マーケティングにも役立つ行動経済学とは?有名な6つの理論を紹介

行動心理

Sprocket編集部

イメージ:マーケティングにも役立つ行動経済学とは?有名な5つの理論を紹介

行動経済学は、マーケティング活動を行う上でのヒントが多く含まれています。ここでは行動経済学の成り立ちとマーケティングとの関連性、有名な6つの理論を紹介します。

行動経済学とは

行動経済学(behavioral economics)とは、経済学と心理学が融合した学問で、人間の「人々が直感や感情によってどのような判断をし、その結果、市場や人々の幸福にどのような影響を及ぼすのか」を研究する学問です。行動経済学は経済学の新しい領域として2002年に心理学者のダニエル・カーネマン、エイモス・トベルスキー、そして経済学者のリチャード・セイラーらによって創設されました。

行動経済学と経済学との違い

従来の経済学では「人は合理的な行動をする」という前提で研究が進められてきました。つまり、人も企業も政府も、最大限の利益を追求するよう合理的に判断し、一度決めたことは実行することを前提としています。

しかし現実の人間は、必ずしも合理的な判断をするとは限りません。人々は「得られる機能は同じだが、何となく高いほうを買った」「貯蓄や投資をしたほうがよいことは理解しているが、実践できない」など、客観的に見ると不合理と思える行動を取ります。行動経済学では、このように「直感や感情によって合理的ではない判断をする」ことを前提にその理由や理論を研究するのです。

従来の経済学が「常に合理的な行動を取るフィクションの人間」であるなら、行動経済学は「感情によって時に不合理な行動を取る現実の人間」を対象にしたものだといえます。

行動経済学は多くの学問の影響を受けている

行動経済学は経済学の新領域であるのと同時に、人間の心理や感情も研究の対象となります。そのため、認知心理学、社会心理学、進化心理学などの心理学分野からも多大な影響を受けています。そのため、さまざまな分野の考え方や理論がかかわってくるのです。

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行動経済学とマーケティングの関係

行動経済学は、マーケティング分野に応用できる学問として注目されています。特にオンラインショップではユーザー層や利用デバイス、利用シーンが年々拡大しており、生活が在宅中心へと変わったことでオンラインの利用率も加速しました。そんな中、ユーザー1人ひとりの心理や状況に合わせてパーソナライズした接客やコミュニケーションが求められており、行動経済学とも無関係ではありません。

ユーザー層とオンラインコミュニケーションの変化については、代表の深田によるMarkeZineの連載で詳しく触れています。

オンラインで各社が横並びの状態になると、商品の優劣だけで他社と差別化をすることは難しくなってきています。また、マーケティング自体も集客チャネルごとのパフォーマンスを最適化するという考え方から、ユーザーを軸とした考え方にシフトしてきています。そのため、ユーザーにファンになってもらい、長期的にLTVを高めていく取り組みが必要です。

その上で「現実の人間がどう感じて、どういう行動を取るのか」を研究する行動経済学はマーケティング領域と親和性が高く、非常に参考になります。

行動経済学の有名な6つの理論

それでは、具体的にどのような理論があるのでしょうか。ここでは、マーケティング施策に活用できる、有名な6つの理論を簡単にご紹介しましょう。

ハロー効果(きっと良い/悪いものだろう)

「ハロー効果」は、英語で「halo effect」と表します。ハローと聞くとあいさつの「Hallo」と間違えそうですが、「halo」は日本語で「後光」や「円光」など、頭の後ろからさす光のことです。ですから、ハロー効果は「目立つ特徴が、印象や評価に影響を与える現象のこと」を指します。

例えば、無名の著者の本でも、受賞歴のある作家が帯文で絶賛していると「この作家はすごいんじゃないか」と感じ、評価が上がって購買意欲が促進されます。また、家電製品で「2022年○○賞受賞!」などの目立つ受賞実績があると「良い製品に違いない」と感じ、選ばれる可能性が高くなるでしょう。

サンクコスト効果(もったいない)

「サンクコスト効果」の英語表記は「sunk cost」で、直訳すると「コスト(費用)をサンク(沈む・失う)」ことから「埋没費用」とも呼ばれます。これは、ユーザーが「かけたコストを無駄にしたくない、もったいない」と思う心理にかかわる理論です。

