“ユーザー目線”をどう実現する?社内政治に負けないWebサイトの情報設計
Webサイトの構造はユーザー目線で設計することが重要です。しかし、さまざまな要因からユーザー目線を第一に情報設計を行えない場合もあります。そうした際にはどのような情報設計で対応していけばよいのでしょうか。具体的なパターン例とあわせてご紹介していきます。
2022年6月7日、日本ウェブデザイン株式会社の羽山祥樹氏をゲストにお迎えして「ユーザー目線になっていますか?事例から見たWebサイトにおける最適な情報設計」セミナーを開催しました。参加者の皆様からいただいた質問の回答をご紹介します。
Webサイトの情報設計とは「ユーザーの目線でWebサイトの情報を整理すること」です。6月7日のセミナーでは、Webサイトの情報設計についての基本的な考え方や課題、実際のWebサイトやアプリの事例が紹介されました。
その中でも印象的だったのは「情報設計は社内政治で歪む」という話です。ユーザー目線であらゆる人に対して公平に情報を掲載する情報設計の考え方と、「人気商品を大きく出したい」「せっかくお金をかけた施策だから大きく扱いたい」といった企業側の思惑にはギャップがあり、トップページの「陣地取り」のような状態になりがちです。
羽山氏はこうした問題は「必ず起きること」として捉えた上で、うまくその矛盾を解消している事例や考え方を紹介し、ポップアップ型のWeb接客ツールは情報設計が抱える課題を突破するかもしれないと希望を見せました。
当日はさまざまな質問が寄せられました。時間内で回答できなかった質問と、羽山氏の回答をご紹介します。
セミナーで語られた内容は以下の資料にまとめていますので、ご興味があればダウンロードしてご活用ください。
【無料】“ユーザー目線”をどう実現する?社内政治に負けないWebサイトの情報設計
羽山氏:可能であれば、まずはご自身がうまく社内政治をして予算を確保した上で、親身になって伴走してくれるWeb制作会社を探すことをおすすめします。本当にいい会社は「ここからは御社の仕事です」と一線を引かず、社内調整も協力してくれたり、しっかりした情報設計を提案してくれたりします。「チームの一員となって動いてくれるか」がポイントです。
羽山氏:世の中には多様なWebサイトがあるので網羅はできませんが、マネタイズの視点では5つのパターンに分類できます。情報設計のやり方は、そのサイトごとに異なります。
羽山氏:私が携わる案件では、UXリサーチをしっかりしてから要件定義に入ることが多いため、洗い出したユーザーのニーズがそのままWebサイトの階層構造になることが多いです。
羽山氏:企業のプロダクト戦略にもよりますが、企業ブランドとプロダクトブランドを統合したいのか、それぞれを独立させたいのかによって変わります。代表的な方法は次の2つです。
羽山氏:サービスの再訪頻度を計測して判断します。TwitterやLINE、毎日使う社内システムなどユーザーが毎日ログインするサービスは、ユーザーの学習記憶が残っているので、オンボーディングが完了した後はリピーターを重視して設計します。週に1回程度ログインするサービスの場合、ユーザーがごく一部の機能のみ学習記憶が残っていますが、あやふやです。リピーターもビギナーとして扱うほうが望ましいでしょう。月に1回程度ログインするサービスの場合は、ユーザーはサービスの操作をすっかり忘れていると考えて、リピーターもビギナーとして扱ってください。ただし毎回オンボーディングがあると冗長になりますので、ビギナーでも使いやすい画面設計やラベル付けを心がけてください。
羽山氏:BtoBの特徴は「決裁者」が存在していることです。つまり御社のサイトを見ているユーザーは、その後に決裁者を説得しないといけません。サイトでその説得材料を提供できているかがポイントになります。そのためにも、UXリサーチを実施してユーザーがコンバージョンに至るプロセスを明らかにします。ここでの注意点は、UXリサーチの範囲を自社のサイトだけに絞らないことです。購買行動は、ユーザーがあなたのサイトを訪れる前から、パソコンに触る前から始まっています。そのプロセス全体をUXリサーチで明らかにしましょう。
