BtoCとは?特徴やBtoBとの違い、マーケティングのポイントを解説

マーケティング

Sprocket編集部

BtoCとは?特徴やBtoBとの違い、マーケティングのポイントを解説

ビジネスモデルのひとつである「BtoC」は、企業と一般消費者との取引を指します。今回はBtoCと他のビジネスモデルを比較するだけでなく、BtoCの特徴について深掘りし、マーケティングのポイントについて説明します。

企業と一般消費者との取引を表すBtoC

BtoCとは「Business to Consumer」の略で、企業と一般消費者との取引を表すビジネスモデルです。

取引の関係性を表すビジネスモデルには、「BtoC」をはじめ「BtoB」「BtoE」「BtoG」「CtoC」「DtoC」「GtoC」などさまざまな形態があります。それぞれの特徴と違いを解説します。

BtoCとは?

BtoCとは「Business to Consumer」の略で、企業が個人の消費者を対象にモノやサービスを提供するビジネスモデルを指します。「B2C」と表記することもあります。

私たちは日常生活において一般的に個人消費者として行動しているため、最も馴染みのあるビジネスモデルといえるでしょう。かつては直接店舗で商品を購入したり、飲食店に足を運んで食事をしたりする形がBtoCの主流でしたが、現在はEC(Electronic commerce=電子商取引、Eコマースともいわれる)市場も拡大していっています。

特に新型コロナウイルスの感染拡大により、いわゆる「巣ごもり消費」が拡大し、スマートフォンやインターネットを通じて商品やサービスを購入する傾向が強まりました。総務省の調査によると、2020年3月以降、ネットショッピングを利用する世帯は急増し、現在は2人以上の世帯の約半数以上が利用しているとのことです。

ネットショッピングを利用する世帯

出典:家計消費状況調査(総務省)から作成

また、BtoCが扱う対象には「モノ」だけでなく、旅行会社や保険会社が提供する「サービス」も含まれます。

BtoBとは?

BtoBとは「Business to Business」の略で、企業が企業を対象にモノやサービスを提供するビジネスモデルのことです。

企業間の取引のため一般消費者には馴染みがないと感じるかもしれませんが、実際個人が購入する製品はBtoBによって取引された部品で構成されています。例えば、私たちがパナソニックからパソコンを購入する取引はBtoCですが、その製品の中にはパナソニックがIntel社から購入したCPUが組み込まれています。この取引はパナソニックとIntelという企業間の取引であり、BtoBです。

この例からもわかるように、BtoBは受注単価が大きく、安定的で継続的な取引であることが特徴です。企業間の製品の輸送を行う貨物輸送業や海運業もBtoBの代表例として挙げられます。

また、BtoCにおいて近年ECが急成長していることについて言及しましたが、BtoBにおいてもEC化率は伸長しています。経済産業省の調査では、2020年における国内BtoBの市場規模は334.9兆円でした。市場規模全体としては2019年比で5.1%減少しましたが、ECの浸透(EC化率)は2019年比で1.8%増の33.5%でした。

国内BtoBの市場規模

出典:電子商取引に関する市場調査(経済産業省)

BtoEとは?

BtoEとは「Business to Employee」の略で、企業が自社の従業員を対象にモノやサービスを提供するビジネスモデルのことです。

従業員は個人消費者にあたりますが、BtoCとどう異なるのでしょうか?この場合、企業は不特定多数の個人ではなく、雇用者としての個人に対して特別な商品やサービスを提供します。例として企業が従業員に提供するオフィスランチや宅配サービス、フィットネス関連のサービスなどがあり、どちらかといえば福利厚生的な位置づけといえるでしょう。

企業側としても健康経営を推進し、従業員のエンゲージメントを高めるためにBtoEに力を入れています。

BtoGとは?

