ネットリサーチとは?メリット、デメリット、調査の流れや調査会社の選び方を解説

マーケティングリサーチ

Sprocket編集部

ネットリサーチとは?メリット、デメリット、調査の流れや調査会社の選び方を解説

ネットリサーチとは、マーケティングリサーチの代表的な手法の1つです。対象者にWeb上でアンケートに回答してもらい、結果を自動で集計できるのが特徴です。この記事では、メリット、デメリット、実際の調査の流れや調査会社の選び方を分かりやすく解説します。

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ネットリサーチとは

ネットリサーチは、調査対象者にWeb上でアンケートに答えてもらう調査手法を言います。「Web調査」「オンラインサーベイ」とも呼ばれます。電話や郵送、訪問といった従来の手法と比べると手間やコストを抑えられる強みがあり、インターネットの普及にともない市場調査に広く使われるようになってきました。

一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会の調査によると、2021年度の市場調査業界の国内市場規模は2,357億円です。このうち、AD-HOC(単発)調査におけるインターネット調査の推定売上高は792億円で、既存手法による調査の573億円を上回っています。ネットリサーチが市場調査の主要な方法となってきていることがうかがえます。

インターネット利用があらゆる社会層に浸透し、Webを介した調査でも回答者の世代などに偏りが少なくなってきたことも、ネットリサーチが有力な調査方法となった背景のひとつでしょう。ネットリサーチでは多くのデータを短時間かつ低コストで得られるため、数値や数量データを収集・分析する定量調査に特に向いているとされます。ほかにも、アンケートに画像・動画を添付して商品パッケージや広告の印象を調査するなど、さまざまな使い方が可能です。

ネットリサーチの目的

マーケティングにおいて、ネットリサーチは以下のような目的に用いられます。

市場調査・マーケットリサーチ

商品・サービスの開発や改良には、市場の把握が欠かせません。消費者のニーズや、関連商品・サービスの利用実態や価格、自社と競合の差別化ポイントなどを捉えるのに、ネットリサーチは有効に使えます。ネットリサーチは短期間で幅広いユーザーに調査を実施でき、また年代や職業といった属性での分類も容易なため、市場の「今」をつかみやすいのです。

ブランド調査

自社のブランドが消費者にどれくらい浸透しているか、また消費者から見てどのようなイメージであるかは、重要なマーケティング情報になります。ネットリサーチでは「〇〇といって思い浮かぶブランドは?」のようにブランドの想起率や、ブランドに対して感じるイメージ調査などが可能です。また、認知や購買意欲の有無、購買頻度などを調べることで、一連の購買行動のなかで滞りがちなボトルネックを探ることができます。

コンセプト調査

商品開発にあたり、想定するユーザー層や利用シーン、利用者のベネフィットといった、基本的な考え方として策定するのが商品コンセプトです。商品コンセプトは開発工程の核となる部分であるため、ユーザーに支持されるかどうかは開発の成否を握ると言えるでしょう。

コンセプトシートにまとめた内容について、魅力や新しさを感じる点、理解度、購入意向などをネットリサーチで調査することで、コンセプト評価を実施できます。

ネットリサーチのメリット

ネットリサーチは、他の調査手法と比べて以下のような点で優れています。

短期間・低コストで多くの回答が得られる

ネットリサーチは、アンケート実施にかかる時間や手間を、従来の調査手法と比べて大きく削減できます。専門のネットリサーチ会社を利用する場合、既に多数のモニターが保有されており、調査対象者をあらためて募集する必要がありません。また、質問作成から対象者への送付、結果集計までPCひとつで完結することも大きなメリットです。

従来の調査手法のようなアンケート用紙の準備・印刷・配布、また調査員の派遣などが必要なく、手作業やコストを抑えて速やかに調査を進められます。モニター側も場所を選ばず自身の空いた時間に入力できるなど回答のハードルが低いため、多くの回答数を集めることができます。

分析がしやすい

郵送や対面で行う従来の調査手法では、回収した紙の調査結果をデータ化する作業が必要でした。ネットリサーチの場合、回答はそのままデータとして扱えるため、すぐに集計・分析を行うことができます

また、ネットリサーチ会社のモニターは、あらかじめ年代・性別・職業といった属性を登録しています。このため、特定の属性に絞ってアンケートを配信することも可能ですし、回答結果を属性ごとに集計・分析することも容易です。

ネットリサーチのデメリット

ネットリサーチは、効率的に調査を行える反面、インターネットを介する手法ならではの弱みもあります。

対象者によっては回答数が集まりにくい

ネットリサーチには多数の回答数を得られる強みがありますが、かといってあらゆる属性の対象者が計画通りに確保できるとは限りません。例えば、インターネットがかなり一般的になったとはいえ、やはり世代の偏りは存在します。

インターネットの利用頻度が少ない高齢世代は、ネットリサーチでは十分な回答数が集まらない可能性が高いでしょう。同様に、職種や年収といった条件を限定しすぎると、あてはまるモニターがそれだけ少なくなってしまいます。調査を行いたい対象者の属性によっては、訪問調査など別の調査手法も視野に入れたほうがよいでしょう。

調査の品質が落ちる可能性がある

ネットリサーチはその匿名性ゆえに、事実と異なる属性や内容で回答されてしまうリスクがあります。謝礼を目当てにプロフィールを偽って調査に参加したり、嘘あるいはいい加減な回答をしたりするモニターがいる可能性は否めません。

想定した対象者ではない回答は、調査の品質を損なってしまいます。十分な回答数を集める、対象者の条件を限定する場合はスクリーニングをしっかり行うなど、回答の質を保つ対策が必要でしょう。

