デプスインタビューとは?深層心理を引き出すための質問設計と注意点を解説

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Sprocket編集部 (監修 足立 淳

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デプスインタビューは、消費者の深層心理にアプローチするインタビュー手法です。ここでは、デプスインタビューの目的や設計、メリットとデメリット、当日の流れや注意点を解説します。

デプスインタビューとは?

デプスインタビュー(Depth Interview)とは、マーケティングやデザインにおける定性的な調査手法のひとつで、消費者の深層心理にアプローチするインタビュー手法のことを指します。グループインタビューと比べて、背景や思考などの心理を深く掘り下げるのに役立ちます。

デプスインタビューの目的

デプスインタビューを実施する目的は、商品・サービスの選択理由や購入理由などを聞き取ることです。単純な一問一答ではなく、そのときにどのようなことを考えたのか、どういう背景から選択に臨んだのかといった、アンケートではわからない深い話を知ることができます。

デプスインタビューに必要な時間・対象者の人数

一般的に、デプスインタビューはインタビュアーと対象者の1対1で、1時間以上の時間をかけて行います。メインとなるインタビュアーは1人ですが、サポート役として書記が1人同席することもあります。

デプスインタビューを何人に行うべきかはケースによるため明確な決まりはありませんが、1人だけではその方のバイアスが強くなるので、必ず複数人に対して行います。

デプスインタビューは時間がかかり、あまり人数が多いときりがありません。対象者は何人くらいにするか、あらかじめ決めておいたほうがいいでしょう。リソースとの兼ね合いもありますが、対象者が少ないと精度が落ちるということは念頭に置いておいてください。

デプスインタビューのメリット

デプスインタビューにはどのようなメリットがあるのでしょうか。いくつかご紹介します。

ユーザーの深層心理がわかる

SNSなどでもユーザーの声を調べることはできますが、短い文章だけでは実際にどのように考えているかまでわかりません。本人が自覚していることだけでなく、潜在的だったり、無意識に隠れていたりする意識まで聞けるのがデプスインタビューのメリットです。

本音に近い話が聞ける

グループインタビューなどほかの調査手法を比較して、デプスインタビューでは本音に近い話を聞けるのもメリットです。人は意識せずとも、普段は見栄をはったり、他社の意見に同調したりしてしまうものです。自分以外に対象者がおらず、熟達したインタビュアーが聞くことで、本音に近い話を聞くことができます。

商品やサービスによっては、プライベートな話にかかわることもあるでしょう。人前で言いづらい話を聞くときにも、デプスインタビューは向いているといえます。

デプスインタビューのデメリット

デプスインタビューはメリットばかりではありません。デプスインタビューのデメリットや注意点をご紹介します。

時間とコストがかかる

デプスインタビューは、一度に1人の対象者にインタビューを行います。従って、5人の対象者に調査を行う場合、5回のインタビューを準備して実施する必要があります。広く回答を集めるアンケートや複数人を一度に聞き取るグループインタビューと比べると時間とコストがより多くかかります。

インタビュアーの技量が必要

デプスインタビューでは、対象者の潜在的な声をうまく引き出す必要があります。そのためアンケートのように事前に定型の質問を用意して読み上げるだけでは不十分で、相手の話に合わせてより深い話を引き出す技量や、適切に質問を設計する知見が必要です。社内で適任者がいない場合は、インタビュアーを外注する方法もあります。

考え方が偏る可能性がある

デプスインタビューは対象者が1人のインタビューですので、あくまでその人の考えでしかありません。「1人の意見がこうだったから」と、すぐに新しい仮説や施策に用いることはできません。ですので必ず複数人に聞くようにし、リスクを薄めましょう。

必ずしも新しいことが聞けるとは限らない

デプスインタビューは「深い話が聞ける」と書きました。このことから「きっと、ものすごいことが聞けるに違いない」と期待しがちですが、「あたりまえのことがわかっただけ」ということも十分ありえます。デメリットではありませんが、過剰な期待は持たないようにしましょう。

デプスインタビューの流れ・進め方

インタビューを実施する前に、いくつかの準備が必要です。デプスインタビューを進める一般的な流れをご紹介します。

1:目的の明確化

意外と見落としがちなのが、「そもそも何のためにデプスインタビューを実施するのか」という目的の明確化です。

例えば家電メーカーのマーケティング担当者が「家電購入の際の比較検討候補に入りたい」という目的で、デプスインタビューを行う場合は、「ユーザーがどういう情報を集めて比較検討するのか」という考え方や思考の流れを知ることが目的になります。「どこで商品情報を調べるのか」といった個別の質問に気が取られがちですが、それよりも上位にある「そもそもの目的」を最初に明確にしておきましょう。

2:調査対象者の選定

目的が定まったら、調査対象者を選定します。一般的には、ユーザーアンケートに回答してもらった中からスクリーニングしてインタビューを打診する方法や、調査会社に依頼して対象者を抽出してもらう方法などがあります。

また、同僚などにお願いしてターゲットに近い知り合いを紹介してもらう機縁法という方法もあります。比較的簡単な調査であれば、家族や友人など身近なところから協力者を募るのもひとつの方法です。

3:質問内容の設計

インタビューで質問する大まかな項目を作成して、質問の順番や時間配分を設計します。デプスインタビューのポイントは、質問を細かく作りすぎないことです。質問のコツについて詳しくは後述します。

4:インタビューの実施

目的、対象者、質問内容が決まったら、対象者に連絡を取り、日程を決めてインタビューを実施します。複数人にインタビューを行う場合は、できるだけ実施日を集中させたほうが効率が良いでしょう。

