BtoBとは?BtoCとの違いやマーケティングのポイントを解説

マーケティング

Sprocket編集部

BtoBとは?BtoCとの違いやマーケティングのポイントを解説

「BtoB」は企業間取引のことを指し、ビジネスシーンでは「BtoC」とセットで語られることが多いキーワードです。今回はBtoCとの比較をはじめ、BtoBの特徴について深掘りしてマーケティングのポイントを説明します。

企業間取引を表すBtoB

BtoBとは「Business to Business」の略で、企業が企業を対象にモノやサービスを提供するビジネスモデルのことです。「B2B」と表記することもあります。

一般的には、製造メーカーに部品を提供する業者や小売店に商品を販売する卸売業、法人向けのシステムを開発・販売するSIer(エスアイヤー)などがBtoB取引を行っています。

この他にも取引関係を表すビジネスモデルには、BtoCやBtoE、BtoGなどさまざまなものが存在します。

BtoBの具体的な商品やサービス

BtoBによってさまざまな商品やサービスが取引されていますが、代表的な例としてサプライチェーン企業が挙げられます。サプライチェーンとは、製品が個人消費者に販売されるまでの一連の流れを指します。

例えば、コンビニエンスストアなどの店頭に並ぶおにぎりについて考えてみましょう。生産者である農家からJAがお米を買い取り、加工事業者がそれを購入し、商品へと加工します。包装された商品は店舗に向けて出荷されますが、そこには配送業者が関わります。このように生産者と個人消費者の間には多くの企業間同士の取引、つまりBtoBが介在していることがわかるでしょう。

BtoBは「モノ」だけに限りません。企業に対してソリューションを提案するコンサルティングファームは目に見えない「サービス」を提供します。

BtoB企業の一例

キーエンス

キーエンスは電子部品業界のリーディングカンパニーとして知られ、利益率や社員年収の高さ、離職率の低さでも注目されている企業です。計測機器や情報機器などの分野で「業界初」を目指し、高い開発力・技術力を誇ります。

BtoBマーケティングにおいても成功しており、2021年6月にトライベック・ブランド戦略研究所が発表した「BtoB企業サイトのビジネス貢献度ランキング」では3位にランキングされました。

サイボウズ

SaaS企業の代表的な企業であるサイボウズは主に中小企業向けに「サイボウズOffice」や業務効率化を目的としたプラットフォーム「Kintone(キントーン)」を提供しています。
国内で70,000社近くの導入実績があり、BtoBビジネスで成功している企業のひとつといってよいでしょう。社員の自立性を大切にした自由な働き方、フレキシブルな人事・雇用形態でも知られています。

オムロン

オムロンは、BtoCにおいては体重計など健康医療機器販売で知られています。BtoB領域では、「FA(ファクトリーオートメーション)」と呼ばれる工場の自動化・最適化を支援するシステム機器の提供で高い評価を受けています。

オムロンの製品の中には、工場で稼働するロボットに欠かせない「サポートモーター」や製品の状態を光によって検出する「光電センサー」などがあります。また、オムロンは「自動改札機」「ATM」「無接点近接スイッチ」などを世界で初めて開発した企業です。企業が現場で直面するさまざまな課題を制御機器で解決することで、高い利益率を維持しています。

「顧客を動かす」訴求メッセージ

BtoCとの違い

BtoBとともに取り上げられることの多いビジネスモデルとして、BtoCが挙げられます。BtoCとは「Business to Consumer」であり、企業が個人消費者に対してサービスや商品を提供するビジネスモデルです。以下、4つの点から比較してみましょう。

商品の違い

先述した具体例からもわかるように、BtoB企業が扱う「モノ」には原材料や素材、部品などがあります。それに対してBtoC企業はそれらを組み合わせたり、加工したりして完成品を提供します。具体的には電化製品、生活用品、衣料品、食品などです。

