施策の効果を最大化するための 消費者の行動心理をマーケティングに活用する方法
人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く行動心理学。その原理原則を正しく活用すれば、商品やサービスの魅力を最大限に訴求したり、顧客を動かすことが可能となります。この資料では、マーケティングに活用できる行動心理学についてわかりやすく解説します。
行動心理学は、人間の行動と結びついた心理を分析できるため、マーケティングに役立ちます。この記事では、消費者心理をマーケティングに活用するための代表的な行動心理学の手法を、施策の目的に合わせて紹介します。
「人を動かす」心理学の使い方をご存知ですか?すぐに実践に活かしたいという方に向けて、ポイントをまとめた資料をご用意しました。
行動心理学とは、アメリカの心理学者ジョン・ブレイザー・ワトソンが提唱した、人間の行動から心理を分析・研究していく学問のことです。具体的には、しぐさや声のトーン、表情などの行動パターンから、人間の心理を分析するのです。
行動心理学は、人との円滑なコミュニケーションにも役立つため、「仕事に活用できる」と考えるビジネスパーソンの間で注目を集めています。
行動心理学は、マーケティングにも役立ちます。マーケティングでは、ユーザーが商品やサービスを認知し、購買にいたるまでの仕組みを作り、戦略的にユーザーにアプローチする必要があります。
この一連の流れの中で、顧客が必要とする情報を、行動心理学をふまえた必要なタイミングで届けることで、購買行動が起きやすくなるでしょう。マーケティングでは、ユーザーにどのようなニーズがあり、どのような購買行動を起こすのかを理解しているほど、効果的な戦略を立てられるのです。
「マーケティング心理学」に着目した名著として『影響力の武器』があります。その中では、人を動かす原理が次の6つにまとめられています。
返報性 | 何らかの恩恵を受けたら、お返しせずにはいられなくなる。 |
・無料プレゼント |
コミットメントと一貫性 | 一度決めたことは一貫した行動を取り、自らの決定を正当化しようとする。 |
・小さな要求でYESを引き出す |
社会的証明 | 他人の評価に基づいて、物事の成否を判断する。 |
・口コミ |
好意 | 好意を感じている相手からは影響を受けやすい。 |
・相手との類似点を強調する |
権威 | 専門性のある人物の意見に従ってしまう。 |
・専門家のコメントを掲載 |
希少性 | 手に入りにくくなると、欲しくなってしまう。 |
・限定品 |
論理的思考力と洞察力を養い、問題解決能力を伸ばすためには多角的な視点を持つことが重要です。Sprocketでは顧客心理を読み解くためのヒントをわかりやすくお届けするメディア「スプ論」も公開しています。知見を広げる情報発信を行っていますので、ぜひご覧ください。
企業にとって消費者の行動心理を理解することは、利益の向上に大いに役立ちます。日常的に使う身近な場所でも、消費者の行動心理を活用したマーケティングがなされているのをご存知でしょうか。
例えば、コンビニやスーパーでは、店内のBGMでユーザーの歩くスピードをコントロールしたり、生活必需品を店内に分散配置したりすることで、消費者を回遊させ購買の機会を増やしています。このように、企業が消費者の行動をコントロールするために、行動心理学が活用されているのです。
「行動心理学」をマーケティングに活用するポイントをわかりやすくまとめた資料を公開中です。そちらもぜひご参照ください。
どのような目的で消費者をコントロールしたいかによって、役立つ行動心理学のパターンは異なります。施策の目的や見込み客の消費者心理ごとに、活用できる手法を解説します。
商品やサービスの購買につなげるためには、まずユーザーに商品・サービスを知ってもらうことが重要です。商品やサービスの認知が目的であれば、「カリギュラ効果」「プロスペクト理論」「ハロー効果」などの行動心理学が役立ちます。それぞれの特徴を紹介します。
カリギュラ効果は、禁止や制限をされると「かえって興味関心が高まる」行動心理のことです。
カリギュラ効果の語源は、アメリカで公開された『カリギュラ』という映画。『カリギュラ』は過激な描写が多く、一部の地域で上映禁止になったのですが、上映禁止されたことでかえって人々の興味関心を高め大ヒット作品になりました。
