セグメンテーションとは?ターゲティング・ポジショニングとの違い、主な分類法や成功事例を解説

マーケティング

Sprocket編集部

セグメンテーションとは?ターゲティング・ポジショニングとの違い、主な分類法や成功事例を解説

マーケティングにおけるセグメンテーションは、対象市場の顧客をニーズや特性ごとに分類することです。コロナ禍以降の変化や、ターゲティング・ポジショニングとの違い、STP分析におけるセグメンテーションの位置付け、具体的な分類法や成功事例を紹介します。

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セグメンテーション(segmentation)とは?

セグメンテーション(segmentation)は「区分」「区分け」の意味を持ち、市場にいる不特定多数の顧客をニーズや特性などに応じて細分化することを指します。マーケティング領域では「特定の属性ごとにグループを作ること」と定義されています。

マーケティング戦略では、市場においてどのターゲット層であれば自社商品・サービスが勝てるのかを見極めることが重要です。たとえ同じ商品を販売する場合でも、どの市場を狙っていくのかによって競合先が変わるためです。

基本的にセグメンテーションは、市場調査を実施後、ターゲティングを行う前の準備段階として実施します。細分化したセグメントごとにニーズや特性に合わせた施策を実施することで、その後のターゲティングやポジショニングなどの効率アップが見込めます。

コロナ禍以降のセグメンテーション

2020年に世界中を襲った新型コロナウイルスは、経済や社会に大きな影響を与えました。コロナ禍によって人々の価値観やライフスタイルが変わり、例えば在宅勤務の有無や子どもの世話の有無など、個々の状況によって悩みやニーズが大きく異なるようになりました。そのため、企業はコロナの影響によって顧客のニーズが大きく変化していることを理解した上で、以下のようなセグメンテーションの見直しが必要です。

セグメンテーションの見直しには、デジタルデータの活用も有効です。例えば、コロナ禍で外食は減ったものの「お取り寄せ」や「ギフト」の市場は活発になりました。これらのマーケットデータをもとにセグメンテーション調査を行えば、新たなマーケティング施策へつなげるきっかけになるでしょう。

セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの違い

マーケティングにおける市場分析には、セグメンテーションの他にターゲティングやポジショニングなどの言葉が使われます。この3つの違いを改めて確認しておきましょう。

セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングは、それぞれの頭文字をとって「STP」と呼ばれ、マーケティング戦略の基礎的なフレームワーク「STP分析」でも利用されています。

マーケティングにおけるセグメンテーションの役割

STP分析におけるセグメンテーションは、ターゲティングとポジショニングに先駆けて、市場を細分化するために行います。

ターゲティングは、セグメンテーションで細分化したグループの中から、適切な領域を選択するための作業です。そのため正しくセグメントを行わなければ、適切なターゲット選定はできません。自社の立ち位置を具体化するポジショニングは、ターゲティングを行う過程でおのずと決まってきます。自社サービスの立ち位置は「どの領域をターゲットにするのか」によって変わりますが、競合と差別化でき優位に立てるポジションを取ることが重要です。

つまり、セグメンテーションの分析を行う際は「何を基準にして市場や顧客を細分化すべきか」を考えることが大切です。とはいえ、セグメンテーション分析を行う上で、何を根拠に市場を切り分けていけば良いのでしょうか。ここからは、市場を細分化する際に使われる主な切り口をみていきましょう。

なお、主要な18種のマーケティングフレームワークをまとめた資料も公開中です。そちらもぜひご参照ください。

マーケティングの主要フレームワーク18選

人口動態変数(デモグラフィック変数)

人口動態変数(デモグラフィック変数)とは、年齢や性別、家族構成や職業といった「客観的な属性で分類する要素」です。年齢なら10代・20代・30代と年代ごとに、職業ならプログラマー・営業職・経理など、細かくセグメントに分類します。