また、BtoB企業が提供する「サービス」には社内向けのシステムやソフトウェアがありますが、BtoC企業は個人向けのアプリやゲームを開発、販売します。

BtoBの取引は規模が大きく、一旦契約が締結されれば継続的に取引されることが少なくありません。それに対し、BtoCは個人消費者が取引相手のため、取引量は自ずと少なくなります。また、商品価格はBtoBは高額、BtoCは少額であるため、全体として見たときに市場規模にも違いが生まれます。

近年、BtoB、BtoCいずれにおいても「EC(電子取引)」化が加速しています。経済産業省の調査によると、2020年におけるBtoCの市場規模は約19兆円だったのに対し、BtoBは約334兆円と約17倍でした。あくまでもEC市場に限ったものですが、規模の違いはおわかりいただけるでしょう。

意思決定関与者

BtoCにおいては多くの場合、購入主体と意思決定者は一致します。しかし企業の場合、あるサービスや商品に対して関心を持たれ、購入が検討され、最終的に契約締結に至るまで多くの人が関与します。さらに意思決定者と購入者が一致するとは限りません。

具体的な流れとして、最初にメーカーの法人営業担当者が導入検討企業の窓口担当者にアプローチします。担当者は稟議書を作成し、上位者である部長等の管理職に決定を仰ぐことになるでしょう。また、購入する商品や導入するサービスが企業の経営戦略上重要な場合はさらに稟議が回され、経営層が最終決定することになります。

意思決定にかかる時間

上の項で触れたように、BtoBは購入までに複数人が関係することから、必然的に最終的意思決定までの時間は長期に及びます。それに対して、BtoCは通常は購入者が単独で判断するため、意思決定までは短時間です。場合によっては瞬間的に、EC取引であれば「ワンクリック」で意思決定が行われます。

意思決定を左右する要素

BtoBにおいては、購入商品や導入サービスは取引規模が大きく、企業の業績にも影響を及ぼすため慎重に決定する必要があります。決定時に担当者の趣味嗜好が考慮されることはほとんどなく、企業利益に基づき考慮し決定されるため、営業やマーケティングにおいては客観的なデータが重要です。

それに対してBtoCの個人は多くの場合、客観的なデータや情報にのみ基づいて決定するわけではありません。むしろ、イメージや感情に基づいて購入を決めることも多いため、アプローチの手法もBtoBとは自ずから異なるでしょう。

以上の4つのポイントを簡単に表にまとめると、以下のようになります。

BtoBBtoC
商品 原材料、素材、部品、企業向けのシステムなど 加工品、完成製品、個人向けのアプリ、ゲームなど
意思決定関与者 一般消費者 組織の決裁権限者
意思決定にかかる時間 長い 短い
意思決定を左右する主な要素 客観的データ イメージ・感情

BtoBマーケティングのポイント

BtoCと比較することで、BtoBの特徴が明確になりました。以下では、それを踏まえた上でのBtoBマーケティングポイントを挙げてみましょう。

BtoBマーケティング

見込み客について深く理解する

「見込み客」とは、現時点では自社のサービスや製品の購入に至っていないものの、近い将来その可能性がある顧客のことを指します。

見込み客を実際に購入に結びつく優良顧客に「育てる」には、ターゲットを一括りに扱うのではなく、個々のニーズについて深く理解することが大切です。加えて、見込み客の予算や購入タイミングについても熟知し、適切なタイミングでアプローチすることで機会損失を回避できます。

顧客ロイヤリティを高める

ロイヤリティとは、顧客が自社の製品やサービスに対して抱く愛着や信頼です。先述したように、BtoBにおいては通常データに基づく客観的な意思決定がなされるものの、ブランディングを意識することで顧客ロイヤリティを高めることができます。そうすることで、ファーストタッチから最終的な受注までの流れをスピーディーに進められます。

