施策の効果を最大化するための 消費者の行動心理をマーケティングに活用する方法
人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く行動心理学。その原理原則を正しく活用すれば、商品やサービスの魅力を最大限に訴求したり、顧客を動かすことが可能となります。この資料では、マーケティングに活用できる行動心理学についてわかりやすく解説します。
親近効果とは、最後に接した情報が全体の判断に影響を与える「終わりよければすべてよし」とも言える心理効果のことです。ピーク・エンドの法則との違い、初頭効果との使い分け、親近効果をマーケティングに応用する具体例を紹介します。
「人を動かす」心理学の使い方をご存知ですか?すぐに実践に活かしたいという方に向けて、ポイントをまとめた資料をご用意しました。
親近効果は、最後に提示された情報が、印象や判断に強く影響する現象を言います。アメリカの心理学者ノーマン・H・アンダーソンによって提唱された概念です。
アンダーソンは、模擬裁判形式の実験で、弁護側・検事側それぞれの証言を順序のパターンを変えて行い、陪審員(被験者)の判断に違いがあるかを調べました。結果、どのような順序であっても「最後に証言した側」を正しいと判断するケースが多く見られました。つまり、より直近に接した情報のほうが、評価に影響を及ぼしやすいことが示されたのです。
このように、複数の情報を記憶する際、提示された位置によって情報の思い出しやすさに差が出る現象は、「系列位置効果」と呼ばれます。系列位置効果には親近効果のほか、最初に与えられた情報が記憶されやすいという「初頭効果」が知られています。
初頭効果は、初めに提示された情報ほど印象に残りやすいという心理効果です。初対面のときに受けた第一印象が後々まで強くイメージに残るといった経験は、少なからず誰にもあるのではないでしょうか。
真逆の作用とも言える親近効果と初頭効果が、どちらも成立する理由は、記憶のメカニズムの違いで説明されます。
まず、親近効果は短期記憶によって起こると言われています。与えられたばかりの情報は短期記憶に残りやすく再生されやすいため、最後の情報が判断に強く影響する、すなわち親近効果がはたらくということです。
一方の初頭効果は、長期記憶が関係するとされます。最初に提示された情報は、覚える時間が長く、またくり返し覚えようとすることから、長期記憶に引き継がれやすく印象に残りやすいと考えられるのです。
親近効果と似た心理作用に「ピーク・エンドの法則」があります。ピーク・エンドの法則は、名前のとおり感情が最も高ぶった「ピーク」の場面、および出来事が終わった「エンド」の部分は、記憶に残りやすく全体の印象を決定づけるという考え方です。例えば映画を観た際、クライマックスシーンとラストシーンの面白さが映画全体の評価を左右することは少なくないでしょう。
この法則はノーベル経済学賞を受賞した心理学・行動経済学者ダニエル・カーネマンが提唱しました。終わりが重要という点は親近効果と共通しますが、ピーク・エンドの法則は途中の盛り上がりの重要性に着目した点が特徴です。
論理的思考力と洞察力を養い、問題解決能力を伸ばすためには多角的な視点を持つことが重要です。Sprocketでは顧客心理を読み解くためのヒントをわかりやすくお届けするメディア「スプ論」も公開しています。知見を広げる情報発信を行っていますので、ぜひご覧ください。
親近効果はビジネスシーンでも広く役立てられています。マーケティングでは、以下のようなシーンで親近効果の活用が図れるでしょう。
親近効果を発揮する方法のひとつは、商談後や商品販売後のアフターフォローです。
適切なアフターフォローによって、直近の情報が強く影響する親近効果がポジティブな方向にはたらき、商品や企業に対して好印象を残すのに役立つでしょう。
お礼のメールや手紙といった方法が考えられます。
プレゼンテーションや商談は、相手に多くの情報を伝えられる状況ですから、話の構成によって親近効果を狙いやすいシーンです。
具体的には、最も訴求したいことを最後に伝えるようにストーリーを構成すると、顧客の印象に残りやすく効果的でしょう。
自社サイトなどに商品・サービスの口コミを掲載する際にも、親近効果を応用できます。
複数の口コミのうちポジティブな評価の口コミを後半に持ってくることで、親近効果が狙えるでしょう。
