アドネットワークとは?広告配信の仕組み、メリット・デメリット、代表的な事業者やDSPとの使い分けを解説

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Sprocket編集部

アドネットワークとは?広告配信の仕組み、メリット・デメリット、代表的な事業者やDSPとの使い分けを解説

Web広告を複数メディアに配信したいときに役立つのがアドネットワークです。この記事ではアドネットワークの仕組みをわかりやすく解説します。メリット・デメリット、代表的なアドネットワーク事業者やDSPとの使い分けまで、しっかり押さえておきましょう。

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アドネットワークの仕組みとは?

アドネットワークとは、広告枠を持っているWebサイトやブログなどのメディアを集めた「広告配信用ネットワーク」のことです。広告主はアドネットワークを利用することで、複数の広告媒体に一括で広告を配信できます。

アドネットワークは、以下のような仕組みで広告を配信しています。

  1. アドネットワーク事業者が、広告を配信したい提携メディアを募ってアドネットワークを作る。
  2. 広告主がアドネットワークに配信したいクリエイティブやテキストなどを登録し、入札する。可能な場合は配信ジャンルやメディアの指定、リターゲティング配信を行うかどうかなどの設定をする。
  3. アドネットワークが入札価格や広告に設定されたジャンルなどにより配信頻度や配信先を決定して各メディアに広告を配信する。

アドネットワークを利用すると、広告の効率的な管理だけでなく、複数メディアへの掲載による、より多くの流入も期待できるでしょう。

アドネットワーク以前の広告配信

アドネットワークが誕生する前は、広告を配信するために、広告主は掲載してもらいたいメディアごとに出稿依頼を行っていました。そのため掲載先メディアの選定に時間がかかり、広告を変更する場合などはメディアごとに修正しなくてはなりませんでした。

また、メディアによって課金方法や入稿方式、効果測定用に提供されるデータも異なっており、どのメディアに広告を出稿すれば効率よく集客できるかなどの比較もしづらく、広告掲載のために大きな負担がかかっていたのです。

さらに広告を掲載するメディア側も、広告枠を購入してもらうための営業や、広告枠を買った会社ごとの費用請求や結果報告など、広告配信のために多くの手間がかかっており、広告枠が売れないリスクもありました。

アドネットワークの登場により、広告主の「もっと広告掲載までの手間を減らしたい」という要望と、広告を掲載するメディアの「もっと簡単に広告を掲載したい」という要望、両方を叶え効率的に広告を配信できるようになったのです。

次の章からは、アドネットワークに関連する用語をみていきましょう。

RTB

RTB(Real-Time Bidding)とは、Web広告を配信する際に利用するリアルタイム入札の仕組みです。RTBによって、Webページにユーザーがアクセスするたびに広告枠ごとの入札が自動的に、かつ瞬時に行われ、最も高い入札額を提示した広告が配信されます。

RTBでの入札価格は常に変動しますが、落札する際の価格は常に「2番目に高い入札金額 + 1円」です。これはセカンドプライス方式と呼ばれ、入札価格の高騰を防ぐ働きをしています。

アドエクスチェンジ

アドエクスチェンジは、複数のアドネットワークやメディアの広告枠を1インプレッション単位で売買するプラットフォームです。アドネットワークではそのアドネットワークに加盟しているメディア全体へ広告の配信を行いますが、アドエクスチェンジでは複数のアドネットワークに加盟しているメディアへ、1インプレッション単位で広告を配信できます。

つまり、アドエクスチェンジを利用すれば複数のアドネットワークへの広告配信や支払いが一括で可能になるのです。課金方式はRTBを利用した入札型インプレッション方式に統一されており、適正な価格での広告配信が行なえます。

データエクスチェンジ

データエクスチェンジとは、オーディエンスデータと呼ばれる個人を特定しないユーザーデータを企業間でやり取りすることです。オーディエンスデータは、具体的にはCookieによるWebページ閲覧履歴や購買履歴、性別や年齢層などのユーザーの属性などを指します。