意思決定のキーパーソンを押さえる

BtoBにおいては最終的な意思決定までのプロセスにさまざまな関与者が存在します。意思決定のキーパーソンといっても、最終的な決裁権限をもつ経営層にひたすらアプローチすればよいわけではありません。

2015年にThink with Googleが発表した約3,000社のBtoB購買に関するデータによると、BtoBの情報担当者の46%が35歳以下のデジタルネイティブ世代であり、その割合は現在ではさらに増えている可能性があります。

また同調査によると、64%の企業で役員クラスが最終決定を行っているものの、81%の企業で実務担当者がその決定に実質的影響力を与えていることも明らかになっています。

こうしたデータを踏まえると、デジタルネイティブ世代の情報担当者にいかにアプローチするかが重要であることがわかります。Webマーケティング、若年層の購買意欲を促進するコンテンツなどが不可欠であるといえるでしょう。

適切なタイミングでキーパーソンにアプローチできるよう、情報収集や社内体制を整えておきましょう。

効果測定を実施する

マーケティング全般にいえることですが、何となく実施しても期待した効果は現れません。この点で重要なのは、自社にとって最も重要な指標をKPI(Key Performance Indicator)として設定することです。

一般的に、BtoBにおいては「有効商談数」をKPIとして設定する企業が多いですが、「お問合せ」や「見積もり依頼」「資料ダウンロード」などの「リード数」を選択する企業もあります。いずれにしてもKPIを設定したら、達成するための具体的な施策を実施し、分析、改善を継続するためのPDCAサイクルを効果的に回すようにしましょう。

BtoBマーケティングの具体的手法

BtoBマーケティングのポイントを念頭におき、どのような具体的手法でアプローチすべきでしょうか?

展示会・イベント出展

会場にブースを設置して商品やサービスを紹介し、見込み客を集める手法です。「リアル展示会」は時間や費用面でコストがかかる点、またリード獲得から契約までが長期化する点がデメリットです。そのため、コロナ禍をきっかけとしてオンライン展示会も増えました。

ブースを設ける展示会以外にも、業界関係者の集まるイベントに出展・登壇するといった方法もあります。

ウェビナー(オンラインセミナー)

コロナ禍によって一気に広まったBtoBマーケティングの手法です。リアルタイム配信の場合は、双方向によるコミュニケーションが可能な点がメリットです。また、録画したウェビナーを動画として配信することで、コンテンツマーケティングとして見込み客を醸成することも可能です。

ホワイトペーパー

ターゲット顧客にとって有益な情報をまとめ、リード獲得ツールとして活用する資料のことです。資料のダウンロードには、メールアドレスや所属企業、氏名などの個人情報の入力が求められます。そうすることで、企業は見込み客の情報を得ることができます。

SNSマーケティング

FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを活用し、ターゲットに向けた情報発信を行い、顧客との接点を持つことです。潜在顧客の獲得やブランディング、顧客の育成などの目的で用いられます。

BtoBにおけるSNSマーケティングは、目的を明確にした上で、ブレない情報発信を行っていくことがポイントです。

メールマーケティング

メールマーケティングは依然として有効な施策のひとつです。その理由として、長期化しやすいリードタイムにおいても顧客をフォローしやすく、見込み客・既存客いずれに対しても情報発信するのに使いやすい点が挙げられます。

Web広告

Web広告にはリスティング広告やリターゲティング広告などが含まれます。BtoCに比べると広告対象は企業であるため、アクセス数が少な目で費用がかかるのがデメリットでしょう。そのため、費用に見合った効果を出すためにはプロに運用を任せるのもひとつの方法です。

BtoBの特徴を理解し効果的なマーケティングを

BtoBとBtoCを比較し、その特徴を理解することでより効果的なマーケティングを展開できます。鍵のひとつはいかに有効的なデジタルマーケティングを行うかですが、ノウハウを積み上げている専門家の知識を借りるのもひとつの方法といえるでしょう。

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