Webサイトの「導線」と「動線」の違いは?導線設計と動線分析の効果とポイントを解説

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Sprocket編集部

Webサイトの「導線」と「動線」の違いは?導線設計と動線分析の効果とポイントを解説

Webサイトの「導線」と「動線」は、よく似た意味で間違いやすい言葉です。この記事では「導線」と「動線」の違い、導線設計と動線分析の効果とポイント、ユーザー導線を改善して購入完了率を改善させた実例を解説します。

「導線」と「動線」の違いとは

「導線」と「動線」は似ているようで違う意味の言葉です。もともと導線は「電流用の金属線」、動線は「人や物が移動する経路」を意味しますが、Web業界では本来の意味とは異なる使い方をするので覚えておきましょう。

まず「導線」は「事前にWebサイト運営者側が設計する誘導ルート」を意味します。Webサイトに訪問するユーザーが、目的とするゴールにたどり着くまでの道筋です。対して「動線」は、ユーザーが実際に移動したルートのことを指します。動線を調べることでユーザー心理や行動を分析でき、Webサイトの改善点が明らかになります。このように「導線」と「動線」は似たような場面で使われるため、それぞれの意味をしっかり理解しておきましょう。

導線設計の効果とポイント

企業のWebサイトにおいて、リード獲得や購入申し込みなどの成果を出すためには、ユーザーが求めている情報に素早くたどり着けるかが重要になります。そこで取り組みたいのが、ユーザーにどのような行動をしてもらうかという導線設計です。導線設計における効果と設計のポイントを解説します。

ポイント1:ペルソナ設計とカスタマージャーニー

導線は、ユーザーがWebサイト上でどのような行動を取るか、またはどのような行動を取って欲しいかを想定して作る必要があります。導線の設計は、Webサイト制作者側ではなくユーザー視点で考えなければなりません。ユーザー視点で考えるためには、ペルソナ設計とカスタマージャーニーマップを活用するのがおすすめです。

ペルソナは、架空のユーザー像を意味します。ペルソナ設計では、Webサイトに訪れて欲しいユーザーを定義し、ユーザーの年齢や性別、職業や役職、ライフスタイルなどからペルソナを設計します。ペルソナは1つだけでなく、複数設定しても構いません。

ペルソナ設計をすることで、ユーザーがどのような情報を求めているか、Webサイトをどのように回遊するのかが想定できます。そこから導線をどのように設計すべきか考えられるでしょう。

例えば、40代〜50代の女性をターゲットにした化粧品が商品の場合、ペルソナは「45歳女性、会社員、年収800万円、夫と娘の3人家族、ほうれい線とシミが悩み」といった設計が考えられます。これにより、ほうれい線とシミの悩みにフォーカスしたコンテンツを回遊させ、化粧品購入ページへ遷移する導線を設計することが可能です。

カスタマージャーニーマップは、ユーザーが商品やサービスを認知してから購入(ゴール)に至るまでの行動や思考、感情を時系列で可視化したものです。「商品やサービスの認知」「Webサイトへ訪問」「情報の獲得」「商品やサービスの購入」など、ユーザーの行動を可視化することにより、Webサイト内の導線を改善します。

例えば、ユーザーがWebサイトを閲覧する際の行動心理や、ユーザーがコンバージョンに至るまでに閲覧した箇所を時系列で可視化することで、ユーザー視点でコンバージョンまでのプロセスを確認することが可能です。サイト導線とユーザーの思考や感情を整理することで、Webサイトの課題が見えやすくなるため、優先順位をつけ改善に取り組める点もメリットです。

ポイント2:ランディングページの最適化(LPO)

ランディングページの最適化(LPO)は、ランディングページのコンバージョン率(CVR)を高めるためのマーケティング手法です。Webサイトの目的が「問い合わせ」や「商品購入」であれば、ランディングページのコンバージョン率も重要です。

ユーザーが検索流入や広告からランディングページを訪れた際、ページの中でコンバージョンに至るまでの導線を設計しておくことで、結果的にWebサイトのコンバージョン率を高めることにつながります。

ランディングページの最適化では、ユーザーがランディングページをストレスなく読み進め、CTAボタンをクリックさせるための施策を実施・検証します。キャッチコピーや画像素材を変えたり、入力フォームの設問や選択肢、CTAボタンの色を変えたりするほか、コンテンツページからランディングページへの導線を変更することもあります。

導線設計では、Webサイトからランディングページへ、ランディングページからコンバージョンまでと、ユーザーがどのように行動するのかを考えることも重要です。

ポイント3:ナビゲーション、Web接客

導線設計では、ナビゲーションを効果的に使うことも重要です。ナビゲーションはWebサイトの各ページへ遷移するためのリンクです。

例えば、会社概要やアクセス、商品一覧、問い合わせなどをナビゲーションに表示させることで、ユーザーが知りたい情報へ辿りつきやすくします。ナビゲーションは、Webサイトのサイドバー(左右に配置されるメニュー)やグローバルナビゲーション(Webサイト上部に配置されるメニュー)、フッター(Webサイトの下部に配置されるメニュー)などに設定できます。