カリギュラ効果を使った例として「キャッチコピーに禁止ワードを使う」「会員限定など制限をつける」という手法が多く使われます。例えば「痩せたい人以外は見ないでください」「この箱は絶対に1人で開けないでください」というように行動を制限された時に、人の興味関心は高まる傾向にあります。
また、Web記事やコラムでは、「続きは会員のみ読めます」と規制することでユーザーの「続きを読みたい」という興味関心を高め、会員登録に誘導する施策がよく使われています。
プロスペクト理論は「人は損失を避けたいと思うあまり、合理的ではない選択をしてしまう」という意思決定に関する行動心理です。プロスペクトは「見込み、展望、期待」を意味し、プロスペクト理論は、心理学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって1979年に提唱されました。
プロスペクト理論には「損失回避の法則」があります。例えば、以下のAとBどちらを選択するかという意思決定に「損失を避けたい」という心理が影響するのです。
大半は100万円が必ず手に入るAを選びます。しかし「200万円の負債がある」という条件を追加すると、大半がBを選びました。これは「損失を避けたい」という心理が影響し、確実に100万円を受け取るよりも、50%の確率で200万円の負債を帳消しにできる可能性があるBを選ぼう、という感情の歪みが生じているのです。
プロスペクト効果をマーケティングに活用するなら、期間限定セールや返金保証などの施策が考えられます。期間を限定することで「今買わないと損をする」という考えが働き、購買行動を刺激できるでしょう。返金保証は、消費者の損失を回避する「返金」という手段を与えることで「合わなかったらどうしよう」という不安を取り除けるため、商品の購入につなげやすくなります。
ハロー効果は「目立つ特徴が、対象の印象や評価に影響を与える現象」のことです。心理学者のエドワード・ソーンダイクによって、1920年に提唱されました。ハロー(halo)は「後光、円光」を意味し、対象が後ろから照らされることで、本来の価値以上だと錯覚することを指しています。
例えば、ビジネスの場で「英語が話せる」というだけで「仕事ができる」という印象を与えるのもハロー効果です。
マーケティングにおいて、スポーツ選手をプロテインのCMに起用することで「あのプロテインは効果がありそうだ」と消費者に思わせる効果が期待できます。スタートアップ企業が信頼性を高めるためにオフィスを都心に構えるのも、ハロー効果を活用していると言えるでしょう。
行動心理学をマーケティングに応用する際に重要となるライティングスキル、「言葉選び」についてまとめた下記の資料もご参照ください。
行動心理学は、消費者のニーズを喚起させ、購買行動を起こすこともできます。ニーズの喚起に役立つ「バーナム効果」「カクテルパーティ効果」「バンドワゴン効果」について紹介します。
バーナム効果とは、多くの人に当てはまることを言われているにもかかわらず「これは自分のことを指しているのだ」と感じてしまう行動心理です。バーナム効果は、アメリカの興行師P・T・バーナムの「We've got something for everyone」(誰にでも当てはまる要点というものがある)という言葉から、アメリカの心理学者ポール・E・ミールによって名付けられました。
例えば、占い師に「あなたには今悩んでいることがありますね」と言われると、「自分のことをわかってくれた」と感じ、好感や信頼を寄せることがあります。しかし、実は占い師は誰にでも当てはまることを言っただけであり、ここにバーナム効果が使われているのです。
バーナム効果は営業やマーケティングの場でも活用できます。営業の場では、いきなり商品説明を始めるよりも、まず「給与計算に時間がかかっていませんか?」などと切り出す方が効果的です。
相手に「自分の悩みを理解してくれ、信頼できそう」と思わせることで、商品やサービスを検討する心理に持っていくことができるからです。マーケティングでは「毎日忙しいあなたにピッタリ」など「あなた」を主語にすることで「これは自分のための商品だ」と感じさせ、購買行動をコントロールできるでしょう。
カクテルパーティ効果とは、カクテルパーティのように雑音が多い時でも、自分に関連する話題や名前はすぐに聞き取れるという行動心理です。心理学者のコリン・チェリーによって、提唱されました。
カクテルパーティ効果は、営業やマーケティングに活用できます。カクテルパーティー効果を活用する際は、ターゲットを絞り、関連性の高い単語を使うのがポイントです。
例えば、デパートでは「いらっしゃいませ」と呼びかけるより「夏物入荷」「セール中」という単語を使う方が、消費者のニーズにアプローチできより多くの集客が期待できます。
