Webサイトの課題を発見する3ステップとは? Sprocketコンサルタントの改善メソッドを紹介
「オンライン接客」「デジタル接客」「Web接客」などと呼ばれる施策を行うにあたり、押さえておくべきことは何でしょうか? Sprocketがクライアント企業さまのコンサルティングを行うときに実践している3つのステップをご紹介します。
こんにちは、Sprocket コンサルタントの高坂です。
私たちはお客さまのビジネスをコンサルティングでお手伝いしています。とはいえ「コンサルティングって具体的に何をするのか」わかりづらいですよね? この記事では、Sprocketのコンサルタントがコンサルティングを始める前に行う「課題発見のための3ステップ」を通じて、コンサルタントがどのようにしてクライアント企業さまのWebサイトを調査・理解していくのかをご紹介します。
ステップ1. クライアント企業さまへのヒアリング
まずはクライアント企業さまへのヒアリングを行います。
そのときの質問は「このWebサイトを訪れるどのようなユーザーに、どうなってほしいですか?」です。もちろん、具体的な課題や数値目標(到達したいCVRやROI、CTAなどですね)については把握した上で、この問いを行っています。
「CVRを0.5%上げたい」「PDF資料ダウンロード数を昨対比で20%上げたい」という回答の場合は「では、どのようなユーザーがCVするようになればいいですか?」「どのくらいの検討度のユーザーを対象に考えましょうか?」などと、さらに掘り下げて聞いていきます。
「ブランドの良さをもっと知ってほしい」「他社とは違う自社の強みを感じてほしい」という回答の場合は、具体的な「良さ」を表現しているコンテンツや、他社とよく比較されるポイントをヒアリングしていきます。
私たちは多くのサイト改善を手がけてきていますので、ある程度課題が明確であれば、それに対して定量的に成果を上げられます。しかし、まずはクライアント企業さまが「どのようなユーザーと、どうなりたいのか」を教えていただく必要があると考えています。
最初に企業やブランドの世界観を共有する
Webサイトは実店舗と同じで、企業やブランドの世界観が反映されている場所です。
担当になったばかりのコンサルタントは、いわば新人の店舗スタッフです。ですから「とにかく今すぐ売ってきて」という指示ではなく「お店の世界観はこうで、こういうお客さまと、こんな関係を築いていきたい」という情報を教えていただきたいのです。
オンラインでもオフラインでも、接客、つまり何かを語りかけることにより人の意志を変容させ、行動を促すことはなかなか難しいことです。しかし、どのような内容の接客であれ、効果が得られやすいタイミングや語りかけの方法は必ず存在します。
Sprocketのコンサルタントは、多くのノウハウと適切なA/Bテストによる検証によって、そのWebサイトにおける適切な接客タイミングを見つけることができます。だからこそ、検証に取りかかる前に「どのような人に」「どのように語りかけるか」というスタンスを共有しておいたほうが、戦略を立てやすく、結果的に効率が良くなります。
ステップ2. Webサイトの作りとボリュームの調査
続いて行うのは、Webサイトの作りなどの調査です。
これは当社の分析ツールやGoogleアナリティクスを使って行います。主に次のような項目を調査します。
- Webサイト全体のページボリューム
- ディレクトリ構造
- 各ページの離脱率
- CV数
- CVR
- 日時や月次のUU数やPV数
- デバイス割合
- 新規ユーザー割合
など
よくいただく質問に「どこでどのようなオンライン接客をすれば、CVRを上げられますか?」というものがあります。結論から申し上げると「どこで何をやっても、適切な施策であればCVRは改善します」という答えになります。
ただ、この質問はたいていの場合「Webサイト全体のCVRを『しっかり』上げるにはどうしたらいいか?」というリクエストを含んでいますので、それに対応した答えを考えてきましょう。
Webサイト全体のCVを上げるには?
Webサイト全体のCVRを改善したい場合は「来訪者数の多いページで、大幅なCVR改善が期待できるオンライン接客を実施すれば良い」ということになります。ニッチな場所に凝ったオンライン接客を用意しても、その接客を受けるユーザーが少ないのであれば、Webサイト全体のCVRにはあまり影響を与えません。対象となるユーザーがたくさんいる場所で接客を行うべきでしょう。
となると、オンライン接客を行うべきページは一番来訪UU数の多いトップページでしょうか?
それとも、CVに近く商品を購入する見込みがあるけれど離脱も多いカートページでしょうか?
実際、これに対する「一律で正しい答え」はありません。先ほどお伝えしたとおり、どこで何をしても、適切な施策であれば改善は起こるからです。
例えば、トップページはいわばお店の玄関。カート画面はレジの近くです。どこで何をどんなふうに言えば、お客さまは気分良く、納得してレジでお会計をしてくれそうでしょうか?