BtoGとは「Business to Government」の略で、企業が行政機関を対象にモノやサービスを提供するビジネスモデルのことです。

行政機関には経済産業省や総務省などの官公庁、また県や市レベルの地方自治体も含まれます。BtoGの特徴は、仕事の受注が原則として「入札」によって決まる点です。また、取引相手が行政機関であるため受注単価が大きいケースが大半で、支払いが滞ることも基本的にはありません。

かつては行政を相手にした入札の多くは土木、建築関係でした。しかし、現在ではどの自治体もインフラ整備より地域住民のさまざまなニーズを満たすサービスや、観光事業活性化のためのソリューションを求めています。

製品を納入する取引だけでなく、「見えない」システムや仕組みを提供することによってそれらを解決するコンサルティングやマーケティングビジネスにも多くの機会が開かれています。

CtoCとは?

CtoCとは「Consumer to Consumer」の略で、個人が個人を対象にモノやサービスを提供するビジネスモデルのことです。

インターネットの普及により、CtoCビジネスの市場規模は急速に拡大しました。メルカリやヤフーオークションといったフリマサイトや、クラウドワークスなどフリーランスの仕事の受・発注を目的としたプラットフォームも含まれるといえます。

DtoCとは?

DtoCとは「Direct to Consumer」の略で、メーカーが直接消費者にモノを提供するビジネスモデルのことです。

BtoCとの大きな違いは、消費者との取引に卸売業者や小売業者、あるいはECサイトの運営会社などが介在せずコストを抑えられる点です。DtoCの市場規模拡大には個人がECサイトを簡単に作成し運営できるようになったことや、SNSなどを通じて柔軟に情報を拡散できるようになった点が挙げられるでしょう。

その結果、リアルな世界では知り得なかった大都市の消費者が、地方の生産者と直接取引できる新しいビジネスモデルも生まれています。

DtoCとは?

出典:令和3年版 情報通信白書|オンライン消費の増加(総務省)

GtoCとは?

GtoCとは「Government to Consumer」の略で、行政機関が個人の消費者を対象にモノやサービスを提供するビジネスモデルのことです。

GtoCが注目されるようになったのは2019年5月に可決された「デジタルファースト法(別名:デジタル手続法)」で、正式名称は「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」(令和1年法律第16号)です。この法律は、行政手続きをオンラインで完結できるようにすることを目指して制定されました。

オンラインで申請できるサービスとしてよく知られているものに「ふるさと納税」や介護や子育てなどの行政手続きがWebで可能になる「マイナポータル」があります。

取引関係のビジネスモデルのまとめ

取引関係を表すビジネスモデルを整理し、表にまとめます。

提供主体対象主なモノやサービス
BtoB 企業 企業 製品の部品、貨物輸送など
BtoC 企業 一般消費者

個人向けの電化製品、保険、旅行など

BtoE 企業 従業員 オフィスランチ、宅配サービスなど
BtoG 企業 行政機関

土木、建築、ソフトウェア、コンサルなど

CtoC 一般消費者 一般消費者 フリマサイトなど
DtoC 生産者 一般消費者 直販のオンラインストアなど
GtoC 行政機関 一般消費者 オンライン申請、行政サービスなど

「顧客を動かす」訴求メッセージ

BtoCの特徴

BtoCを他のビジネスモデルと比較することで、その特徴について説明しました。以下では、BtoCにフォーカスして解説していきます。

購入単価が重要

BtoCでは取引相手が一般消費者であることから、単価の低いモノが好まれる傾向にあります。しかし、企業はコスト削減を進めるばかりで、安売りを続ければよいわけでもありません。その先には「コモディティ化」の落とし穴があります。

「コモディティ化」を定義したのは、ドイツの経済学者・哲学者・革命家で知られるカール・マルクスといわれています。コモディティ化の特徴は、消費者から見るとどれも同質にみえるため、提供する側は競合よりも安い価格を設定しないと選んでもらえなくなり、その結果価格競争が激化してしまうところにあります。

国内市場においても海外の低価格製品の流入や情報の入手が容易になったことが理由で、BtoCにおいてはどの業種においてもコモディティ化に陥る可能性があります。

そうなると、企業側の利益率が低くなったり、他社商品との差別化が難しくなったりするといったデメリットがあります。単に「モノを売る」だけではなく、ブランディングによって付加価値を高め「価値や経験を提供する」方向へシフトしていかなければなりません。