ネットリサーチ会社によっては、モニター登録時の本人確認や、不正な回答などを排除する仕組みもあります。

ネットリサーチで注意すべき回答端末

スマートフォンの普及は、インターネットアクセスをより日常的なものへと変えました。ネットリサーチにおいても、回答の機会が多くなるなど利点はありますが、その一方で注意したい点があります。

スマートフォンでWebアンケートに回答しようとして、入力しにくいと感じたり、面倒になって回答をやめたりした経験はないでしょうか。スマートフォンはPCと比べると1画面に表示できる情報が少なく、入力がキーボードではないといった差異があります。何度もスクロールを要したり、マトリクス式の選択肢が画面内に納まらなかったりといった表示の問題や、人によってはキーボードに比べて文字入力にストレスを感じることが懸念されます

回答時のストレスは、途中での離脱による回答数の不足、選択肢の見落としなど調査精度の低下につながりかねません。このため、回答するデバイスを考慮したアンケート設計が求められるでしょう。

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マーケティングリサーチの基本用語と手法

ネットリサーチの流れ・方法

ネットリサーチは、外部の調査会社に依頼して実施することが一般的です。自社で行うことも可能ですが、モニターの確保や回答システムの構築といった費用対効果を考えると難しい面があるでしょう。調査会社を使ったネットリサーチの大まかな流れは、以下のようになります。

調査企画・設計

リサーチの肝となるのが調査企画です。まずは、解決すべきマーケティング課題から調査の目的を明らかにしましょう。目的を達成するために調査でどのような情報を得たいかを整理し、結果を予測して仮説を立てます。

仮説を具体的に言語化することで、調査範囲や設問の精度が上がり、関係者間の意思統一にも役立ちます。調査対象者は調査目的に合致するように、必要に応じて属性や条件を絞り込みましょう。

条件を細かく限定したい場合は、本調査に先駆けてスクリーニング調査を実施することが有効です。収集する回答数や調査期間もあわせて計画を立てます。調査期間は規模や内容によって異なりますが、おおむね3週間程度が一般的と言われます。

アンケート調査票作成

企画が固まったら、具体的なアンケート項目である調査票を作成します。前述したスクリーニング調査を行う場合は、そちらの内容も決めていきます。

設問は、必要なデータを分析に使える形で取得できるように設計しなければなりません。また、聞きたいことを単に羅列するのではなく、対象者が回答しやすい構成にすることが大事です。

設問同士の関連性を意識し、モニターの思考の流れに沿ってスムーズに答えられる順番や表現を練りましょう。回答によって次の質問が変わるように分岐を設けるのも、無駄な質問を排除して回答の負担を抑え、集計を効率的にするために重要な設計ポイントです。

実査・集計

実際に調査情報を収集することを「実査」と言い、ネットリサーチにおいてはアンケート実施が実査に該当します。送信された回答データは回答期間終了後に集計していきますが、システムによっては自動集計機能を備えたものもあり、回答期間の途中で速報値を確認することも可能です。

アンケート結果の集計方法には、代表的なものとして「単純集計」と「クロス集計」があります。単純集計とは、設問の1つひとつについて、回答数や回答比率・平均値などをまとめることです。集計の基本であり、全体の傾向をつかむのに用いられます。それらの値を他の要素、例えばモニターの属性やほかの設問と掛け合わせて結果を見るのがクロス集計です。データをより深く掘り下げて、さまざまな軸で傾向を読み解くことができます。

調査会社によっては、ほかにもさまざまな分析手法が用意されています。

結果の分析

集計結果から、分析を行いレポートにまとめていきます。分析フェーズで重要なのは、調査企画フェーズで想定した仮説と実際の結果を照らし合わせることです。

仮説に合致する結果が得られれば、課題の方向性が裏付けられ、すぐに具体的な施策を進めていけます。もしも仮説と異なる結果が出た場合は、調査結果から真の課題を明らかにし、戦略を練り直す必要があるでしょう。

ネットリサーチ

調査会社の選び方は?

ネットリサーチの市場規模が伸びている現在、ネットリサーチサービスを提供する調査会社は多岐にわたります。料金や得意分野など内容はさまざまですが、自社に合った調査会社を選ぶには、まずは以下のような観点をチェックするとよいでしょう。

サポート範囲

ネットリサーチのサービスは、ツールのみ提供され調査企画・設計・分析は自社で行う「セルフリサーチ型」か、企画から実施・レポートまで調査会社が請け負う「オーダーメイド型」に大別されます。

アンケート実施に関するスキルや社内リソースがあり、低コストで調査を実施したい場合は、セルフリサーチ型が有力な選択肢になるでしょう。一方、社内リソースが不足している場合やプロとともに精度の高い調査・分析を行いたい場合は、オーダーメイド型が向いています。

保有するモニター

調査会社にモニター数が十分に保有されていることも重要なポイントです。幅広く多人数のモニターがいるほどさまざまな調査に通用しやすいですが、モニターの集め方によっては「子育て世代が多い」「医療関係者が多い」など、性別・年代や職種に特色がある調査会社も存在します。

調査するターゲットが絞れている場合はモニターの傾向が合致する会社を選ぶのもひとつの手ですね。また、モニターの質を保つための取り組みがあるかどうかもチェックするとよいでしょう。例えば、二重登録や不正な回答の多いモニターを定期的にチェックする、整合性のとれない回答を検出し調査結果から除外するなどの仕組みが考えられます。

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