外出自粛や景況悪化の影響により実店舗が苦戦を強いられる一方、通販サイトやECモールは大幅に伸長しています。アパレル業界におけるECへの移行は今後も進むと考えられ、実店舗の役割にも変化が生じています。この資料では、パーソナライズや実店舗のような接客をECサイトで実現することによりコンバージョンを改善した企業の事例を実施した施策とあわせてご紹介します。
新規ユーザーのCVRが従来の10倍に! 勝因はユーザー行動分析による戦略ありきの“根拠あるシナリオ”配信
2017年7月よりSprocketを導入いただいており、導入前の課題や過去の実績はこちらからご覧いただけます。
インティメイツさま過去事例はこちら
Sprocketを活用するに至った背景
− 阿部さまは広義のマーケティング戦略全般に加え、2021年から新たに実店舗での営業活動や自社EC、モールなども総括されるようになり、営業とマーケティングを兼務でご担当されていらっしゃいますが、ECをご担当されてから、Sprocketへの印象や実際の活用に至った経緯について教えてください。
(阿部氏)実は、当時Sprocketには懐疑的な見方をしていました。Sprocketはツールとしては何でもできると思っています。ただし、マーケティングの川上から川下まで、つまりお客さまがサイトに訪れて、商品を理解して、選定して、絞り込んで、購入に至るお客さまの行動フローを知り、その中で、どのコンテンツがクリティカルポイントなのか、どこに問題があるのかということをわかった上で活用しなければ、意味がないと思っていました。
私がEC周りを担当することになってからまず着手したことは、シナリオの設計ではなく、ECサイトの現状分析や健康診断を行うための、ユーザー行動分析の調査をSprocketのコンサルタントにお願いすることでした。
まずはユーザーの実態を知り、そこから当社の課題である「新規ユーザーのコンバージョン率の改善」を実現するための仮説やヒントを得たかったからです。
ユーザー行動分析をして見えてきたもの、実施したこと
− 分析の結果、どのようなご判断のプロセスがあったのでしょうか?
(阿部氏)御社には、リピーターと新規ユーザー、購入者、非購入者など9つのクラスター(表1)に分類して調査・分析を行っていただきました。これは御社の強みだと思いますが、Sprocketは購買データと連携できるからこそ、Googleアナリティクスでは見えない細かいデータを手に取るように把握することができました。Cookieの保持期間が短くなった今では、すごく重要だと思います。分析の結果、わかった事実というものはたくさんあります。例えば新作ページにアクセスした方は再訪率が高い。商品詳細ページにアクセスした方は再訪率も購入率も当然に高い、などです。
予想を超えた発見としては、もともと滞在時間や接触数を維持するためのコンテンツであった、ブランド理念やコラムページにアクセスした方の購入率、再訪率が高いという傾向が見られたことです。これは、商品の開発コンセプトを知った上で購入してくださる方は愛着が湧きやすいという捉え方をしています。一般的な企業では、ECサイトでブランドのコンセプトをわざわざユーザーに読んでいただくよう促すことはあまりしません。サイト全体でブランドコンセプトを感じてもらうよう演出する手段を選びがちです。しかし当社の場合は、ユーザーに購買プロセスの過程でしっかりコンセプトを触れていただく、理解していただくことに意味があるんだという考えに至りました。
また、新規ユーザーは初回訪問での購入がもっと多いと思っていましたが、実は初回訪問時ではなく、その後一定期間内に再訪を行った際に購入の方が多かったことを知れたのもSprocketだからこそです。いかに再訪者を積み上げて、コンバージョンの母数を増やしていくかが重要ということを知れたのは、大きな収穫でした。
