ECサイトはリアル店舗と同様の接客の場所に。リピートが増えるECサイトの作り方
ECサイトの整備がひと通り済んだ現在、新しいECサイトのあり方に期待が集まっている。今回、ソーシャルメディアマーケティングのアライドアーキテクツ、ECパッケージベンダーのコマースニジュウイチ、リピーター育成ツールのSprocketの3社により、ECのおもてなしについてディスカッションを行った。
対談者プロフィール
アライドアーキテクツ株式会社
取締役
ソーシャルメディアマーケティング事業部 事業部長
津下本耕太郎氏
株式会社コマースニジュウイチ
セールス&マーケティング本部 マネージャー
田村信博氏
モデレーター
株式会社Sprocket
代表取締役社長
深田浩嗣
3社にて共催セミナー開催決定!
EC業界は次のステップへ。オンラインとオフラインをどう融合するか
深田:
今回はEC業界のこれからについて、田村さんにはECプラットフォームベンダーの立場、津下本 さんにはソーシャルメディアマーケティング事業者の立場、そして僕はデジタル上でのおもてなしを提供する立場からお話をさせていいただければと思います。
最初にEC業界のこれまでと最近のEC業界の動き、これからについて、ざっくりと田村さんの方からお話いただければと思います。ちなみに、田村さんは前職は「ゴルフダイジェスト・オンライン」(http://www.golfdigest.co.jp/)(以下GDO)にいらっしゃったのですよね。
田村:
はい、15年間GDOにいました。Eコマースの全体感ですが、1999年にインターネットで物を売るという考えがアメリカから入ってきて、感度の高い人達がインターネットで物販を開始して先行者有利の状態で売上を伸ばしました。
一方で遅れをとった一般の小売店は、インターネットは新たなお客様に販売できるよいチャネルだということに気づきはじめたものの、インターネットを主戦場としている楽天やAmazon、ZOZOTOWNなどのプラットフォーマーに集客力がかなわず思うように売上を伸ばせてこなかった、というのがここ数年の動きです。
ただ、リアルの店舗やブランドを持っている所は底力があります。自社のECサイトでも、楽天、Amazonを上回る売上をあげている企業様も多いです。特に、アパレルや化粧品メーカー等は、自社ECで売上が年々伸びてきています。
また消費者も、ネットで買うのが当たり前になったからこそ、これまでECだからと我慢してきたことに我慢できなくなっています。例えば、商品の配送に数日かかることや商品の説明不足など、リアルと比較して不便なことをおかしいと思うようになり、リアルでできていることやサービスはネットにも期待するようになっていますね。
深田:
リアルでできていることをネットにも期待、というのは具体的にはどういうことがありますか?
田村:
例えば、他店舗在庫問合せ、取り置き、まとめ買い割引、クローズドのセール、セット販売、先行予約キャンペーンなど、リアルの店舗では普通に行われているサービスです。一方で、ネットでは商品を任意の住所やコンビニで受け取れたりと、逆にリアルを上回っている部分もあります。
次の潮流は、ECとリアル店舗の販促プラットフォームの統合です。店舗来店時に、過去に店舗とネットでこれだけ購入していただけているお客様だと店員が把握できるようになり、接客の質と販売効率が向上し買い逃しを抑止できるようになる等があります。
深田:
オンラインの行動をリアルの店舗でも可視化するというのは、Sprocketでも実現できます。これまでお客さんに紙に情報を書いてもらうような接客スタイルの店舗が、オンラインでの行動を端末で示しながら接客するというような形で、違和感がありません。
田村:
小売業で会員カードを発行できているところは、まだ少なくそこを狙っているツールベンダーも多いです。プライベートDMPで、ネットの会員データ、購入履歴、ポイントデータをリアルの購入データと統合し、お客様にあわせたコミュニケーションや接客をしたいというような話がトレンドです。
オンラインの施策の効果をどこに見い出すか?
深田:
ところで、オンラインとオフラインの接客を比較した場合、例えば、10万円の旅行商材を探している人に、15万円の旅行をすすめる、というのはオフラインではできることだと思いますが、オンラインの場合はハードルが高くなると思いますが、そこはどう思われますか?