ただしこの方法は、ユーザーが最後まで口コミを読んでくれることが前提となります。親近効果が有効なケースや初頭効果との使い分けについては、次項で紹介します。
マーケティング施策を実行する上で、親近効果といった人の行動原理を読み解くことは重要です。人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く「行動心理学」をマーケティングに活用するポイントをわかりやすくまとめた資料を公開中です。そちらもぜひご参照ください。
最後に提示された情報が判断に強く影響する親近効果に対し、初頭効果は最初に提示された情報が強く印象づけられる心理効果です。
両者は真逆とも言える現象であり、結局のところ最初と最後のどちらが肝心なのか、迷う場合もあるのではないでしょうか。
親近効果と初頭効果の使い分けには、以下のような観点が考えられます。
アメリカの心理学者メイヨーとクロケットは、実験を通じて、親近効果が発揮されるには「認知的複雑性」の高さが鍵となる可能性を示しました。
認知的複雑性とは、社会的事象や他人を捉える際に、複数の視点から考えられるかどうかを指す言葉です。
例えば「Aさんは部下に厳しすぎるが、困った時に責任を引き受けてもくれるので、悪い人ではない」というように、複数の視点で物事を捉えグレーな判断を許容できる人は、認知的複雑性が高いと言えます。
一方で「Aさんは部下に厳しすぎるので、ひどい人だ」というように、単一の見方にとらわれがちな人は、認知的複雑性が低いと言えます。
認知的複雑性の高い相手には、初頭効果を狙って、訴求したいことを最初に印象づけるほうが有効です。
これは、最後に提示された情報だけに惑わされることが少なく、多面的・総合的に物事を見ることができ、親近効果がはたらきにくいと考えられるためです。
認知的複雑性が高くないと考えられる相手には、親近効果が見込めます。多くの情報を総合的に判断するのが不得意な相手には、伝えたいことを端的に提示するのが効果的です。最もアピールしたいことを最後にわかりやすく伝えることで、判断を後押しできるでしょう。
親近効果と初頭効果のどちらを狙うべきかは、相手の興味関心の度合いによっても異なります。
例えば、初対面の営業先と、何度もやりとりを重ねた営業先とでは、相手がこちらの話を聞くスタンスも異なりますね。相手に合わせた使い分けのポイントを見ていきましょう。
初対面の営業先など、自分の話に対してそれほど興味関心を持っていない相手には、初頭効果を狙うのが望ましいでしょう。
初めに訴求力のある情報を提示することで相手の関心を惹きつけ、興味を持って続きを聞いてもらうことができます。
逆に、何度もやりとりを重ねて興味関心が高まっている相手には、親近効果が期待できます。
話を最後まで聞いてくれる可能性が高いため、重要な情報を最後に持ってくる構成によって、相手に強い印象を残せるでしょう。
親近効果をマーケティングに応用する際に重要となるライティングスキル、「言葉選び」についてまとめた下記の資料もご参照ください。
前述したとおり、親近効果と初頭効果は状況や相手によって発揮しやすさが異なります。どちらの効果も取りこぼしたくない場合は、うまく組み合わせて使うことを検討しましょう。
例えば、プレゼンテーションにおいて強調したい内容を、話の冒頭と締めくくりの両方に配置する方法です。これにより、初頭効果と親近効果の両方が狙えるため、相手の認知タイプや興味関心の度合いに関わらず、印象に残るプレゼンテーションになるでしょう。
さらに、初頭効果と親近効果には共通して「中間の話は印象に残りにくい」という特徴があります。これを利用して、プレゼンテーションでは「メリット→デメリット→メリット」の順に話を組み立てると効果的でしょう。
このように、提示する情報の順序を意識することで、より伝わりやすく、印象に残るマーケティングにつなげられるのです。
施策の効果を最大化するための 消費者の行動心理をマーケティングに活用する方法
人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く行動心理学。その原理原則を正しく活用すれば、商品やサービスの魅力を最大限に訴求したり、顧客を動かすことが可能となります。この資料では、マーケティングに活用できる行動心理学についてわかりやすく解説します。
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