今知っておくべきCROの実情とこれから:アッション×Sprocket対談

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最近、盛り上がりを見せているCRO(コンバージョンレート最適化)。アプローチは違うがCROに取り組むベンダーとして、ABテストルールを提供する株式会社アッション 執行役員 岩本庸佑氏とSprocketの深田が対談を行いました。

なお、2016年4月14日に両社による共催セミナー(無料)を開催予定です。

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CROは切り口によって様々なツールが存在する


深田:アッションさんのサービス概要を簡単にご紹介ください。

岩本:メインプロダクトのABテストツール「VWO(Visual Website Optimizer)」は、クリエイティブ、訴求軸、UI等の切り口で複数のテスト案別による効果をテスト結果レポート、ヒートマップ等で分析できるツールです。導入することで、施策の効果検証、次の施策設計が効率的、リスク低減をしながら実施できます。クライアントは、B2C系のクライアントが多く、住宅、FX、証券などの金融系、人材系、コスメ系など多岐にわたります。最近は、EC系の会員登録改善などCROの案件もあり、登録フォーム改善にプラスしてSprocketさんを組み合わせるという可能性も考えています。

深田:Sprocketで実践した会員登録改善については、最近の事例ではピザハットさんの事例があります。ピザを注文しようとしている方に、会員登録するメリットをチュートリアル形式でサイト回遊しながらお伝えするもので、会員登録率が大きく改善されました。

他にも健康食品の発酵生活さんの事例では、カート離脱の改善策として、社長のキャラクターが効能を伝えるメッセージを表示したところ、購入完了は123%になりました。発酵生活さんでは、1回商品を購入してもらえれば、半分近くがリピート購入に結びつくということで、新規購入をクリアできるかどうかというのは非常に重要な指標とされていましたので、この改善効果は大きいです。

岩本:Sprocketガイドでそこまで改善するのですね。Sprocketの価格体系は?

深田:MAU(月間アクティブユーザ)ベースの課金となっていて、シナリオはいくつでも出せます。Webサイト内の文言やバナーデザインはアッションさんのABテストツールを使って改善し、それにSprocketガイドを表示すれば、掛け算の効果が期待できそうですね。

さて、話をCROに戻しましょう。CROといっても概念が広いですよね。SprocketもアッションもCROの一部だと思います。

広告はやりつくした。次はコンバージョンの最適化へ


岩本:CROの概念は古くからありましたが、なぜ今これほど注目されているのか。理由について改めて考えてみたのですが、一つが広告が飽和状態であることですね。広告は競合がひしめき合って集客コストもあがっています。しかもどんどんオートメーション化して、RTB(Real Time Bidding)の最適化になっていますからできることが限られ、集客した後の受け皿としてCROに力を入れようという動きが出てきていると思います。

もう一つが、大企業、スタートアップどちらもが同業界に新規参入しやすいことでしょうか。結果、大手の資本投入できる戦略と、少ない資本の中で効率的に成果を出さなくてはいけないスタートアップ側の戦略と分かれ、それが発端ではあると思います。が、最近では大手様も力を入れているので注目されているのだと思います。

一方で我々ベンダー側もCROという一つのマーケットに対して大小様々なプレーヤーがいることで盛り上がっていると思います。ここ数年のデジタルマーケティングのカオスマップを見ると一目瞭然です。結果、クライアント様側はCROのツールが増えたことで、セグメントして見せ方を変えるといったパーソナライズ的な施策もやりやすくなりました。

写真:株式会社アッション 執行役員 岩本庸佑氏

CROが注目される理由について語る岩本氏

深田:広告のノウハウは出尽くしていて、最適化もし尽くしているという話は聞きますね。リーチできる層にはリーチしたし、もうチューニングの余地がないから、「人をどう集めるか」から「来た人にどうコンバージョンしてもらうか」に視点か移っていますね。広告で一気に集めたあとは、Webサイト上でセグメントに分けて、最適なメッセージを配信するということですね。

岩本:しかし、まだWebサイト上のパーソナライゼーションという視点では、きちんとできているところは少ないと思います。ちなみに、Sprocketでも、ターゲット別にセグメント化してメッセージの出し分けもできるのですか?

深田:データを持っていればターゲティングは可能です。データがない場合はユーザ属性や行動データから判断して、メッセージを最適化できます。

岩本:ということは、最適化箇所以外のページにもタグを設置する必要がありますか?最適箇所以外の人もMAUに含まれるのでしょうか。

深田:はい、周辺の行動データも合わせてセグメント分けしていきます。ですから、特定ページだけではなく、いろいろなところでシナリオを出せるということでもあります。

岩本:なるほど、どこで何をやっても料金は同じということですね。

深田:そうですね、たくさんSprocketのシナリオを入れていただいたほうが、おトクになりますね。シナリオ一つなら自前で入れられると考えるクライアントさんもいますが、いろいろな施策を効果検証しながら、次々に充てられることがSprocketのメリットでもあります。

CRO施策のシナリオはどう作るのか


岩本:シナリオ設計などはどうしていますか?