田村:
店舗でできることはネットでもできるようになりつつあります。チャットツールを使いサイト閲覧の最終でもオペレーターが個別におすすめすればアップセルは可能だと思います。化粧品の定期購入なども、接客の質を高めることで成約確立を向上させることができると思います。オペレーションコストと、リフトアップする売上金額のバランスによりますね。
深田:
投資については、担当者がやる気になった後、どうやって社内説得をして、決裁を通すか、という課題もあります。売上予測など、決裁を通すための材料はどういうものがありますか。
田村:
サイト内の接客ツールでは、コンバージョンがわかりやすい指標の一つです。また、弊社のこれまでの分析でも、購入がオンラインだけの人、オフラインだけの人、両方使う人を比べると、両方使う人が確実に売上が大きいです。だから、店舗とECのマルチユーザーを増やそうという指標も売上換算しやすい指標の1つです。
もう一つは、店舗の売り逃しを防ぐことです。例えば店舗の在庫がなくて、店頭でECを使ってご購入いただいた場合は、店舗の売上として計上します。特に、店舗での売上が莫大な場合、ECの売上を数%伸ばすより、店舗での売上を1%あげるほうがインパクトが大きいですね。
津下本:
カメラのキタムラさんは、在庫を全部一元管理化し、店舗のタブレットでお客さんの購買行動と在庫状況もすべてわかるように連動させているという取り組みが話題になっています。カメラという商材という観点でも店舗で受け取ることの付加価値があるから、オンラインで買って店舗で引き取って説明を聞くというような形も定着していて、本物のオムニチャネルを実現されていますよね。
田村:
キタムラさんはすごいですよね!もちろん商材特性にもよるのですが、ECの売上を伸ばすだけでなく、リアルのリソースを活用して全社の売上を底上げするというのはこれから当たり前になると思います。もちろん、ネットでもリアルの接客と同レベルのサービス品質を提供する必要があるので、そういったところでSprocketなどのツールが注目されているのだと思います。
仕様の変更でピンチ!?のモニプラの活路は蓄積されたデータの活用
深田:
アライドさんは、ソーシャルメディアの印象が強いですが、ECの取り組みというのは何かあるのですか?
津下本:
CRMのメールが届きにくくなっている中、ソーシャルメディアのインフィードで情報を届けられるというのは、EC事業者からもニーズがあります。Facebook、Twitter、LINEのアカウントはみんなが持っているので、コマースにも入ってくるのは当たり前で、弊社ではソーシャルログインなどの仕組みも含めて、どういう風に拡散し、心地のよい接客をするかという環境づくりに着目しています。
深田:
アライドさんは、最近の戦略的にどういう売り方をしていますか?
津下本:
主力はFacebookやTwitterのキャンペーンツールのモニプラですが、皆さんご存知の通り、Facebookの規約が変わって、キャンペーンで「いいね!」を増やすのが難しくなりました。そうした中、モニプラで収集したデータを分析してみたら、キャンペーン時のアンケート調査で、家族構成や年収などのかなり深い情報が何十万単位でとれていることがわかりました。こうしたデータは蓄積することで、意識の変容や潜在意識などを分析できるため、新しくデータ事業を開始しました。
また、ソーシャルメディアの広告運用事業をやっている中で、FacebookもTwitterも広告枠から配信する人に重点が移っており、ここでもモニプラで収集したデータは役立っています。ですから、モニプラは単なるキャンペーンのツールという立ち位置から、キャンペーンのデータを蓄積して広告のパフォーマンス改善までつなげていくシステムになっています。今は「エンゲージメントからパフォーマンスへ」というメッセージで新しいソーシャルDMPのモニプラの世界観を伝えています。
これからのECに求められるのは、リアル店舗の運営経験者が持つスキル
深田:
やはりどちらかというと集客に強いイメージですよね。
津下本:
そうですね、ソーシャルメディア上の行動、サーベイのデータ、さらに企業が持っている購買履歴などと連携することで、ユーザーを分類し、Facebookのルックアライクで、似たユーザーを見つけ出すということもできます。
田村:
集客に振ると、コンバージョンまで落としこんでコストの整合性を見ると、リスティングが強いですし、CRMのような長期的な施策は難しいという面もあります。メーカーは広告費用を投下しますが、小売の販促費の予算投下はハードルが高いこともあります。
