2024年は大きなアップデートを予定しています

Sprocket

深田 浩嗣

謹んで年頭のご挨拶を申し上げます
この度の能登半島地震において被災された皆様にはお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈りいたします。

変化する「ほんもの」の定義が形になって世に出てきた

2023年の年始挨拶を見返してみると、消費者は「ほんもの」を求めるようになり、さらに、その「ほんもの」の定義が変わりつつあるという話をしていました。1年が終わり、改めて振り返ってみると、1年前に変わりつつあると感じていたほんものの定義が、消費者に具体的に提供される形で世に出てきた1年だったのではないかと思います。

この潮流を、私は

という3つの軸で見ています。

生成AIの普及が問う「ほんもの」の本質

生成AIが登場し、急速に発展・普及を遂げたことは、皆さんの記憶にも新しいことでしょう。当初は「平気でウソをつく」など批判もありましたが、一方でまるで人間のような対応をしてくることから、悲しい事件も起きてしまいました。

テキストで応答するだけに過ぎないAIチャット……とは言い切ってしまえない何かを感じる人が出てきてしまうほど、応対の「人間らしさ」の精度が上がってきています。

また、CMにおいても生成AIの活用が具体化した年でもありました。

伊藤園のCMは人物を生成AIで制作しており、タレント活用の意義を再考させる取り組みでした。

グーグルやマイクロソフトも自社のサービスの中に生成AIを取り入れ始めるなど、日常的な活用が浸透し始めた1年でもありました。

この記事が示す通り、業務によっては欠かせない存在に早くもなりつつあります。一方で、記事では“まともなプログラムをつくらせるには、自身がまともなプログラミングができる必要がある”とし、“これまで以上にプログラミングに対する深い理解が重要になるかもしれない”と語られています。

生成AIの登場により、人間がすべきこととは何か、AIによるアウトプットは「ほんもの」なのか否か、といったことが多くの分野で問われだした。そんな1年だったと思います。

生成AIの普及が問う「ほんもの」の本質

人々が「ほんもの」に求めるものも変わりつつある

ファッションの分野でも興味深い変化が見られ始めています。それは「クワイエットラグジュアリー」という概念の登場です。

「静かな贅沢」とも訳される概念です。これまでラグジュアリーブランドが表現してきていたある種の人目を引くような要素を排したスタイルが注目されているそうです。パッと見ただけではわからないが、知識を持ってよく見れば、質の良さがわかるということに贅沢性が見出され始めているのだと考えます。

この種のブランドの代表格の一つとされるのがブルネロ・クチネリです。

経営方針として人間性を尊ぶ姿勢や地域社会の再生を重視し、贅沢品でありながらもサステイナブルな未来を志向するという発想をずっと持ちながら事業を営んでいるブランドです。

贅沢品であってもこのようなあり方が好まれるようになり始めているということから、人々が「ほんもの」に何を求めるのかということも大きく変わりつつあることが実感できるトレンドではないでしょうか。

2023年の年始の挨拶でも「映えはダサい」という、とあるインフルエンサーの言葉を取り上げましたが、SNS上で見られたこうした感覚が日常にも染み出し始めており、なおかつ維持可能な社会の有り様を本格的に模索するというトレンドにも合致。結果として人々が求めるものも変わってきているということなのだろうと思います。

「日常性」がほんものを作り上げる重要な要素に

別の観点では、人々がほんもの性を感じる要素に「日常性」が加わり出している点にも注目すべきでしょう。

そもそもほんものやオーセンティシティという言葉は、マーケティング領域で随分以前から唱えられてきていた概念でした。その古典の一つにJ.H.ギルモア著の『ほんもの』があります。和訳は2009年の出版で、こちらによるとほんもの性を感じさせる要素として次のようなことが述べられています。

1)自己に誠実であること
企業の本質:基本的な性格はどのようなものか
経済価値の性質:いかなる経済価値を提供するのか
遺産の効果:いつ、どこで現在の姿になったのか
目的意識:なぜビジネスをしているのか
核心的価値:どのように自らのアイデンティティを明示するのか

