CRO(コンバージョン率最適化) | 本当は怖いポップアップ

マーケティングノウハウ

八木 祐介

コンバージョン率最適化(CRO)とは、ウェブサイトに訪れたより多くのユーザーをコンバージョンさせるためのデジタルマーケティングの施策を指します。集客も大事ですが、訪れたユーザーへの対策にこそ勝機があると言えるでしょう。

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CRO(コンバージョン率最適化)とは

CROとは、Conversion Rate Optimization の略で、読み方はシーアールオー、コンバージョン率最適化とも言います。ウェブサイトに訪問したユーザーの、コンバージョン率を高めるために、「施策」や「ツール」で最適化を図ることを指します(「施策」や「ツール」は後述)。

ウェブサイト(の目的)によって「コンバージョン行動」の定義は変わってくると思いますが、ECサイトであれば「注文」、資料請求サイトであれば「資料申し込み」といった具合に、ウェブサイトが重要としている(ユーザーに取ってもらいたい)ユーザーのアクションを、コンバージョン行動と考えて良いかもしれません。そのコンバージョン行動は「会員登録完了」と「注文」など、複数あるケースも考えられます。

CROの似たような用語として、EFO(Entry Form Optimization/入力フォーム最適化)や、LPO(Landing Page Optimization/ランディングページ最適化)もありますが、意味的には「ウェブサイトの具体的な場所(入力フォームやランディングページ)に訪問したユーザーのコンバージョンを最適化する」と考えると、狭義のCROと言っても良いかもしれません。

なぜ今、CROが大事なのか

ウェブサイト内のコンバージョンは多ければ多いほど良いに越したことはないです。もちろん量が増えて、質が落ちてしまっては良くないケース(注文は増えたが顧客単価が下がった等)もあるかとは思いますが、量を増やさずして質だけが向上することは考えづらいので、やはりコンバージョンは多いに越したことはないでしょう。

CROはあくまで自社のウェブサイト内に訪れたユーザーに対しての話になりますが、一方の自社のウェブサイトの外側、つまりウェブサイトに訪れる前のユーザーの動向はどうでしょうか?自社サイトにユーザーを呼び込むためには、SEOや広告など「集客」をどう行うかが重要課題かと思います。1ユーザーあたりの獲得単価をいかに抑えるか(最適化するか)という点において、苦労されているケースも多いのではないでしょうか。

一般消費者は、コロナ禍で外出を控える一方で、ウェブサイトも含めたオンラインサービスの利用が活発になったことは言うまでもなく明らかですが、競合のウェブサイトとユーザーを取り合う中で、広告での獲得単価が高騰している、広告に費用を投下しても十分な集客ができないという声をよく耳にするようになりました。

「集客が難しい」、「顧客獲得単価が高騰している」、そんな時だからこそウェブサイトに訪問したユーザーを少しでも多くコンバージョンに繋げ、利益を拡大することが求められています。つまりウェブサイトの外側に投資をするのではなく、むしろ自社のウェブサイトの内側、CROにこそ投資を集中する必要があるといっても過言ではないかと思います。

具体策は「比較可能な検証」を行うべし

では、CROって具体的に何をどう進めていくべきなのでしょうか。ユーザーをコンバージョンさせることをゴールとした場合に、その「ゴールの妨げとなるものは何か?」から逆算し、仮説を立て、ひとつずつ検証していくのが良いでしょう。この時に大事なのは検証した結果が、仮説を立てる前よりもコンバージョン率が改善されたのか、そうではないのか、しっかり振り返りができる進め方を選択することです。対策を講じたことでコンバージョン率が上がったのか、下がったのか、検証できなければそれは「コンバージョン率最適化」とは言えません。

外部要因(競合のウェブサイトや施策、季節変動要因、広告など)、内部要因(キャンペーン実施の有無など)、様々な事象が重なるだけでもコンバージョン率は変わるものです。なので、コンバージョン率の最適化を意図した施策が、本当に意味の有る成果の改善に至ったのかどうかを測ることが何よりも重要です。

CROの具体策を進めるには、「何も施策を行わなかった場合」と「施策を行った場合」をどのように比較し、評価を行うかを事前に設計しておくことが重要です。前週比、前年同月比など、「特定の期間を比較する方法」も考えられますし、同一期間に「A/Bテスト」で比較検証を行うことも考えられます。いずれの方法を採択するにしても、コンバージョン率の改善を意図した施策の有無で比較をすることが最大のポイントです。

