費用対効果とは? 計算方法やROAS・CPAの考え方を解説

マーケティングノウハウ

深田 浩嗣

イメージ:ROAS

「費用対効果」とは、文字どおり「かけた費用に対して得られた効果」のことです。しかし「何を費用・効果とするのか」「ROASやCPAの水準はどのくらいが妥当か」など、実際に計測しようとすると難しいものです。費用対効果の考え方や算出方法を解説します。

目次

  1. 費用対効果とは何か
  2. 費用対効果の計算方法
  3. 費用対効果を「まずは決める」ことが重要
  4. ROAS・CPAによる費用対効果の計測法
  5. ROAS・CPAの妥当な水準は?
  6. マーケティング施策の費用対効果はどう求めるか?
  7. 費用対効果を高めるには
  8. まとめ

1. 費用対効果とは何か

費用対効果とは、文字どおり「かけた費用に対しての効果」を意味する言葉です。費用は通常お金として換算されますので、比較する効果もお金として換算する必要があります。

「あることを意図して使うお金が、その結果どのくらいの効果をもたらすのか」は、予算を使う場面では必ず問われます。費用対効果を算出することは、正しく仮説検証のサイクルを回す上でも大変重要です。

費用対効果と似た言葉として次のようなものがありますが、基本的な考え方は同じです。

効果を計測する時間軸が長い場合には「投資対効果」という言葉を使うこともありますが、いずれにせよ「使ったお金」と「得られた効果」を計測するという目的に変わりはありません。

2. 費用対効果の計算方法

「かけた費用に対して得られた効果」が費用対効果ですので、下記の式で計算することができます。

費用対効果 = 効果 ÷ 費用

一見あたりまえの計算式ですが、ここで考えなければいけないのは、次の2点です。

それぞれ見ていきましょう。

何を「効果」とするのか?

「効果」だけだと、何を指すのかがあいまいです。売り上げが上がることを効果と呼んでいいのでしょうか? それは良さそうです。「いや、うちのビジネスだと売り上げではなく獲得件数が効果なんです」というケースも考えられます。場合によっては、WebサイトのPV(ページビュー)が効果となる場合もあるでしょう。

ひとことで「効果」と言ってもいろいろな指標、数値を当てはめることができます。どの指標を採用するべきかは「期待される効果が何なのか」から考えます。

しかし、必ずしも効果を数値で表せるとは限りません。例えば、BtoBのビジネスで「リード獲得」を意図した広告を打つ場合を考えてみましょう。

「獲得できたリード件数が効果だ」と考えるかもしれませんが、それだけではありません。リードは、件数だけでなく必ず「質」も問われることになります。「一定以上の質のリードのみを獲得リードとしてカウントする」方法も考えられますが、質の良しあしは、営業サイドにリードを供給した後に見えてくるものです。

このような場合、費用対効果はリード件数ではなく、最終的な受注件数や受注額でカウントしたほうが適切なこともあります。しかし、受注までの期間が長い場合はなかなか費用対効果を測れませんので、「やっぱりリード件数にしよう」と判断することもあります。

このように、何を効果として測るかは必ずしも明確ではありません。そのため、費用をかける前に「考えられる効果が何か」はある程度洗い出しておき、計測できる状態を作っておくことが大切になります。

何を「費用」とするのか?

一方「費用」というと「かけるお金」のことなので、あいまいな部分はないように感じるかもしれません。しかし、ここでも「かけるお金とはどこまでを指すのか」により、費用の計算の仕方が変わります。

先ほどのBtoBビジネスでのリード獲得広告の例でもう一度考えてみましょう。

「リスティング広告にかけた広告費」など、広告出稿費として外部に支払うお金は間違いなく「かけるお金」にカウントするべきですね。では、広告企画を考えるメンバーの人件費は費用に入れるべきでしょうか?