ほかには、楽しみながら自分の骨格を診断して自分にジャストフィットする商品を見つけるための骨格診断コンテンツにアクセスした方は再訪率、購入率が高いというのもデータとしてわかりました。
新規 | 30日以上ブランクありで再訪(購入歴あり) | 30日以上ブランクありで再訪(購入歴なし) |
---|---|---|
①初訪時に購入 |
④再訪時に購入 | ⑦再訪時に購入 |
②初訪時に購入しなかったが3か月以内に購入1回以上 |
⑤再訪時に購入しなかったが3か月以内に購入1回以上 |
⑧再訪時に購入しなかったが3か月以内に購入1回以上 |
③初訪時〜3か月以内では購入しなかった | ⑥再訪時〜3か月以内では購入しなかった |
⑨再訪時〜3か月以内では購入しなかった |
− そのような事実を把握されることで、課題とおっしゃっていた新規ユーザーのコンバージョン率をアップするために根拠あるシナリオ作りを実施されていったのですね。
(阿部氏)はい。分析によって、商品詳細ページにアクセスすれば購入率が高いはずなのに、サイト訪問者の50%もアクセスしていないという事実がわかりました。ただし、だからといってやみくもにサイト内で商品詳細ページへ誘導するポップアップを配信することはしませんでした。
注目したのは、商品詳細ページにアクセスする前に、ユーザーがどんな情報に触れれば、その後のサイト内行動を活発に行ってくれるかという点です。商品詳細ページ閲覧だけでなく再訪も狙えるようなコンテンツが必要と考え、いわゆるチュートリアルLPを作りました。
− コンバージョン率アップが確約された商品詳細ページへシナリオを使っていきなり誘導するのではなく、商品詳細ページにアクセスしたくなるブランドコンセプトや商品の選び方のようなコンテンツを結集したページを作成したということですね。
(阿部氏)そうです。そしてここへ新規ユーザーを導くためのシナリオをSprocketから配信しました。
チュートリアルLPに誘導するシナリオ
(タップまたはクリックすると動画でご確認いただけます)
施策実施後の効果
− チュートリアルLPを作った成果はいかがでしたでしょうか?
(阿部氏)結果としては、チュートリアルLPを経たユーザーのコンバージョン率は経ていないユーザーと比べて10倍くらいになりました。最初はチュートリアルLPへの主な動線はシナリオでしたが、こうした成果を鑑みて、このLPを常設コンテンツとしてトップページに設置しました。
− なるほど。事実としてそのページを踏めば売れる確率が高くなると分かっているページはシナリオ誘導ではなく常設コンテンツ化することでよりアクセスを集めやすくしたということですね。
(阿部氏)はい。ただ、トップページではコンテンツの入れ替えなどが頻繁にあるため、チュートリアルLPへのリンクを一時的に外す場合もあります。そうした場合にはSprocketを用いて動線を確保しています。Sprocketを用いて川上で大きな取り組みができたのは、私の中では収穫でした。川上での取り組みが成功するとユーザー行動の購入完了付近となる川下の取り組みのグロスが大きくなるのでレバレッジが効いてきます。
ちなみに川下についてはSprocketはもともと強いツールだと思っています。例えば、カート離脱の防止における活用ですね。カートにおいて、特定の条件でショッピングガイドをポップアップ表示することでコンバージョン率が改善しました。カート上で発生した不安要素をページ遷移させずに、その場でシナリオにて解決したということですね。遷移するとコンバージョン率は下がってしまいますから、そのリスクを回避しつつ、ユーザーにとって必要な情報を表示できるシナリオとなっています。
カート内不安払拭シナリオ
(タップまたはクリックすると動画でご確認いただけます)
− そのほかに、効果が出たシナリオはありますか?
