間違えやすいROI、ROAS、CAC、CPAの違いを解説。用途別の使い方まとめ

ROIROAS

Sprocket編集部

イメージ:間違えやすいROI、ROAS、CAC、CPAの違いを解説。用途別の使い方まとめ

ROI、ROAS、CAC、CPAはいずれも費用対効果を測るときに用いられる用語です。マーケティング用語は略称が多く、混乱してしまう人も多いのではないでしょうか。ここではROI、ROAS、CAC、CPAの違いやそれぞれの使い方についてまとめます。

費用対効果の算出方法や施策ごとの最適な水準の見極め方をご存知ですか?今すぐ知りたいという方に向けて、要点をまとめた資料をご用意しました。

→解説資料のダウンロードはこちらから

ROI、ROAS、CAC、CPAの違いとは?

ROI、ROAS、CAC、CPAといった言葉は、いずれも費用対効果を測る文脈で使われます。しかし、それぞれの指標で使うシーンや計算式が異なります。当然、結果の数値からわかることも変わってきます。

とはいえ辞書的な解説をいくら読んでも、実際に使ってみないと理解するのは難しいものです。レポートや打ち合わせで誤った用語を使ってしまわないよう、きちんと違いを押さえておきましょう。ここでは、ROI、ROAS、CAC、CPAの違いや利用シーンを解説します。

ROI、ROAS、CAC、CPAの違いをわかりやすくするために「費用」「効果」「損益分岐点」「対象」という項目別に表組みにしました。ROASとCPAは、主に広告費で使われる指標です。

指標費用効果損益分岐点対象
ROI 投資費用 利益 0% 施策やツールなど
ROAS 広告費 広告経由の売り上げ 100% 広告など
CAC 新規顧客獲得にかかわる費用全般(間接費も含む) 新規顧客獲得数 事業やサービスなど
CPA 広告費 コンバージョン数 広告など

ROIやROASなどの費用対効果について、マーケター向けにまとめた資料をご用意しています。こちらもダウンロードしてご活用ください。

デジタルマーケターのための 一生使える費用対効果の基礎知識

ROIとROASの違い

まずは、間違えやすいROIとROASについて見ていきましょう。どちらも事業やマーケティング施策でかけた費用に対して得られた効果の度合いを表します。しかしROIとROASでは対象や計算式が異なります。

ROIは「利益」の費用対効果を表す

ROI(Return on Investment)は「アールオーアイ」と読み、日本語では「投資収益率」や「投資利益率」と訳されます。ROIは「かけた費用に対してどれだけの利益があったか」を表す指標です。対象となるのはマーケティング施策だけでなく事業なども含まれ、汎用性の高い費用対効果の指標といえます。

ROIの計算式は以下のように、とてもシンプルです。分子は利益ですので、マイナスにならなければ利益があったことになります。

ROIの計算式

ROI = 利益 ÷ 投資にかかった費用 × 100(%)

ROIを計算するメリットとしては、規模が違う投資の効果を比較検討できることです。1万円の投資と100万円の投資では、当然得られる利益の大きさが変わってきます。ROIを使えば、利益額ではなく「どの施策の投資効率が良いのか」という視点で施策を評価できるので、より多く投資すべき対象を見分けることができるのです。

ROI以外にも言えますが、単純な計算式だからこそ「何を費用・効果とするか」を事前に定義することは非常に重要です。前提が変わると、数字も大きく変わってきてしまうからです。

ROASは「広告の売り上げ」の費用対効果を表す

ROAS(Return On Advertising Spend)は「ロアス」と読み、日本語で「広告費の回収率」などと訳されます。ROASは「かけた広告費に対してどれだけの売上効果があったか」を表す指標です。

ROASの計算式もシンプルで、ROASの数値が高いほど広告費の売上貢献度が高いことを意味します。多くの場合で、ROASは利益ではなく「売り上げ」が分子になりますので、ROASの数値が100%を切った場合は「広告費を回収できていない」ということになります。

ROASの計算式

ROAS = 広告からの売上 ÷ 広告費 × 100(%)

ROASを計算するメリットとしては、広告の費用対効果を可視化できることです。効果の高い広告がわかれば、今後、広告費を配分する指標として利用できます。しかしいくらROASの数値が高くてもあくまで割合ですので、最終的にいくらの利益が出たのかはほかの指標とも組み合わせて見ていく必要があります。

ROIと同様、ROASも「何を費用・効果とするか」は非常に重要です。特にWeb広告の場合は「広告をクリックしてから何日以内の売り上げを広告の成果と見なすのか」という定義でも計算結果が変わってきます。また、売り上げではなく粗利でROASを計算することで、より厳密に広告の成否を計測するという考え方もあります。

広告は1回の出稿で複数商品購入したり、複数回購入したりする可能性がありますから、購入件数ではなく金額で計算できるROASの計測が向いています。

CACとCPAの違い

CACとCPAは、いずれも「顧客獲得」にかかった費用を表す指標です。しかし両者で利用するシーンが異なります。ここでは、CACとCPAについてご紹介しましょう。

CACは「事業やサービス視点」の顧客獲得単価を表す

CAC(Customer Acquisition Cost)は「シーエーシー」と読み、日本語で「顧客獲得コスト」あるいは「顧客獲得単価」と訳されます。CACは個別の施策よりもサービスや事業の視点で用いられ、1人の顧客を獲得するのにかかった費用を表します。

