2026年、AIは「ほんもの」になれるか?「保存」から「再構築」へ向かう年

Sprocket

深田 浩嗣

AIがもたらすほんもの性のイメージ

みなさま明けましておめでとうございます、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2025年、AIは「ほんもの」を作り出したか?

2025年を振り返ると、AI生成物が社会に浸透する一方で、それが「ほんもの」として受け入れられるかどうかの揺らぎが見えた1年だったように思います。

ある企業がAIで制作したCMが「不気味だ」と炎上した一方で、アーティストのユーミン(松任谷由実)が過去の膨大な音源をAIに学習させ、自身の歌声を拡張させるプロジェクトが話題になりました。

この差は一体どこにあるのでしょうか?

単に技術的なクオリティの差、あるいは「不気味の谷」の問題でしょうか。私はそれだけではない気がしています。

批判を集めたCMは、もしかすると「何を伝えたかったのか」という根っこの部分がぶれていたのかもしれません。

逆にユーミンの事例は、彼女のアーティストとしての核が明確であり、AIはその表現を広げるための手段として機能していたからこそ、受け入れられたのではないでしょうか。

「保存」ではなく「再構築」の時代へ

昨年末の紅白歌合戦を見ていて、ふと考えさせられることがありました。
往年のスターたちが年齢を重ねていく姿には、人間としての尊さを感じる一方で、全盛期の歌声への郷愁もまた否定できません。

AIでかつての歌声を再現すれば、その輝きを永遠に留めておくことは可能でしょう。 しかし、それはあくまで過去の「保存」に過ぎません。

私たちが2026年に向き合うべきは、過去の栄光をAIで冷凍保存することではないはずです。

例えば、ユーミンの価値の本質が「声」ではなく、日常のふとした瞬間に感じる衝撃を切り取る「歌詞」や「世界観」にあるとしたらどうでしょう?

極端な話、声そのものはAIによってオープン化され、ファンが自由に遊べるものになってもいいのかもしれません。

あるいは、ファンが感じた日常の欠片をAIが集め、そこからユーミンが新しいフレーズを紡ぎ出すような、ファンとの新しい共創関係が生まれるかもしれません。

これは単純な「進化」という言葉では括れない変化です。

AIによって、これまで価値とされていたもの(例えば、肉体的な歌唱力やCM制作のプロセスそのもの)の価値が失われていく領域がある一方で、私たちが本来提供していたはずの「本質的な価値」が露わになり、そこにリソースを集中できるようになる。

そんな「再構築(リビルド)」の動きが、今年から本格化するのではないでしょうか。

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「キダルト消費」のその先へ

昨年は「キダルト(Kids + Adult)」消費という言葉も聞かれました。少子化が進む中であっても、玩具市場はこの10年で約1.4倍に拡大し、1兆円を超える規模に成長しています。

かつてのアニメやゲームをリメイクし、かつての子供たち(今の大人たち)に消費してもらうこの動きは、確かに大人の消費喚起には有効です。しかし、懐かしさに頼るだけでは、いずれ先細ります。

ここでも必要なのは「再構築」です。

AIありきの世界で、自分たちが提供してきた価値の源泉=「オリジン」は何だったのか? を問い直すこと。

表面的なアウトプットをAIに置き換えるのではなく、「なぜそれが愛されたのか」という本質を抽出して、今の時代の文脈で組み立て直すこと。

それができて初めて、かつてのファンだけでなく、新しい世代にも響く「ほんもの」が生まれるのだと思います。

2026年、Sprocketの挑戦

Sprocketにとっても、この「再構築」はすでに始まっている現在進行系の挑戦です。

2025年の後半より、私たちは社内の業務プロセスやクライアント企業様への価値提供のあり方を、「AIありき」で根本から再構築する取り組みに着手しています。

既存のやり方をAIで少し効率化する、といったレベルではありません。

私たちが提供すべき本質的な価値である「企業と顧客の良質な関係性」を、AIが前提となった世界で最大化するためにはどうあるべきか。組織や仕組みそのものをゼロベースで見直すトライアルです。

2026年は、この動きをさらに加速させ、より具体的な形へと落とし込んでいく1年になります。

AIが当たり前になった世界だからこそ、私たちは技術に溺れることなく、「誰に、何を、なぜ届けるのか」という原点に立ち返り、企業と顧客の関係性を再構築するご支援を続けてまいります。

本質を問い直し、尖らせる。そんな1年にしていきたいと思います。

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