(阿部氏)弊社だけでは思いつかなかったであろう、御社にご提案いただいたウイットに富んだシナリオも効果がありましたね。新規ユーザーが商品知識のクイズに答えると半額クーポンを獲得できるという取り組みを、シナリオで行いました。クイズのほうが頭に入りやすく、楽しみながら、商品特性を理解していただけます。会員登録しないとクーポンは取得できないのですが、このシナリオの有無で会員登録率は2.7倍違いました。そもそも購入しようと思っていないのに会員登録するのは、すごいことだと思います。
このウイットに富んだ施策というのは、会社の文化としてなかったので、サイトコンテンツとしては実施は難しかったかもしれません。ポップアップ、シナリオという別のレイヤーでの施策だからこそできたことです。
−当時御社からのオーダーは新規ユーザーに「商品のことをよく知ってもらいたい」「半額クーポンがあるから配りたい」というものでしたね。これをこのシナリオで同時にやってしまったほうが効果的ではということでご提案させていただいたものになりますが、結果も生まれてご満足もいただき、本当に良かったです。
クイズ&クーポンシナリオ
(タップまたはクリックすると動画でご確認いただけます)
Sprocketのサービスについての感想
− 御社では分析ありきで進めて来られたことが成果を残された秘訣ということで、お話のすべてに実施の根拠があると思います。
(阿部氏)分析にもとづいたシナリオの配信でなければ、お客さまが求めていない不要な情報を発信することになってしまいます。それはお客さまにとっては「じゃま」になりますよね。分析を最初に行うことで、お客さまがどこでつまずいているのか?つまりお客さまはどこでどのような情報を必要としているのか? それをきちんと把握した上でシナリオを設計・配信しています。
− 阿部さまにとって、弊社のサービスやコンサルタントはどのような評価でしょうか。
御社のサービスは、まず分析からスタートするというアプローチが非常に正しいと思います。現状のCookieベースの分析だけでは限界があることで、最初にデータ連携から始まって、通常期とセール期でそれぞれ新規とリピーターのクラスター別のサイト内行動を分析し、クリティカルポイント、問題点を明らかにし、そこにシナリオを当てることで、説得力を持って受け入れられるツールであり、サービスだなと思っています。
また御社のコンサルタントが弊社の実店舗へ足を運んだり、スタッフへのインタビューを行ったりと、弊社を知ろうとしてくれた姿勢、そしてわれわれと同じ目線や速さで企画を考えてくれるスピード感がとても好きです。
− ありがとうございます。弊社も最初にお客さまのサービス・商品を理解すること、そしてスピード感を持って分析を行い問題抽出した上でシナリオ設計する方が、後々のシナリオの質がより向上すると考えて取り組んでいますので、共感いただけて日々の活動が報われる感じがします。
今後の展望
− 一定の評価をお認めいただけたSprocketですが、今後、Sprocketを利用して取り組んでいきたいことなどあれば教えてください。
(阿部氏)弊社のコアコンピタンスは、ロイヤルカスタマー作りができる「ファッションスタイリスト」と呼んでいる店舗スタッフのコンサル力だと思っているのですが、現状ではコロナ禍もあり、ECだけのお客さまも増えているので、オンライン接客も開始しています。ここでも実店舗同様の成果は出すことができているので、次のステップかなと思っています。
結局のところ、オンラインであろうとオフラインであろうと人手を介することには変わりありません。これをSprocketの力を使ってなんとかできないものか? というのが今後の展望でも相談でもあります。オンライン販売スタッフボットみたいなものができたり、スマホアプリをかざすだけで体型にフィットした商品が提案されたり、ワイヤー調整や着方なども提案されるなど、ぼんやりと考えていることはありますが、まだ固まってはいません。ただ、今Sprocketにもたまってきている数々の接客データをうまく集約・体系化して接客コメントに直していけば、実現に近づくことができるのではないかと思っています。シナリオの進化の先にあるものを、一緒に考えていきたいですね。
Sprocketの導入を検討中の方へ
− 最後に、Sprocketの導入を検討されている方へひとことあればお願いします。
(阿部氏) まずはデータ連携して分析し、自身の事業の問題点を知りましょう。そしてそこに有効なシナリオを当てるととても大きな効果が出ると思います。Sprocketさんならこの一連のプロセスをきっちり伴走してくれるので、ぜひご検討されてみてはいかがでしょうか?
− 一貫して「最初に分析ありき」の重要性についてお話しいただき、われわれも初心に返った気がしました。今後もぜひとも伴走させてください。本日は誠にありがとうございました。
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