データドリブンマーケティングを3ステップで解説! 失敗しないポイントや企業の事例も

Sprocket編集部

データドリブンマーケティングは、デジタルデータでユーザーを「見える化」し、これまでの経験や勘に頼ったマーケティングを効率化するマーケティング手法です。この記事ではデータドリブンマーケティングの進め方や失敗を避けるポイント、実際の企業の事例を解説します。

データドリブンマーケティングとは?

データドリブンマーケティングとは、顧客や売り上げの情報、Web解析データといった、複数のデータを活用することに重点をおいたマーケティング手法です。「ドリブン」という用語は「drive」の過去分詞形である「driven」に由来します。ドリブンの本来の意味「突き動かされた」から転じて、ビジネス用語としては「〇〇を基点とした」といった意味合いで使われるようになりました。

つまり「データドリブン」は、データ収集・分析を基点にものごとを進めるやり方です。個人の経験や勘に頼らず客観的に意思決定・行動する手法として、マーケティングに限らず経営・開発などさまざまなビジネス領域で取り入れられています。

データドリブンマーケティングが注目される背景

データドリブンマーケティングが重視されるようになった背景として、消費者行動の複雑化が挙げられます。従来のマーケティング戦略は、典型的な購買行動モデルに沿って不特定多数に向けた施策を打つものが一般的でした。

しかし、最近は、実店舗とオンラインの併用など販売チャネルがいくつもある上に、消費者が購入前に価格を比較したりクチコミを調べたりと、購入までの行動が複雑化しています。このように認知から購買までの経路が多様化するなかで、チャネルごとに細かく消費者の行動を把握することが求められるようになりました。

そのため、データによって消費者の行動を客観的に捉え、適切な施策を見いだす方法として、データドリブンマーケティングが重要性を増しているのです。

DXとデータドリブンマーケティング

DX(Digital Transformation)の流れもまた、データドリブンマーケティングが活発化している大きな要因です。各種ITツールが普及し、今や顧客の行動の多くはデータとして把握できるようになりました。また、個人端末、センサーデータなど各種IoT機器が感知する情報、交通ICカードの記録、SNSといった、膨大かつ多様なデータも容易に取得・蓄積できるようになっています。

さらに、AIなど情報処理技術の発達は、大量のデータを蓄積できるだけではなく、高度な分析やデータにもとづく将来予測をも可能にしました。このようにリアルタイムで爆発的に増える多種多様なデータは「ビッグデータ」と呼ばれ、ビジネスに活用する動きが加速しています。企業が独自に収集したデータだけでなく、政府機関などが無料で公開するオープンデータをマーケティングに活用している事例も見られます。

データドリブンマーケティングを3ステップで解説

データドリブンマーケティングを実施する手順を大まかに言うと、データを収集し、可視化し、分析・活用するという3つのステップに分けられます。これらのステップを繰り返すことで、PDCAを回し継続的に改善へ取り組みます。具体的な流れを見ていきましょう。

ステップ1:データの収集

まずは要となるデータの収集です。WebサイトやSNSなどさまざまなチャネルにおいて日々大量に生成されるデータから、マーケティングに活用するデータを集めなくてはなりません。

マーケティングに活用できるデータとは?

マーケティングで扱うデータは、顧客の購入履歴や経路・満足度・リピート率といった購買に関する情報や、家族構成や興味・関心などの個人属性に関する情報が代表的です。Webサイトでは購入履歴のほか、ページ閲覧・離脱といったサイト内での行動データを解析ツールによって取得できます。

複数の販売チャネルをもつ場合、顧客管理システム(CRM)などを利用してチャネルを横断して顧客情報や購買行動を紐付けることで、より精度の高い分析につながるでしょう。自社Webサイト以外では、SNSへの投稿から嗜好や人間関係を把握することができます。また、Webフォームでのアンケートやコールセンターで集まる顧客の声もマーケティングに重要な情報です。

収集したデータの管理

こうした多岐にわたるデータを集めるには、当然ながらデータを管理するプラットフォームが必須となります。複数の部署やシステムにデータが散らばっている場合は、まとめて管理するためにDWH(データウェアハウス)やDMP(データマネジメントプラットフォーム)の導入を検討する必要があるでしょう。

ステップ2:データの「見える化」

収集したデータは、分析できる形に加工し、可視化しなくてはいけません。データには、Webサイトであれば社内からのアクセスログなど、除外すべきノイズが含まれています。

また、データの収集元となるビッグデータは、利用価値のあるものもないものも含め、多種多様な情報が混然一体となっています。これらから必要な情報を取り出し活用するためには、データを「見える化」する処理が必須です。データ処理は一般的に、Web解析ツールやBIツールなどを使います。

