F分析
強み・弱みを活かした戦略を策定 SWOT分析
自社の外部環境を分析 PEST分析

マーケティングフレームワークは、組み合わせて使うことで最大限の効果を発揮します。主要な18種のマーケティングフレームワークをまとめた資料も公開中です。そちらもぜひご参照ください。

マーケティングの主要フレームワーク18選

1:マーケティングファネル

マーケティングファネルとは、見込み客が商品を認知してから購入するまでのフェーズを図式化したものです。その形が「漏斗(ろうと)」に似ていることから「ファネル」と呼ばれています。

マーケティングファネル

上図に示されているように、見込み客が自社のサービスや製品を「認知」しても、実際に「興味・関心」を持つのはその一部です。購入を前提にして「比較・検討」、さらには「購入・申込」へとフェーズが進むにつれ、その数はさらに少なくなっていきます。

マーケティングファネルを活用することで、ターゲットである顧客層がどのフェーズなのかを体系的に分析でき、より効果的な施策を講じることが可能になります。

一方で、近年は消費者の価値観や購入経路が多様化しています。必ずしもマーケティングファネルが描くようなフェーズをたどらないケースもあることが指摘されています。

2:AIDMA

AIDMA(アイドマ)もマーケティングファネル同様、消費者の購買に至るプロセスを体系化したモデルです。「AIDMA」の5文字は5段階のプロセスの頭文字であり、以下の通りです。

Attention(認知・注意) 製品やサービスを認識する
Interest(興味・関心) 製品やサービスに興味を持つ
Desire(欲求・渇望) 製品やサービスを欲しい
Memory(記憶) 製品やサービスを記憶し、思い出す
Action(行動) 製品やサービスを申し込んだり、購入したりする

マーケティングファネル同様、顧客がどのフェーズにいるかを戦略的に分析し、的確なアプローチが可能になります。また、自社の施策の効果性を体系的に分析することで、自社の弱みを見つけるツールとしても使えます。

AIDMAが提唱されたのは1920年代であり、ほぼ100年近い歴史を持ちます。インターネットの普及などによって、消費者の購買行動は大きく変容しました。マーケティングファネルと同じく、実際の顧客行動と乖離している点が指摘されます。しかし、住宅や自動車の購入などにおいては、現在も有効であるといわれています。

3:3C分析

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の視点でマーケティング環境を分析するフレームワークです。

マーケティングには「環境分析」「基本戦略」「施策」の3つのステップがあります。最初のステップである環境分析において、3C分析は有効です。市場や顧客、競合といった外部環境を把握することで、自社の強みや弱みが明確になり、ビジネスの成功要因が浮かび上がってきます。

3C分析は非常にシンプルで使いやすいフレームワークである一方、適切に情報収集し、客観的に分析するのは容易ではありません。特に自社分析を行う際は希望的観測が入り込み、自社の強みを過大評価し、弱みを過小評価してしまう傾向があります。

4:4P分析

4P分析とは、製品やサービスのマーケティング戦略を明確にするためのフレームワークです。4Pとは「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」を指します。

具体的に以下のようなポイントで4P分析を活用し、戦略を立案します。

Product(製品)

・顧客が製品を通じて求めている価値は何か?
・サービスや製品を通じて得られる顧客体験は?
・顧客が心地よく感じるデザインは?

Price(価格)

・顧客が求める価値に対して適正な価格か?
・競合と比べて魅力的な価格か?
・経営面で採算はとれるのか?

Place(流通)

・顧客のもとに円滑に届けるための流通手段は?
・販売網をどのように構築するか?

Promotion(販売促進)

・製品を通じて伝えたい価値をどのようなメッセージで伝えるか?
・顧客に販促を通じてどのような行動変容を期待するのか?

上図に示されているように、4P分析の枠組みは網羅性が高いように思われがちです。しかし、視点が企業、つまり製品やサービスの供給者サイドに寄っているという問題点があります。そのため、顧客視点を見失い、自己満足に陥ってしまう可能性があることも忘れないようにしましょう。

5:4C分析

4C分析は、製品やサービスのマーケティング戦略を顧客視点で分析するためのフレームワークです。

4Cとは「Customer Value(顧客にとっての価値)」「Cost(顧客が費やすコスト)」「Convenience(顧客にとっての利便性)」「Communication(顧客とのコミュニケーション)」を指します。

4P分析と同じくマーケティング戦略の枠組みですが、視点が異なります。4P分析が企業視点なのに対し、4C分析は顧客視点に立ちます。複数のフレームワークを組み合わせることを「マーケティングミックス」といいますが、4C分析と4P分析を組み合わせることで多角的な戦略策定が可能です。

4C分析は企業の視点に立つため、エビデンスとなる情報も集めやすいのが特徴です。一方で4C分析では顧客心理や考え、ニーズを企業側の思い込みで判断してしまう可能性があります。

6:STP分析

STP分析とは、現代マーケティングの第一人者として知られるフィリップ・コトラーが提唱したフレームワークで、「Segmentation(市場を顧客ニーズに注目して分類)」「Targeting(分類した市場の中でどこを狙うのか選定)」「Positioning(市場における自社の立ち位置を把握)」の3つからマーケティング戦略を策定するための枠組みです。

