チャーンレート(解約率)とは? 概要と計算方法、レートの目安や改善方法を解説

Sprocket編集部

チャーンレート

チャーンレート(解約率)は、SaaSやサブスクリプションサービスにおいて重視される指標です。この記事では、チャーンレートの概要と計算方法を解説します。あわせて、チャーンレートの目安と3つの改善方法も見ていきましょう。

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チャーンレート(解約率)とは?

チャーンレート(Churn Rate)とは「解約率」を指し、顧客が取引や契約等を解約する割合を示すものです。例えば習い事やスポーツジムといった月額制サービスの「退会」や、サブスクリプションサービスの「解約」などが、一定期間内にどれくらいの割合で発生するかを表します。ほとんどの場合は「有料会員から無料会員への切り替え」も計算に含まれ、「退会率」や「顧客離脱率」と呼ばれることもあります。

多くの月額制のビジネスや、クラウド会計ソフトなどのSaaS(Software as a Service)、サブスクリプションサービスといったビジネスモデルの多くは、有料会員の収益によってサービスを運営しています。そのため、チャーンレートを低く抑えることは収益の安定化やサービス向上のために特に重要視されており、KPIにも使われる指標です。

チャーンレートの測定期間は1週間、1か月、1年など、企業や事業内容によって異なりますが、サブスクリプションモデルのSaaS企業では、1日ごとに測定しているところもあります。

チャーンレート(解約率)が重要視される理由

チャーンレートが重要視される理由は大きく2つあります。1つは、顧客数の減少は収益にも影響が及ぶ点です。定期的な利用料は企業の安定的な収入源となるため、サービス維持や改善のためにも解約率を下げることが重要とされます。

2つ目は、既存顧客の減少によって、事業が衰退してしまう点です。通常、既存顧客を維持するコストよりも、新規顧客を獲得するコストのほうが高くなります。そのため、新規顧客の増加ペースより既存顧客の解約するペースが速ければ、その事業は衰退していくでしょう。

解約率の改善を行い、解約の理由を把握することは、事業の成長や安定のために不可欠といえます。解約率を改善して売上を安定させ、そこに新規顧客の売上を追加していくことが理想的といえるでしょう。

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2種類のチャーンレートの違いと計算方法

チャーンレートの計測には2種類の基準があり「カスタマーチャーンレート」と「レベニューチャーンレート」と呼ばれます。それぞれ紹介します。

カスタマーチャーンレート

カスタマーチャーンレートとは、ユーザー数を基準にして算出する数値です。一定期間にどれだけの「解約したユーザー」または「有料会員から無料会員になったユーザー」がいるかを表します。「チャーンレート」と呼ぶ際は、この「カスタマーチャーンレート」を指すことが多いです。一律料金のビジネスモデルの場合は、有料会員数が収益に比例するため、カスタマーチャーンレートが重要視されます。

カスタマーチャーンレートの計算方法

カスタマーチャーンレートの計算式は、下記の通りです。

カスタマーチャーンレート = 解約したユーザー数 ÷ 解約前のユーザー数 × 100

例えば、1か月間の解約率を算出するために必要な数値は「今月解約したユーザー数」と「前月のユーザー数」です。解約ユーザー数が10名、前月の会員数が100名の場合、月次のカスタマーチャーンレートは「10%」となります。

レベニューチャーンレート

レベニューチャーンレートは、期間内の収益を基準に算出します。一定期間の解約が、収益に対してどれほどの影響を与えるかがわかる指標です。レベニューチャーンレートには、ダウングレードを含めた損失額から解約率を算出する「グロスレベニューチャーンレート」と、損失額だけでなくアップセル・クロスセルによる増収額を加味して計算する「ネットレベニューチャーンレート」という計算方法もあります。

例えば、ユーザーが解約せず、より低価格の契約へダウングレードしている場合、単純にユーザー数を計算するカスタマーチャーンレートではダウングレード分を把握できません。そのため、収益を基準に算出するレベニューチャーンレートや、より詳細に把握できるグロスレベニューチャーンレートを分析に用いるとよいでしょう。