深田:
先日、楽天マーケティングの方と話をした時も、デジタルメディアの立ち位置が変わるという話がありました。デジタルメディアにいる人が多くなると、マスに近いような集客ができるだけでなく、データからルックアライクのような似た人を引き当てることができるという話があって、媒体力があるメディアやソーシャルメディアは、同じような立ち位置になるのかもしれませんね。
田村:
まだまだテレビCMが有効な人は数多くいます。一方でソーシャルメディアに毎日接触する人は2−3割ですが、その人達にはテレビは通じない。そうなると、適時予算配分の見直しが必要です。もちろんFacebookだけでなくLINEもInstagramもとなると、限られた予算を有効に活用するためにはアライドアーキテクツさんが持っているデータなどが重宝されますね。
ECは、かつては100人集めて3人に売れればよし、というサイトCVRにフォーカスしたKPIを重視する傾向がありましたが、リアルの店舗と同じように商品毎の売上計画をたて、前日の販売実績を見た上で人手で毎日のように掲載する商品を入れ替え売るべき商品を売るようなオペレーションをしているECもあります。ECでもリアル店舗同様、日々の棚割りの見直し等に労力をかけることで売り上げがあがるんですね。これからは、リアル店舗で小売をやってきた人がECでも活躍する時代になります。ただ、新規のお客さんを獲得するにはやはりデジタルのスキルも必要なので、デジタルスキルとリアル接客スキルをいかに融合させていくのかが責任者の腕の見せどころになると考えています。
深田:
弊社にも、購入までの段階ごとの人にどういうメッセージがささるのか知りたい、という相談が寄せられます。例えば、あるサイトで会員登録をうながすときの登録メリットでは何が刺さるのかテストしたところ、意外にも誕生日特典だったり。その結果を踏まえて会員登録の導線を作ったという事例があります。
Facebookはクリエイティブによって広告のパフォーマンスが段違い!
津下本:
ECのレコメンドのチューニングと言うのは、商品のABテストをこまめにやっているのですか?
田村:
導入されるお客様はそこの運用をしなくても適切な商品をレコメンドをしてくれるという期待があるので、レコメンドツールですとベンダー側が設定することが多いです。ただし、人手でやるにしてもシステム化するにしても、本気でやるならソーシャルメディア運用と同じで、期間限定でもよいので専任者をつけてチューニングをする覚悟が必要です。それを自分たちでやるか、プロにまかせるか。私はシステムによるレコメンドのチューニングはプロに任せていい部分であり、社員は売れる商品の開発や売る為のサービスを企画する所にリソースを割いたほうがいいのではないかと思っています。
津下本:
そうですね、弊社でもソーシャルメディアの広告の運用代行をやっていますが、FacebookもTwitterもすぐに仕様が変わり、状況が一変するので、今までのノウハウが使えなくなることがよくあります。そこはリアルタイムで多数の広告アカウント運用をしていてノウハウもある我々に任せてもらったほうがいいと思います。
みんなが友達と話しているフィードの中に、企業が入っていくためには、ある種の人格を持つ必要があると思っていて、そこは広告のクリエイティブにも気を使っています。だから他のオンライン広告と同じクリエイティブで運用してしまうと効果がでないケースが多いです。コミュニケーションを最適化するために、1回の広告でテストのクリエイティブを100個くらい作ってやることもあります。
深田:
100個もやるんですね!クリエイティブによってどれくらい違うんでしょうか。
津下本:
ユーザーとFacebookページの親密度など、アルゴリズムの問題もあるのでなんともいえないところがあるのですが、出稿し始めてすぐにユーザーの反応を見てクリエイティブに対して1−10までのスコアがつくんですよ。そこで天地が分かれます。Facebookとしてもマッチ度の高い広告を配信したほうが収益があがるので、クリエイティブによって大きく違いますね。オーディエンスのカテゴライズによっても違いますし、CTA、CTRで見ても数倍は違います。
最近では、ネットプロモータスコア(NPS:商品の推奨度合い)を使った他者への推奨意向のデータを収集して、広告を配信するときにインポートしています。
ファンは本当に他人にお勧めするのか!?
