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ゲームのメカニズムに見る人間の行動原理

深田浩嗣
深田浩嗣

以前「人間の行動原理はマーケティングに活かせるか?」という記事を書き非常にかんたんではありますが行動経済学についてのお話をしました。

行動経済学は、「経済学」という名前がついていますが、もともとは経済学が前提としていた人間の行動原理って実際は当てはまらないんじゃないの?というようなところからスタートした学術分野だそうです。経済学においては、「人間は経済合理的に考え判断し行動する」という前提で学問が組み立てられてきました。ただ例えばバブルのような現象は、経済合理的に人間が行動すると考えるとあまりうまく説明ができません。

合理的であれば、株にしても土地にしてもそのそのものの正しい評価をある程度みんなするはずだから、どんどんと土地や株の値段がつり上がっていく・・・という現象は起きないはずです。でも実際はそんなことはありませんよね。このように、人間の行動原理は必ずしも合理的とは言えず、むしろ非合理的な側面に目を向けるほうがよく理解できるのではないかというという発想はとても面白いとおもっています。

このような発想を持っているのはなにも行動経済学者だけではありません。

ゲームのメカニズム

今回ご紹介したいのは、昔から僕自身も着目してきたゲームのメカニズムです。そもそもゲームで遊ぶこと自体に経済的な合理性がなにもありません。それなのに、ゲームは多くの人を惹きつけます。つい遊んでしまいます、時には何十時間も。

Father and son playing video games on the couch

なぜ人はゲームで遊んでしまうのでしょうか?人気のあるゲームとないゲームの違いはどこにあるのでしょうか?

よく出来ているゲームは人間のことをとてもよくわかっています。例えば複雑な操作を覚えてもらうためにはどのような順序で何を提示すれば、途中で飽きさせずに続けてもらえるのか。

有名な例ですと、初代スーパーマリオのスタート画面や最初のステージ、ドラクエ1の最初の部屋など、初めて遊ぶ人がマニュアルを見なくても何をするべきか自然にわかるように作っている、というのがあります。

マリオのスタート画面だと、右を向いたマリオが画面のやや左側にいるところからスタートし、画面が自然に右にスクロールしていきますので、まず右に進むんだということが直感的にわかります。その次に出てくるクリボーを避けるためにはジャンプを覚えなけれならず、その直後に「?」を叩くとキノコが出てきて・・・というやつです。詳しく書かれた記事もたくさん見つかると思います。

シンプルに作られているように見えて、実際は相当考え抜かれていることがわかります。

経済合理性がない分、いかにユーザーを戸惑わせないか、学習をスムーズに行わせられるか、といった点への工夫についてはゲームから学べることがたくさんあります。マーケティングに当てはめてみると、昨今着目されるようになってきたユーザー起点のコミュニケーション設計というような話にも応用できることが多々あるのではないでしょうか。

  • Webもあるからコンテンツをおいておけば、あとは自分で見て学んでくれるだろう。
  • そんな興味持ってもらえるかどうかもわからないから、どういう順序で何を伝えればわかりやすいのかを試行錯誤しないと

どちらがユーザー起点なのかということは言うまでもないですね。もちろん現実世界では「経済合理性」という名のもとに見て学んでくれることにインセンティブをつけることが出来ますが、ゲームのメカニズムをコミュニケーションに応用することで、ユーザーの行動を自然に促すこともできるんだということを理解しておくと、工夫の幅が広がります。

このあたりのメカニズムに興味を持って書いたのが「ソーシャルゲームはなぜハマるのか」という本でした。残念ながら紹介している事例などちょっと古いのと、読みやすいとはお世辞にも言えません。「「ついやってしまう」体験のつくりかた」任天堂に在籍されていた方が書かれたこの本はとてもわかりやすく、ゲームのメカニズムについて説明してくれていますので興味を持たれた方は是非一読してみてください。

マーケティング・コミュニケーションの発想は、「ターゲット」という言葉に象徴されるように、どうしても「コチラの言うことを聞いてくれる人を探そう」ということを起点にしてしまうことがあります。経済合理性に全く頼れない環境である以上、目の前のユーザーを惹きつけ続けられるかどうかが成否を分けるゲームという領域は、ユーザー起点ということを徹底的に考えて作られ続けてきました。

そういう視点でゲームを眺めてみるのも、なにかのヒントになるのではないかと思います。

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