MECEとは?ロジカルシンキングの基本となるMECEの概念やフレームワーク活用法を解説

マーケティング

Sprocket編集部

MECEとは?ロジカルシンキングの基本となるMECEの概念やフレームワーク活用法を解説

MECE(ミッシー/ミーシー)とは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略語であり、ビジネスシーンにおいて、論理的思考(ロジカルシンキング)の基本的な概念として知られています。今回はMECEの意味や考え方に加え、MECEを活用したフレームワークについても解説します。

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MECEとは?

まずは、MECEの概念や必要とされている背景について解説します。

MECEの意味・概念

MECEとは、コンサルティング会社のマッキンゼーで使われていた社内用語です。「Mutually(お互いに)、Exclusive(重複せず)、Collectively(全体に)、Exhaustive(漏れがない)」の頭文字をとって作られており、「モレなく、ダブりなく」という意味や状態を指します。

近年、MECEは戦略用語やマーケティング用語として活用されており、ものごとを整理する際に必要な要素をすべて網羅しつつも、重複する部分がないよう整理する際に活用されます。

MECEの考え方が求められる背景

MECEはロジカルシンキング(論理的思考)の基本ともいえる考え方です。ビジネスシーンにおいて複雑な問題を解決するためには、各要素を論理的思考でシンプルに分割する必要があります。

モレやダブりが発生すると、生産性や効率にも悪影響を与えます。近年では、時流の速さや課題の複雑さから、より効率良く課題を解決していくことが求められています。

MECEは、戦略立案、市場調査、商品企画をはじめ、業務改善や組織改革などあらゆるビジネスシーンで活かすことができます。要素ごとで細かくシンプルに分割し、積み上げていく「セグメント化」や「構造化」が必要になる複雑な問題ほどMECEの考え方が必要です。

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MECEかどうかを図で説明

ここからは、MECEを用いて考えた場合の具体例を、図を参考にしながら見ていきましょう。

A・B・Cという3つの集合があるとします。対象とする事柄の要素が網羅されており、A・B・Cそれぞれに重複することなく含まれるている場合、「モレなく、ダブりなく=MECE」の状態といえます。

MECE

以下で具体的な例をもとに、4つのパターンについて考えてみましょう。

MECEの状態

「モレとダブりがない」状態です。例えば対象者を世代別に分類するとします。

上記の場合、全世界の人々を対象とした場合でも、4つの区分のどれか1つには必ず該当します。また、重複することもありません。

MECEの状態

MECEではない状態その1「モレあり、ダブりあり」

MECEではない状態のひとつが「モレあり、ダブりあり」です。例えばある食品のターゲット層として、以下のように0歳から20代の人を分類したとします。

上記の場合、6歳の小学1年生、高校生の予備校生も存在するためダブりがある状態です。また20代のうち、大学院生や社会人が抜けています。

MECEではない状態その1「モレあり、ダブりあり」

MECEではない状態その2「モレあり、ダブりなし」

「モレあり、ダブりなし」の状態です。例えば社内の労働者を雇用形態で分類するとします。

企業によって変わる場合もありますが、派遣社員や契約社員などがいる場合、正社員・パートタイマーだけで分類すると、重複する対象者はいません。しかし、モレが発生する状態になります。

MECEではない状態その2「モレあり、ダブりなし」

MECEでない状態その3「モレなし、ダブりあり」

「モレなし、ダブりあり」もMECEではない状態です。例えば対象者を居住地で分類するとします。

地方の中に都道府県が混在するため、モレはありませんが、複数に該当する対象者が出てきます。

MECEでない状態その3「モレなし、ダブりあり」

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MECEに考えるための方法1

ここからは、MECE(モレなくダブりなく)で考えを整理するうえで基本となる、2つのアプローチについて解説します。

トップダウンアプローチ

1つめは全体像をとらえ、徐々に詳細を考えていくトップダウンアプローチという手法です。

あらかじめ分類方法が想定しやすい場合などに適しており、演繹的(えんえきてき)なアプローチともいわれています。

しかし、全体を俯瞰して考えられる一方、全体像があやふやだったり間違いがあったりすると、モレやダブりの要因となるため、注意が必要です。

ボトムアップアプローチ

2つめは要素を洗い出し、グループ化することによって全体像をイメージする「ボトムアップアプローチ」という手法です。

全体像が見えていない、存在していない場合に適している、帰納的なアプローチともいわれます。一方で全体像が不明瞭だからこそのモレ、ダブりが発生しやすくなるため、徹底した要素の洗い出しが必要不可欠です。

