LTVとCACで計算する「ユニットエコノミクス」とは?SaaSやサブスクリプションモデルで知っておくべき考え方

マーケティング

Sprocket編集部

イメージ:LTVとCACで計算する「ユニットエコノミクス」とは?SaaSやサブスクリプションモデルで知っておくべき考え方

SaaSなどのサブスクリプションモデルで使われるのが、LTV(顧客生涯価値)とCAC(顧客獲得コスト)を用いて算出する「ユニットエコノミクス」です。LTVやCACとユニットエコノミクスの関係や計算式、基本的な考え方を解説します。

ユニットエコノミクスとは?

近年、SaaSのように継続的に商品を利用することで売り上げを立てるサブスクリプションモデルが増えています。サブスクリプションとは「購読」という意味で、顧客が商品やサービスを使い続ける限り長期的に売り上げを得ることができます。

こうしたモデルでは、提供する商品やサービスに対しての売り上げを短期的に評価することができません。そこで、サブスクリプションモデルの健全性を測る指標として使われるのが「ユニットエコノミクス」という指標です。

ここではユニットエコノミクスの計算式から、考え方や改善方法などをご紹介します。

ユニットエコノミクスの指標になる「LTV」と「CAC」

ユニットエコノミクスを計算するのに使うのが「LTV」と「CAC」という指標です。ユニットエコノミクスが高ければ採算性が高いといえますし、低ければ採算が取れない状況だといえます。まずはLTVとCACについて見ていきましょう。

LTVは「顧客生涯価値」

LTVはライフタイムバリュー(Life Time Value)の略で、顧客1人が商品を利用してから解約するまでにもたらしてくれる利益の総額です。日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。サブスクリプションモデルでは商品は買い切りではありませんので、1人あたりの利益額だけでなく、商品の利用期間も数値に反映しないと経営指標にならないのです。

LTVの計算式にはさまざまなパターンがありますが、基本的には「LTV = 1顧客あたりの月次粗利 × 平均継続月数」になります。1顧客あたりの月次粗利は「ARPA(Average Revenue per Account)」という名称も使われます。

LTV(サブスクリプション型)の計算式

LTV = 1顧客あたりの月次粗利 × 平均継続月数

例えば、顧客1人がもたらす毎月の利益が30万円だとして、顧客の平均継続月数が6か月であれば「30万円×6か月=180万円」で、LTVは180万円となります。

しかし、これは毎月粗利が発生するサブスクリプションモデルの場合です。継続的に利用が見込まれるが、毎月発生するわけではない「スポット型」の場合を考えてみましょう。スポット型の場合のLTVは、以下の計算式になります。

LTV(スポット型)の計算式

LTV = 1取引あたりの粗利 × 平均リピート購買回数

例えば、1回の取引がもたらす粗利が50万円だとして、顧客の平均購買回数が3回であれば「50万円×3回=150万円」でLTVは150万円になります。

利用するデータは異なりますが、LTVとしての利用方法は変わりません。どちらの場合でも、ユニットエコノミクスの算出に利用できます。

LTVについてはさまざまな考え方と計算式があります。詳しくは以下の記事を参照してください。

CACは「顧客獲得コスト」

CACはカスタマーアクイジションコスト(Customer Acquisition Cost)の略で、新規顧客を1人獲得するために必要としたコストです。日本語では「顧客獲得コスト」と訳されます。CACの計算式は以下のとおりです。

CACの計算式

CAC = 新規顧客獲得に関するコストの合計 ÷ 新規顧客獲得数

例えば、顧客2人を獲得するのに、100万円かかっていれば「100万円÷2人=50万円」で、CACは50万円になります。

このようにCACの計算式はLTVに比べてシンプルですが、問題は「新規顧客獲得費用」の内訳です。新規顧客獲得費用は、顧客獲得にかかるトータルコストですから、さまざまなコストを正しく計上する必要があります。

例えば、テレフォンアポイントなどの営業コストも新規顧客獲得費用ですし、イベント開催や広告出稿などのマーケティングコストも新規顧客獲得費用に含まれます。しかし、営業コストは、そのすべてが新規顧客獲得のためではないことも多いので、業務割合に応じて算出する必要もあるでしょう。

また、逆に営業部門やマーケティング部門の管理をする部署のコストや、事業所の賃料なども、新規顧客獲得費用に加えるほうが、より正確な数値になります。

ここでは「CACは顧客1人あたりを獲得するのにかかった費用」ということを押さえておいてください。CACについて詳しくは以下の記事でも解説しています。

ユニットエコノミクスを算出して経営指標に利用する

LTVとCACを算出したら、LTV(顧客1人が商品を利用してから解約するまでにもたらしてくれる利益)を、CAC(新規顧客を1人獲得するために必要としたコスト)で割ることで、ユニットエコノミクスの数値を算出できます。ここでは、ユニットエコノミクスを経営指標にする方法を見ていきましょう。

ユニットエコノミクスの計算式
ユニットエコノミクス = LTV ÷ CAC

ユニットエコノミクスは「LTV ÷ CAC > 3」が目安となる

ユニットエコノミクスは「LTV ÷ CAC」で算出できるので、先ほどの例を当てはめるとLTV(150万円)をCAC(50万円)で割ればユニットエコノミクスは「3」となります。つまり「50万円を使って150万円の利益をあげた」わけですから「3倍の収益を生み出している」ことになります。

