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カクテルパーティ効果をWebマーケティングに取り入れよう

深田浩嗣
深田浩嗣

カクテルパーティ効果、という言葉はどこかで耳にされたことがあるのではないかと思います。カクテルパーティのような周囲がざわざわしているような状況でも、自分の名前が出てくるとついそちらに耳がいってしまう、という効果のことを指します。

この効果は、人間の注意力について重要な示唆を与えてくれます。我々はどうすれば人間の注意力をマーケティング活動に活かすことが出来るでしょうか?あるいはどうすればマイナスに働いてしまうでしょうか?この記事ではカクテルパーティ効果について説明をし、その上で情報にあふれるWebサイト上でもこの効果を考慮していくべきだということを説明していきたいと思います。

Young woman with a hearing disorder or hearing loss cupping her hand behind her ear with her head turned aside to try and amplify and channel the available sound to her ear drum

目次

1. カクテルパーティ効果とは?
2. なぜカクテルパーティ効果がおきるのか?
3. カクテルパーティ効果をWebマーケティングの文脈で考えてみる
4. カクテルパーティ効果をWebマーケティングで応用するには?

1. カクテルパーティ効果とは?

ではまず、カクテルパーティ効果とは何かということから紹介していきましょう。ウィキペディアによれば、この効果はイギリスの認知心理学者であるコリン・チェリーが提唱したとされています。

カクテルパーティのような周囲が騒がしい場面にいることを想像してみてください。そんな場面にいたとしても、人間は自分の興味のある話題や自分の名前は自然と聞き取ることが出来ます。

カクテルパーティに限らず、例えば病院の待合室で本を読みながら順番を待っている場面でも、自分の名前が呼ばれると本に集中していたとしてもふと気づきます。僕自身も経験がありますが、電車の中でつい居眠りをすることがあっても、目的の駅の名前がアナウンスされるとハっと目が覚めるということもあるかと思います。

このように、一見それが難しいような状況であったとしても、人間の耳は自分の聞きたい内容をうまく拾い上げることが出来ますが、このような効果をカクテルパーティ効果と呼びます。人間の脳ってよく出来ているなと思いますよね。

実際、パーティでざわつきながらも主催者がスピーチを始めだしたりしても、注意をそちらに向ければ多少騒がしくてもちゃんと聞き取ることが出来るということは皆さんご経験があるのではないでしょうか。

ただ面白いもので、同じ場面を録音して聞いてみたりすると途端に聞き分けが難しくなったりします。最近だとオンライン会議の機会もみなさん増えておられるのではないかと思いますが、背景の音がうるさかったりするとその人の声が急に聞き取りにくくなったりすることがありませんか??コンピュータのマイクは拾う音声をうまく選択ができないので、こうした効果が働きにくいようです。

 

2. なぜカクテルパーティ効果がおきるのか?

日常的にもよくこうした現象は起きるのですが、よく考えてみると不思議な効果ですよね。少し話が複雑になるのですが、脳の情報処理の性質としてカクテルパーティ効果は説明されます。

人間の聞き分けの機能は、音源の位置、音源毎に異なる声の基本周波数の差があることによって達成されると考えられているそうです。つまり、このような音源位置の差や基本周波数の差をなくした状態で複数の人の音声を呈示すると、聞き取りは非常に難しくなるので、周囲のノイズも同等に拾ってしまう録音やオンライン上の音声は聞き分けが難しくなるようです。

また話題が想定されている状況だったり、「この人ならこういうことを言うのではないか」という予測が働きやすい人物が話者だったりすると、脳の補完が利きやすくなるということもあるのではないかと考えられています。

カクテルパーティ効果は「選択的注意」と呼ばれる人間の脳の一連の働きのうち、主に聴覚に関するものを指しています。しかし、選択的注意は聴覚だけでなく視覚でも起きることがわかっています。別記事で視覚における選択的注意がどのようなものかを実験しているインビジブルゴリラの現象を説明しているので、よければ合わせてご覧ください。

こちらは「インビジブル」とあるように、選択的注意の「外」にある場合にいかに気付かないかということを示してくれています。カクテルパーティ効果が選択的注意の「中」にある場合にいかに気づきやすいかを示しているのとは発想が逆ですが、インビジブルゴリラも非常に興味深い現象です。

