施策の効果を最大化するための 消費者の行動心理をマーケティングに活用する方法
人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く行動心理学。その原理原則を正しく活用すれば、商品やサービスの魅力を最大限に訴求したり、顧客を動かすことが可能となります。この資料では、マーケティングに活用できる行動心理学についてわかりやすく解説します。
ヒューリスティックとは、経験や先入観が意思決定に影響を与えることを指す心理学用語です。この記事では、主なヒューリスティックの種類、マーケティングに活用した事例、ヒューリスティックの注意点をわかりやすく解説します。
「人を動かす」心理学の使い方をご存知ですか?すぐに実践に活かしたいという方に向けて、ポイントをまとめた資料をご用意しました。
ヒューリスティックとは、発見的手法とも言われる心理学用語で「先入観や経験にもとづき、ある程度正しそうな答えを見つける思考法」のことを指します。
日本語では「経験則」と同じ意味とみなされ、例えば空模様を見て「これから雨が降りそうだ」と判断したり、礼服を着た人を見て「結婚式帰りだろう」と考えたりすることがヒューリスティックに当てはまります。
ヒューリスティックでは複雑な思考を要する判断でも簡単にできるため、意思決定が早くなる、少ない判断基準だけでも難しい決断ができるというメリットがあります。しかし、判断基準として用いる経験や先入観などは属人的で偏りがある上に「自分の都合の良いことばかり覚えがち」という人間心理である認知バイアスも働きます。
ヒューリスティックは、自分の経験など偏った視点をもとに、感覚や推論にもとづいて判断するため、矛盾や破綻のない論理的思考であるロジカルシンキングと対立する概念なのです。
場合によっては「思い込みで行動する」ことにもなってしまうため、活用する場所には注意が必要です。
論理的思考力と洞察力を養い、問題解決能力を伸ばすためには多角的な視点を持つことが重要です。Sprocketでは顧客心理を読み解くためのヒントをわかりやすくお届けするメディア「スプ論」も公開しています。知見を広げる情報発信を行っていますので、ぜひご覧ください。
意識的にヒューリスティックを使うことで、より効果的にマーケティングを行うことができます。身近なヒューリスティックの種類について、具体例とともに見ていきましょう。
代表性ヒューリスティックとは、見た目や特徴をもとに物事の判断を行うことです。典型的なイメージにもとづいて判断を行うため、ある意味では偏見とも言える思考です。
《代表性ヒューリスティックの例》
利用可能性ヒューリスティック、あるいは想起ヒューリスティックとは、自分の入手しやすい情報や、思い出しやすい情報に頼って判断することです。
自分の身の回りの出来事や印象的だった記憶、友人やネット上の口コミなどをもとに判断するため、状況によっては大きな偏りが出る場合があります。
《利用可能性ヒューリスティックの例》
係留と調整ヒューリスティックとは、最初に入手した情報をもとに判断を行うことです。最初に手に入れた情報が船のアンカーのようになり、その場から大きく動けなくなってしまう様子を表しています。この減少は、アンカリング効果と呼ばれています。
《係留と調整ヒューリスティックの例》
感情ヒューリスティックとは、好きなもののメリットを高く、デメリットを低く評価し、嫌いなもののメリットを低く、デメリットを高く評価することです。簡単に言えば「好き嫌いで物事を決める」ことです。
《感情ヒューリスティックの例》
シミュレーション・ヒューリスティックとは、自分の過去の経験や先入観から「きっと今度はこうなるだろう」と考えて結果を判断することです。実際起こっている出来事に対して「このような理由があったのだろう」と勝手に推察すること、あるいは「もし○○していれば○○だったのに」と事実と違うことを想定するのもシミュレーション・ヒューリスティックに当てはまります。
《シミュレーション・ヒューリスティックの例》
マーケティング施策を実行する上で、ヒューリスティックといった人の行動原理を読み解くことは重要です。人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く「行動心理学」をマーケティングに活用するポイントをわかりやすくまとめた資料を公開中です。そちらもぜひご参照ください。
