クリエイターエコノミーとは?注目の背景、プラットフォームとマネタイズ方法を解説

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Sprocket編集部

クリエイターエコノミーとは?注目の背景、プラットフォームとマネタイズ方法を解説

クリエイターエコノミーとは、消費者である個人がクリエイターとして発信・販売側にもなれる双方向の経済圏のことです。この記事ではミレニアル世代・Z世代が中心となり形成されているクリエイターエコノミーに注目が集まる背景、プラットフォームとマネタイズ方法、企業との関係について解説します。

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クリエイターエコノミーとは

YouTuberやインスタグラマーをはじめ、動画・音声・文章などのコンテンツやオリジナルグッズを制作・発信し、収益を得る人は増加の一途をたどっています。こうした個人クリエイターを中心とした経済圏は、クリエイターエコノミーと呼ばれます

クリエイターとは、必ずしもデザイナーやカメラマンといったアーティストに限らず、あらゆるジャンル・規模で創作活動を行う人のことです。クリエイターが活動の場とするプラットフォームは、YouTubeやInstagram、TikTokといった大手SNSのほか、音声配信サービスや画像投稿サイト、Eコマースプラットフォームなど多岐にわたります。

収益化の手段も、従来の広告収入にくわえ、コンテンツ・グッズの販売、投げ銭やクラウドファンディング、サブスクによる継続的な収益など多様化してきました。さらに、そうしたクリエイターを、マネジメントや事務手続きなどさまざまな側面で支援するサービスが登場しており、クリエイターエコノミーの市場規模は急速に拡大しています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2022年10月に発表した資料によると、国内クリエイターエコノミーの市場規模は推計で1兆3,574億円でした。海外クリエイターエコノミーの市場規模は推計1,042億ドルにものぼるという調査も報告されています。

クリエイターエコノミーが注目される背景

クリエイターエコノミーの市場は急拡大しています。クリエイターの活動が活発になっている背景には何があるのでしょうか。

プラットフォームの充実

まずはクリエイターとして活動するための環境が充実してきたことです。SNSをはじめ、コンテンツ発信や創作活動の場となるプラットフォームが発達し、誰もが気軽に発信者となれるようになりました。コンテンツ販売サイトなどだけでなく、多くのSNSが収益化の仕組みを備えるようになっています。

デジタルネイティブの増加

10~30代のデジタルネイティブといわれる人たちが増えてきたことも重要な要素です。彼らは日常的に、デジタルデバイスを通じてさまざまなコンテンツに触れ、またSNSで自らが情報発信・表現することにもあまり抵抗なく育っています。個人がクリエイターとして活動するハードルは低くなっているといえるのではないでしょうか。

社会情勢にともなう働き方や過ごし方の変化

働き方改革にともなう副業への関心や、コロナ禍で創作活動にあてられる可処分時間が増えたことも、クリエイターの活動の後押しになっていると考えられます。消費者側を見ても、外出自粛や在宅勤務によって家で過ごす時間が長くなったことで、動画視聴などのコンテンツ消費量が増大しました。

さまざまなクリエイターやその作品に触れることで、特定のクリエイターのファンになる機会も増えるでしょう。いわゆる「推し活」のひとつとして、クリエイターに課金する人も少なくありません。

クリエイターをとりまくサービスの活発化

作品の販売や財務の管理、創作活動のマネジメントといったバックオフィス業務でクリエイターをサポートするサービスも次々に登場しています。クリエイター活動とそれに対する消費が規模を増すほど、そうしたクリエイターを取り巻く関連サービスもさらに活発になっていきます。経済圏全体がスパイラル状に成長しているのが、クリエイターエコノミーの現状といえるでしょう。

クリエイターエコノミーはミレニアル世代・Z世代が中心

アドビ株式会社が行った「Future of Creativity」調査によると、全世界で3億300万人ものクリエイターが活動しており、とりわけ2020年以降は1億6,500万人以上もの増加が見られました。その中心となるのは前項でも触れた通りミレニアル世代・Z世代といわれる若い世代です。

クリエイターエコノミーを形成する人たちのうち、42%をミレニアル世代が、14%をZ世代が占めるという結果でした。また同調査では、Z世代・ミレニアル世代は、創作活動を自己のキャリア形成の機会としてとらえる見方が強いと述べられています。現状ではクリエイターの多くがほかにフルタイムまたはパートタイムの仕事に就いている一方、若い世代にはクリエイターが新しい働き方として期待されていることがうかがえます。前述した三菱UFJリサーチ&コンサルティングの国内調査においても、クリエイター活動への取り組み意向について、10~30代で特に高い関心が見られます。

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クリエイターエコノミーのプラットフォームとマネタイズ方法