一般的にSaaSなどのサブスクリプションモデルで健全なユニットエコノミクスは「3以上」が目安と言われています。

もしこの数値が1を下回れば、かけた顧客獲得コストよりも収益が下回るので赤字になります。したがって、LTVまたはCACの改善が必要です。

逆にユニットエコノミクスが「10」や「20」なら完全に黒字ですし、費用対効果としては非常に高いので一見良さそうに思えます。しかし別の視点として、サブスクリプションモデルが成長するためには利用者を増やしていく必要があります。もっと顧客獲得コストをかけていれば、現在よりも多くの顧客を獲得し、結果的に高い売り上げをあげていたかもしれません。つまり高すぎるユニットエコノミクスは、営業やマーケティングにかけるコストの最適化がされておらず「機会損失している」とも捉えられるのです。

ユニットエコノミクスだけでなく、CAC回収期間にも注意しよう

投資したCACをどれくらいで回収できるのかは、商品やサービスにより異なります。しかし回収するのにあまりに長い年月がかかると、次の投資を行えずキャッシュフローに影響が出ないとも限りません。ですから、1人の顧客獲得あたりの費用を回収する期間(CAC回収期間)をどれくらいと見込むのかを考える必要があります。

一般的には、SaaSでは12か月以内にCACを回収するのが望ましいとされています。変化の激しい業界で何年、何十年も同じサービスを使い続けてくれるとは限りませんし、翌年の計画も立てづらくなるからです。

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LTVを計算する際の注意点

LTVを計算する際には、いくつか注意すべき点があります。それは各値について誤った認識や、イレギュラーな数値を使うことで間違った結果を得てしまう可能性があるからです。LTVを計算する際の注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。

LTVは粗利で計算する

LTVの計算には、必ず「粗利」を使いましょう。粗利とは利益そのものを指しており、売り上げとは別の数値です。売り上げには、利益だけでなく経費も含まれていますから、実際の利益額ではありません。例えば、月額2,000円のサービスでも、その顧客を維持するために1,000円のコストがかかっているならば、利益は1,000円です。ユニットエコノミクスの計算にLTVを利用する場合は粗利を使って計算しないと、正しく判断できません。

LTVは中央値で計算する

一部の顧客の購買額がほかの顧客と比べて飛び抜けて高い場合、その数値を入れて計算すると、指標として役立たなくなってしまうケースもあります。例えば、個人が1年に2回ほど購入する商品で、ある時期に企業から大量購入があったような場合です。1人の顧客のLTVを考える場合、こうした特例は計算から除外したほうがLTVの指標として正しく、使えるデータになります。

LTVを上げる方法

ユニットエコノミクスの数値が悪い場合は、分子であるLTVを改善する必要があります。もちろん、分母である顧客獲得コストであるCACを下げる方法もありますが、CACを削減して獲得する顧客数が減ってしまっては意味がありません。ここでは、LTVを改善する考え方をご紹介します。

顧客の利用単価を上げる

LTVを上げる方法のひとつは、アップセルやクロスセルで単価を上げることです。単価の上げ方としては、シンプルに商品やサービスの利用料金を値上するアップセルがあります。一方で、別の商品との組み合わせを提案することで、顧客の単価を上げるのがクロスセルです。

例えば、あるサービスの上位プランを用意してベーシックプランからの乗り換えを図ったり、別のサービスとの併用をすすめてLTVを上げるといった方法が考えられます。

顧客の利用期間を延ばす

サービスの利用単価を上げると当然解約につながるリスクが上がりますし、クロスセルは顧客が納得して選択してくれなければ結果を出せません。そこで、顧客の利用期間を延ばすことで、LTVを上げるのも有効なアプローチです。

もちろん利用期間を延ばすためには、そのための施策が必要です。「なぜ解約するのか」をユーザーから聞き取り改善するのはもちろん、競合サービスと比較して魅力的な状態を維持しなければなりません。

チャーンレート(解約率)については、別の記事で詳しく解説しています。

顧客ロイヤルティを高める

LTVを上げるには、顧客ロイヤルティを高める方法もあります。顧客ロイヤルティとは、商品やサービスに対する顧客の「愛着」や「信頼」を表します。顧客が商品に対して信頼や愛着があれば、長期利用やリピート購入を期待できます。

顧客ロイヤルティを向上させるにはさまざまな方法が考えられます。利用頻度や利用金額に応じて会員ランクが上がったり、優遇を受けられるような施策も効果的です。また、CX(顧客体験)を良質なものにすることも重要です。

特にインターネットで契約の解除を行えるサブスクリプションサービスでは、他社のサービスに乗り換えるのも簡単です。顧客の視点で自社のサービスがどう捉えられているかを常に意識して、わからない部分は聞き取り調査やアンケートも活用してCXの改善に努めましょう。

LTV向上にはWeb接客も有効

LTVの向上を図るなら、Webサイトでユーザーに声かけや案内を行うWeb接客も有効です。

損保ジャパン株式会社様が運営する「SOMPO Park」では、SprocketのWeb接客を利用することでユーザーのログイン継続率を高め、日常的な接点を増やすことでファン化を目指す施策を行っています。

上記は、入会してから1週間すると再訪率が減少する傾向があるという課題に対して、毎日簡単なクイズに答えるとスタンプをもらえるという接客シナリオの事例です。

損保ジャパン株式会社様の事例について、詳しくは以下のページでご紹介しています。

SaaSのビジネス戦略は指標の確認が大切

SaaSのビジネス戦略では、LTVやCACといった指標を正しく認識し、定期的にユニットエコノミクスを計算して確認する必要があります。特にサブスクリプションモデルでは目に見える在庫などの要素が少ないため、意識して計測しないと健全な経営ができているかが見えづらいケースもあります。

LTVを上げるための方法にはさまざまなものがありますが、Web接客を利用した顧客とのコミュニケーションは有効な一手です。LTVの向上とユニットエコノミクスの健全化を図りたい場合は、Sprocketにご相談ください。

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