CVR(コンバージョン率)とは? 計算式と正しい意味を理解しよう

マーケティングノウハウ

深田 浩嗣

Webマーケティングでは、指標に関する多くの専門用語が登場します。その中でもよく目にする単語に「CVR(コンバージョンレート)」があります。基本中の基本ともいえるCVRの考え方や算出方法、改善のためのポイントを解説します。

CVR(コンバージョン率)の計算方法を知る

CVRとは、Conversion Rate(コンバージョン率)の略です。Webマーケティングの分野では、Webサイトの運営者が目的とするユーザーのアクションを「コンバージョン(CV)」と呼び、Webサイトへの一定期間の訪問数のうちコンバージョンに到達した割合をCVRとして導き出します。このため、日本語では「顧客転換率」と訳されることもあります。

CVRは、一定期間のセッション数をコンバージョン数で割り、100を掛けることで求められます。式で表すと以下のようになり、Webサイトのパフォーマンスを測定する指標として広く用いられています。

CVR = コンバージョン数 ÷ セッション数 × 100

セッション数の定義はアクセス解析ツールによって異なる

Webサイトの訪問数は「ページビュー数(PV)」ではなく「セッション数」で求めるのが一般的です。セッションとは「1回の訪問」を表す指標で、ユーザーが1回の訪問で複数のページを表示しても、セッション数は1となります。

Googleが提供するアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」では、標準で1セッションを30分で測定しています。この場合は30分間ユーザーの操作がないとセッションが切れたと判定され、次の操作は新しいセッションとしてカウントされるわけです。

アクセス解析ツールの設定によってセッションの定義は異なるので、確認しておきましょう。

自社サイトのコンバージョンを正しく定義する

正しくCVRを計算するためには「何をコンバージョンとするのか」を定義する必要があります。コンバージョンの性質は、Webサイトの運営目的によって大きく異なるからです。

「何をコンバージョンとするのか」を明確に定義する

例えば、ECサイトであれば目的は商品の販売なので、商品が購入された回数や注文数がコンバージョンとなります。あるいは、キャンペーンサイトの場合では、会員登録やメルマガ申し込み、資料請求に至った数がコンバージョンとなるでしょう。

このようにWebサイトの運営目的が異なると、同じコンバージョンでも性質が大きく異なったものになります。また、同じ商品でも試供品の申し込み数と定期購入の契約数では、コンバージョン獲得の難易度が異なります。そのため、CVRを測定する際には「何をコンバージョンとするのか」という定義をなるべく初期の段階で明確にしておくことがとても重要です。

「どの期間のコンバージョンを計測するか」を確認する

「訪問から、どの期間内のコンバージョンを計測するか」も場合により異なります。

例えば、Googleアナリティクスでは「1回の訪問内でコンバージョンに至ったか」という視点でCVRを計算します。1回目の訪問では何もせずに離脱して、翌日に再訪してコンバージョンした場合は、「1回目の訪問ではコンバージョンしなかった」と見なすわけです。

図:1回目の訪問 コンバージョン:1 2回目の訪問 コンバージョン:1

そのセッション内でコンバージョンがないと「0」とカウントされる

一方、Googleが提供するリスティング広告である「Google AdWords」では、標準で広告をクリックしてから30日以内のコンバージョンをその広告の成果として計測します。例えば、4月1日に広告をクリックして、4月10日にコンバージョンに至った場合は、4月1日のコンバージョンとしてカウントされます。Webサイトのコンバージョン率と広告のコンバージョン率でしばしば混乱が起きるのは、コンバージョンとして計測する範囲が異なることが原因です。

図:1回目の訪問 広告→セッション 2回目の訪問 セッション→コンバージョン:1

Google AdWordsの場合、標準では広告をクリックしてから30日以内にコンバージョンすると、広告のコンバージョンとして加算される

関係者での認識をそろえておく

このように、CVRは一見簡単そうに見えますが、コンバージョンの定義によって計算結果は大きく変わってきます。Sprocketでは多くの企業のCVR改善に取り組んでいますが、CVRの分子と分母をどのように設定しているかは企業によりまちまちです。同じECサイトの場合でも、CVRの分母がセッション数ではなく、ユニークユーザー数(UU)であったりページビュー数(PV)であったりするケースもありました。

CVRは基本的な指標ですので定義にゆらぎがないと思いがちですが、実際はそうでもありません。「同業種で平均のCVRが知りたい」という声もよく聞きますが、分子と分母の定義により計算結果は大きく変わります。CVRを計測する際には、関係者での認識を正しくそろえておきましょう。