ステップ3:データの分析・活用

加工し可視化されたデータを対象に、いよいよ分析を行います。テーマにもとづいて得られたデータを分析し、問題点を発見し、仮説や具体的なアクションプランに落とし込んでいきましょう。

データ分析・活用には、データベースの運用やデータ処理・分析、統計の知識はもちろん、ビジネスやマーケティングにも精通していることが求められます。この作業には「データサイエンティスト」や「データアナリスト」といった専門スキルをもった人材が望ましいでしょう。つまり、データドリブンマーケティングの導入には、専門家への依頼またはスキル育成といった、人材の準備をあわせて考える必要があるのです。

また、データドリブンマーケティングにおいて重要なのが、施策の実行後に必ず効果検証を行うことです。PDCAを回し、さらなる改善につなげることが、データドリブンマーケティングを成功させる鍵となります。

サードパーティーCookie規制は、データドリブンマーケティングにどう影響する?

近年、国内外でCookieを規制する動きが広がっています。大手プラットフォームはサードパーティーCookieの規制を強めており、日本でも2022年4月に施行される改正個人情報保護法によりCookieが「個人関連情報」と定義され、データの収集と利用に制限が課されます。このことにより、データドリブンマーケティングにも少なからず影響が予想されるでしょう。

サードパーティーCookieとは?

サードパーティーCookieとは、訪問しているWebサイトではないドメインが発行するCookieで、複数のWebサイトを横断してユーザーをトラッキングする仕組みをもちます。主にユーザーの興味に合わせた広告を表示する目的で使われています。

データドリブンマーケティングへの影響

Cookie規制で特に影響が予想されるのは、リターゲティング広告です。リターゲティング広告とは、Webサイトを離脱したユーザーを追跡し別のWebサイトでも広告を表示するもので、コンバージョン率の高い広告手法です。

しかし、現行のリターゲティング広告はサードパーティーCookieを利用しており、規制後はこの仕組みが使えません。今後は、自社で持つ顧客情報などのファーストパーティーCookie(訪問しているWebサイトのドメインが直接発行するCookie)の活用が重要になるでしょう。

そのためには、CRM(顧客関係管理)に取り組み、顧客情報の管理・活用を強化することが求められます。また、Webサイトを横断したアプローチに代わり、自社で管理できる自社Webサイトやコンテンツページなど、コンテンツマーケティングの重要性がさらに増すと考えられます。

自社サイトのコンテンツパーソナライゼーションを進める

Webサイト内のコンテンツ表示をユーザーに合わせて区別することを、コンテンツパーソナライゼーションと呼びます。株式会社Sprocketが提供するCROプラットフォーム「Sprocket」には、月額制のコンテンツパーソナライゼーション機能を実装しています。この機能は、自社が取得したユーザーのデータから、ユーザーの行動や属性に合わせ、バナーやテキストなどを自動で区別して表示することを可能とします。

例えば、新規ユーザーには会員登録特典の情報を、リピーターには閲覧回数の多いカテゴリーの商品を、それぞれトップページにバナーで表示するといった使い方ができるでしょう。

Sprocketのコンテンツパーソナライゼーションは、データ収集や条件設定のために別のツールを用意する必要がなく、管理画面から簡単に導入できる点が強みです。また、表示回数やコンバージョン率への影響も管理画面から分析でき、データドリブンマーケティングに欠かせない効果検証も確実に行えます。

失敗しないデータドリブンマーケティングのポイント

データドリブンマーケティングに取り組むにあたっては、以下のポイントを意識すると、よくある失敗を避けられるしょう。

ポイント1:決裁者にデータ活用の価値を理解してもらう

データドリブンな意思決定を行うためには、決裁者にデータを活用する価値を認識してもらわなくてはいけません。ありがちな失敗が、現場レベルではデータの重要性をわかっているのに、経営層の関心が低いケースです。

データにもとづいて課題を洗い出しても、意思決定を行う人の納得が得られなければ、肝心の施策を実行することができません。データを収集・分析するだけで終わらせず、改善に向けたアクションを実行していくには、意思決定者がデータドリブンの重要性をみずから理解していることが不可欠なのです。

ポイント2:データドリブン経営をトップダウンで進める

データドリブンマーケティングは、決裁者に理解してもらうとともに、トップダウンで組織的に進める必要があります。データドリブンは意思決定の仕組みを人からデータ基点へと転換するものであり、場合によっては反発をおぼえる人もいるでしょう。