深田:過去案件の経験から、成果が出やすいシナリオパターンを蓄積しています。初期提案の段階では、この中からいかがですか、という形で提案して導入していただき、ある程度データが貯まればまた別の切り口でのシナリオを考えていくという流れが多いですね。

岩本:なるほど、運用を続けるうちにシナリオの幅が広がっていくんですね。ところで、そもそもクライアント様側は自社の課題は明確になっていますか?

深田:明確ではないことが多いですね。CROといっても何から始めるのかという話になります。本来なら、一度データ分析をして、インパクトのある部分を見つけ出し、そこから適用するという方法もありますが、時間もコストもかかるので、まずはクライアントさんが共通的にできていないことが多い部分から適用していきます。

例えば会員登録のメリット訴求は、今まで見逃していた部分です。ユーザは登録のメリットをわざわざ自分で見に行かないので、会員登録の流れで自然にお知らせしていくほうがいいんですよ。サイトの作りが不親切な事が多いので、必要なページに導いていき、また元の会員登録フォームに戻してあげる感じですね。

岩本:なるほど、改めてよいツールですし、よいサービスラインをつかんでいますね。我々のABテストツールVWOは、Aバージョン、Bバージョンを検証し優劣をつけて良い方を本番に適用していくツールで、PDCAでいうところのDo、Checkの工程にフォーカスした検証プラットフォームです。Sprocketの場合、検証だけでなくサイトに根付くのがいいですね。

深田:サイトの表現としてどっちがいいか、というのはマーケターの方は悩まれることなので、そこをABテストで検証できるということはイメージがつきやすいと思います。一方、Sprocketの場合はこれまでなかった取り組みになる事が多いなので、クライアントさんには事例などを示しながら理解して貰う必要があります。

岩本:CROの重要性は伝わっていて、その中でABテストというニーズはあるのですが、ではテスト施策をどう考案するか、ということは課題でもあります。ABテストの施策作りの一つの方法として、すでに事例になっているものを試すということがありますが、他社の成功事例が必ずしも自社にも有効ではなく、あくまでもテストアイディアの引き出しを多く持っておく手段として考えてもらえると良いと思います。なので、テスト後の検証とそこからの仮説設計が重要ですね。

深田:Sprocketでも、ユーザに次の行動に進んでもらうために、どういうメッセージを出すかというシナリオ設計が重要で、仮説をたてて数字で検証していきます。

岩本:KPIの設計はどうしていますか?

深田:個別のシナリオによって変えていますね。会員登録率、購入完了率を見ることが多いですが、それよりも手前の直帰率、回遊率、セッション当たりPVを見ることもあります。例えば、ECサイトではなく、月額課金のサイトなら、特定のページにどれくらいの人がアクセスしたか、といった数値を見ることもあります。

岩本:仮説設計ができないと検証もできないですしね。ABテストの場合、オリジナルに比べて改善施策の優位性なしということもあるのですが、それも大事な検証結果だと思っています。

深田:優位性なしの時は、どういう説明をしていますか?

岩本:そもそもABテストツールを使った改善施策とは何か、ということになりますね。本番環境に適用したときに改善の効果があるかどうかわからないので、リスクヘッジとしてABテストを実施しますが、もしテストの結果がよくなければ、それは選択肢として消すことができ、次の施策を考えられます。

そもそもABテストとは、やり続ければどこかの段階で、オリジナルに負け続けるべきだと思います。そのタイミングに来たら、次は探求というステージで訴求軸を変えるということになります。

写真:アッションの岩田氏と弊社代表の深田

CROにおけるABテストの目的について語る

CROの全体最適と部分最適の関係

岩本:ABテストのアプローチとして、部分最適なのか、全体最適なのかといわれれば、部分最適が先にくることが多いです。全体最適を考えるとスピードが遅くなりますし、全体のシナリオ設計も仮説の組み立てなので、部分最適の積み重ねで効果の積み上げをしていき、最終的に全体最適ができればと思います。

深田:部分最適のほうがすぐに試せますからね。

岩本:全体最適のアプローチでは、スマホではUIの最適なパターンを見つけるために、サイト全体でパターン分けすることもあります。例えば、ビジネスホテルを全国展開するクライアントさんの場合では、3パターンのボタンサイズを用意し検証しました。

ボタンサイズの変更からUI改善を想定しているので、一応コンバージョン率も追っかけます。が、同時に回遊率を見ています。コンバージョンする人たちに対しては回遊率を下げる、一方でコンバージョンしなかった人はどれだけ回遊させたかという逆の指標を見ています。コンバージョンしなくても、どれだけのプランを示すことができたかが、次につなげるためにも重要だからです。

深田:全体最適化の究極は、マスのコミュニケーションも含めて統合的にマーケティング戦略を考え、デジタル施策に落としこむということになり、時間もコストもかかります。

Sprocketでは、全体的なマーケティング戦略が必要なときには、専門の会社であるBICPさんと提携しています。BICPさんのほうで、マスの広告戦略、オムニチャネル戦略なども含めたカスタマージャーニーを設計し、それぞれのタイミングでのコミュニケーションを考えます。