ヒューリスティックをマーケティングに活用することで、自社製品をよりよく見せたり、狙った商品を購入してもらいやすくなる効果が狙えます。以下で具体的に紹介しますので、商品やサービス、戦略に合わせて使い分けましょう。
TVCMなどで、企業イメージを繰り返し顧客に印象付けることで、利用可能性ヒューリスティックが働きます。
例えば、スーパーでよく似た商品が複数あり「どの商品を選ぼうか」と顧客が迷ったときに、TVCMで顧客の印象に残っている商品を選ぶことは珍しくありません。企業に対して良いイメージを与えておくことで「親しみのあるあの会社の製品なら安心だろう」という感情ヒューリスティックの働きも期待できます。
CMやキャッチフレーズ、ロゴなどで、親しみやすく覚えやすいイメージを顧客に伝えるようにしましょう。
商品の価格表示に、元値と値引き額の両方を提示することで、係留と調整ヒューリスティックを利用したマーケティングが行なえます。
単に「今ならお買い得価格の5,000円で販売します」と表示するのではなく「通常販売価格1万円のところ、今だけ5,000円で販売します」と表示することで、顧客によりお買い得感を印象付けられるでしょう。
このとき「期間限定」であればより効果が高まります。なぜなら、顧客に「いつでもこの価格だ」と思われてしまうと、「一旦家に帰って考えてみよう」「他の商品と価格や性能の比較をしてみよう」といった比較検討の余地が生まれてしまいますが、期間限定であれば「今判断しなくては」と顧客に余裕がなくなるためです。
「今入会すれば入会金は無料です」などの売り文句を使い、「今決定しなければ、将来的に損をしてしまうかもしれない」と思わせることで、顧客のより早い決断を促しましょう。
「3種類の価格帯の商品を提示すると、顧客は真ん中の価格の商品を選びやすくなる」という心理を利用した松竹梅戦略にも、ヒューリスティックが関わっています。
例えばコース料理の価格設定をするときに「10,000円、8,000円、6,000円」のコースを用意しておくと、中間の8,000円のコースが一番売れやすくなります。これは、最初に見た「10,000円」という価格がアンカーとなり、それ以下の価格を「安い」「お得だ」と捉える係留と調整ヒューリスティックと、「高いものは良いもの」「安いものは悪いもの」と考える代表性ヒューリスティックの両方が働くためです。
8,000円のコースを選ぶことで「お得かつちょうどよい質のものを手に入れられる」と顧客は判断します。中間の価格となる商品が最も売りたい商品になるように、そして一番お得感のある価格設定になるように調節しましょう。
ヒューリスティックをマーケティングに応用する際に重要となるライティングスキル、「言葉選び」についてまとめた下記の資料もご参照ください。
ヒューリスティックの効果を狙うあまり、自社にとって良いことばかり提示しても、逆に「本当だろうか」と消費者や顧客に不信感を抱かせてしまうため、やりすぎには注意が必要です。
例えば利用可能性ヒューリスティックを狙って「この商品でシミが消えた」「肌にハリが出てきた」などの体験談を掲載するのは、たとえ「個人の体験談です」という注意書きがあったとしても薬機法違反になります。
また、係留と調整ヒューリスティックを狙った「通常価格◯円のところ、割引価格の◯円で販売」という二重価格表示でも、ミスが起こりがちです。景品表示法では、二重価格表示には「過去通算2週間以上の『通常価格』の販売実績がある」「その時点から遡る8週間のうち、過半数以上を『通常価格』で販売している」などの細かいルールがあり、当てはまらない場合は景品表示法違反となってしまいます。
ヒューリスティックを利用してマーケティングを行うと、より消費者心理に訴えかける販売活動ができますが、一方で法律違反にならないよう表現には注意が必要です。
施策の効果を最大化するための 消費者の行動心理をマーケティングに活用する方法
人間が行動をするときにどのような心理に基づいているかを紐解く行動心理学。その原理原則を正しく活用すれば、商品やサービスの魅力を最大限に訴求したり、顧客を動かすことが可能となります。この資料では、マーケティングに活用できる行動心理学についてわかりやすく解説します。
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