CACの計算式は以下のとおりです。特徴的なのは、費用が「新規顧客獲得に関する費用の合計」という点です。

CACの計算式

CAC = 新規顧客獲得に関する費用の合計 ÷ 新規顧客獲得数

これまで紹介したROIやROASは、広告費やマーケティング費用などが計算の対象でしたが、CACの場合は事業やサービス全体の人件費や間接費も含みます。ですから、CACは月ごとや四半期ごと、1年ごとなど比較的長めの期間で算出します。

CACを計算するメリットとしては、投資すべきマーケティングチャネルの見極めができることです。もしCACが飛び抜けて高いチャネルがあれば、継続すべきかどうかを検討する材料になるでしょう。

今回の記事の目的からは逸れますが、CACは「ユニットエコノミクス」の計算でも用いられます。ユニットエコノミクスは、サブスクリプションモデルなどのサービスにおける採算性を評価する指標です。ユニットエコノミクスは、CACとLTVの数値を使って以下の計算式で算出します。

ユニットエコノミクスの計算式

ユニットエコノミクス = LTV ÷ CAC

一般的には、ユニットエコノミクスの値が3以上であれば事業は健全とされています。ユニットエコノミクスとLTVについて、詳しくは以下の記事でご紹介しています。

CPAは「広告やチャネル視点」の顧客獲得単価を表す

CPA(Cost Per Acquisition / Cost Per Action)は「シーピーエー」と読み、日本語で「顧客獲得単価」と訳されます。CPAは「1件あたりのコンバージョンを獲得するのにかかった広告費用」を表し、主に広告費を最適化する目的で使われます。「成果単価」や「コンバージョン単価」と呼ばれることもあります。

CPAの計算式は以下になりますが、こちらはCACと異なり、広告費など個別のマーケティングに施策にかけたコストが対象です。

CPAの計算式

CPA=マーケティング施策にかかったコスト ÷ コンバージョン数

CPAを計算するメリットとしては、広告費を中心としたマーケティング施策の費用対効果が分かることです。例えば媒体Aと媒体BでどちらのCPAが良いか、テキストAとテキストBでどちらのCPAが良いかという判断に使います。CPAを比較すればWeb広告の費用対効果を確認でき、広告の最適化に役立ちます。

ROI、ROAS、CAC、CPAを使い分ける例

ROI、ROAS、CAC、CPAの違いを理解できたら、次は使い方です。ROI、ROAS、CAC、CPAを利用するシーンを例とともにご紹介します。

例1:使用しているツールの費用対効果を見る

利用しているツールでどれくらいの利益が出ているのかを見たい場合は、ROIが最適です。

計算の結果ROIがマイナスでなくプラスになっていれば、少なくともかけた費用に対して利益が出ている状態であることがわかります。しかしいくら利益が出ているといっても、ROIが1%や10%でも十分というわけではありません。自社でどれくらいの数値を目標にするのかとあわせて、ROIの数値を評価することが必要です。

例2:広告費に対する売上成果を見る

出稿した広告費に対する売上成果を見るのであれば、ROASが最適です。

ROASが100%を超えていれば、広告費に対して利益が出ていることがわかります。ROASが400%あったら、1円の広告費で4円の売り上げがあるわけですから、4倍の成果があるといえます。しかし人件費などの間接費を計算に入れていない場合は、ROASが100%以上でも実質会社全体ではマイナスの可能性もあります。費用と効果がそれぞれ何を指しているのかに注意が必要です。

例3:サブスクリプションサービスの事業継続を検討する

サブスクリプションサービスの事業継続を検討するのであれば、CACとLTVを利用して、ユニットエコノミクスを算出しましょう。

ユニットエコノミクスの値が3以上であれば健全な状態であると言われていますので、基準を満たしているのかを確認します。逆にユニットエコノミクスの数値が6や10など高すぎる場合は、事業拡大のためにもっと新規顧客獲得コストをかけてもいいという判断もできます。

例4:マーケティング予算の配分を考える

マーケティング予算の配分や使い方を考えるのであれば、CPAが最適です。

例えばBtoBでリード獲得を目的にしている場合、どこに予算を使うのが最もCPAが低く済んで効率的かという視点で各種チャネルや施策を評価します。実績をもとに、どこに予算をあてていくかを考えていくわけです。

デジタルマーケターのための 一生使える費用対効果の基礎知識

まずは身近な用語から覚えよう

ROI、ROAS、CAC、CPAに違いについてご紹介してきましたが、説明を読んだだけではピンと来ないかもしれません。まずは自分の業務と関係が深い用語から覚えていきましょう。例えば広告担当ならROASとCPA、ツール導入担当ならROI、事業企画担当ならCACとユニットエコノミクス、という具合です。

また、ここで解説したのはあくまでも一般的な内容です。「費用」と「効果」が何を指すのかは異なる場合がありますので、自社がどのような定義で算出しているのかは確認しておきましょう。少なくとも、複数のチャネルや広告を比べて評価するのであれば、費用と効果の定義は同じである必要があります。

サービス資料ダウンロード

Sprocketの機能、コンサルタント、導入事例、実績、
プラン体系などをご紹介します。(無料)

資料ダウンロード

導入検討の相談・見積もり

新規導入、乗り換えのご相談、Web接客ツールの比較など
お気軽にお問い合わせください。(無料)

お問い合わせ

03-6420-0079(受付:平日10:00~18:00)