データエクスチェンジにより、Webページにアクセスしたユーザーのオーディエンスデータに基づいた、より適した広告を配信することが可能になります。

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アドネットワークとリターゲティングの関係

アドネットワークの広告配信では、よりユーザーに適した広告を配信するために、Cookieによるユーザーの行動履歴を参照する「リターゲティング」が導入されているケースが多くあります。

リターゲティングとは、Webサイトを訪れたユーザーのCookieデータ(サードパーティCookie)を利用して、より関連性の深い広告を配信する仕組みです。「1度通販サイトを利用したら、別のWebページを見ているときにも通販サイトの広告が何回も表示されるようになった」という経験がある人は多いと思いますが、あれはまさにリターゲティングを利用したものです。

1度自社サイトにアクセスしたユーザーは、そうでないユーザーよりも自社に対して高い関心を持っていると考えられるため、広告への反応も期待できるでしょう。

サードパーティCookie廃止の影響

現在、サードパーティCookieは個人情報保護などの観点から規制が進んでいるため、リターゲティングの仕組みそのものが大きく変化すると考えられます。

リターゲティングに利用されるサードパーティCookieは、Apple社のSafariではすでに利用できなくなっています。また、Google Chlomeにおいても2023年の後半には廃止が予定されています。

広告配信において有効な手法であるリターゲティングですが、サードパーティCookie廃止によって施策が難しくなるだろうと考えられています。なぜなら、アドネットワークの広告配信システムは、ユーザーのサードパーティCookieを確認することで「この人は以前〇〇社のサイトを見ていたので、この広告をリターゲティング配信しよう」と決めているからです。

プライバシー サンドボックスとは

サードパーティCookie廃止後に、ユーザーのプライバシーを守りつつ、広告収益を生み出す仕組みとして考えられているのがGoogleの「プライバシー サンドボックス」です。

「Topics API」という、前の週のWebサイトの閲覧履歴を元にその人が興味を持っている「分野(トピック)」だけをWebサイトに伝える方法が検討されています。どんなトピックが選ばれているかなどをユーザーが確認できるだけでなく、トピックを自分で選択したり、ユーザーの特定を防止したりするための機能なども実装予定です。

アドネットワーク

アドネットワークのメリット・デメリット

アドネットワークは優れた広告配信方法ですが、メリットもデメリットも存在します。以下でそれぞれ解説していきます。

アドネットワークのメリット

アドネットワークには、広告主にとって以下のメリットがあります。

広告主側は、アドネットワークにクリエイティブやターゲットデータを登録し、入札するだけで複数のメディアへ広告が配信できるため、広告掲載先ごとに契約する手間がありません。

課金形態も統一されるため、支払いもしやすくなるでしょう。効果測定もアドネットワークが行うので信憑性が高く、「配信先によって測定方法が違う」と悩むこともありません。

リターゲティング配信や時間指定配信などができるアドネットワークであれば、より効果の良い、効率的な広告配信が可能です。

アドネットワークのデメリット

アドネットワークには、以下のデメリットもあります。

アドネットワークを利用すると、複数のメディアに一括で広告が配信されます。そのため、気づかないうちに自社のターゲット層とは外れているメディアや、アダルトサイトなど広告を掲載したくないメディアにも広告が配信されてしまう可能性があるのです。

また、アドネットワークはそれぞれ「強み」となるターゲット層を持っていることが多いため、複数のターゲット層に訴求したい場合は複数のアドネットワークを利用しなくてはなりません。

この際、1つのメディアが複数のアドネットワークに加盟していると、1つのWebページに複数の広告が配信されてしまうケースが発生します。1つのページに同じ広告を表示するのは効果が薄いだけでなく、見た人に「しつこい」「広告だらけ」と悪印象を与えてしまいます。

このデメリットを解消するため「配信先媒体が確認できる」「配信したくない広告枠を設定できる」などのサービスを取り入れているアドネットワーク事業者も存在します。アドネットワークでの広告配信の際には確認すると良いでしょう。