岩本:マスもデジタルも両方のスキルが求められますよね。上流を抑えておけば、課題ごとに最適なツール・サービスを提案していくことができるので、そこを目指して動いている企業も増えているようです。

CROのこれから

深田:CROでも、上流からトータルで見た時の改善の視点が必要ですよね。マイクロコンバージョンの改善だけでなく、事業全体としてどうなのか、ということをはベンダーも考えないといけないですよね。そのためSprocketでは、接客としてのクーポンは使わないというポリシーがあります。

岩本:なるほど!クーポンはブースト効果はありますが、安易な方法ですよね。

深田:クーポン無しで、コミュニケーションの結果として会員登録、購入につなげていくことを目指しています。クーポンは、マイクロコンバージョン改善地獄に陥るはめになり、長期的に自分の首を締めてしまうことになりかねません。利益が上がらないのはクーポンのせいだ、となったらコンバージョン改善がひっくり返りますから。

上位シナリオを考えればクーポンという発想にならないですし、リアルの現場では店員や営業が割引で販売しても評価されないですよね。経営者なら「割引かずに売るのが営業の腕の見せ所だろ!」となってしまいます。

その点、ABテストツールもコミュニケーションの改善だと思うので、親和性が高いと思います。

岩本:CRO全体の話でいくと、WebサイトのABテストは静的な形の最適化ですが、Sprocketのようなパーソナライズした動的な最適化というのもあって、時間軸における役割が今後明確化すると思います。

CRO施策として、ABテスト、Web接客ツール、LPO等がある中で、時間軸ベースでそれぞれが最適化していく設計も重要ですね。

あと最近気になっているのは、アフィリエイトサイトやソーシャルメディアなどWebサイト以外の場所でコンバージョンをどう最適化するかということですね。

深田:FacebookやLINEがボットインタフェースを取り上げ始めたことに注目しています。外部サイトの中で自動的にユーザとのチャットが始まって、ボットで物事が完結するようなことをLINEやFacebookは考えているようです。

岩本:LINE Payなど決済システムがあるから、LINE内で完結したいということがあるのかもしれませんが、事業者側からみるとどうなんでしょうか。CROだけでなくLTVも考えると、瞬間的な売上だけでなく、関係構築という点から事業者は嫌がるような気もしますが。

深田:そうですね、ただベンダーとしては着目するべき動向だと思いますし、今後人工知能が取り入れられれば、ある程度の会話くらいならできそうです。

海外ではGobutlerというサービスがあってもともとはデジタルパーソナルアシスタントのメッセージサービスだったのですが、ピボットして飛行機の予約システムになりました。チャット感覚で条件を伝えれば、最適なチケットが予約できるというサービスです。

岩本:その人のその時に必要性が高い等特定の条件のもとでなら、ボットでも対応できますね。ただ、エモーショナルなものはまだ難しい気がします。ホテルもビジネスホテルとリゾート系のホテルではアプローチが変わります。ビジネスホテルならUIや条件ですが、リゾートホテルではエモーショナルな訴求が必要です。

ただ、その点もどこかのタイミングで乗り越えられそうで、今後は会話型コマースなども現実になりそうですね。Webサイトに着地させなくても完結するためには、商品データフィードの最適化も必要になりますが、そこもどれだけのシナリオを想定してタグを付けられるかということになるかもしれないですね。

深田:Sprocketもコンバージョン最適化と今は言っていますが、結局は企業と顧客の中長期的な接点をどう作るかことを目指していて、おもてなしをデジタルで実現すること、ひいてはユーザの自己実現を満たすことができる企業が生き残ると考えています。

岩本:CROの全体像は常に考えていきたいですね。さて、CROについて議論してきましたが、2016年4月14日に、アッション、Sprocket2社共催セミナーを実施します。CROについて事例を踏まえて詳しく紹介しますので、ぜひご来場ください。

イベント詳細


assion×Sprocket共催2016年の新潮流 CRO(conversion rate organization)のトレンドと売上UPに必要な施策

開催日時【2016-04-14(木)16:00 - 18:00 開場:15:45】
開催場所【株式会社アッション セミナールーム】※目黒駅から徒歩2分
http://www.assion.co.jp/company/

15時45分 受付開始
16時00分 ご挨拶とご案内
16時05分~16時50分 第一部 株式会社アッション:「今すぐやるべき最短で売上を上げるためのA/Bテスト組織を作るスタート方法と仕組みを作ればOK!ユーザーレビューマーケティングノウハウ」
16時50分~17時00分 休憩
17時00分~17時45分 第二部 株式会社スプロケット:「離脱防止で売上UP!事例公開と具体的なノウハウを教えます。」
7時45分~18時00分 質疑応答 個別相談

写真:インタビュー後にこやかにほほ笑む二人

セミナーでお会いしましょう!

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