【連載第7回】予約系サイトのKPIツリー

マーケティングノウハウ

深田 浩嗣

画像:弊社代表深田の著書「いちばんやさしいコンバージョン最適」の表紙と本ブログタイトル

旅行やホテルなどの予約系サイトでのKPIツリーを考えてみましょう。予約系サイトはECサイトの一種になりますが、物品の授受を伴わないなどの違いがあるためコンバージョン最適化においては、ECサイトとは区別して考えます。

コンバージョン改善の基本知識をご存知ですか?すぐに役立つコンバージョンとする指標の定め方や改善施策の考え方をまとめた資料をご用意しました。

→解説資料のダウンロードはこちらから

予約系サイトの特徴

予約系サイトには予約内容がある程度決まったうえで訪問するケースが多いので、訪問から予約までは直線的な行動が多くなります。

ただし、「どこまで事前に決まっているのか」は訪問者によって異なります。旅行を例に考えると、「夏休みに旅行に行くことは決めているが目的地はまだ決まっていない」「北海道に行くことは決めているが、北海道のどこで何をするかは決まっていない」「すでにプランが決まっているので、それを予約するだけ」など、訪問者が予約前に決めている内容によってサイト内での行動が変わります。こうした特徴を踏まえ、KGI/KPIの分解を考えていきましょう。

KGI は売り上げだが、ECとは構成が異なる

ECサイトと同じく、ここでもKGIは「売り上げ」でいいでしょう。ただ売り上げの構成が、単品系ECサイトや総合系ECサイトとは少し異なります。予約系サイトの場合、商品によっては購入頻度が非常に低くなること、どのサイト(あるいはサイト以外の予約方法)で予約しても内容や体験自体に違いがないことなどから、リピートしてもらうハードルが高くなりがちです。

また、物理的に受け取る商品がない、予約後から体験の当日までの間にトラブル(天候、体調、急な予定など)が起きれば行けなくなるなどの要因から、物販のECに比べるとキャンセルの頻度も高くなりがちです。

KPIに分解しよう

予約サイトでセグメントへの足し算分解を行う際は、「サイト訪問時に予約したい内容をどこまで決めているか」を切り口に考えましょう。

旅行、交通、ホテルなど商品によって具体的な切り口が変わるのでこの後の「事例研究」も参考に、さまざまな切り口を検討してください。

また、どこで買っても(予約しても)商品自体に差がないことが多いため、そのサイトの使いやすさや使い勝手への慣れでも購入率が変わります。

初回購入者の購入率、リピート購入者の購入率を分けて見てみることで、ヒントを得られる場合があります。

予約商品の場合、同じ商品でも時期や追加するオプション、グレードアップなどで価格が変わります。そのためECサイトでは困難だった注文単価を向上させるための工夫の余地があります。グレードアップを選択した訪問者の行動を分析することで、どのような行動がグレードアップにつながるかなどうまい掛け算分解の切り口が見つかるかもしれません。

図:売上の基本分解の例。

<売り上げの基本分解>

事例研究:あるスポーツアクティビティ予約サイトの場合

ゴルフやフットサルといったスポーツアクティビティの場合、リピート率が非常に重要になります。一般的には、予約頻度にかかわらず、訪問者はそのスポーツを定期的にプレイしていることが多いので、長くリピー卜してもらえる可能性が通常のECサイトより高くなります。リピート訪問者に便利な機能を使ってもらうなど、リピート率の向上につながる分解の切り口を探しましょう。

特に、仲間内で幹事役となっているようなユーザーにリピートしてもらえれば売り上げへの大きな寄与を期待できます。「予約頻度」や「継続利用期間」で足し算分解してみたり、また幹事役は予約人数が多いことでも見分けられるので「予約人数」あるいは「1回注文単価」で分解したりしてみましょう。

リピート訪問者を生み出すためには初回購入率の分解も重要です。「商品詳細ページの閲覧数」「予約フォームからの離脱率」などで分解し、サイトの使い方をうまく案内できれば初回購入率の改善が期待できます。幹事役を逃さないためにも初回購入率の分解はしっかり考えましょう。

コンバージョンとする指標の定め方、コンバージョン最適化のポイントをまとめた資料を公開中です。そちらもぜひご参照ください。

コンバージョン率改善の基本

まとめ

予約系サイトは、旅行やホテル、スポーツ施設利用など、提供するサービスによってユーザの特徴が大きく異なります。そのためCV向上のためには、ユーザの特性やニーズに応じたKPIの分解が重要です。

いちばんやさしいコンバージョン最適化の教本〜人気講師が教える実践デジタルマーケティング

深田浩嗣 著 / 2017年3月 インプレス刊

画像:弊社代表・深田が出している「いちばんやさしいコンバージョ最適化の教本」の表紙

本記事は、私が2017年に出版した「いちばんやさしいコンバージョン最適化の教本」から、特に多くのサイト運営者・経営者に知ってほしい重要なポイントを、再編集しました。よりくわしい解説や、コンバージョン最適化の全体像を知りたい方は、ぜひ本書を読んでください!

https://www.amazon.co.jp/dp/4295000159

▼連載:いちばんやさしいコンバージョン最適化のコツ 記事一覧

  1. 成果に結びつくコンバージョン・指標を設定するポイントとは?
  2. コンバージョン改善施策の失敗でありがちな3つの間違った指標
  3. デジタルマーケティング施策は自社でやるべきか? 外注するべきか?
  4. コンバージョン最適化は3つの階層で考えよう
  5. KPIツリーでコンバージョン最適化を考えよう

  6. 単品系ECサイトのKPIツリー
  7. 予約系サイトのKPIツリー
  8. 資料請求、体験/来場予約系サイトのKPIツリー
  9. なぜユーザは離脱するのか?
  10. コンバージョン最適化には「リアル店舗」の接客を参考にしよう
  11. コンバージョン向上に欠かせない「ABテスト」で効果を上げるためのコツと結果分析での注意点

サービス資料ダウンロード

Sprocketの特徴、MA・CDP・BIの機能、コンサルティングサービス、事例などをご紹介します。

資料ダウンロード

導入検討の相談・見積もり

新規導入、乗り換えのご相談、MA・CDP・BIの各ツールの比較などお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

03-6420-0079(受付:平日10:00~18:00)