【診断シート付き】コンバージョンアップのためにオンライン顧客体験を改善する方法
ユーザー層の拡大が急速に進んでいる今日、ユーザーの離脱要因となる体験上の様々な障害(=フリクション)を取り除くことが非常に重要になってきています。 本資料は、どのようなECサイトにおける離脱要因・フリクションの具体例があるのか、解決事例をご紹介します。診断シート付きです。
「UXデザイン」は誤解が多い言葉です。製品やWebサイトの見た目や使いやすさは「UXデザイン」ではありません。JIS(日本工業規格)の定義を確認しながら、UXデザインの意味と改善プロセスについて解説します。
UXデザインとは、ひとことで表すのが難しい言葉です。少なくとも、一般的に使われることが多い「ユーザーが使いやすいデザイン」のことではありません。
UXデザインとは何かを知るためには、UXの定義から知る必要があります。
UXとは「ユーザーエクスペリエンス」の略で「製品やサービスの利用を通じて生じるユーザーの知覚や反応」の総称です。UXは国際規格であるISOで明確に定義されており、それを国内で反映した日本工業規格『JIS Z 8521:2020』では以下のように定義されています。
3.2.3 ユーザエクスペリエンス(user experience)
システム,製品又はサービスの利用前,利用中及び利用後に生じるユーザの知覚及び反応。
UXは、製品やサービスに対して1人ひとりの中にある知覚や反応のことで、利用中だけでなく、利用前に想像したり、利用後に思い出したりするすべての体験がUXに含まれます。
よく「このサイトはUXが良い」と言われるのは「UI(ユーザーインターフェース)」の間違いです。UIは製品やサービスとユーザーの接点のことで、リモコンや操作画面のことを指しますので、「このサイトはUIが良い」と表現するのは間違いではありません。
UXについては、別の記事で詳しく解説しています。
UXは「ユーザーの内部に生じる知覚や反応」だと説明しました。それでは、個人の内面で生じる反応を、他人がデザインすることは可能なのでしょうか?
答えはノーです。例えば、スポーツメーカーが新製品を発売したとしましょう。その製品は既存の製品よりもあらゆる面で高性能で、価格も抑えられています。デザインもこだわっており、広告にも人気のあるタレントを起用しました。
しかし、その新製品をユーザーが良いと思うか、興味がないと思うかはユーザーの自由です。こちらから「うちの新製品を良いと思え!」と内面の反応を強制することはできません。こう書くとあたりまえの話ですが、「UXをデザインする」という言い方がいかにズレているかがわかるでしょう。
さらにUXは顧客であるユーザー以外にも、製品を販売・メンテナンスするショップ、その新製品を使ってプレイする様を見る観客などの2次ユーザーや間接ユーザーも「ユーザー」の対象に含まれます。それぞれのユーザーが内面でどう感じるかを他人がデザインすることは不可能です。
『UX原論』(近代科学社)では「UXのためのデザイン(Design for UX)」という表現が正しい、と書かれています。ユーザーの内面であるUXそのものはデザインできませんが、良いUXにつながるように製品やサービスを努力して改善していくことはできます。企業ができることは、システムや製品、サービスを変えていくことしかないのです。
「デザイン」という言葉が、日本語では見た目や意匠の意味で使われることが多いので誤解されがちですが、本来「Design」には「設計」や「計画」という意味が含まれています。
つまり「UXのためのデザイン」とは、いわゆるデザイナーだけの仕事ではなく、マーケティング、営業、開発、カスタマーサクセスなど事業組織全体でサービスの改善に取り組むことを意味しています。
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それでは「UXのためのデザイン」は、具体的にどのように取り組めばいいのでしょうか?
大きくは「サービスデザイン」と「HCD」の2つに分けられます。
サービスデザインは、2020年の経産省の資料では以下のように説明されています。
顧客体験のみならず、顧客体験を継続的に実現するための組織と仕組みをデザインすることで新たな価値を創出するための方法論である
出典:我が国におけるサービスデザインの効果的な導入及び実践の在り方に関する調査研究報告書[概要版]
サービスデザインには、製品やサービスそのものだけではなく、組織的な話やサイロ化(連携が取れず孤立すること)問題なども含まれます。少し乱暴ですが、上流のビジネスレイヤーの話といえるでしょう。
サービスデザインは、UXのように規格化されたものではありません。製品やサービスをどうしていくかという具体的な話は、この後説明する「HCD」の範疇となります。
HCDは、日本語では「人間中心設計」と略されます。HCDの対象は「UIのある製品」で、『JIS Z 8530:2021』では次のように定義されています。
システムの利用に焦点を当て,人間工学(ユーザビリティを含む。)の知識及び技法を適用することによって,インタラクティブシステムをより使いやすくすることを目的とするシステムの設計及び開発へのアプローチ
ここで「UI」という言葉が出てきました。多くの製品やサービスには、UIがあります。UIは、リモコンの操作ボタンのようなわかりやすいものから、飲食店のメニューやパンフレットなどさまざまです。
大目的からたどっていくと、「UX」を向上するために「UXのためのデザイン」が必要で、「UXのためのデザイン」に取り組むために「HCD」という規格があります。そしてHCDにもとづいてユーザビリティを高めるため、UIデザインを高めようという順番となります。冒頭でも触れたように「UXデザイン」と「UIデザイン」を混同していた人は、ここまでの解説で頭の中を少し整理できたのではないでしょうか。
UXのためのデザインを進める際は、HCDのプロセスと手法を使います。HCD-Netでは、HCDのプロセスは次のように紹介されています。
まずはインタビューやフィールド調査などのUXリサーチ手法を用いて、ユーザーが何を要求しているのかを知るところからスタートします。
それを製品やサービスのシステムにどのように取り入れるのか、ユースケース図(UML)やペルソナなどの手法を用いてペーパープロトタイピングを行い、その後製品やサービスを実際に作り込む設計を行います。その際は各種原則やHCDガイドラインに従って行う必要があります。
取り組みの結果、最初に調査したユーザーの要求事項を満たしているかの評価をテストしてチェックします。この際も、ユーザビリティテストやヒューリスティック評価、操作ロギングなど専用の評価手法を用います。
評価した結果、ユーザーの要求を十分に満たせていなければまた最初に戻り改善のプロセスを回します。ポイントとなるのは「ユーザーに聞く」ことからスタートしている点です。なぜならUXはユーザーの中にあるもので、外からは見えないからです。
最後に、UXデザインを学ぶのにおすすめの書籍をご紹介します。HCDのプロセスや評価手法など、より詳しく知りたい方は参照してください。
UXデザインは、よく混同されるUIデザインとはまったくレイヤーが異なるものです。また、ユーザーの内面にあるUXを直接デザインすることはできません。「UXのためのデザイン」に取り組むための方法が「サービスデザイン」と「HCD」です。
「UXとは」というテーマだけではなく、本記事を監修した上野が過去に社内勉強会を行ったときの様子も記事にしています。ご興味があれば、こちらもご覧ください。
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ユーザー層の拡大が急速に進んでいる今日、ユーザーの離脱要因となる体験上の様々な障害(=フリクション)を取り除くことが非常に重要になってきています。 本資料は、どのようなECサイトにおける離脱要因・フリクションの具体例があるのか、解決事例をご紹介します。診断シート付きです。
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