3. カクテルパーティ効果をWebマーケティングの文脈で考えてみる

人間の脳がこのように働いているとすると、Web上の行動においても同様の現象は起きていると考えなければいけません。

カクテルパーティ効果は、ノイズの大きい状態でも聞きたいことを聞くことが出来るという人間の能力について教えてくれています。

Webにおいてはこの効果はどのように表れてくるでしょうか?Webのブラウジング行動を考えてみましょう。スマホでのブラウジングのウェイトがどんどん増えている昨今では、Web上で「じっくり読む」という行動がとられにくくなってきています。

ユーザーの立場で考えると、カクテルパーティ効果が働くことを踏まえれば、じっくり読んでいなくてもざっと流し読みをする程度で自分の見たい情報は一定自然に目に入ってきています。実際皆さんもそのようにブラウジングされることが多いのではないでしょうか(この記事はじっくり読んでもらえると嬉しいのですが)。

これはWebマーケターにとっては良いニュースでもあり悪いニュースでもあります。

良いニュースとしては、多少情報量が多くても、ユーザーが「これを見たい」と思っていさえすればそれをうまく見つけてくれることが期待できるということです。

悪いニュースとしては、ユーザーは必ずしもWebマーケターの皆さんが「見てほしい」ことを見たいとは思っているとは限らないということです。この場合はどうにかしてカクテルパーティー効果を起こすことを考えなければいけません。

皆さんのWebサイトは、カクテルパーティ効果を起こしやすいサイトでしょうか?起こしにくいサイトでしょうか?もちろん一概には言えませんし、どのような経路で流入するかによっても変わってきます。ただ、サイトに訪れたユーザーがどのような言葉や表現なら自然に目にいれてくれそうなのか、を考えることは、カクテルパーティー効果を狙うにせよ狙わないにせよ大切です。

4. カクテルパーティ効果をWebマーケティングで応用するには?

実務上でもこのような効果を応用するうまい考え方はないでしょうか?

そこで、DeNAライフサイエンス社の事例を紹介したいと思います。この会社は、遺伝子検査「MYCODE[マイコード]」というちょっと変わった商品を販売しています。このキットを購入して唾液を送るだけで、自分の遺伝子を検査してもらうことが出来るというサービスです。遺伝子検査の結果として病気のかかりやすさや体質の傾向を知ることが出来るので、健康に生活するためにどのようなリスクを抑えたほうが良いのか、そのために何をすれば良いのかということがわかります。

このサイトに来られた方に、どのような言葉で訴求すると目に入れてもらいやすいでしょうか?

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この商材のように、普段あまり馴染みがないような商品・どういうものなのかよくわからない商品の場合、ユーザーの注意としては「そもそも遺伝子検査ってなに?」ということが選択的注意のスコープの中に入りやすいのではないか、という仮説が思い浮かびます。そこで「遺伝子検査ってなに?」「検査で何がわかるの?」ということを表現するとユーザーに選択してもらいやすくなるのではと考え、こちらの事例にあるようなポップアップでユーザーの行動を促せるのかを試行錯誤したところ、購入完了率の向上につなげることができた、という事例です。

結果を聞くと当たり前に聞こえるところもあると思います。ただ実際はこうした基本的なところからユーザーに訴求するというのは案外気づきにくいものだったりします。取材時にもお客様から「私たちは、MYCODEのことが好きすぎて、サービスのことを訴求しすぎてしまうのですね。」という感想を頂いたように、つい「ユーザーは自分たちと同じくらい理解している」と思ってしまうということはよくあります。

ただ、大半のユーザーはサービスの名称まで聞いたことがないでしょうし、だとするとそこから訴求してもカクテルパーティ効果を起こすことは出来ません。もっと目に入りやすい言葉、ユーザーの頭の中にある表現がなにかを試行錯誤することが大切になります。

幸いにしてWebマーケティングにおいてはABテストを繰り返すことが出来ますので、このカクテルパーティ効果を起こしやすい表現がなにかは何度も実験することができます。

ぜひ、色々な表現を試してみて、なにが皆さんのサイトのユーザーにとって注意の中にある表現なのかを見つけてみてください。

 

参考

カクテルパーティ効果(ウィキペディア)
コリン・チェリー(ウィキペディア)

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Webマーケティングでも注意すべきインビジブルゴリラ現象とは
株式会社DeNAライフサイエンス様 導入事例


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