「こうすれば必ずコンバージョン率は上がる!」と比較対象を置かずに施策を先行し、振り返り(検証)を行わない。最も恐ろしいケースはこれです。CRO(コンバージョン最適化)を推し進めているはずなのに、最適化できたかどうかを検証する機会がなければ、むしろ最適化から遠ざかっている可能性(リスク)も十分起こりうるということです。

とはいえCRO推進にあたってコストも気になる

先ほど、ウェブサイトの外側(集客)に投資をするのではなく、内側に投資を集中すべきだという話をしました。もちろん全てを内側に集中するのではなく、外側とバランスよく投資配分をすることは言わずもがな。とはいえウェブサイトの内側、CROを推進するにあたっても一定のコストはかかります。

社内であればそこに割く人的リソースの費用もありますし、社外に委託するにしても費用は発生します。またはCROを実現するためのツールを導入するケースもあるでしょう。コンバージョン率の改善にも一定のコストが発生する覚悟は必要です。CROがうまく実現できれば、その投資したコストも十分に回収は可能だとは思いますが、順を追ってひとつずつ解決していく進め方が良さそうです。

大きくコストをかけることなく、地道に改善に取り組んでいくことが何よりも重要かと思います。何が正解か、検証をしながら進めていくべき事象ですからね。何をすべきか正解がわかっていれば楽な話ですが、CROは地に足をつけ振り返りをしながら、着実に進めていく、まさにPDCAサイクルを上手に回すことが成功への近道と言えるのではないでしょうか。

それでは何から着手すべきか

それでは、CROは何から着手すればよいのでしょうか? それは「対応の難易度」、「対応にかかる時間やコスト」、「対応した結果見込める改善の度合い」、何から順に着手するかはこのあたりの変数の掛け合わせで変わってくると思います。「顧客体験を最も損ねそうな要因」という観点では、ページの読み込み速度の改善は早々に着手すべき課題と言えそうです。ページ読み込みの速度をどれくらい上げたら、どれくらいのコンバージョンが増えるのか、施策実施前後の一定期間の比較でおおよその貢献は測定もできますし、ページの読み込みが遅すぎてユーザーが離脱してしまう恐れがある限りは、他の改善施策よりも優先して取り組むべき事象と言えるでしょう。ページの読み込み速度は、アクセスする時間帯やネットワーク環境でも変わってくるので、競合他社のサイトと比較して早いのか遅いのかを判断材料としても良いと思います。

次いでウェブサイト内のCRO実現に向けた改善施策に入るわけですが、検証を行うにあたっては様々なツールを用いるケースがあると思います。先ほども述べましたが、まず前提となる「仮説」があり、この「仮説」を検証するにあたって最適なツールを選定をすれば良いかと思います。見て欲しいコンテンツがしっかりとユーザーに見られているのか、クリックして欲しい箇所がしっかりと押されているか、このあたりを検証するには「ヒートマップ分析ツール」、ウェブサイト上のコンテンツのレイアウトや、ボタン要素の追加など、ウェブサイトのユーザビリティを検証するならば「ABテストツール」の導入を検討すれば良いでしょう。

このツールの導入にあたって重要なポイントは、「コンバージョンしたユーザー」と「コンバージョンしなかったユーザー」を比較できるか?という点に尽きます。ヒートマップ分析にしても、ページの下部に配置されたコンテンツがそもそも読まれにくい構造だということがわかったとして、そのコンテンツが読まれないことでコンバージョンに影響を与えているのか?という点を確認できなければ意味がありません。

繰り返しになりますが、大事なのは「コンバージョンしたユーザー」と「コンバージョンしなかったユーザー」の比較できることです。そのコンバージョンに至る/至らないユーザーの行動から、改善に向けた施策案(仮説)を立て、施策の実施、検証を繰り返して「コンバージョン率最適化」の道筋を地道に探していく必要があります。

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おすすめの改善/検証の進め方

Sprocketは、CROを実現するための支援ツールです。ポップアップに代表される「接客シナリオ」ばかりがフィーチャーされがちですが、ヒートマップ分析も提供しておりますし、ポップアップだけではなくページそのものに埋め込んだコンテンツでのABテストも実施可能です。ABテストによるコンバージョン率を最適化することを主眼においたツールなので、施策の良し悪しも容易に判断可能です。