MECEに考えるための方法2

ここからはMECE(モレなくダブりなく)で考える際にポイントとなる4つの切り口について解説します。

要素分解

要素分解は思考の対象を全体から要素へと分解していく方法で、全体的に思考を整理できるかを考えて部分集合へと切り分けていきます。別名「足し算型」「積み上げ型」とも呼ばれ、分解した要素の合計が全体集合となるのがポイントです。

因数分解

因数分解は分析対象について計算式で表し、それぞれ要素に分解していく方法で「掛け算型」とも呼ばれています。企業の売り上げについて、「顧客数×顧客単価」と分解する際に多く使われる方法です。

対称概念

対象概念は分析対象について、相対する概念を挙げていく方法です。例えば「質・量」「速さ・品質」「主観・客観」「メリット・デメリット」といった形で相反するものを挙げます。

時系列・ステップ分け

ステップ分けは時系列や段階で分解する方法です。「準備・実行・評価・改善」「仕入れ・加工・製品化・出荷」などといった形で、各作業のステップごとに分類して考えます。代表的なものとして、バリューチェーンやAIDMAなどがあります。

MECEを活用したフレームワーク

ここからはMECEを活用した5つのフレームワークを解説していきます。

3C分析

3C分析とは、市場・顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つに分けて考える方法で、事業計画やマーケティング戦略などで活用されることが多くみられます。

自社にとどまらず、外部環境も含めて分析することで、モレやダブりなく市場を分析することが可能です。また、他社と比較することにより、自社の強み・弱みを把握することができます。

4P分析

4P分析とは、流通(Place)・製品(Product)・価格(Price)・販売促進(Promotion)の4つに分類して考える方法です。

上記の4点の視点で販売方法やデザイン、マーケティング戦略を考える際に活用されており「マーケティング・ミックス」とも呼ばれています。

7S分析

7S分析は、能力(Skills)・人材(Staff)・価値観(Shared Value)・経営スタイル(Style)・仕組み(Systems)・組織構造(Structure)・戦略(Strategy)の要素の相互関係を踏まえて考える方法です。

組織戦略を分析する際に活用されている要素分解型のフレームワークで、マッキンゼーが提唱した方法です。ソフト面(能力・人材・価値観・経営スタイル)とハード面(仕組み・組織構造・戦略)に分けられます。

SWOT分析

SWOT分析は、強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)の視点から考える方法で、自社の外部環境や現状を分析しつつ、ビジネスチャンスを見つける際に活用されています。

各要素をプラス要因・マイナス要因、内部環境・外部環境に分けて分析していくのがポイントです。

5フォース分析

5フォース分析は、顧客(買い手)・供給業者(売り手)・新規参入業者・代替品・既存企業という5つの脅威(競争要因)の観点で分類・分析する方法です。新規の事業スタート・開発時などで収益性を検証する際に活用されています。

特定の業界内の構造や競争環境を明らかにすることはできる一方、例えば製品や業界が異なる場合はMECEではなくなるケースがあります。

ビジネスシーンでMECEを有効活用する

ビジネスシーンでは、ロジカルシンキングの基本ともいわれるMECEの考え方が有効です。ものごとを構造化して考えて整理することで、難解な課題の解決にもつながります。

MECEを活用する際は、分析する目的を把握し、重複よりも「モレ」がないか確認し、各要素に優先順位をつけることが大切です。今回紹介した内容を参考にビジネスのアプローチや切り口の幅を広げて、実際の業務にも活用してみましょう。

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