羽山氏:大企業でも中小企業でも、社内政治による情報設計の歪みは必ず起きるものです。ですから歪むことを前提にして「ここなら歪んでも大丈夫」という場所を用意しておくのがポイントです。例えば、メガバンクのトップページにある注意書きエリアのような場所です。本気で歪みを防止したければ、歪みを起こす原因となる人にユーザビリティテストの現場に同席してもらいましょう。ユーザーがプロダクトをまったく使えないところを目の当たりにすると、意識が少しずつ変化していきます。
羽山氏:大手はほぼすべての企業がこの問題を抱えており、各社のトップページを見ると、うまく回避していたり、あるいは失敗していたりします。事例を知りたければ、東証プライム市場に上場している各社のサイトを見て、トップページの面積の奪い合いをどのように収めているかをご覧になってみることをおすすめします。
羽山氏:ポイントは、上司や偉い人たちと対立関係にならないことです。対立関係になると、権力が強い側が「いいからやれ」という指示を出して決着することになりがちです。権力に対立するのではなく、内側に入って自分の意見を通すのがおすすめです。まずはあなた自身が上司や偉い人たちに信頼されるよう、日々振る舞ってください。
羽山氏:私はどちらかというと衝突と失敗を山ほどしてきた人間でして、その結果として今は社内政治をうまくプロダクトに落とし込んでバランスが取れるようになりました。ですので、うまく対処した事例よりもむしろ山ほどの失敗事例があり、それでもめげずにやってきて今がある……という感じです。
羽山氏:顧客のニーズを社内のメンバーが把握できていないと、各人が思いついたアイデアを散発的に出すだけになってしまいがちです。おそらく今、御社内の目線はバラバラな方向を向いていると推察します。まずはUXリサーチをして、顧客が本当に欲しているものを明確に言語化して社内でコンセンサスを得る必要があります。
羽山氏:ブランド部門の方にもがっつりマーケティング部門のプロジェクトに入っていただいて、彼らの協力を得てUXリサーチを行った上でCVRを上げる施策を考えてみてはいかがでしょうか。というのも私もかつて大手企業のWebサイトでブランドを管理する立場にいたのですが、マーケティング部門の数値改善を手がけたところ、CV数が2000%に増えたケースがありました。ブランド部門の方が深い知見を持っていることもあるので、協力体制を組んでそのノウハウを引き出すのがいいと思います。
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羽山氏:「UXデザインができます」と掲げていても、本当にできるかを判断するのは困難です。私が最低限チェックするのは「ユーザビリティーテストとユーザーインタビューを正しい手順で行える人・会社か」という点です。UXデザインの分野では、それなりの実務経験があることを保証する「HCD-Net認定 人間中心設計専門家」という資格があります。その保有者であるかどうかも、ひとつの判断材料になります。
羽山氏:「ユーザビリティテストとユーザーインタビューの正しい手順を教わる」ことと「とにかく場数を踏む」ことの2点だと考えます。前者の正しい手順は社内にノウハウがないことも多いでしょうから、そこは投資と割り切って社外でUXデザインのメンタリングをしてくれる方に半年くらい指導を受けるのがいいと思います。
羽山氏:はい、可能です。開催する場合は、御社の課題感をヒアリングさせていただき、それに合わせた内容でセミナーを行うのがいいと思います。ご要望がありましたら、Sprocket様の事務局にお問い合わせください。
“ユーザー目線”をどう実現する?社内政治に負けないWebサイトの情報設計
Webサイトの構造はユーザー目線で設計することが重要です。しかし、さまざまな要因からユーザー目線を第一に情報設計を行えない場合もあります。そうした際にはどのような情報設計で対応していけばよいのでしょうか。具体的なパターン例とあわせてご紹介していきます。
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