施策の効果を最大化するための 消費者の行動心理をマーケティングに活用する方法
人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く行動心理学。その原理原則を正しく活用すれば、商品やサービスの魅力を最大限に訴求したり、顧客を動かすことが可能となります。この資料では、マーケティングに活用できる行動心理学についてわかりやすく解説します。
フットインザドアは交渉や依頼における心理テクニックで、簡単な要求から段階的にレベルをあげて、最終的に大きな要求を承諾させる方法です。この記事では、似た概念のドアインザフェイス、ローボールとの違い、フットインザドアの具体例と注意すべき失敗例を解説します。
「人を動かす」心理学の使い方をご存知ですか?すぐに実践に活かしたいという方に向けて、ポイントをまとめた資料をご用意しました。
フットインザドアとは、最初に相手に小さな要求を呑ませ、段々とその要求を大きくしていくことで目的となる要求を承諾させる心理テクニックです。
フットインザドアは、訪問販売のセールスマンが話を聞いてもらうため、扉を閉められないように靴先をドアの中に突っ込む行為( foot in the door )に由来しています。
段階的要請法とも呼ばれ、人間の「一度ある立場を取ったら、その立場を簡単に変えたくない、あるいは意見を簡単に変える人であると思われたくない」という心理、すなわち一貫性の原理を使っています。
わかりやすくいえば、人間は「一度相手の要求を受け入れてしまうと、次の要求を拒否しにくくなる」心理を持っているのです。
例えば、訪問販売の「5分だけでもお話を聞いてもらえないでしょうか」という要求をOKしてしまうと、その次の「チラシを見てもらえませんか」「今契約すれば初回の水代が無料ですので、ウォーターサーバーを試してみませんか」といった要求もOKしやすくなってしまうでしょう。
ドアインザフェイスは、最初に大きな要求を相手に断らせたうえで、譲歩案として本来の要求を提示し、相手に承諾させる心理テクニックです。
ドアを目の前でぴしゃりと閉める「門前払い( shut the door in the face )」に由来しています。
譲歩的要請法とも呼ばれ「相手が何かしてくれたら、こちらも返さなくてはならない」と感じる返報性の原理を使った交渉術です。
例えば、30万円で契約を取りたい場合、あえて最初に50万円の見積書を提示して「高すぎる」と断らせます。その後「頑張ってプランを変更し、値引きをした結果」として30万円の見積書を提示すると、相手は「そんなに頑張って値引きしてくれたのなら、契約しないと悪い気がするな」と感じるため契約しやすくなるのです。
フットインザドアとドアインザフェイスは「最初の要求を相手に承諾してもらうかどうか」が異なっています。そのため、要求を小出しにできる初回契約時や、返報性の原理が働きにくい上下関係がある時は、段階的なOKを狙うフットインザドアを、小出しにできる要求がない契約更新時などには、一見譲歩したように見えるドアインザフェイスが向いていると言えるでしょう。
ローボールとは、最初に相手にとって承諾しやすい、あるいは魅力的な条件を提示しておき、後からその条件を変更する心理テクニックです。
受け取りやすい、低いボールから投げることを由来としており、フットインザドアと同様「一度承諾したら次は拒否しづらい」という一貫性の原理を利用しています。
例えば「今ならスマートフォンの新規契約で機種代が無料です」と言って顧客を勧誘しておきながら、契約直前になって「実は機種代が無料になる機種は決まっていて、お客様は対象外です」と告げるのがローボールです。
顧客は「自分に不利な状況だけれども、一回承諾してしまったから」と考え、契約を断りづらくなります。
しかし、ローボールは顧客が「騙された」と感じることも多く、その場で契約が成立したとしても、顧客との長期的な信頼関係の育成には悪影響です。ビジネスやマーケティングの場では使うべきではないでしょう。
マーケティング施策を実行する上で、フットインザドアといった人の行動原理を読み解くことは重要です。人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く「行動心理学」をマーケティングに活用するポイントをわかりやすくまとめた資料を公開中です。そちらもぜひご参照ください。
ビジネスシーンで実際に使われているフットインザドアの具体例を紹介します。自社で使える手法がないか検討してみましょう。
顧客にいきなり商品やサービスの購入や契約を迫るのではなく、無料サンプルや試用期間を設けて、まず商品・サービスを試してもらうのもフットインザドアの手法です。
無料サンプルや試用期間であれば料金が発生しないため、顧客も手を出しやすくなります。