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デプスインタビュー実施時のコツ・注意点

デプスインタビューを実施する際は、いくつか注意点があります。例えば、インタビュアーがしゃべりすぎたり、話を誘導したりするのは厳禁です。インタビュー実施中の注意点をご紹介します。

聞き役に徹する

インタビュアーの大切な心得は「聞き役に徹する」ことです。共感や適度なあいづちは、心理的な障壁を下げて相手の信頼を得る意味で重要ですが、あまり長く時間を取らないようにしましょう。インタビューに慣れていないと、無言の時間がこわくて、ついしゃべりすぎてしまうことがあるので注意が必要です。

質問を細かく作りすぎない

インタビューの質問項目には「構造化」や「半構造化」という考え方があり、事前にどれくらいの粒度で質問項目を用意しておくのかを決めておきます。おすすめなのは半構造化で、目的に合わせてこちらから聞きたいことは決めておき、その場のアドリブも重視する方法です。その場合は、事前に質問を細かく作りすぎてしまうとアドリブの幅がなくなってしまうので、大まかな質問だけにとどめておきましょう。

「はい」や「いいえ」で答えられるような質問ではなく、「どのように感じましたか?」「どのような背景があったのですか?」など、対象者が考えて自由に回答する余地のある質問を用意しましょう。

相手の発言を深掘りする

相手が話してくれたことに対して「それはなぜですか?」「それってどういうことですか?」と質問をくり返すことで話を深めていくのもポイントです。トヨタ生産方式に「なぜ」を5回くり返す「なぜなぜ分析」という手法がありますが、「それはなぜか」と質問をくり返すことで、本人の思い込みや勘違いが正され、より本質的な原因に迫ることができます。

逆に、具体的な質問は誘導につながるのでNGです。例えば「家電は比較サイトを見て選ぶ」という話に対して「それはAmazonや価格.comですか?」のような質問は誘導にあたります。対象者自身の考えや言葉を引き出すためには、具体的な質問を避けましょう。

インタビュアーの属性も注意する

デプスインタビューで重要なのは対象者と信頼関係を築くことで、これを「ラポールの形成」と呼びます。

インタビュアーがどのような人かという属性によって、回答や態度が変容してしまうことがあります。例えばメーカーの人に向かって悪口は言いづらいものですし、そのサービスの代表取締役が相手の場合は、率直な意見が言いづらくなってしまいます。

回答に著しく影響を与えそうな要素は排除するべきです。どうしても社内で実施するのが難しい場合は、第三者にインタビューを依頼する方法が有効です。また、インタビュアーの素性や担当範囲をはっきりと伝えない方法もあります。「不満点を知りたいので、悪いことも気にせずに言ってください」と最初に伝えておくのもひとつの方法です。

相手に不要なプレッシャーを与えないよう、アイスブレイクも重要です。実際に対面して話を聞く場合は、お菓子や飲み物などを用意して、歓迎していることが伝わるような、安心できる環境を準備するのもテクニックのひとつです。

デプスインタビューと関連する要素

目的や対象者によってインタビューの最適な形は変わってきます。インタビューと組み合わせると有効な手法をいくつかご紹介します。

デイインザライフ

「あなたは1日の中でどういう行動をしていますか?」と質問する手法です。1日の行動を聞くことで、その商品やサービスが生活にどのように溶け込んでいるのかを知ることができます。細かい話に入っていく前の、最初の質問としても有効です。

思考発話法

実際の製品を手にとってもらい、考えていることや感じたことをそのまま口に出してもらう手法です。使い勝手やデザインを調査するときに有効で、ユーザーの心の中の声を言語化できます。

似たものに「観察法」という手法もあります。これはインタビューの様子を第三者が別室やカメラで観察する手法で、目線の動きや考え込んだ「間」、行動などを記録し、言葉に出した内容以外の反応も記録して分析に活用します。

KJ法

インタビューの回答は、文字起こしをしてレポートにまとめます。その中から重要と思われる情報をピックアップしてKJ法で整理するのもよく行われる手法です。マーケティング領域では、ユーザーインタビューをKJ法でまとめた情報をもとに、ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成することもあります。

デプスインタビューにかかる費用

デプスインタビューの費用は、大きく「インタビューを外注するのか」「リクルーティングを外注するのか」で変わってきます。また、レポーティングの精度、対象者のリクルーティングの難度なども費用にかかわってくる要素です。例えばターゲットが特殊すぎてリクルーティングの難度が高い場合は、デプスインタビュー以外の調査手法が向いている可能性もあります。

インタビューの対象者にも、数千円から1万円程度の謝礼を支払うのが一般的です。オンラインで行う場合は、Amazonギフト券などを謝礼として送る場合もあります。

ご紹介したとおり、デプスインタビューはインタビュアーの技量も重要な要素です。まずは何を社内で行って、何を外注するのかを判断してから費用を検討しましょう。

デプスインタビューで定性的な視点を取り入れよう

マーケターなら、Google アナリティクスのようなアクセス解析による定量的なデータを普段から見ていることでしょう。しかしユーザーの心理や背景など、定量的なデータだけでは見えてこないこともあります。ペルソナやカスタマージャーニーマップなどを作成する際にも、実際のユーザーの声から始めることが大切です。

デプスインタビューやグループインタビューなどの手法を使い分けて、定量的な視点だけでなく、定性的な視点も取り入れていきましょう。

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