ユーザーにとってナビゲーションは当たり前の要素となっているため、ナビゲーションが見つけやすい場所にあることも1つのポイントです。ユーザーがWebサイトを訪問した際に、ナビゲーションから各ページに移動しやすい導線を考えましょう。

また、オンライン上で接客を行うWeb接客を取り入れることでも、ユーザーの導線を作れます。ユーザーが質問した内容に対して解決できそうなWebページのリンクを案内したり、ユーザーの属性に合わせたランディングページへのリンクを表示したりといった導線設計が可能になります。効果的な導線設計のために、ナビゲーションの位置やWeb接客も検討しましょう。

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ポイント4:効果の検証

導線は設計したら終わりではなく、当初の想定と実際のユーザーの行動を検証することも重要です。ユーザーが想定通りの行動をしていれば、導線設計が正しかったことになります。しかし、ユーザーが想定とは異なる行動をしていれば、実際のユーザーの行動を踏まえ、再度導線の設計と検証を行いましょう。より効果的なWebサイトを作るためには、検証と改善を繰り返すことが大事です。

動線分析の効果とポイント

事前の導線設計に続いて、実際にユーザーがどのような行動をしたかという動線も丁寧に分析することで、より効果的なWebサイトを目指せます。動線分析の効果とポイントを見ていきましょう。

「導線」と「動線」の違いとは

ポイント1:ユーザー流入ページの確認

動線の分析では、ユーザーがどのWebページから流入しているのかを確認しましょう。例えば、特定のWebページからの流入が多ければ、よりアクセスしやすいようにそのWebページの導線を改善するのも手です。Webサイトの目的がコンバージョンを獲得することであれば、コンバージョンにつながる確率が高い流入経路を設計すべきです。

ユーザーの流入ページを確認する際は、Webページごとにコンバージョン率の高さも合わせて確認しましょう。流入数が多くてもコンバージョン率が低い場合は、流入経路を増やすより、コンテンツの改善や別ルートの導線設計を考えた方がいいケースもあります。

動線分析では、ユーザーの流入ページを確認することで、導線設計が上手くいっているかや課題などが見えてきます。

ポイント2:離脱率が高いページの確認

ユーザーの動線分析では、離脱率の高いページも確認しましょう。離脱率が高いページを把握することで、Webサイトのコンバージョン率を上げるために何を改善すべきかが見えてきます。

例えば、離脱率の高いページにランディングページの導線が設計されていれば、コンバージョン数も多くは獲得できないはずです。離脱率が高い理由を洗い出しWebページのコンテンツを改善したり、コンバージョンを獲得するランディングページを離脱率の低いWebページから遷移させるような導線に変えたりと、改善のための施策を考え実行しましょう。

ポイント3:PVが多いページの確認

PV数(ページビュー数)が多いWebページを確認しましょう。導線設計では、Webサイト内はコンバージョンにつながるWebページへユーザーを誘導するように設計しているはずなので、誘導用のWebページのPV数も確認しましょう。

導線設計で想定していたPV数より少なかったり、想定外のWebページのPV数が多かったりと、実際のユーザーの動きを見なければ掴めないデータは多いのです。

導線設計が上手くいっていれば、意図したWebページが多く閲覧されコンバージョンにもいい影響が見られるはずです。想定外のWebページが多く見られている場合、最初の導線設計が上手くいっていないことになります。対応策としては、想定外のWebページの内容を強化したり、導線の設計を改めてみたりという施策が考えられます。

ポイント4:サイト内遷移の確認

ユーザーがWebサイト内をどのように移動したかも確認しましょう。例えば、導線設計の想定通りにユーザーが遷移しているのに、肝心のコンバージョン率が悪い場合もあります。ユーザー遷移が想定通りなのであれば、導線設計ではなく他に問題があると考えられます。コンテンツの内容がユーザーニーズと合致していなかったり、商品・サービスのアプローチがズレていたりするかもしれません。

ユーザーのサイト内遷移を確認することで、導線を改善すべきか、コンテンツを改善すべきかも見えてきます。Webサイト内の動線を見て、ユーザーがなぜこのような行動をしたかを考え、課題を見つけ改善していきましょう。

ユーザー導線を改善し、購入完了率が最大166%アップした実例

Webサイトのユーザー導線をWeb接客で改善し、購入完了率が最大166%アップした株式会社ワコールの事例をご紹介します。

ワコールのWebサイトの課題は、常時5,000点以上の商品があるため、ユーザーが欲しい商品を探しにくい点でした。この課題を詳しく分析すると、ユーザは必ずしもWebサイトのトップページを訪れるわけではないため、想定した導線を辿れず商品を見つけにくくなっていたことがわかりました。

Webサイトに訪れるユーザーには、必ずしも欲しい商品が決まっているわけではないケースも想定できたため「自分の好きなものを気づかせ、該当する商品に導く」Web接客シナリオを導入。ユーザーがカテゴリから欲しいものを見つけられるよう、導線を変更しました。

この施策によって購入完了は125%に改善。このほかにもカート離脱対策のシナリオや、セール時期のガイドナビ導入などにより、購入完了率が最大166%アップしたのです。

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