2)そうだと主張する自己であること
名称の命名:自社をなんと呼んでいるか
メッセージの表明:自社を何であると明確にしているか
設立の場所:いつどこで設立されたか
動機の公表:なぜビジネスを行うと言っているか
外観の提示:自社をどのように示しているか

ちょっとわかりにくい表現もありますが、いずれもほんもの性を感じさせる要素としてうなづけるものがあります。

さらに、2023年の変化として「日常性」という要素がほんもの性を作り上げる上で重要なものになりつつあるのではないかと感じています。

一例として、一見地味にも見える「いい人すぎる」ことをテーマとした展覧会が好評を博したことが挙げられます。アート的な面白さというよりも、日常の中で共感できる要素がほんもの性を作り上げ、人気の理由になっています。

この展示会を企画したentakuは他にも興味深い取り組みをしています。

このカフェは「友達がやってるカフェとして入ることができるカフェ」であって、実際は本当の友だちがやっているわけではありません。にも関わらず、「友だちがやっている」という日常性がちゃんと得られるように組み立てられています。

イマーシブ(没入感)という言葉がエンタメ業界で取り上げられる機会が増えてきています。「没入感」が得られる体験を提供する場は、テーマパークや体験型劇場、VR空間などの非日常的であることが一般的です。非日常的でありながら、さまざまな手法を駆使することで、そこにほんもの性を醸し出し、没入感を生み出しているわけです。

一方、友達がやってるカフェは「友達がやっている」という日常的な風景が没入感を高め、ほんもの性を味わえるようになっています。

非日常的な虚構の世界を作り込むことでほんもの性を高めるというアプローチだけでなく、あってほしい日常を体験できるように虚構の世界を作り込むことでほんもの性を高めるというアプローチも登場してきているのです。

ほんもの性を作り上げる要素に日常性が加わりだしたのも、2023年の非常に興味深い変化であったかと思います。

2024年は新しい「ほんもの」が定着し、企業活動にも取り入れられていく

SNSの利用が当たり前になっている世界では、人とのつながりや人を介した情報の流通がリアル・デジタルの区別なく行われます。つながれる人の数が圧倒的に大きくなり、得られる情報量も圧倒的に幅広くなり、自らもその輪の中に入っていることが当たり前になった世界では、人々の行動様式も当然にそれまでとは異なります。

この新しい世界のことを私は「アフターソーシャル」という単語で表しています。アフターソーシャル時代においては、消費者と企業の関係性もまた変わります。提供しているプロダクトの良し悪しにとどまらず、企業のあらゆる取り組みがオープンなプラットフォーム上で可視化されていきます。

企業は消費者の批評をコントロールすることはできず、競争力を高めていくためには消費者に選ばれるためのほんもの性がより重要になっていくのです。

では、2023年から続く「ほんもの」の概念の拡張あるいは変化を、企業活動としてもどのように取り入れていくべきでしょうか。まだ「これだ」といえるような事例やセオリーには至らないものの、2024年には様々な試行錯誤が行われるようになるでしょう。

昨年、企業にとっても自らの「ほんもの」を定義し、何がほんものなのかを見直すべきだということを申し述べました。以下の記事で紹介しているスープストックの事例は、経営者の一貫したスタンスや消費者主体の情報伝播がほんもの性を感じさせる結果となりました。

このような取り組みは、これまでの感覚としては主体的なマーケティング活動として捉えにくいかもしれません。スープストック自体もマーケティング活動の一環としてやったことではないでしょう。

消費者が何をもってほんもの性を感じるかは広がりを見せているわけですから、それに対応する企業活動も2024年はさまざまなバリエーションが出てくるでしょう。

Sprocketとしても、CRO(コンバージョン率最適化:Conversion Rate Optimization)を入り口として、ユーザーが感じる企業やブランドの「ほんもの性」を見える化できないかと試行錯誤を始めています。昨年は、コーポレートアイデンティティをリニューアルし、事業領域をCX改善に拡大するというリリースも出しました。

2024年も、Sprocketとしての「ほんもの性」は何なのかについて、サービスの改善を通じて引き続き追究していきたいと考えています。また、具体的な価値提供につながるプロダクトの大きなアップデートや新機能のリリースも予定しています。

今後のSprocketの進化にご期待いただき、引き続きご愛顧いただけますよう、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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