深田
ネットプロモータスコアといえば、それをファンの分類にどう使うかというのを考えています。たくさん購入してくれる人もファンですけど、買わないけれど人に薦めてくれる人もファンですよね。そういうファンをどれくらい優遇するのか、そもそもファンとは何か、という話になるんですが。
津下本:
ネットプロモータスコアと購買頻度はかなり連動すると感じます。商材の関与度にもよりますが、NPSが高い人はやはり購入もしていて、それは明らかに数字にでてきますね。
深田:
買っているけれど、クチコミしない人もいますよね。
津下本:
それはきっかけだと思います。例えば友達が病気で困っている、薬の情報が必要というニーズがあれば、おすすめの薬を紹介しますよね。推奨度と実際に推奨するかどうかはまた違うかなとも思いますし、だからこそソーシャルグラフが重要になります。
深田:
なるほど。ソーシャルゲームなどでは友達の招待などがありますが、ECサイトでも意識されていますか。
田村:
クチコミがあるとコンバージョンは上がりますね。ソーシャルボタンはつけているといいことがあるかも、という状況です。正直、ソーシャルメディア経由の集客、売上を厳密に追いかけているところは少ないですし、キュレーション系EC等の例外を除けば実態としてはまだそれほどソーシャルメディア経由の売上ウェイトは大きくないはずです。
それなら、購入者流入経路の大きなメルマガの改善を!となりがちですが、ライフタイムバリューをみたら、ソーシャルから来ている2%の人が将来的に伸びるかもという可能性はありますよね。
津下本:
ソーシャルメディアがラストクリック、ということは少ないですが、サーベイをしてみると、ラストクリックではないがタッチポイントにソーシャルメディアがあったということはありますね。ソーシャルメディアはフリークエンシーをとるには適しています。最後のCTAは検索で行ってしまうこともあるので、アトリビューションはあると思います。
深田:
アトリビューションを追うのも難しいですよね。
田村:
前職でもプライベートDMPを構築しデータを追っていましたが、その分析結果を広告費の配分割合に明確に落とし込む精度はまだ改善の余地があります。
即効性のあるクーポン。しかし3年後その人はまだお客さんでいてくれるのか?
深田:
EC事業者は、コンバージョンという意識がありますが、長い付き合いをどう作っていくか、リアルの店舗で店員さんのような立ち位置での接客をデジタルでどう作っていくのかという話をしたいと思います。
田村:
今、多くのEC事業者様は離反率が高い、リピートしてくれない、新規顧客獲得単価の高騰に悩まされています。
ただ、お客さんがどういう状況なのかをシステムを使って調べると、時間やコストがかかるため、システム担当者でなくてもデータ抽出や分析ができるツールを使って、販売の現場担当者が仮説をたて裏付けとなるデータをその場で見れるようにしたいという声が増えていて、実際に弊社のお客様でも3分の1くらいのお客様が何かしらのツールを導入しています。
既存顧客を活かすためのリアル店舗とECを横断したロイヤリティプログラムの見直しや、メールやサイトのパーソナライズなども注目されています。
深田:
僕はいつもクーポンでは客はいつかない、という話をしていますが、その点はどうお考えですか。
田村:
インセンティブはすぐ人が来るけれども、その後3年間を見てみると売上は少ないということはあります。そこは数字で語らないといけないですよね。実際に売上げデータと離反率をみて、その上でさらにお客さんにならなくていい人が離れていっているのではないか、ということを検証する必要があります。
深田:
クーポンが使われない仮説の1つとして、なぜ自分がクーポンをもらうのかわからない、だから使わないということがあるのではないかと思っています。みんなに配っているクーポンなら使ってもお得じゃないと思ったら使わないですよね。
津下本:
最初の注文は無料、半額というツーステップマーケティングもきかなくなっているようですね。カテゴリによっては健在ですが。
田村:
離反率が高く、定期購入への引き上げ率が下がっているという課題をもたれているお客様がいらっしゃいます。サンプル配布はWebマーケティングの進化で効率的になりましたが、そこからいかに顧客化し定期購入に引き上げていくか、サイト来訪時のコミュニケーションを工夫する必要があり、そこはSprocketなどが活用できるのではないかと注目しています。
クーポンを渡す理由、カート離脱のリマインド、適切なタイミングでの接客ができているか
深田:
クーポンにしても、定期購入にしても、お客さんがその意味を理解していないことが多いです。あなたは特別だからクーポンをあげているよ、というのを伝えられなければ価値が低くなるんです。定期購入も、なぜ定期購入するといいのか、といことを伝えられていない。ロイヤリティプログラムを作っても、ポイントが勝手に付与されて、何なのか理解されていなかったらうまくいかないですよね。
最近、カート離脱について調べていたら、海外では6−7割がカート離脱するそうです。理由としては、送料が意外に高いというのが上位に。この「意外に」がポイントで、知らないで最後に言われるから高いと思ってしまうのであって、最初に伝えていれば離脱にならなかったのではと思います。
他にも返信ポリシーが不安、決済のセキュリティが不安、で離脱する人が多いということでしたが、こういうのもサイトの方はユーザに伝えているつもりになっていますが、実際には伝わっていない。リアルの接客なら、伝えることができますが、ページがあるから見てね、だと見に行かないから伝わらないんですよ。
田村:
カート離脱は、注文件数と同じくらいあります。ログインした状態でカート離脱する人は、そのうち半分くらいいて、その人達にはリマインドのメールを送ります。現在は、手動でメールを送っていますが、あきらかに通常のメルマガより開封率も、CTRも高い結果が得られます。
深田:
Sprocketではそれを離脱のタイミングだったり、再訪問のタイミングでメッセージでサイト内に出します。
津下本:
既存顧客で一度買った後、二度と買わない人をどうやって見つけていますか。またその原因は何でしょう?