また、各部門に散在するデータを統合・分析したり、部門を横断した施策が必要になったりと、マーケティング部門以外との連携が欠かせません。経営層がしっかりリードし、全社一丸となってデータを活用する体制づくりを進めることが求められます。

ポイント3:データは「見える化」して価値を示す

収集したデータを価値ある情報として活用するには、余計なノイズを取り除き整理することはもちろん、意味ある形へ「見える化」する必要があります。ある項目を単体で見るだけではただの数値に過ぎず、仮説や具体的なアクションの根拠にはなりません。過去の実績や他の関連データと比較することで、数値が意味をもち、改善につながる具体的な分析ができます。

Webサイトの場合は、カテゴリーやページ別、あるいは流入経路別にトラフィックやコンバージョン率を把握することで、具体的な施策が見えてくるでしょう。データの可視化と分析は、幅広く高度なスキルを必要とするため、データサイエンティストやデータアナリストの力を借りたほうがよい場合もあります。このように、データは収集するだけで終わらせず、可視化して価値を明らかにすることが欠かせないのです。

ポイント4:データに基づいたKPIツリーを組み立てる

データドリブンマーケティングでは、データにもとづき、KPIツリーを正しく設定することが重要です。というのも、データドリブンマーケティングは数値という明確な拠り所がある反面、特定の部分の数値を改善することにとらわれてしまう場合があるからです。マーケティング戦略全体の最適化を意識しなければ、個別の施策にいくら取り組んでも、思うような効果が得られないかもしれません。

そこで、全体目標と各施策の関係を整理するのに有効なのがKPIツリーです。KPIツリーとは、組織やプロジェクトの最終目標である「KGI」を頂点として、KGIを達成するための個別指標「KPI」をツリー状に紐付けて表現する手法です。個別のKPIは、すべてクリアすることでKGIを達成できるように設定します。適切に組み立てたKPIツリーに沿って施策を立案・実行することで、データドリブンマーケティングの成果を最大限に発揮できるでしょう。

Sprocketのデータドリブンマーケティング成功事例

データドリブンマーケティングの事例として、Sprocketが手がけたインティメイツ株式会社様の事例を紹介します。女性向けランジェリーの企画・製造・販売を行うインティメイツでは、ECサイトにおける新規ユーザーのコンバージョン率改善を課題としていました。そこで、SprocketにECサイトの現状分析とユーザー行動分析を依頼したのです。この「最初に分析ありき」というデータドリブンの考え方が、のちに大きな成果をあげることになります。

分析の概略と結果

ユーザーの行動分析は、ECサイトのユーザーを、リピーターと新規ユーザー、購入者と購入なしといった軸で9つのクラスターに分類する方法で、購買データと連携できるSprocketの強みを活かした分析方法と言えます。

分析の結果わかった意外な点は、ブランド理念やコラムページにアクセスしたユーザーは、購入率・再訪とも高い傾向にあるということでした。一般にECサイトではこうしたページは購入に直結しないと思われています。しかし、同社の場合、購買プロセスの過程でブランドコンセプトにしっかり触れることで商品への愛着が湧き、購入につながることが示唆されたのです。

同様に、自身の体型タイプに似合う商品を楽しみながら探す「骨格診断コンテンツ」にアクセスしたユーザーも、再訪率・購入率が高いという結果が出ました。さらに、新規ユーザーが購入に至るタイミングについても意外な事実がわかります。初回訪問時よりも、一定期間内に再訪した際に購入するユーザーのほうが多かったのです。このことから、コンバージョンを増やすには再訪者を積み上げることが重要であると認識できました。

分析結果をふまえた施策と成果

分析結果をふまえて同社が注目したのは、商品詳細ページに直接誘導するのではなく、ユーザーがどのような情報に触れればその後のサイト内行動が活発になるかという点です。そこで、ブランドコンセプトや商品の選び方といったコンテンツを結集したチュートリアルLPを作成し、Sprocketのシナリオによって誘導することにしました。

結果として、チュートリアルLPを経由したユーザーは、そうでないユーザーと比較してコンバージョン率がおよそ10倍にもなったのです。この確かな成果を得て、チュートリアルLPをトップページに常設コンテンツとして設置することになりました。データドリブンの考え方によって、精度の高い施策につながることがよく表れた事例と言えるでしょう。

データドリブンマーケティングはSprocketにご相談ください

データドリブンマーケティングは、データを適切に収集・分析することで、精度の高い施策につなげ、改善を積み重ねていくことができる手法です。Sprocketは顧客行動データの収集から分析、そして効果的なマーケティングの接客シナリオ立案と実行まで、一貫してサポートします。データドリブンマーケティングの導入をお考えでしたら、Sprocketにご相談ください。

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