例えば、衣料品、通信業、飲食などでは顧客の年代によって商品やサービスに対するニーズが異なり、コンセプトや宣伝方法も変わります。顧客ニーズと結び付きが強い人口動態変数は、容易に測定できるのが特徴です。そのため、マーケティング戦略において、最も使われている変数といわれています。

地理的変数(ジオグラフィック変数)

地理的変数(ジオグラフィック変数)は、地理的な要素でセグメンテーションを行う際に使われる変数です。主な地理的変数の切り口は以下のとおりです。

地理的変数を使ったセグメンテーションの例として、コンビニのおでんが挙げられます。加工食品市場では、関東と関西でおでんの味付けや具材を変える施策を行っています。これは、地域によって食文化が異なり、味付けや好まれる具材がそれぞれ違うためです。

地理的変数は食品以外にも家電製品や衣料品など、生活習慣や気候によって売れ行きが変化しやすい商品を扱う際にも使われることがあります。地理的変数を考慮した商品選定は、売り上げ向上に加えて商品の売れ残りを減らすことにもつながります。

心理的変数(サイコグラフィック変数)

価値観、パーソナリティ、ライフスタイルなど「感性」の分野に結び付く要素で分析を行う変数を、心理的変数といいます。心理的変数の主な切り口は、以下のとおりです。

例えばオーガニック食品の販売は、健康志向が高く「農薬や添加物をできるだけ回避したい」という価値観を持つ人をターゲットにしています。従来、心理的変数は定性的な領域となることから、ターゲット選定が難しいとされていました。ところが、インターネットやSNSの普及によってデータ解析技術が向上し、消費者のライフスタイルや価値観などを詳細に把握できるようになっています。

なお、人口動態変数では同じセグメントであっても、心理的変数では別のセグメントに分類されるパターンもあります。人口動態変数で「30代の未婚女性」に分類されても、心理的変数では「結婚願望がある」「独身主義」など、別セグメントになることも少なくありません。そのため、心理的変数は別の変数とあわせて多角的に検証する際に活躍しやすい変数といえます。

行動変数(ビヘイビア変数)

行動変数(ビヘイビア変数)とは、商品に対する買い手側の行動パターンや知識などで顧客を分ける変数です。行動変数の主な切り口は、以下のようなものが挙げられます。

行動変数を用いて顧客全体をセグメントすると、以下のように分類できます。

行動変数でのセグメンテーションにより、販売場所やプロモーション方法を変えるなど、顧客に合わせたマーケティング施策が実行できます。

セグメンテーション

セグメンテーションを評価する4つの原則(4Rの原則)

セグメンテーションを実行するときは、単に変数を活用して市場を細分化すればいいわけではありません。自社のターゲットに最適な層を選定するには、4つの原則(4Rの原則)に沿って行うことが大切です。適切なセグメンテーションを実行するために知っておくべき4つの原則を解説します。

Rank(優先度)

Rank(優先順位)では、それぞれのグループの特性を自社の戦略と合わせながら、重要度によって優先順位を付けていきます。市場に優劣を付けられず、どれも同じくらい大事であるという状態では、ターゲティングするのは難しいでしょう。

セグメンテーションで分類されたセグメントの順位づけをして、順位が高いものからターゲティングしていくのがポイントです。自社の経営戦略において、重要度が高く事業で強みを活かせるかを見極めましょう。

Realistic(有効性)

2つ目のRealistic(規模の有効性)では、対象となるセグメントが「売り上げをあげるのに十分な規模の市場・ターゲットであるか」を調査していきます。

市場規模のボリュームが少ないと、たとえ自社ターゲットとマッチしていても売り上げアップは見込めません。売り上げを上げるのに十分なボリュームがない場合は、確度が高い層でもターゲティングすべきではないでしょう。

Reach(到達可能性)