田村:
過去のデータを比較して、何ヶ月再訪がなければ離脱とみなすというようにしているのが一般的です。原因をアンケートでデータ収集して打ち手を考えるしかないですよね。
津下本:
一度買って次買わない人たちに対応できたらLTVが上がりますよね。ソーシャルメディアでゆるくつながることは、そういうところに価値があると思います。
既存顧客の売上が上がった!はどう証明できる?
深田:
最後に新規と既存顧客へのおもてなしについて考えてみましょう。
田村:
多くの会社で、新規の顧客獲得単価は評価していると思いますが、既存顧客の翌年の継続率の上げるための費用については、明確な金額で算出できている所は少ないかと思います。しかし、そこにお金をかければ、新規顧客の獲得費用を抑えつつ既存顧客の利用率向上で売上を向上できるかもしれない。こうした視点が今後注目されそうです。
深田:
既存顧客の継続率が上がった時に、施策がなくても買った人たちなんじゃないの、といわれることがあるんですが。
田村:
去年の数字と比べて上がっているなら、それは施策の結果とみていいんじゃないでしょうか。
可視化は非常に大切だと思います。グラフで去年のデータをベースに、このままいくと売上の着地の予想はいくら、というのが出るツールもあります。そこで施策を加えることで、予測が上振れします。だから、年初の着地予想よりも上振れした部分が施策の効果だと可視化され納得感があります。1つの施策がどうこうではなく、リピート顧客の人数から算出した売上の着地見込みをこれだけあげたということで、数値の妥当性を見せられます。
既存顧客に買ったことを後悔させないWebサイト設計
津下本:
新規顧客獲得ばかりに投資するのは違和感がありますね。既存顧客を逃さないほうがコストはかからないでしょうから、来年にかけては後者向けの手法がでてくるでしょう。
例えば、タニタがアプリを出して、統合付加価値を出していったのと同じように、コアの商品の周りに、アプリやゲーム、ソーシャルメディアのつながりを出すことで、ブランド全体の厚みを上げていくことができますよね。コンテンツへの投資もそれと同じだと思います。
深田:
オウンドメディアで、商品の活用方法、メンテ方法という文脈でコンテンツを用意していくというのは本質だと思います。これまでのWebのコミュニケーションでは、そこがやれていませんでした。ECでも買った後のフォロー、サポートがあってもいいと思います。
田村:
公式サイトは最後の砦と期待して見に来たのに情報が少ないとがっかりしますね。
津下本:
映画を見に行った後にレビューを見たりするように、自分がした判断が正しかったことを確認するためにWebを見るということは多いですよね。Webはそこをフォローできそうですよね。
深田:
確かにそうですね。信頼感を構築するコンテンツ、自分が買った理由を正当化できるようなコンテンツが有るといいですよね。自慢できる材料はメーカーは持っているはずなので、もったいないですよね。あと、購入前に買った人の話を聞きたいというのもありますね。
津下本:
あと、同じような商品との違いも教えて欲しいですよね。
深田:
Webの担当者と製品を作っている人が繋がっていなくてそもそも知らないということもありますね。Web担当者はどうやって売るかばかりになってしまって、そもそも製品がどうやって作られているかというコミュニケーションがないケースがあるので、そこをつなぐだけでも違ってきますし、本来お客さんに伝えるべきことがわかってくるのではないでしょうか。
本日はありがとうございました。
3社共催セミナー開催決定!
大いに盛り上がった3社による対談、いかがでしたか?
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開催日時・場所
日時 : 9月18日(金)14:00~17:00(受付13:45~)
定員 : 50名(先着順)
費用 : 無料
会場 : アライドアーキテクツ株式会社 セミナールーム
東京都渋谷区恵比寿1-19-15 ウノサワ東急ビル 3階
http://www.aainc.co.jp/company/site/
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