また、かけた費用に対し効果が1対1で見えにくい場合もあります。リスティング広告経由で受注できた場合でも、別のイベントでも同じリードが取れており、「どの施策の効果としてカウントしようか?」といったことはよく起こります。

デジタルマーケティングでは、コンバージョンするまでに複数の広告やタッチポイントに接点があることも珍しくありません。そのような場合、「アトリビューション」という考え方があります。アトリビューションとは「貢献度」を計測する考え方で、1つのコンバージョンに対して「その広告(=費用)がどれくらい貢献したか」を計測します。

このように「費用」とひとことで言っても、実務上は単純に済まないことが多くあります。人件費のように、厳密には費用に含めるべきではあるものの、計測が困難な費用もあります。アトリビューションも同様で、「どの広告が効いていたのか」といっても正確にはわかりようがありませんので、結局は接触のあった広告すべてに等分で分けるか、コンバージョン直前の広告の貢献度を高くするかといった運用が多いのではないでしょうか。

「効果」だけでなく「費用」も、どこまでを費用として考えるのかを事前に決めておく必要があるのです。

費用対効果の計算方法

さて、効果と費用を定義して、それぞれの数値を算出できたとします。先ほどの式に当てはめてみましょう。

費用対効果 = 効果 ÷ 費用

この式に当てはめれば費用対効果が計算できる……とは、必ずしもなりません。

一般的にROI(Return On Investment:投資利益率)というと、単位が「%」で算出されますので、この式に当てはめてもほぼ違和感はないでしょう。かけた費用に対して、数字が大きければ大きいほど良いということになります。

ただし、費用対効果をCPA(Cost Per Acquisition:獲得単価)で求めたい場合もあります。この場合は、次のような計算式になります。

CPA = Cost(獲得にかけた費用) ÷ Acquisition(獲得できた件数)

費用対効果 = 費用 ÷ 効果

この場合は「一定の効果を得るのに、いくらの費用がかかったか」を見ますので、数字が少ないほど良いわけです。ややこしいですね。

このように、費用対効果という概念は一見簡単そうですが、実務上はさまざまなバリエーションがあり、意外とひと筋縄では行きません。

最終的には、自身のビジネスの都合上「妥当」と考えられる費用と効果、および費用対効果の算出方法を定義することが必要です。

3. 費用対効果は「まずは決める」ことが重要

費用対効果の算出方法は、一度決めればそれで終わりではなく、定義の妥当性が疑われる場合には随時見直しをかけていくべきものです。

……とお話しすると「何だか面倒だな」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。筆者も仕事上、費用対効果の定義をしっかり定めずに施策の運用に入っているケースを見かけることが少なからずあります。

「費用とは」「効果とは」ということを厳密に考え出すとハマってしまい、結論を出せなくなってしまう罠があるわけです。

しかし、費用対効果を定めずに施策を進めると、あたりまえですが「良かったのか悪かったのか」の判断ができず、主観や印象に左右されることになります。こうなると「何のためにお金を使ったのか」がわかりません。

費用対効果が明確でなければ施策の振り返りができませんし、施策からの学びも薄くなってしまいます。

完璧でなくてもいいので、「費用対効果の定義をまずは決める」ことが重要です。一度やってみて参考にしにくければ、そこで見直せばよいのです。

多少粗くても、費用対効果を比較をしていくことで、チーム内で一定の相場感が出てきます。それだけでも、施策の良しあしがそれなりにわかってくるものです。定義の精度が多少低くても、相対比較ができればそれだけでも価値はあるのです。

判断のものさしとして費用対効果の定義はとても大切ですので、正確さにとらわれすぎず「まずは決める」という気持ちで考えましょう。

4. ROAS・CPAによる費用対効果の計測法

イメージ:ビジネス費用の計算

続いては、デジタルマーケティングでよく登場する費用対効果の指標であるROASとCPAについて見ていきましょう。

ROASによる費用対効果計測

ROASとは、Return On Advertising Spendの略称で、広告の費用対効果を表す言葉です。ROASは、一般的には次の式で算出します。

費用対効果 = 効果 ÷ 費用

ROIと式は同じですが、ROASは広告の費用対効果を現す指標となります。効果は「対象広告からの流入ユーザーによる売り上げ」、費用は「広告費(人件費などは含めず、広告出稿費として媒体に支払った費用)」となることが多いでしょう。

例えば、広告の出稿に100万円使って売り上げが300万円だった場合、「ROASは300%」となります。

売り上げの定義は商材にもよりますが、次の2つがあります。

筆者の経験上、多くのケースでは効果を売り上げで換算していますが、売り上げではなく粗利を使うことで、より厳密に測定するという考え方もあります。

価格の違う商材が複数ある場合や、複数回の購入がある場合は、合計金額で計測できるROASでの計測が向いています。

CPAによる費用対効果計測

CPAとは、前述したようにCost Per Acquisitionの略称で、効果1件あたりの獲得コストを表す指標です。次のように、ROASとは割り算の分母と分子が逆になります。