私がSprocketをご導入いただいた各社様によく話すことは、Sprocketの「接客シナリオ」で検証して、良い成果の出たものはサイト改修にそのまま使っていただいても結構です、ということです。ウェブサイトに足りていない機能を補完するようなシナリオが典型です。ウェブサイトの機能として追加すべきものは、そうあるべきだと思います。

ウェブサイトの改修を行うにも、企画から実装まで時間も費用もかかります。ましてやABテストを行うとなると、検証の仕組みもあわせて考えなければいけません。一方のSprocketの機能を用いれば、多額な費用や多くの時間をかけなくても、ABテストで検証を試してみてから、実際にウェブサイトにどんな機能として本格実装するかを検討すれば良いのです。

「ツール」は万能ではない

一方で「接客シナリオ」は必ずしも万能ではないというのも事実です。CROを推進するにあたって、Sprocketは網羅的に支援できる手段は持っているものの、これで全てをコンバージョンを最適化を実現できるものではありません。時間が経過すればウェブサイトに訪問するユーザー層に変化が起こるかもしれません。広告を出せば今まで来なかったユーザーも訪れるでしょう。ウェブサイトに訪れるユーザーが変われば最適化の仕方も変わってくるということになります。

「接客シナリオ」でのコンバージョン最適化は、一時的な最適化を目指すものではなく、恒久的に最適化を目指し続けるものと言い換えた方が良いかもしれません。弊社ではコンサルタントがお客様と一緒に課題解決にあたるケースが多く、最適化に向けて改善をしつづける支援をしております。社内にCRO専任メンバーをおくよりは、弊社のようなプラットフォーム提供者やコンサルタントを使うこともひとつの解決策と言えるでしょう。

ただし、ツールは万能ではありません。「接客シナリオ」ひとつとっても、ツール導入をすること以上にしっかりと運用して改善に繋げる取り組みが重要です。運用を続けるノウハウや経験がモノを言うケースもあります。ツール導入以上に、肝を据えて検証しつづける覚悟が大切かもしれません。

ポップアップを出すことが目的ではない

ちょっとした私の経験した事例の紹介です。とある企業様に弊社ツールを導入いただき、当然ながらコンバージョン率の最適化を目指して「ABテスト」から開始することを提案いたしました。現場担当者の方とも合意を取り、実際にウェブサイト上で公開する直前になって、上層部より「なぜ非表示のユーザーがいるのか?」、「ポップアップが出ない意味が分からない」という指摘が出ました。

弊社が「ポップアップを出す会社」と勘違いされてしまっていた可能性は否めません。ポップアップを出すことを生業とする会社ならば、「ポップアップを出さないとは何事だ!」と言われても仕方ありません。もちろん改めてツールの概要から導入目的なども説明しましたが・・・このケースではうまく伝えられなかった自分の責任と受け取るとして、いずれにせよ検証そこそこに「ポップアップを出すこと」が最優先事項として進みました。

経験上、「この接客シナリオを実施すれば必ずCVRは改善する!」ということはありません。改善に繋がると信じて疑わなかったとしても、実際のところはその逆で、コンバージョン率が下がってしまうケースも十分に起こります。他社のウェブサイトで同様の施策を実施しており成果が十分に出ているシナリオであっても同様です。ウェブサイトが変われば訪れるユーザーも変わるので、検証は丁寧に進める必要があります。

たかがポップアップと思われるかもしれませんが、操作や体験の阻害となる場合はむしろネガティブに働くケースもあります。また、全員に同様の告知をするのではなく、一部のユーザーにセグメントを絞ったり、表示頻度や回数を調整することでもCVRは変わります。ポップアップを全員に表示することで、もしかしたらそれ自体がネガティブ(CVRを押し下げる事象)に働くリスクが十分に起こりうることも認識しておく必要があります。

イラスト:CRO(コンバージョン率最適化)の怖い話

まとめ

何事も改善をしようとすれば、社内であろうと社外であろうと費用は発生するものです。特にCROの取り組みは一瞬で大きな改善に繋がる性質のものではないことから、腰を据えてじっくり取り組む覚悟も必要かもしれません。時間がかかるが故に投資判断も悩ましいところですが、投資したからと言って必ずしも成功が保証されているわけでもありません。

投資規模もスモールスタート、検証の範囲を段階的に広げていくなど、Sprocketはご要望に沿った形で着実に「コンバージョン率最適化」に向けてのプランの提案や支援をさせていただきます。CROでお悩みのお客様、是非Sprocketにお声がけください!

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