代表的なアドネットワーク事業者の特徴

日本における大手アドネットワーク事業者を紹介します。提携先・機能にそれぞれ特徴があるため、自社のマーケティング戦略に合わせて選びましょう。

Google Display Network(GDN)

Google ディスプレイ ネットワークは、Googleが提携しているアプリやWebサイトに広告を配信する、最も規模が大きく有名なアドネットワークの1つです。Google広告の配信キャンペーンタイプの1つであり、年齢層や地域など、配信ターゲットを絞り込むための設定が細かいのが特徴です。

Yahoo!広告 ディスプレイ広告(YDA/旧YDN)

Yahoo!のディスプレイ広告では、Yahoo! JAPANやYahoo!ニュースなどに広告を配信できます。Googleに比べてYahoo!の利用者は年齢層が高めのため、40代以上にアプローチをしたい際に有効だとされています。

Facebook Audience Network

Facebook Audience Networkは、Facebook広告と同じ詳細なターゲット設定や配信システムを使い、フェイスブック以外の提携アプリに広告を配信するシステムです。

配信できるアプリにはグノシーやRettyなど大手アプリも含まれており、フェイスブック広告と組み合わせることでコンバージョン率を大きく引き上げられる可能性があります。

i-mobile(アイモバイル)

i-mobileは国内最大級の、動画広告に強いアドネットワークです。バナーサイズが選べるだけでなく、「動画を見ればガチャを回せる」など、アプリ内インセンティブを得られる動画リワード広告など、多くのタイプの広告に対応しています。

nend(ネンド)

nendは「A8.net」を運営するファンコミュニケーションズによる、スマートフォン向けアドネットワークです。特にゲームに関心のある層へのアプローチに長けており、クリエイティブごと、キャンペーンごとの効果測定が細かく確認できます。

アドネットワークとDSP(Demand Side Platform)の違い

DSPとは、広告主が広告の費用対効果を高めるためのプラットフォームです。アドネットワークは「登録しているメディア全体へ広告を配信するためのネットワーク」であり、DSPは「自社の設定したターゲットへ広告を配信するためのツール」です。2つには「広告配信先が複数メディアか人か」「ネットワークかツールか」の違いがあります。

DSPは複数のメディアやアドネットワークと契約しており、広告主はあらかじめDSPにクリエイティブや入札額、広告ターゲット層を入力しておきます。契約しているメディアやアドネットワーク内で広告が表示される瞬間、後述のSSPを通じてDSPにユーザー属性情報の送信と広告リクエストが行われます。そして、RTBにより最も入札額が高い広告が決定され、配信される仕組みです。

つまり、アドネットワークではネットワーク全体に入札と配信が行われますが、DSPでは広告枠ごとにユーザーの属性が判断され、それに基づいた広告入札と配信が行われるのです。

SSP(Supply Side Platform)とは?

SSPとは、メディアが広告をできるだけ高く買ってもらうためのプラットフォームで、DSPとRTBで接続して使われるツールです。

メディアはSSPにあらかじめ自社の広告枠や最低落札価格などを登録しておきます。ユーザーがサイトをクリックすると、SSPはユーザー属性情報などをDSPに送り、返ってきた複数のDPS入札情報や最低落札価格などを比較し、どのDPSの広告を配信するか、あるいはしないかを決定します。

DSPは広告主側の情報を入力・比較する場所であるのに対し、SSPはメディア側の広告に関する情報を入力しDSP同士を比較する場所であると言えるでしょう。

アドネットワークとDSPの使い分け方法

アドネットワークは広くメディアを訪れる人達に、DSPは「スポーツに興味を持っている30代男性」といった、ある属性を持った人にアプローチする方法です。そのため、広く認知を広めたい場合にはアドネットワーク、ある属性のターゲットを狙いたい場合はDSPが適していると言えるでしょう。

ただし最近ではユーザー属性を細かく把握し、ターゲットに合わせた配信を行うアドネットワークも存在しています。一度アドネットワークとDSPを両方使い、費用対効果を比較するのが確実です。

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