【連載第5回】KPIツリーでコンバージョン最適化を考えよう

マーケティングノウハウ

深田 浩嗣

コンバージョン最適化に欠かせない「KPIツリー」の作り方のポイントを説明します。KPIツリーは「1つのKGI」と「複数のKPI」でできており、ポイントを押さえれば作り方はシンプルです。ただ、実際に作ったことがないというケースも意外にあると思います。慣れればそれほど難しくないので、本記事をご参考に、まずはぜひ実際に手を動かして作ってみてください。

この記事の目次

KPI ツリーはKGIとKPIの足し算と掛け算で成り立つ

KPI ツリーはKGIとKPIで構成されており、KGI を頂点に置きます。KPIはKGIを分解して出てきます。KPIツリーは、KPIのどれかを向上させれば最終的にKGIも向上することを図示したものです。上から順に1 つずつ構成する要棄に分解することでツリーを書き出せます。

ここでECサイトを例に考えてみましょう。 KGI は「売り上げ」とします。売り上げを要素に分解すると図表のように「訪問者数」「購入率」「注文単価」となり、これらは掛け算で表せます。つまり売り上げを増やすにはこの3つのKPIのどれかを増やせばいいのです。

また、「訪問者数」をさらに分解してみると、「新規訪問者数」と「リピート訪問者数」になり、こちらは足し算で表せます。訪問者数を増やすには、このいずれかを増やせばいいとわかります。

図:KPIツリーの例
図:指標の算出式の例。売上KGI=訪問者KPI×購入率KPI×注文単価KPI

このように、KPIツリーは「いちばん上のKGIを向上させるには何を増やせばいいのか」を見えやすくするものなのです。

KPI ツリーの基本的な作り方

ではこのKPIツリーをどうやって作るのか見ていきましょう。

まずKGI を1 つ決めてください。ECサイトなら「売り上げ」、月額課金サイトなら「有料会員数」などと決めましょう。

そしてKPIを頂点に置き、どのような要素に分解できるか考えてみてください。それがツリーの下に書き足していくKPIです。要素分解といっても難しく考える必要はありません。分解の方法は、「ユーザーをセグメントに分解するか」と「行動を分解するか」の2パターンです。

具体的には、前述のようにユーザーセグメントを「新規訪問者」「リピート訪問者」に分解できます。この場合は、「足し算」の分解です。新規訪問者の売り上げとリピート訪問者の売り上げを足せば全体の売り上げになりますね。

行動の場合、訪問者のうち買った人の割合(購入率)と、買った場合の注文単価とに分解できます。この場合は「掛け算」の分解です。訪問者数、購入率、注文単価をそれぞれ掛けることで全体の売り上げになります。

足し算と掛け算でできているので、分解の順序は結果に影響しません。考えやすいところから分解してみてください。

単位を明確に設定する

KPIツリーを書くときは「単位」に気をつけましょう。数学的な話になりますが、KGIを分解してツリーを作っていくうえで、単位をそろえることはとても大切です。単位をそろえずに分解してしまうと、あとあと辻褄が合わなくなってしまいます。

売り上げなら「円」、有料登録者数なら「人」が単位になりますね。足し算への分解は以下のように同じ単位になります。

 新規訪問者の売り上げ(円) + リピート訪問者の売り上げ(円)

一方、掛け算への分解は以下のように異なる単位になりますが、結果は分解先の単位と同じになります。

 訪問者数(人)  ✕ 購入率(パーセント, 単位なし) ✕ 注文単価(円)

では例えば目的が「ロイヤリティを高める」のようなコミュニティサイトではどうしましょうか? この場合、「ロイヤリティ度」という架空の単位があるものとして分解を考えてみてください。何か特定の行動をとると「ロイヤリティ度」が3点増えた、などと考えていけば、ロイヤリティ度を数値化できます。

図:KPIツリーに分解するときの注意点。掛け算の結果は分解元の単位とそろえる

<KPIツリーに分解するときの注意点>

ツリー構造へ分解する

KPIツリーを作るときは、単位に注意しながら、KGIを順番に足し算と掛け算の要素に分解していきます。コンバージョン最適化は「より多くのユーザーに、望ましい行動をよりたくさんとってもらうこと」なので、ユーザーの分解が足し算になり、行動の分解が掛け算になります。

したがって、足し算はユーザーセグメントへの分解を考えることになります。典型的な分解例は図のように、売り上げを「新規訪問者」「リピート訪問者」の2つのセグメントの合計(足し算)に分解することです。ほかにも購入した商品で分解したり、性別や年代で分解したりすることもあるでしょう。分解の切り口の見つけ方は、ここでは省略します。

分解後は、単位がそろっていること(人数で数えられるか)と分解後のセグメントに重なりがないか、漏れがないかをチェックしてください。

掛け算になる「行動の分解」は少しわかりにくいかもしれません。図のように「全体のうちどのくらいの割合の人が行動したか?」「1回の行動に対しての価値はどのくらいか?」を考えるのが掛け算分解の基本です。

購入者数 = 訪問数 ✕ 購入率

売り上げ = 購入者数 ✕ 客単価

このように、サービスやビジネスの構造に基づいて分解していきましょう。掛け算に分解する場合、分解対象と掛け算の結果で単位が同じでなければいけません。複雑ですが数式で表現すると、売り上げ(円)であれば、「人数(単位は「人」)✕単価(単位は「円÷人」) のように、「円=人✕円÷人」という関係が成立している必要があります。掛け算分解が正しくできているかは単位に注目するとチェックしやすくなります。

セグメント分解はデータ分析から行う

足し算分解(セグメント分解)における分解の切り口は、デバイス別、流入元別、訪問回数別、あるいは注文回数や特定の行動の実施有無など、さまざまに考えられます。

データ分析を行うことで、どのような切り口への分解が妥当かを探索・発見できるでしょう。

また、例えばブランド別にユーザーセグメントを分解したときに「特定のブランドだけ購入率が高し」など、あるKPIの値に大きな差がある場合は、良いセグメント分解ができている可能性が高いです。「なぜこのブランドは購入率が高いのか?」をさらに分析していくことで、そこから改善のためのヒントが得られるかもしれません。

図:セグメント分析の例。訪問者の内訳を分ける。新規訪問数の購入率は10%、リピーターは購入率50%。購入率に大きな差があるので、この分解は妥当性が高い

サイトを運営していると「この切り口で分析してはどうか」という直感が働くこともあると思います。こうした直感を仮説として、データ分析から検証していきましょう。

まとめ

KPIツリーを活用することで、CVを向上する効果的な施策ポイントを発見することができます。KPIツリーの構造が意識できていると、施策の優先順位づけがしやすくなり、仮説検証にも取り組みやすくなるなど、良いことがたくさんあります。

最初は慣れないかもしれませんが、ぜひ取り組んでみてください!

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