また、時期によっては来店目的に合わせて「お中元」「送料無料」など関連性の高い単語を使うのも効果的でしょう。
バンドワゴン効果とは、多くの人が支持する物に、より多くの人気が集まることです。アメリカの経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインによって提唱されました。「バンドワゴン」は「パレードの先頭を行く楽隊車」を意味し、楽隊車の後に行列ができている様子をイメージして名付けたと言われています。
営業やマーケティングにおいては、「業界でのシェア率No.1」「利用者100万人突破」などと説明することで「多くの人が使っているなら確実にいい物だろう」と興味関心が高まるのがバンドワゴン効果です。消費者が購買行動を起こす際に、他者の意見も大きく影響を与えることがわかります。
マーケティングにおいて、顕在層が自社と競合を比較検討している時に有効な行動心理学の手法があります。CVの獲得に役立つ「アンカリング効果」「ヒューリスティック効果」「スノッブ効果」について解説します。
アンカリング効果とは、最初に見た数字によって、その後の数字への認識が異なるという認知バイアスのことです。
「アンカー」は船の「いかり」のことで、例えば「1万円のバッグが期間限定で5千円!」と言われると、最初の1万円が基準となり5千円を安いと感じてしまうのがアンカリング効果です。実際はそのバッグの相場が5千円以下なら安いとは言えませんが、最初に1万円を提示するアンカリング効果によって「安いと感じて」しまうのです。
ビジネスの場でも、アンカリング効果は多く使われています。見積もりの際に、希望額よりも高額で提示し、次に希望額である少し値下げした金額を提示することで、相手に「安くなった」と感じさせ、希望額で受注できる可能性が高まります。
ヒューリスティック効果とは「先入観や経験にもとづき、ある程度正しそうな答えを見つける思考法」のことです。例えば、スーツを着ている人は会社員であると判断したり、空を見て雨が降りそうと判断したりするのが、ヒューリスティック効果になります。
個人の感覚にもとづいた判断になるため、認知バイアスが働きやすく、思い込みや自分の都合のいいような行動につながる恐れもあります。
マーケティングでは「イメージ戦略」「期間限定の値引き」「松竹梅戦略」の主に3つの戦略でヒューリスティック効果が活用できます。イメージ戦略は、CMや広告で消費者に商品のイメージを印象付けることで、どの商品を購入しようか迷った際に、親しみのある商品を買おうとする心理を働かせることです。
また期間限定の値引きも効果的で「今なら1万円が5000円で買えます」と提示することで、購入の早期決断につながるでしょう。松竹梅戦略は、「高いものは良いもの」「安いものは悪いもの」という思い込みを狙ったヒューリスティック効果です。例えば、レストランのコースメニューに「10,000円、8,000円、6,000円」の3種類を用意しておくと、高すぎず安すぎない、真ん中の8,000円のコースが選ばれやすくなります。
スノッブ効果とは、多くの人が持っている物に対して「人と同じものは嫌だ」と感じる行動心理です。アメリカの経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインによって提唱されました。
スノッブ効果には希少性のある物に魅力を感じる心理が関係しており、多くの人が支持する物に、より多くの人気が集まる「バンドワゴン効果」とは真逆の心理になります。
マーケティングでスノッブ効果を活用した事例には、「地域限定のお土産」「数量限定の高級車」などがあげられます。旅先では「ここでしか手に入らないなら買って帰ろう」と財布の紐が緩みます。
また、手が届く人が限られている高級車の中でも数量限定となると、さらに特別感が増し購買意欲を刺激するのです。
施策の効果を最大化するための 消費者の行動心理をマーケティングに活用する方法
人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く行動心理学。その原理原則を正しく活用すれば、商品やサービスの魅力を最大限に訴求したり、顧客を動かすことが可能となります。この資料では、マーケティングに活用できる行動心理学についてわかりやすく解説します。
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