「費用対効果」という言葉そのものは一般的ですが、その算出方法や施策ごとの最適な水準の見極め方を知らないという方も意外と多いのではないでしょうか?マーケターならその考え方をマスターしておきたい費用対効果の基本と、指標であるROI・ROAS・CPAの計算方法をわかりやすく解説します。
顧客獲得コスト(CAC)とは? 種類や計算方法、CPAとの違い、改善方法を詳しく解説
収益性のあるビジネスを目指すには、顧客獲得コスト(CAC)の算出が重要です。この記事ではCACの種類や計算方法、CPAとの違いをまとめました。あわせて、ユニットエコノミクスとの関係やCACとLTVの改善方法についても解説します。
費用対効果の算出方法や施策ごとの最適な水準の見極め方をご存知ですか?今すぐ知りたいという方に向けて、要点をまとめた資料をご用意しました。
顧客獲得コスト(CAC)とは?
CACは「Customer Acquisition Cost」を略したマーケティング用語で「顧客獲得費用」あるいは「顧客獲得単価」と訳され、文字通り顧客を獲得するために必要なコストを指します。
CACはSaaSやサブスクリプション型のビジネスでよく用いられ、適切なマーケティング戦略を策定するために欠かせない指標です。CACを把握することで、投資すべきマーケティングチャネルの見極めやユニットエコノミクスの算出ができるためです。
顧客獲得コスト(CAC)とCPAの違い
CACと似た用語にCPA(Cost Per Acquisition、もしくはCost Per Action)があります。CACと同様に「顧客獲得単価」を意味する用語ですが、両者は使われるシーンが異なります。
CACは主にプロジェクトやマーケティングチャネル単位で使われます。それに対してCPAは、広告出稿費用など1つの施策あたりのコストを示す際に使われる指標です。CPAは主にデジタル広告の分野で用いられます。
顧客獲得コスト(CAC)の計算方法
CACは新規顧客を1件獲得するためにかかったコストを指します。計算方法は下記の通りです。
CAC = 新規顧客獲得に関する費用の合計 ÷ 新規顧客獲得数
CACは月間・四半期・1年などの期間で区切って算出します。月によって費用の変動が大きい場合は、四半期や1年など長めの期間で算出しましょう。顧客獲得に関する費用は、営業費用とマーケティング費用が主ですが、正確には人件費やオフィス賃料などの間接費も含む点に注意してください。
顧客獲得チャネル別の顧客獲得コスト(CAC)とは
一口に新規顧客獲得といっても、必ずしも直接的な広告・営業活動によって得た顧客だけではありません。クチコミなどからの自然流入によって新規顧客が増加する場合もあります。CACにはこうした自然増加も合わせた新規顧客獲得が含まれます。そのため、プロモーションの効果をより正確に把握するには、新規顧客が入ってくるチャネルを区別してCACを算出する必要があります。CACは顧客チャネル別に以下の3つに分けられます。
Organic CAC
広告などのコストをかけずに自然増加した顧客単価を指します。検索エンジンやSNSからの流入、クチコミ、既存顧客からの紹介といったチャネルから獲得した顧客が該当します。このような自然流入による顧客増加も少なくないため、CACを正確に測るためにはOrganic CACを見落とさないようにしましょう。
Paid CAC
コストをかけたチャネルから獲得した顧客単価を指します。CMやインターネット広告、イベント開催や出展など、顧客獲得を目的として投資したあらゆる施策の費用が該当します。マーケティングや営業において顧客獲得施策の効果を測るには、CACの中でもPaid CACを指標とするのが適切です。
Blended CAC
Organic CACとPaid CACを合わせた総合的なCACです。事業全体の顧客獲得コストを評価するには、このBlended CACを算出します。通常、単にCACという場合はBlended CACを指すと考えてよいでしょう。
顧客獲得コスト(CAC)とユニットエコノミクスの関係
CACは適切なマーケティング戦略の策定に役立つと説明しましたが、その最大の意義は、ユニットエコノミクス(Unit Economics)を把握できることにあります。ユニットエコノミクスとは、単位(Unit)あたりの採算性を意味する指標です。
ユニットエコノミクスに用いる単位は事業によってさまざまですが、一般的には顧客1件あたりを1単位として採算性を見ます。こうした指標を活用せずにKPIを決めると、収益性を見通すことができず、経営判断を間違うことになりかねません。
ユニットエコノミクスの計算方法
ユニットエコノミクスは顧客ごとに得られる収益を、その顧客を獲得するためにかけたコストで割ることで算出できます。そこで用いるのがCAC、そしてLTVです。LTV(Life Time Value)は「顧客生涯価値」と訳され、ある顧客がその企業にもたらす利益の総額を表します。これらを使ったユニットエコノミクスの計算式は以下の通りです。
ユニットエコノミクス = LTV ÷ CAC
単純に言えば、ユニットエコノミクスが1以上の数値になっている場合は収益を上げられる見込みが立ち、1未満の場合は新規顧客獲得のたびに損失が出るという計算になります。
CACはLTVの3分の1が目安