STP分析によって、顧客ニーズや特性を深く理解できるため、ターゲットを明確にすることができます。他方、自社のサービスや製品の強みを把握し、他社との差別化も図れるため、効果的なマーケティング戦略を展開できるのです。

STP分析で注意すべきなのは、各要素を連動させて考えることです。単体で考えると矛盾した結果になることがあり、顧客に十分訴求できない可能性があります。

7:RFM分析

RFM分析とは、「Recency(最近の購入日)」「Frequency(来店頻度)」「Monetary(購入金額ボリューム)」の3つの指標を用いて、顧客分析をするための枠組みです。

RFM分析は顧客分析の手法の1つですが、詳しい情報が不足していたり、担当者にデータ分析の専門知識がなかったりしても活用できます。RFM分析によって得られた顧客のステータスは経営戦略に反映され、無駄のない効率的なマーケティング施策が可能になります。

RFM分析は購入頻度が高く、繰り返し購入できる価格帯の商品に対して効果的であり、不動産や車などの商品の分析には適していません。また、時間に関して持続性がない点も課題であると指摘されます。

8:なぜなぜ分析

なぜなぜ分析は、トヨタ自動車で生み出された問題解決のフレームワークです。トヨタ生産方式では「なぜ?」を5回問いかけ改善につなげます。「なぜ?」と何度も掘り下げることで問題の根本原因を探るのです。

なぜなぜ分析を使う際は事実に基づいて客観的に分析します。問題の原因を曖昧にしたり、逆に個人を非難するために使ったりせず、解決策を導くために使う必要があります。

9:5F(ファイブフォース)分析

5F(ファイブフォース)分析とは、自社に影響を与える競争要因(脅威)5つに基づいて現状を分析し、今後の経営戦略を考える枠組みです。5つの要素とは以下の通りです。

業界内の脅威 直接的な競争相手となる競合他社
新規参入の脅威 新規参入がしやすい業界か、参入障壁が高いか
代替品の脅威 競合他社の代替品によって自社の製品やサービスの利用が奪われる可能性
買い手の脅威 消費者や顧客などの交渉力によって自社の利益が少なくなる可能性
売り手の脅威 売り手である卸企業やサプライヤーの交渉力によって自社の利益が少なくなる可能性

5F(ファイブフォース)分析によって、自社の業界の立ち位置を把握できます。できるだけ多くのデータを集め、複数人で分析することで、主観的な評価にならないよう気をつけましょう。

10:SWOT分析

SWOT分析とは「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの要素から自社の事業の現状を把握し、改善策や方向性を明確にするフレームワークです。

SWOT分析

SWOT分析は企業の経営戦略を作成する際に頻繁に用いられます。リスクを想定しながら全体像を捉える助けになりますが、一方ですべての要素を「弱み」か「強み」、「機会」か「脅威」に分類するのは困難であると指摘されます。

11:PEST分析

PEST分析とは、「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つから企業を取り巻く外部環境を分析するフレームワークです。

PEST分析は非常に大きな枠組みであることから、分析が抽象的になりがちです。また、4つの要素は絶えず変化し続けます。そのため、今後予測される変化も踏まえながら、具体的な目的を設定して用いることが重要です。

12:コホート分析

コホートとは、もともと古代ローマの歩兵隊の単位を表す言葉で、「グループ・集団」という意味を持っています。つまり、コホート分析とは、ユーザーを年齢などの区分でグルーピングし、その定着度や行動の推移を分析するフレームワークです。

コホート分析は、Webサイトやアプリの維持率を高めたり、近年ではサブスクリプションサービスにおいて解約率を把握したりするために用いられます。サイトの利用状況や訪れたユーザーの行動を分析するツールとして、Googleアナリティクスも有効です。

13:ロジックツリー

ロジックツリーとは、ロジカルシンキングの手法の1つです。対象を分析する際に大きな項目から小さな項目へと体系化し、構成要素をツリー状に書き出すことで問題解決を図るフレームワークです。

ロジックツリーを単なる問題分析のツールとして終わらせるべきではありません。具体的な行動に落とし込めるまで要素を分解していきましょう。

例えば、ロジックツリーにはいくつかの種類がありますが、KPI(重要業績評価指標)と日々のアクションを結びつけ、KPIツリーを作成することで施策を講じやすくなります。

14:MECE

MECE(ミッシー/ミーシー)とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字をとったもので、「モレなく、ダブりなく」という意味です。事象を整理するためのロジカルシンキングの基本的な枠組みの1つです。

MECE

MECEによって、モレやダブりなく自社を取り巻く外部環境や市場、製品やサービス、顧客を分析することで、効率よく課題を解決できます。

実は上述した「3C分析」「4P分析」「5F(ファイブフォース)分析」「SWOT分析」などはすべてMECEに基づいて定型化したものです。

まとめ

マーケティングのさまざまなシーンで活用できるフレームワークを身につければ、効率的に考えることができ、チーム内でのコミュニケーションも促進されます。

すべてのマーケティングフレームワークを使いこなせるようになる必要はありませんが、いくつか組み合わせることでさらに効果的なマーケティング施策を打ち出せるようになるはずです。各項目にあげた参考リンクも活用し、学びを深めましょう。

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