クリエイターエコノミーでは、どのようにマネタイズがなされているのでしょうか。従来は広告収入、つまり動画などのコンテンツに紐付いて配信される広告の掲載料が、主な収益化の手段でした。しかし多彩なプラットフォームの登場とともに、グッズやコンテンツ・スキルなどをユーザーへ直接販売したり、ファンコミュニティを通じて継続的な支援を得たりと、収益化の手法も多様化しています。

以下に、クリエイターエコノミーの主なプラットフォームとそれぞれのマネタイズ方法を紹介します。

動画・ライブ配信プラットフォーム

動画投稿やライブ配信サービスは、クリエイターエコノミーの象徴的なプラットフォームといってもよいでしょう。広告収入のほか、多くのプラットフォームが投げ銭機能を備えています。

YouTube

動画共有サービスで最大のシェアを維持するYouTubeは、マネタイズ方法も充実しています。以前からある代表的な収益源が広告収益です。広告収益を得られるYouTubeパートナープログラムには、チャンネル登録数や視聴回数など所定の基準を満たしたアカウントのみが登録できます。ほかに投げ銭にあたるスーパーチャット(通称スパチャ)、月額課金制のメンバーシップが主な収益源となります。もちろん、企業からのPR案件で報酬を得ることも可能です。

Instagram

インフルエンサーの主要な活動プラットフォームという地位を確立したInstagramは、企業からのPR案件で報酬を得るインフルエンサーマーケティングが代表的なマネタイズ手法でした。くわえて、投げ銭機能にあたる「バッジ」が、日本では2020年10月から提供開始されています。

TikTok

ショート動画を手軽に投稿できるTikTokは、ときには爆発的な拡散力を持つとあって、世界中で急速に利用が広がっているSNSです。TikTokの代表的な収益源は広告収入ですが、ライブ配信での投げ銭機能「ギフト」で多額の収益を得るTikTokerも存在します。

SHOWROOM(ショールーム)

ライブストリーミング配信サービスのSHOWROOMでは、ライバーは投げ銭機能によって収入を得ることができます。視聴者のギフティングによってポイントが貯まり、換金できる仕組みです。ギフトには有料のものと無料のものがあり、無料のギフトやコメントでもポイントが貯まるのが特徴です。

<h3>テキストプラットフォーム

文章を扱うクリエイターには、以下のようなプラットフォームが利用されています。

note

noteは文章をメインとした記事コンテンツを発信できるサービスです。収益化の方法は以下の通り多岐にわたります。

有料記事の販売
複数記事をまとめた「有料マガジン」、月額制の「定期購読マガジン」の販売
月額会員制のオンラインサロン「サークル」
投げ銭にあたる「オンラインサポート」
Amazonアフィリエイト
ECサイトの商品を記事内に表示する「note for shopping」と、一覧表示させる「ストア機能」

まぐまぐ!

1997年に開始した、国内初・最大級のメールマガジン配信プラットフォームです。著名人や専門家から個人まで、多岐にわたるジャンルのメルマガ約7,000誌が発行されています。収益化の方法として、月額購読料を支払うユーザーに発行する有料メルマガがあります。

カクヨム

大手出版社KADOKAWAが運営するカクヨムは、誰でも小説を投稿できるサービスです。他の投稿サイトと比較して収益性が重視されているという特徴があります。主な収益源となるのが、作品の閲覧数に応じて広告収入が得られる「ロイヤルティプログラム」です。くわえて、小説コンテンツならではのマネタイズといえる個人出版のシステムもあります。カクヨムに投稿した小説は電子書籍サイト「BOOK☆WALKER」で電子出版でき、購入されれば収益が得られます。

イラスト・漫画・写真プラットフォーム

イラストや漫画などの画像を投稿できるサービスにはさまざまなものがありますが、収益化したい人向けのプラットフォームとしては以下が挙げられます。

note

テキストプラットフォームの印象が強いnoteは、イラストや漫画、写真、音楽・映像などの投稿にも便利です。収益化の手段は先に述べたとおりですが、例えばマガジン機能を使うことで、漫画を連載作品としてまとめたり、イラストをテイストごとにギャラリーとして整理したりできます。

pixiv

プロから一般の人まで累計8,400万人以上の登録ユーザーをもつ、イラストや漫画の投稿サービスです。「クリエイターのためのSNS」を標榜し、ファンとの交流や新たなクリエイターの発掘・育成にも力を入れています。収益化の手段としては月額制のファンコミュニティである「FANBOX」があります。連携するBOOTHという販売プラットフォームを利用して、作品の販売も可能です。

PIXTA

PIXTAは、写真やイラストなどの画像素材を登録・販売できるストックフォトサービスのひとつです。登録した素材がダウンロード購入されると、規定のコミッション率(報酬割合)に応じて報酬を受け取れます。