CVRの改善はWebサイトの継続的な成果につながる

Webサイトのコンバージョン数を増やすには、大きく「集客して訪問を増やす」「CVRを改善する」という2つのアプローチがあります。

どちらも一長一短がありますが、瞬間的に集客を増やす方法と異なり、CVRを改善すると継続的に成果を出しやすくなる点がポイントです。

集客して訪問を増やす場合

集客施策に取り組み、訪問を増やせばそれに伴いコンバージョン数も上がることが期待できます。マスメディアや雑誌を利用して発信したり、SEOやWeb広告で集客を増やしたりといった手段です。予算を投下すれば狙ったタイミングで一定の効果を見込めるので、季節性の商品やキャンペーン施策を行っているときに有効です。

ただし広く集客してセッション数を増やすと、一般的にはCVRは低下する傾向があります。これは、集客施策を広げることで、コンバージョンから遠いユーザーもWebサイトに訪れるようになるためです。集客施策をやめると訪問数も元に戻ってしまうため、集客したユーザーをいかにコンバージョンにつなげるかという工夫が必要になります。

CVRを改善する場合

もう1つのアプローチは、セッション数が一定でもCVRを改善してコンバージョン数を増やす方法です。集客施策と異なり狙ったタイミングでの効果は見込めませんが、CVRを改善すればWebサイトの継続的な成果につながります。

CVRを改善する際に考えられるのは「ユーザーの目的に合ったコンテンツを用意する」「迷っている人を適切に案内する」「離脱する原因を減らす」といった方法です。コンバージョンに至らず離脱するユーザーは、何かしらのフリクション(引っかかり)を感じています。それらの離脱理由を1つひとつていねいに解消することで、ユーザーの満足度を上げ、長期的にコンバージョンを底上げすることが可能になります。

「集客して訪問を増やす」「CVRを改善する」はどちらか一方だけではなく、バランス良く取り組むことが理想です。多くの場合は集客施策ばかりに目が行きがちですが、CVRの改善も重要な要素であることを押さえておきましょう。

CVRの変動に一喜一憂せずに外的要因を見極める

実際にCVRを計測して運用すると、外的な要因でアクセス数やCVRが大きく変動することがあります。例えば、ECサイトは通常時とセール時で、季節商品では時期によっても数値が変化します。特に2020年は新型コロナウイルスの影響で既存の年度とは大きく環境が異なっており、前年比の数字があてにならないというケースも少なくないでしょう。

Web担当者はCVRの数値に一喜一憂せず、外的要因の存在を見極めて状況に応じたCVR改善施策を実施していく必要があります。

CVR改善施策を検証するには「A/Bテスト」がおすすめ

時期や年度による不確定要素を取り除くには「A/Bテスト」の実施がおすすめです。A/Bテストとは、一部の条件だけを変えた2つ以上の施策を同じ時期に行い、一定期間計測して成果の差を測る手法です。

前年比が使えない場合でも、CVRの改善要因についての仮説を立てて、2つ以上のパターンを一定期間出し分けて特定のパターンでCVRの向上が見られれば、その仮説が正しかったことを証明できます。仮説を立てるときは、アクセス解析やヒューリスティック分析、ユーザーヒアリングなどによって改善余地がありそうなWebページを見つけて、改善案を考えます。

他社のCVRは気にしすぎない

CVRの目安を調べようとすると、さまざまな数値が見つかるでしょう。しかし、ここまで解説したようにCVRに絶対的な基準はなく、業種や事業規模、あるいは定義の仕方によってCVRの数値は大きく異なります。他社の数字と比べて悩むよりも、自社なりの基準をしっかりと定めて期間ごとの推移を計測し、CVRが低い要因を考えたり、改善するための仮説を立てたりして自社なりの改善サイクルを回していくことが重要です。

CVRの定義を明確にして自社なりの改善サイクルを作ろう

今回はCVRの計算方法や、測定の重要性について解説しました。1つめのポイントはWebサイトの目的によって定義を明確に定めることです。まずは「何をコンバージョンとするのか」「どの期間のコンバージョンを計測するか」の認識を関係者でそろえておきましょう。

2つめのポイントは、自社なりの基準を作ってCVRの改善に取り組むことです。CVRを改善すると、継続的なWebサイトの成果向上を期待できます。そのために、さまざまな分析手法やA/Bテストを使って仮説を立て、CVRの改善サイクルを回していきましょう。CVRの改善については、別の記事で詳しく解説する予定です。

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