ARPUの基本を押さえよう!ARPPU・ARPAとの違い、ビジネスモデルごとの計算方法を解説

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Sprocket編集部

ARPUの基本を押さえよう!ARPPU・ARPAとの違い、ビジネスモデルごとの計算方法を解説

ARPUは、ユーザー1人あたりの平均売上金額を表す指標です。収益性を可視化でき、KPIの1つとして使われます。この記事では、ARPUの基本やARPPU・ARPAとの違い、ビジネスモデルごとの計算方法、ARPUを向上させる施策について解説します。

ARPU(Average Revenue Per User)とは?

ARPUは「Average Revenue Per User」の頭文字をとった言葉で、1ユーザーあたりの平均売上金額を表す指標です。以下の通り、売上金額をユーザー数で割ることで算出できます。

ARPU = 売上金額 ÷ ユーザー数

ARPUはもともと、通信キャリアに代表されるような月額課金型サービスで用いられてきた指標です。現在では、SaaS型のビジネスやスマホゲームなどさまざまな事業で評価指標として広く取り入れられるようになりました。

ARPUが重視されるようになった背景に、市場の飽和があります。サービス全体の売り上げを向上するには、ユーザー総数を増やす、もしくはユーザーあたりの売上金額を上げるという2つの方法が考えられます。ユーザー数には限りがあり、いずれは伸び悩んでしまうため、継続して収益をあげるには顧客単価を伸ばす施策が欠かせません。ARPUによってユーザー1人あたりの平均売上金額を把握することで、収益性の可視化・改善に役立ちます。

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ARPPU・ARPAとの違い

ARPUと似た指標に、ARPPUとARPAがあります。ARPPUは課金ユーザー1人あたりの平均売上金額、ARPAはアカウントあたりの平均売上金額です。それぞれの計算式は以下のように表すことができます。

ARPU = 売上金額 ÷ ユーザー数

ARPPU = 売上金額 ÷ 課金ユーザー数

ARPA = 売上金額 ÷ アカウント数

この3つは一見似たように見えますが、実態に即して使い分けることで効果的なKPIを設定できます。ARPPU・ARPAはそれぞれ以下のように使われます。

ARPPUの特徴

ARRPU(Average Revenue per Paid User)は、無料プランと有料プランの両方を提供しているサービスにおいて、有料プランに課金しているユーザーだけを対象に分析する場合に用います。各種サービスの有料プレミアム機能や、ソーシャルゲームのアイテム課金などがイメージしやすいでしょう。

ARPUとの違いは、計算対象に無課金ユーザーを含めるか含めないかという点です。無料サービスの範囲内だけで利用するユーザーは、いくら契約者数が増えても売り上げには貢献しません。有料サービスで収益を上げるには、課金ユーザーに注目して算出するARPPUが重要なKPIとなります。

ARPAの特徴

ARPA(Average Revenue per Account)は、1アカウントあたりの売上金額を測る指標です。例えば通信キャリアでは、1人の契約者が複数のモバイル端末を持つことは珍しくありません。この場合は端末単位より契約者(アカウント)ごとにまとめて収益を考えたほうが、実態に即していると言えるでしょう。

また、BtoBのSaaSビジネスでも、1契約について複数端末で利用する形態が一般的になってきました。このように利用端末数ではなくアカウントに対して課金する方式の場合も、ARPUよりARPAを使用することでより正確なKPIを設定できま

ビジネスモデル別のARPUの計算方法

前項で述べたARPUの計算式は、既に確定した売り上げの実績値から計算するものです。したがってKPIを達成したかどうかの判断はできますが、このままでは未来の予測には使えません。

売り上げ予測にARPUを使うには、どのように計算すればよいでしょうか。ビジネスモデルごとにARPUの試算方法を解説します。

ユーザー課金モデルのARPUの計算方法

まず、スマホのゲームアプリなど課金ユーザーがいるビジネスモデルの場合です。ARPUは、課金ユーザー1人あたりの平均売上額(ARPPU)に、課金ユーザー率(Paid User Rate:PUR)をかけたものになります。ARPPUは商品単価・購入点数・購入頻度から構成されます。

ARPU = ARPPU × 課金ユーザー率(PUR)

ARPPU = 商品単価 × 平均購入点数 × 平均購入頻度

例として、あるスマホゲームアプリのARPUを計算してみましょう。課金ユーザーの状況が以下のようになっているとします。

この場合、1か月のARPPU、そしてARPUは以下のように算出されます。

ARPPU = 300(円)× 2(点)× 3(回)= 1,800(円)

ARPU = 1,800(円)× 0.4(40%) = 720(円)

月次のARPUは720円となりました。

広告表示課金モデルのARPUの計算方法

次に、広告表示によって収益を得る広告表示課金モデルについて見てみましょう。無料のサービスやアプリによく使われるビジネスモデルです。ARPUは、ユーザー1人あたりの広告表示回数に表示された広告単価をかけて算出します。

ARPU = エンゲージメント数 ×(CPM ÷ 1,000)

エンゲージメントとは広告表示の機会を表し、PV・アプリの滞在時間・起動の頻度などから構成されます。CPMは広告が1,000回表示されるごとに発生する費用ですから、1,000で割ることで表示1回あたりの費用が算出できます。例えば、ある無料アプリのCPMと広告表示平均回数が以下の通りだったとします。

このとき日次ARPUは以下のように計算できます。

ARPU = 10(回)×(100 ÷ 1,000)(円)= 1(円)

日次ARPUは1円となります。

広告クリック課金モデルのARPUの計算方法

無料アプリには、ユーザーが広告をクリックすることで収益が発生するビジネスモデルもあります。この場合は、1クリックあたりで発生する売り上げ(CPC)にクリック率(CTR)をかけることで、ARPUを算出します。クリック率は広告表示回数に対するクリック数の割合です。

ARPU = CPC × CTR

CTR = 総クリック数 ÷ 広告表示回数

以下のような無料アプリについて考えてみましょう。

ARPUは以下のように計算できます。

CTR = 2,000(回)÷ 100,000(回)= 0.02(2%)

ARPU = 50(円)× 0.02 = 1(円)

この場合、日次のARPUは1円です。

ARPU

ARPUを向上させる方法

顧客1人あたりの売り上げであるARPUは、SaaSビジネスに欠かせない指標となっています。ARPUを向上するには、ユーザーを無料サービスのみの利用から有料サービス利用に誘導する「アップセル」が効果的です。

しかし、一方的な押し売りの印象を与えてしまうと、顧客との関係が悪化するリスクがあります。アップセルに取り組むには、自社サービスに対する顧客ロイヤルティの向上を図ることが先決です。サポートやコミュニケーションを充実させるなどして顧客との信頼関係を構築した後で、タイミングを見極めてアップセルを提案することが求められるでしょう。

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