商品やサービスの購入サイクルが速い

BtoCは個人消費者を対象にしていることから、購入側の意思決定がスピーディーです。言い換えると、一部のロングセラー商品を除けば、個人消費者は「熱しやすく冷めやすい」傾向にあるため、BtoC企業としてもスピーディーに新商品、新サービスを投入していく必要があります。

絶えずトレンドに注目しながらも、中長期的に商品開発や企画、広告やマーケティングの戦略を立てなければならないといえるでしょう。

ブランディングが重要

上述したように、企業が提供するサービスや商品のコモディティ化を避けるためには、消費者の企業や商品に対するロイヤリティを高めていかなければなりません。そのためには消費者が自社の商品やサービスを購入、利用することで心地よい体験ができることを味わってもらう仕組みづくりが大切です。

提供するモノやサービスに対するイメージを向上させるブランド戦略が欠かせません。

BtoCマーケティングのポイント

BtoCは一般消費者を対象にしていることから、購入単価を抑えるよう配慮しながらもブランディングによって付加価値を提供することが大切です。ここでは、BtoCマーケティングの具体的なポイントについて見てみましょう。

適切なチャネルでアプローチする

従来、BtoCマーケティングにおいては、テレビCMや新聞広告などのマスメディアを使った不特定多数へのアプローチが試みられてきました。しかし、現在はWebやSNSの活用によって、よりターゲットを絞ったマーケティングが可能になっています。

オンラインでは自己流で施策を打つのではなく、自社のサービスや商品、ターゲットの属性、消費者行動に合わせた適切なチャネルでアプローチすることで効果的なマーケティングが可能です。例えば、10代~20代の若い世代をターゲットにするなら、InstagramやTikTokなど若年層がメインユーザーのSNSを活用できます。

長期的な視野で施策を打つ

企業としてはすぐに結果を出したい一方、BtoCの場合、トレンドばかり追いかけているとユーザーにすぐ飽きられてしまいます。そのため、即効性のあるものに加えて、ロイヤリティを高めるためのブランディングを念頭に置いた長期的施策も必要といえるでしょう。

PDCAをこまめに回す

個人消費者の行動は流行に左右されやすく感情的であるため、それに応じてビジネスシーンも目まぐるしく変化します。顧客の購入に結びつく広告やキャッチコピーなど、スピーディーに仮説を立てながら検証を繰り返していきましょう。

BtoC

BtoCマーケティングの手法

以上のようなマーケティングのポイントを念頭におき、個人消費者にアプローチするための4つの手法について取り上げます。

オウンドメディア

自社が保有するメディアで、コーポレートサイト、ECサイトなどが含まれます。ただしオウンドメディアだけでの集客は難しいため、以下に挙げる手法と組み合わせてオウンドメディアへの流入を狙いましょう。個人消費者のイメージに働きかけるため、ロゴやコーポレートカラーなども意識したいところです。

SNSマーケティング

もはや現代のBtoCには欠かせないマーケティング施策といえるでしょう。売り上げに直結するケースもありますし、見込み客と接触しやすいメディアを使うことで、認知度の拡大を狙っていくこともできます。

Web広告

リスティング広告やバナー広告などを含みます。BtoCの場合、対象が個人であり、その好みやニーズは千差万別です。Web広告の利点は細かなターゲティングが可能なところですが、運用はプロでないと難しい部分もあります。

SEOマーケティング

検索エンジン最適化のことで、特定キーワードで検索した際に上位に表示されるようにする手法を指します。コンテンツにキーワードをたくさんちりばめるのはもはや過去の手法で、現在では良質なコンテンツの提供が欠かせません。

BtoCの特徴をよく理解したマーケティングを

BtoCを他のビジネスモデルと比較して特徴を理解することで、より効果的なマーケティングを展開し、一般消費者の心に訴求できるでしょう。特にオンラインのメディアは個人にアプローチする上で有効ですが、プロの知識やノウハウを借りるのも一つの方法です。

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