3つ目のReach(到達可能性)では、そのセグメントに対して実際に商品、サービス、プロモーションを届けられるかを調べます。

顧客ニーズにマッチした商品やサービスでも、顧客に価値を認知してもらえなかったり提供できなかったりすると、売り上げにはつながりません。「セグメントした顧客に、自社商品の情報を的確に届ける手段はあるか」を考えながら、施策を打ち出すことが重要です。

Response(測定可能性)

最後のResponse(測定可能性)では、セグメントしたターゲットの規模や購買力、反応などをしっかりと測定・分析可能かどうかを見極めます。

実際に、セグメントしたターゲット層に対してプロモーション・セールスを行い、その反応を明確に把握できれば、今後のマーケティング施策に活かすことができるでしょう。

セグメンテーションの成功事例

セグメンテーションの理解をより深めるには、具体的な成功事例を知っておくことが大切です。ここからは、実際にセグメンテーションを行い新たな市場を開拓した企業の成功事例を紹介します。

アパレル業界の定石から外れた「ユニクロ」

ユニクロは企画・製造・販売を一貫して手がけるSPA(製造販売業)という強みを活かし、「売れる商品を掴み、大量生産で売る」というビジネスモデルを構築しました。

かつて、アパレル業界では「20代男性」「40代女性」など、客層ベースのセグメンテーションにもとづいた販売戦略が一般的でした。その中でユニクロは「トレンドかベーシックか」「カジュアルかフォーマルか」という指標を立てて検証し「カジュアルかつベーシックな商品を作ること」を方針として打ち立てたのです。そして1998年にフリースを販売開始し、結果的に「フリースといえばユニクロ」といわれるまでの成功を収めました。

塾に行けない層を発見した「スタディサプリ」

「スタディサプリ」は、リクルートマーケティングパートナーズが運営するWeb学習サービスです。大学受験の予備校で受講するような質の高い授業をインターネット上で配信し、生徒はスマートフォンやパソコンを使って録画された授業を視聴します。このスタディサプリは「塾に行きたくても行けないニーズ」に注目したことが、誕生のきっかけでした。

スタディサプリの生みの親である山口文洋氏は、「塾がない地域に住んでいる」「経済事情などが原因で塾に通わせられない」という保護者の声から、消費者に「塾に行きたくても行けない」セグメンテーションがあることを発見しました。

加えて、スマートフォンの普及など、現代のIT市場がある中で「従来のような通学型の学習環境に依存しなくても良くなった点」に目を向けたことも、大きなポイントです。2020年度は150万人以上が利用するサービスに成長しました。

ECサイトにおけるセグメンテーションの役割

マーケティングでのセグメンテーションとは別に、ECサイトでも顧客をセグメンテーションして分析することがあります。

顧客セグメント分析には、CRMシステム(顧客関係管理システム)を活用します。CRMシステムでは特徴・属性・購入行動などが似た顧客をグループ分けし、そのセグメントごとに分析していくのが一般的な流れです。細かくセグメント化し分析することで、今まで見えていなかった顧客の行動やニーズなどの情報が可視化されていきます。

ECサイトでは、1人の顧客がいくつかのセグメントに分類されるため、顧客全体から目的に合ったセグメント化を行うことも重要です。

例えば、リピート顧客になってもらうには、その顧客の好みや行動、特徴を理解する必要があります。閲覧履歴や購入履歴から顧客の好みや行動を把握することで、同じ傾向を持つセグメントの行動から顧客ニーズにマッチした商品・サービスをアプローチしやすくなるでしょう。また、既存顧客の維持を目的にする場合は、優良顧客を明確にする必要があります。購入頻度や最新の購入日といった過去の顧客行動を分析し、格付け上位の顧客から特別なキャンペーンなどのアプローチを実施すると良いでしょう。

このように、ECサイトでは顧客の特徴や属性に合わせて、その条件にマッチしたコンテンツを表示させることが重要です。セグメントごとにアプローチを行うことで、商品やサービスをより強く訴求できます。結果的に、ECサイトのコンバージョンや顧客満足度の向上につながるでしょう。

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