音声・音楽プラットフォーム

音声コンテンツは急成長する市場のひとつです。マネタイズ手法としては月額課金や投げ銭機能がよく見られます。

Voicy

国内最大の音声プラットフォームであるVoicyは、審査に通ったパーソナリティだけがチャンネルを持って放送できます。主な収益化手法は以下の3つです。

リスナーからの月額課金「プレミアムリスナー」
リスナーからの金銭での支援「差し入れ」
企業を中心とした「チャンネルスポンサー」

このほか、再生回数に応じた収益化プログラムを開発中という発表もありましたが、2022年12月時点ではサービス開始にはいたっていないようです。

stand.fm(スタンドエフエム)

2020年にサービス開始し、誰でも気軽に音声配信ができるとして人気を集めるプラットフォームです。収益化の手法には以下があります。

リスナーからのギフト(投げ銭)
再生時間に応じた収益化
月額料金制のメンバーシップ
音声コンテンツの販売

Spotify

音楽ストリーミング配信サービスで世界最大シェアを誇るSpotifyは、音声配信サービスのポッドキャストも手がけています。2021年、クリエイターを収益化する月額サブスクリプションサービスが開始されたものの、現時点で日本は対象になっていません。ただ、Spotifyは日本でもクリエイターの支援を拡充することを発表しており、今後の収益化が期待されます。

クラウドファンディングプラットフォーム

サポーターから支援を募り出資金額に応じてリターンを行うクラウドファンディングも、クリエイターのマネタイズに使いやすいプラットフォームです。制作費などをプロジェクトとして掲載し、リターンとして作品を提供する形態が多く見られます。

一時的な資金調達だけでなく、ファンとのエンゲージメント向上の手段としても注目されるようになってきました。目標金額に届かなければ成立しない「All-or-Nothing」方式を選べば、リスクを抑えて資金調達ができます。

CAMPFIRE

国内最大のクラウドファンディングプラットフォームです。幅広いジャンルを取り扱い、低価格から支援金額を設定できる点が魅力です。

Makuake

「応援購入サイト」を自称するMakuakeは、サイバーエージェントグループの事業として始まりました。同社のもつノウハウや告知力を活用できる強みがあります。

FiNANCiE(フィナンシェ)

トークン発行型という特殊な方式のクラウドファンディングプラットフォームです。サポーターは応援の証として支援したいプロジェクトの「トークン」を購入します。トークン自体がコミュニティのなかで経済価値をもち、サポーターにもメリットのある構造といえます。プロスポーツチームでの実績が豊富です。

物販プラットフォーム

作品の販売は、直接的に収益を得られる手段です。さまざまなプラットフォームの登場により、個人でオンラインショップをもつことが容易になりました。

BASE(ベイス)

登録料や月額利用料といった固定費なしにオンラインショップを開設し、グッズやデジタルデータの販売ができます。ショップデザインは豊富なテンプレートから作ることができ、初心者でもはじめやすい物販プラットフォームです。

Shopify(ショッピファイ)

カナダで創業された、世界最大のECサイト制作プラットフォームです。海外販売に強いという特徴があるため、ファンが海外にも多いクリエイターには有力な選択肢となるでしょう。

BOOTH(ブース)

イラスト・漫画投稿サイトの大手pixivと連携した物販プラットフォームです。発送代行・保管サービス、購入者が価格に上乗せしてクリエイターを支援できる「BOOST」機能、Web即売会の主催など、充実したサポートが用意されています。

minne(ミンネ)

ハンドクラフト専門の販売プラットフォームです。イベントや勉強会、撮影用スペースの提供や写真撮影・ライティング代行の紹介などもあり、作り手の支援に力が注がれています。

クリエイターエコノミー

クリエイターエコノミーが企業活動に与える影響も増大しています。企業がクリエイターや市場を理解し、共存共栄していくためには、世代別に興味・関心を把握し、ターゲットに合わせた戦略を練る必要があります。X世代からα世代までの消費活動の傾向やマーケティング施策のポイントについてまとめた資料も公開中です。そちらもご参照ください。

Z世代マーケティング攻略法

クリエイターエコノミーと企業の関係

クリエイターエコノミーは、個々のクリエイターの収益だけでなく、企業にとってもビジネスの機会になりえます。近年、個人の影響力を利用したインフルエンサーマーケティングは、特にD2Cビジネスにおいて欠かせないマーケティング手法となっています。

PRだけでなく、クリエイターと連携した商品・コンテンツ制作などもますます盛んになるでしょう。また、プラットフォームの運営や、活動サポート・マネジメントなど、クリエイターに向けたサービスはクリエイターエコノミーにおいて重要な位置を占めており、今後も多くの企業の参入が予想されます。

2021年8月には、YouTuberのマネジメントなどを手がけるUUUMと、note、BASEの3社が中心となって「一般社団法人クリエイターエコノミー協会」が設立されました。クリエイターを保護し活動を促進する環境が整っていくことで、クリエイター活動はさらに活発になるでしょう。

さらに、記事冒頭に紹介した三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によれば、潜在クリエイターは2,200万人ものぼると推計されています。クリエイターエコノミーはさらなる成長が見込まれる市場なのです。

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