費用対効果 = 費用 ÷ 効果

効果は「獲得件数」、費用は主に「広告費」を使います。ただし「コスト」ですので、状況によっては広告費以外のコストも費用として含めることもあります。

例えば、広告費を100万円使って100件の獲得があった場合、「CPAは1万円」となります。

ROASの場合と同様に、どの期間の獲得を効果の件数としてカウントするのかは事前に定義しておきましょう。

5. ROAS・CPAの妥当な水準は?

費用と効果の指標を定義した上で、上記の計算式に当てはめればROAS・CPAを算出できます。

では、ROAS・CPAの妥当な水準とはどのくらいなのでしょうか?

ここでいう「妥当」とは「求められたROAS・CPAがビジネス上許容できる値である」ことを意味しています。その水準のROAS・CPAであれば、費用をかけた価値があったということですね。

一般的には粗利やLTV(生涯収益)をもとにROAS・CPAを考えます。

ROASの水準の考え方

例えば、ROASで効果として売り上げを採用している場合、ROASが次の数字以上であればおおむね妥当と見なされます。

1 ÷ 粗利率

例えば粗利率が50%の場合は「1 ÷ 0.5 = 2」となりますので、ROASは200%が妥当な水準だと考えられます。

ビジネスによっては、粗利率ではなく営業利益率で計算するケースもあります。「この広告で回収しきらないといけない」という厳密さが求められる場合は営業利益率を採用することもあります。筆者の経験上は、粗利率を採用しているケースが多い印象です。

ざっくりとした目安ですが、ROASの水準としては次のような感覚ではないかと思います。粗利率が低いほど多くの売り上げが必要になるわけですから、ROASの水準も上がっていきます。

CPAの水準の考え方

CPAの水準は、本来は1件獲得した場合に期待されるLTV(生涯収益)から考えるべきです。LTVが大きい商品であれば、CPAが大きくても許容されます。ただ、実務上は期待できるLTVが不明な場合も多く、さまざまな広告媒体のCPAを相対的に比較して妥当性を判断しているケースもあります。

例えば、SprocketはSaaS型のビジネスモデルです。月額課金型のビジネスの場合、「LTV ÷ CPA」の数字を見ることが多くなります。その数字を見る際の一般的な基準は次のとおりです。

「LTV ÷ CPA」の値が4を超えている場合は「CPAが上がって効率が落ちてもいいのでもっと広告費を投じて件数を取りに行くべき」と見なされるわけです。サブスクリプション型のビジネスは、おおむね同じような水準でしょう。

いずれにせよ、CPAで計測する場合はLTVもあわせて考えることと、LTVから許容されるCPAを考えることを理解しておきましょう。

6. マーケティング施策の費用対効果はどう求めるか?

イメージ:方針を選ぶ

費用対効果の算出方法が決まれば、マーケティング施策の費用対効果を測れるようになります。ただし実際は、施策の種類によって費用対効果の求めやすい施策と求めにくい施策があります。

施策の種類ごとに、費用対効果の求め方を見ていきましょう。

施策の直接の費用および効果から費用対効果を求める場合

広告費は、このケースに当てはまる代表的な施策です。通常は、広告経由で流入したユーザーが、流入後の一定期間(Google広告の場合は標準で30日)以内に購買や申し込みなど特定の行動を取ったことを効果として算出します。

メール配信系の施策やキャンペーン施策などもこの方法で費用対効果を求めることがほとんどでしょう。

これだけを見ると「あたりまえじゃないか」と思われるかもしれません。続いて、別のケースを見ていきましょう。

施策を実施した場合としなかった場合で比較して費用対効果を求める場合

リターゲティング広告は、Webサイトに一度訪れたユーザーを対象に広告を配信する手法です。「リターゲティング広告を出せば、また訪問してくれる可能性が高いのでは」という仮説は一見もっともらしく聞こえます。