例えば、あるスマートフォンのゲームアプリで、ユーザーが少額の課金を支払いながら数年間プレイしていたとします。そのゲームアプリがあるタイミングから昔のように楽しめなくなったとしても、「これまでかけてきたお金と時間がもったいない」と感じ、やめずに続けるという選択を取ってしまいます。

同じ効果を表現する言葉として「コンコルドの誤謬」というものもあります。これは開発中の旅客機「コンコルド」が赤字になることがわかっていながら、これまでにかけた開発費を考えると中止できずに、さらなる赤字に追い込まれた事例がもとになっています。

プロスペクト理論(損をしたくない)

「プロスペクト理論(prospect theory)」は「人は損失を回避する傾向があり、状況によってその判断が変わる」という理論のことです。心理学者のダニエル・カーネマンがとエイモス・トベルスキーが提唱しました。

例えば、無条件で100万円もらえるのと、50%の確率で200万円もらえるのでは、期待値としては同じはずです。しかし「もらえない」というリスクを嫌い、前者を選ぶといった心理です。しかし、これまでに200万円の損失が出ている状況で同じ選択をすると、後者を選ぶ人が増えます。これは「参照点依存性」と呼ばれ、状況によって判断が変わることを表しています。

年に数回しか開催されない大規模なセールのときに「何も買わないのは損」「今買わないと損をする」と感じることで買ってしまう、といった現象があります。

アンカリング効果(最初の数字が基準になる)

アンカリング効果(Anchoring Effect)の「Anchoring」は「「船の錨(いかり)を下ろす」「固着する」といった意味の言葉です。アンカリング効果とは「最初に与えた印象的な情報がユーザーの中にとどまり、最終的な意思決定の段階まで影響し続ける」という心理効果を指します。

例えば「通常価格1万円のところ、50%オフ!」というPOPを見て「通常価格1万円」が印象に残ったら、5,000円は「安い」と感じます。逆に、これまで3,000円の競合製品を利用していた前提が最初にあるならば「これまでのものよりも高くてちょっといいもの」と感じることでしょう。

認知的不協和(矛盾を正当化する)

「認知的不協和(cognitive dissonance)」とは、人の考えと行動の矛盾を、別の考え方で正当化してしまう現象を説明した理論で、心理学者のレオン・フェスティンガーが提唱しました。

例えば、ダイエットをしているときに「揚げ物を食べると太る」とわかっていても「食べたいものを我慢すると、ストレスで余計に太る」という考えで正当化する、といった現象が該当します。「ダイエットしたい」と「揚げ物を食べたい」という矛盾した2つの認知を協和している状態にするために、別の考え方が生み出されるわけです。

現在志向バイアス(目先の利益を優先する)

現在志向バイアス(present bias)とは、将来の大きな利益よりも、すぐに手に入る利益を優先させてしまうという心理効果です。

現在志向バイアスの有名な事例に、心理学者のウォルター・ミシェルが行った「マシュマロ実験」があります。子どもたちに1人ずつマシュマロが1個置いてある部屋で待たせて「私が帰ってくるまで15分我慢したら、マシュマロを2個あげる」と告げて部屋を去ります。そして子どもたちを観察したところ、3分の2の子どもが目先の利益を優先して、マシュマロを食べてしまったというものです。

似たような言葉に「現状維持バイアス(status quo bias)」があります。こちらは「現在所有しているメリットを失いたくない」という別の心理効果です。

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行動経済学はユーザー心理を読み解くヒントになる

行動経済学は「各心理を利用して無理に買わせる」というものではありません。あくまでユーザー心理を読み解く際のヒントとして、コミュニケーションや施策を考える際の参考にしましょう。これからのマーケティングの目的は、ユーザーと長期的に良好な関係を築くことです。そのためにも、ユーザーがどのようなことを感じて、どのような行動を取っているかは重要な視点です。

Sprocketは、ユーザーの行動データをリアルタイムに分析して、最適なタイミングを見計らってポップアップによる「声かけ」が可能です。ほかにも、マーケティングに活用できそうな心理学などの効果をご紹介していますので、よろしければこちらもご覧ください。

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