また、一度承諾してしまうと「次も承諾しなくてはならない」という一貫性の原理が働き、正式な契約に結びつきやすくなるのです。
顧客の立場では、サンプルや試用期間で使い勝手が分かるため、安心して契約に至りやすいというメリットもあります。試着や試食、無料体験レッスンなどもこの手法の応用です。
企業がSNSアカウントやオウンドメディアで集客する際、いきなり商品やサービスを紹介し、読者に購入を迫るのではなく、メルマガや資料請求など小さな承諾行為を挟んでから購入に結びつけるのもフットインザドアの具体例です。
いきなり商品の購入やサービスの契約を突きつけられても読者は戸惑ってしまいます。しかし、間に「メルマガ登録」や「ホワイトペーパーのダウンロード」などの小さな承諾を挟むことで、一貫性の原理が働き、次の要求である契約も承諾しやすくなるのです。
テレアポやインサイドセールスで「契約するかどうか決めるのは後でいいので、話だけでも聞いて欲しい」「5分だけお時間いただきたい」と言われたことはないでしょうか。
電話などで営業する場合はまず「話を聞いてもらう」というのがフットインザドアの小さな要求になります。話を聞くことを承諾すると、次にサンプル商品などを勧められても承諾しやすくなるため、導入として利用するとよいでしょう。
論理的思考力と洞察力を養い、問題解決能力を伸ばすためには多角的な視点を持つことが重要です。Sprocketでは顧客心理を読み解くためのヒントをわかりやすくお届けするメディア「スプ論」も公開しています。知見を広げる情報発信を行っていますので、ぜひご覧ください。
営業テクニックとして有名なフットインザドアですが、使い方によっては失敗してしまうこともあります。以下で紹介するポイントに気をつけて、上手にフットインザドアを活用しましょう。
最初の要求から次の要求へのギャップが大きいと、要求を突きつけられた相手は拒否感を持ちやすくなってしまいます。
例えば、あなたが最初に「5分間だけ手伝って欲しい」と頼まれて承諾し、その後「やはり5分では足らないから、手伝いを1時間に延長して欲しい」と要求されたと仮定してみましょう。
「5分と言われたからOKしたのに、後から1時間にするのは飛躍し過ぎではないか」と感じるのではないでしょうか。1時間の手伝いをお願いしたいのであれば最初は30分程度で依頼するなど、次の要求までの振り幅を大きくしすぎないようにしましょう。
フットインザドアでは、何回も要求を繰り返すとかえって承諾率が低くなってしまうことが知られています。実際に実験を行った所、2回要求をするよりも3回要求をしたほうが承諾率が低くなりました。
つまり、短い間に相手に何回も要求を繰り返すと「しつこい」と思われて嫌がられてしまうのです。短い間に何回も要求をせずに目的に到達できるよう、何を要求として採用すべきか事前に策を練っておくとよいでしょう。
最初の要求と次の要求が全く関係のないものであると「すぐに意見が変わる人だと思われたくない」という一貫性の原理が働きにくいため、フットインザドアの効果がみられなくなってしまいます。
例えば「化粧品の無料サンプルを試して欲しい」と言われ、受け取った後に「ところで、こちらのウォーターサーバーの契約をしませんか」と化粧品とは関連性のないセールスをされても驚きますし、関係ない話なので断ってしまうでしょう。
「商品の購入」が目的なのであれば、最初からその商品に関連した要求にするなど、相手が一貫性のある態度を取れるようにしましょう。
フットインザドアをマーケティングに応用する際に重要となるライティングスキル、「言葉選び」についてまとめた下記の資料もご参照ください。
営業やマーケティングにおいて強力なテクニックであるフットインザドアですが、いつでも有効というわけではありません。
あまりに露骨に使いすぎると相手に「押しが強い」と思われたり「少し話を聞くだけのつもりだったのに、延々とセールスをされて困った」とクレームになったりすることもあります。
常に次の要求を押し付けていくのではなく、相手の様子を見極めて、場合によってはさっと引き下がることも選択肢に入れておくようにしましょう。
相手の様子に合わせてセールステクニックを使い分けることで、より顧客満足度の高い契約ができるでしょう。
施策の効果を最大化するための 消費者の行動心理をマーケティングに活用する方法
人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く行動心理学。その原理原則を正しく活用すれば、商品やサービスの魅力を最大限に訴求したり、顧客を動かすことが可能となります。この資料では、マーケティングに活用できる行動心理学についてわかりやすく解説します。
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