基本的なレベニューチャーンレートの計算方法

ダウングレードを考慮しない、基本的なレベニューチャーンレートの計算式は、下記の通りです。

レベニューチャーンレート = サービスの単価 × 期間中に解約した会員数 ÷ 期間中の総収益 × 100

1か月間の解約率を算出するために必要な数値は「サービスの単価」「今月解約したユーザー数」「今月の総収益」です。サービス単価が1,000円、解約ユーザー数が10名、総収益が10万円の場合、月次のレベニューチャーンレートは「10%」となります。

グロスレベニューチャーンレートの計算方法

ダウングレードを含めて計算できる、グロスレベニューチャーンレートの計算式は、下記の通りです。

グロスレベニューチャーンレート = 期間内の損失額 ÷ 期首の定期収益額 × 100

1か月間に、サービス単価1,000円の契約解除が5件、サービス単価1,000円から500円へのダウングレードが2件起きた場合「期間内の損失額」は6,000円で計算します。したがって、期間内の損失額6,000円、期首の定期収益額が10万円の場合、月次のグロスレベニューチャーンレートは「6%」となります。

ネットレベニューチャーンレートの計算方法

アップセル・クロスセルを含めて計算できる、ネットレベニューチャーンレートの計算式は、下記の通りです。

ネットレベニューチャーンレート =(期間内の損失額 - 期間内の増収額)÷ 期首の定期収益額 × 100

1か月間に、サービス単価1,000円の契約解除が5件あり、サービス単価500円から1,000円へのアップグレードが2件起きた場合、損益通算額となる「期間内の損失額 - 期間内の増収額」は4,000円で計算します。したがって、期間内の損益通算額4,000円、期首の定期収益額が10万円の場合、月次のグロスレベニューチャーンレートは「4%」となります。

ネガティブチャーンとは

解約やダウングレードによる売上の減少分を、アップセルやクロスセルなどによる売上の増加分が上回っている場合、ネットレベニューチャーンレート上の解約率がマイナスになります。このように収益ベースのチャーンレートがマイナスになる状態を「ネガティブチャーン」と呼びます。

ネガティブという言葉が付きますが、ネガティブチャーンが実現すれば既存顧客の売上によって収益は安定するため、事業にとって良い状態を表します。状態を指す言葉であるため、レート(率)とは呼びません。

チャーンレート(解約率)を改善する3つの方法

Recurly Researchが2018年に行った調査によると、サブスクリプションサービスの月次平均チャーンレートはBtoBで5.0%、BtoCで7.05%程です。これは、ビジネスモデル・業界・企業規模の大きさによっても変化しますが、1つの目安と考えて良いでしょう。続いて、チャーンレートを改善する方法について解説します。

Recurly Researchのチャーンレート調査レポート

1:顧客が解約した原因を探る

チャーンレートの改善、そして顧客満足度の向上のためには、顧客から解約される原因を把握することが大切です。原因を探るには、顧客にインタビューやアンケートを行い、普段の使い方や不満点をヒアリングするといった方法があります。

「機能が多く、値段に見合うほど使いこなせなかった」という不満が多いようであれば、機能を絞った低価格のコースを作り、解約でなくダウングレードによって契約自体を継続するダウンセルプランを作成しましょう。

「サービスが物足りない」「オプションが必要だった」という場合には、機能の追加や、ニーズに応じたカスタマイズ料金を設定するなど、アップセル用のプランを作ることも考えられます。

2:サービスの内容や魅力を伝える

ユーザーは自社の商品・サービス以外にも多様なサービスを利用しているため、企業は短期間で商品・サービスの価値を感じさせる施策が必要となります。

解約するユーザーの中には「サービスを使いこなせなかった」という声があるかもしれません。サービスの価値がうまく伝わらなければ、短期の解約や、無料期間中のキャンセルにつながる可能性もあります。

ヘルプページやデモンストレーションの充実、チャットや電話を使ったリアルタイムでのサポート、オンラインセミナーの開催など、サービスに合わせた多様な施策が考えられます。

3:顧客の満足度を上げる

チャーンレートの改善のためには、顧客満足度を上げることが欠かせません。アプリやシステムの導線設計が悪いのであれば、ユーザーが不満を抱かないよう、使い勝手を意識したUI/UXの改善も考えられます。

もしサービスの使い方が難しいのであれば、サポートコンテンツの拡充が必要となるでしょう。ユーザーが困っている箇所を洗い出し、それに合わせた施策が必要となります。

このように、CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上やカスタマーサクセスに注力することで、顧客満足、ひいては長期的な顧客の維持につながります。

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