しかし一方で「一度Webサイトに訪れているなら、リターゲティング広告を配信しなくてもまた来てくれるのでは」という可能性もあるわけです。

このような場合、より正確にリターゲティング広告の効果を計測するためには、一度Webサイトに訪れたユーザーを対象に次のようなテストを行う必要があります。

それぞれのユーザー群の効果を比較することで、リターゲティング広告を行った場合と行わなかった場合の効果をより正確に計測できます。

このような方法を「A/Bテスト」と呼びます。広告に限らず、同時期に施策を実施するか実施しないかで効果を比べるのが有効な場合は、A/Bテストの考え方で費用対効果を求めましょう。

A/Bテストを実施するには、ある程度の大きさの母集団が必要となります。対象ユーザー数の少ない施策には向きませんので注意ください。

A/Bテストを実施できると、より多くの施策の費用対効果を算出することができるようになります。

施策実施の前後で比較して費用対効果を求める場合

A/Bテストでの比較が困難な施策もあります。例えばWebサイトのリニューアル施策です。

リニューアル施策の費用対効果は、「リニューアルしなかった場合と比べてどのくらい数値が向上したか」ということで費用対効果を算出するのが妥当でしょう。

ただし、サイトリニューアルはA/Bテストを実施することが困難です。同時にリニューアル前とリニューアル後のWebサイトを用意し、ランダムで表示するWebサイトを出し分ける……というのは現実的ではありません(「トップページだけ見た目を変えたものを用意する」程度であればA/Bテストを実施するケースもあります)。

このような場合は、施策の実施前と後で比較するしかありません。時期の影響を排除したければ前年同月比で比較する、時期の影響が少ない場合には施策実施の前後2週間で比較する、などどの期間を比較するかには工夫の余地があります。

ただし別の期間を比較すると、どうしてもその施策以外の要素が入り込んでしまいます。あまり算出精度が高くない算出方法であることはあらかじめ認識しておきましょう。

7. 費用対効果を高めるには

費用対効果を高めるには、2つの考え方があります。費用を小さくするか、効果を大きくするかです。

費用を小さくする

同じ効果を出すために必要な費用が小さくなれば、費用対効果は高まります。より効率の良い広告媒体を探したり、業務を効率化してかかる人件費を下げる工夫をしたりなどです。

また、導入したマーケティングツールを使いこなせていなかったり、あまり活用されない分析ツールを入れっぱなしにしていたりなど、ツール利用費の見直しを定期的にかけることで、費用を小さくできることもあります。

効果を大きくする

効果をより大きくすることでも、費用対効果を高めることができます。効果の高め方は施策によりますが、例えば広告であれば、広告から流入した後のコンバージョンまでの経路を最適化することでも効果を高められます。

WebサイトのUX/UIを改善する取り組みには、A/Bテストをはじめとしたさまざまな手法があります。このような取り組みは総じてCRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン最適化)とも呼ばれます。CROはサイト内で実施されるマーケティング施策についても適用することができます。

費用と効果のバランスが大切

それでは、同じ効果で費用を小さくすることを考えるべきでしょうか? あるいは、同じ費用でもっと大きな効果を狙うべきなのでしょうか?

それを判断するためには、自社内で許容できる費用の考え方についての基準が必要です。一般的には、LTVと獲得コストのバランスを見て「マーケティング活動として許容される費用がどこまでなのか」を考えます。LTVが大きければ獲得コストが大きくても許容されますが、LTVが小さければそれほど獲得コストをかけることができません。

SaaSに代表されるサブスクリプション型のビジネスモデルの場合は、LTVを獲得コストで割った値が「4」を超えていれば、より獲得に大きな費用をかけることが許容されるといわれています。

自社のビジネスモデルにおいて許容される費用対効果がどこまでなのかの基準を持っていると、「費用をもっとかけて効果の最大化を図るべきか」「効果は現状維持で費用の最小化を図るべきか」の判断がしやすくなります。

8. まとめ

本記事では費用対効果の考え方や算出方法について説明してきました。よく耳にする言葉ですが、実際に費用対効果を算出して施策を評価しようとすると、意外に厄介なことがいくつもあることがわかります。

しかし、費用対効果は数値に落とさないと改善していくことができませんし、最適な費用対効果の水準がどこにあるかも見極めることができません。

もし「言われてみれば明確に計測できていないかも……」という方は、これを機会にあらためて考えてみてはいかがでしょうか。

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