それはお店のスタイルや商品、お客さまの状態によってさまざまです。オンライン接客も同じで、適切な内容やタイミングはWebサイトの数だけ存在します。
コンサルタントは適切なオンライン接客でユーザーの体験を向上させながらWebサイト全体の成果を上げていくために「UUボリューム」と「CV行動との距離」のバランスを考えています。
それはユーザーの体験改善とオンライン接客の成果を効率的に上げる非常に大切なポイントだからです。
ステップ3. 2種類の人格でWebサイトを体験
3番目に「2種類の人格」でクライアント企業さまのWebサイトを実際に体験します。
2種類の人格は「2種類の解像度」とも言い換えられます。具体的には、次の2つの視点を意識しながらWebサイトを体験し、気付きをメモしていきます。
- Sprocketのコンサルタント(の人格・解像度)
- 一般ユーザー(の人格・解像度)
Sprocketのコンサルタントとして体験する
SprocketのコンサルタントとしてWebサイトを体験するときは、次のような視点で、情報を網羅的に把握しようとします。
- メニュー項目や順番はどうなっているか?
- ページの構成はどうなっているか?
- ログイン領域の有無は?パラメータの有無は?
- 必要な情報への動線はどのように置かれているか?
- 問い合わせ先は?
ほかにも、ページデザインやパーツ類の配置、背景やカラーバランス、フォントのジャンプ率なども同時にチェックしています。
一般ユーザーとして体験する
一方、一般ユーザーとしてサイトを体験するときは、何か「このWebサイトでやりたいこと」を決めてサイトを見ていきます。
このとき、多くの場合は目的を「最近見かけた(ような気がする)あの商品を探したい」のように、あえてぼんやりさせます。また「目的に関係あるところか、よほど目立つところしか見ない」ようにしています。ざっくりと目を走らせて、無理なく追える範囲の情報だけで、実際に目的が達成できるかを見ていくのです。
これは、急いでいるときや、隙間時間でWebサイトを閲覧している一般ユーザーの集中度をイメージしています。
小一時間もサイトを回りながら気づいたところをメモしていくと、かなり多くの発見があります。メモの内容は下記のようにプロットできます。
ひとつは、Webサイトの機能価値に関する項目です。
- 必要な情報に必要なときにアクセスできたかどうか
- 間違いそうなところ、誤解しそうなところはあったか
- 一見しただけではわからなかったところはどこか
このようなメモから、ユーザーがWebサイト回遊中に引っかかり(フリクション)を感じるポイントを把握していきます。
また、同じくらい大事な軸として、Webサイトの情緒価値に関する項目も多く発見できます。具体的には、次のような項目です。
- ユーザーが持つであろう印象
- 魅力を感じたところ
- 理解が深まったところ
- 気分が上がったところ
- なぜその気持ちが生じたか
こうした情緒的な部分は言語化が難しいことも多いのですが、少しでも印象に残ったことはしっかりと記録しています。
これら最初の体験のメモは、Webサイトを見慣れたころにあらためて見返すと、新たな発見ができることも多くあります。
3つの視点からWebサイトの課題と改善ポイントが見つかる
ここまでの3ステップで得られた情報を整理してみましょう。
- クライアント企業さまへのヒアリング
→「実現したいユーザー体験」のイメージや方針 - Webサイトの作りとボリュームの調査
→サイトの構造(情報ベース)、具体的な数値によるページごとの評価 - 2種類の人格でWebサイトを体験
→Webサイトの構造(体験ベース)、機能価値、情緒価値、フリクションポイント
これだけの情報があれば、コンサルタントが改善施策を提案する際に困ることはありません。具体的な課題があるところから、優先度を付けて取り組んでいくだけです。では、具体的な課題とは何でしょうか?
実は、この3つのステップを踏むことで、大中小の異なる視点からWebサイトとユーザーの現在の関係性を把握できる構造になっています。
- クライアント企業さまへのヒアリング:大きな視点
- Webサイトの作りとボリュームの調査:中くらいの視点
- 2種類の視点でWebサイトを体験:小さな視点
お互いの関係は下記の図のようになります。
それぞれが視点を補完し合うため、「クライアント企業さまが目指すもの」「コンテンツの実際のUUやPV」「ユーザー視点でのサイト体験による実感」を照らし合わせると、「こうなっていてほしいのに、そのとおりになっていない」というポイントがほぼ必ず見つかります。それこそがWebサイトの課題であり、改善ポイントというわけです。
こうした複数の視点を用いて、Webサイトの先にいるユーザーの現在の状況について考えを巡らせることは、適切な課題の発見、ひいては質の高いコンサルティングに不可欠です。
Sprocketの施策は数値的な成果だけでなく、Webサイトの先にいるユーザーを理解するためにもご活用いただけます。そうしたユーザーへの深い理解はオンライン、オフラインを問わず「企業とユーザーの関係性」構築の場において、広く活用いただける学びとなるはずです。
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