ユニットエコノミクスはどの程度が望ましいのでしょうか。一般的にSaaSやサブスクリプション型のビジネスにおいては算出したユニットエコノミクスの値が3以上、つまりCACがLTVの3分の1以下に抑えられていれば、事業は健全とされています。数値がこの目安よりも低い場合は、CACを抑える、もしくはLTVを向上させるといった対策が必要となってきます。順に見ていきましょう。
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顧客獲得コスト(CAC)を改善する3つの方法
収益性のあるビジネスを目指すには、ユニットエコノミクスの改善が欠かせません。さまざまな切り口がありますが、まずCACを改善する方法について考えてみましょう。
1:MAツールやCRM(顧客管理)システムを導入する
CACを抑える方法として、MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(顧客管理)システムを導入することが考えられます。集客、顧客情報管理、見込み客育成や有望見込み客の抽出、マーケティング部門と営業部門の連携などは、手作業では大きな工数がかかってしまいます。
そこで、MAツールやCRMシステムを適切に使うことで、顧客情報を一元管理し煩雑な業務を自動化することができます。したがって、マーケティング・営業活動が効率化でき、人件費などのコストを抑えられるでしょう。
2:コンバージョン率(CVR)をアップさせる
コンバージョン率(CVR)をアップさせる施策は、CACを下げるのに直結します。コンバージョン率が高いほど、訪問者数に対して効率的に顧客を獲得できているということになり、結果としてCACが低くなるためです。
コンバージョン率を上げるには、よりコンバージョンに至りやすい見込み客を集めることが重要です。解析ツールを用いて、コンバージョンに至る導線、逆に離脱につながっているページなどを洗い出し、最適化を行うとよいでしょう。ターゲットを絞ってピンポイントで広告を出したり、ユーザーの属性に応じて広告の施策を変えたりというアプローチもあります。
3:広告を最適化する
顧客獲得にかかるコストを下げるには、新規顧客獲得のための広告費用を最適化することも有効です。既存広告の見直しを行い、より効果の高い出稿先だけに絞り込むなどの施策が考えられます。
場合によっては広告出稿をやめ、検索などによる自然流入数を増やす施策を考えるという選択肢もあります。Organic CACの改善に成功すれば、長期的なコスト抑制が図れるのです。
LTVを向上させる3つの方法
ユニットエコノミクスを改善するもう1つのアプローチは、LTVを向上させることです。具体的には以下のような方法が考えられます。
1:アップセル・クロスセルに取り組む
LTV向上の方法として効果が期待できるのが、アップセル・クロスセルに取り組むことです。アップセルは、利用中の商品・サービスから、より上位のモデルにアップグレードしてもらうことです。
クロスセルは、購入しようとする際に関連する別の商品・サービスを提示しセットで購入してもらうことを言います。いずれも顧客単価を上げるのに直結する施策です。アップセル・クロスセルの取り組みによって、新規顧客を獲得するよりもコストをかけずに売り上げ向上を図ることができます。
2:チャーンレート(解約率)を下げる
SaaSやサブスクリプション型のビジネスにおいて、LTVを向上させるにはチャーンレート(解約率)を下げることも重要です。新規顧客を獲得したとしても、解約する人が多ければ継続した収益は見込めません。新規顧客獲得にかけたコストも無駄になってしまいます。
チャーンレートを改善するには、顧客調査などによって解約に至った理由を明らかにし、対策する必要があります。例えば、サービスが十分に活用されないまま離脱しているのだとしたら、サービスの魅力や使い方をユーザーに理解してもらうオンボーディングの見直しが必要でしょう。
3:顧客のロイヤルティを高める
LTV向上には顧客のロイヤルティを高める施策も欠かせません。商品・サービスへの愛着や信頼感を醸成することで、長期的な利用や顧客単価アップだけでなく、クチコミや紹介によってさらなる顧客の呼び込みにもつながります。
また、利用頻度や利用金額に応じて優遇を受けられるロイヤルティプログラムは、商品・サービスへの愛着を深めてもらうのに有効な施策です。次もその商品・サービスを利用しようという動機付けになり、競合他社への乗り換え防止にも効果的です。
ロイヤルティ向上のためには、CX(顧客体験)を良質なものにすることが重要です。顧客と商品・サービスとの接点1つひとつについて、顧客視点に立って行動・感情を洗い出し、顧客体験の改善を図りましょう。
顧客獲得コスト(CAC)の改善は、Sprocketにご相談ください
CACはSaaSやサブスクリプション型のビジネスに欠かせない指標であり、収益性のあるビジネスを行うにはCAC・LTVを適性な値にすることが不可欠です。SprocketのWeb接客は、ユーザーの行動データを活用した最適な接客シナリオによって良質な顧客体験を提供し、コンバージョンを促すとともにLTV向上に貢献します。CAC・LTVの改善をお考えでしたら、300社以上の豊富な改善実績があるSprocketにご相談ください。
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