訪問者のコンバージョン率を上げるべく施策に取り組むことをコンバージョン率最適化、またはCRO(Conversion Rate Optimization)といいます。この資料では、コンバージョン率を上げていくために必要な前提知識や考え方を解説します。
Web接客ツール系の「CVRxx倍」アピールの罠
Sprocketにも当てはまることなんですが、Web接客ツール系のアピール文言として「CVRxx倍」という表現がよく使われているのを目にします。もちろん本当にその効果があったのでそう言っているのですが、このツール系のアピールの仕方全般に意図的に誤解を招こうとしている部分もあるよな~と正直な話思ったので、自戒を込めてこういう投稿をしてみようと思いました。
「意図的な誤解」とはどういうことか。
このCVRxx倍、を見るとすごく大きな成果が出ているように見えます。例えばCVRが30%上がった!となると「それって全体の売上も30%上がるってこと!?」という風に一瞬思ってしまうと思いますし、全体売上が30%向上だとすると凄まじい効果だということになります。
でも実体としてはもちろんそんなことはないわけです。
このCVRxx倍、というのは基本的にはWeb接客ツールが何か表示したグループと、表示していないグループのCVRを比べてのことになっています。
この両者の比較なら確かにこういう結果が出せますので、もちろんこのようにアピールすることはウソではありません。ただSprocketもそうですが、この「何かを表示する」ための条件設定があって、特定の行動を取っていたり特定の属性を持つユーザグループに対して表示するという形でセグメントが切られていることがほとんどです。
そうすると、CVRxx倍といってもこのグループ内での事になりますから、実際の母集団の数としてはもっと小さいわけですね。母集団の数が小さいということは、CVRがいくら向上していたとしても、絶対額としては実は小さかったりします。
コンバージョン100人が、ツール導入の結果130人になったところで、顧客単価が3000円だったら増額は9万円にしかならないわけです(場合によっては9万円でツールのROIとしては十分だったりすることもあるでしょうけど)。これが1つ目の罠。毎月のコンバージョン数が10万件あるサイトだと、30人の増分はとても小さいわけで、あまりビジネス上インパクトのある結果を生み出しているとは言えません。
2つ目が、母集団が小さいと、統計的に信頼できる結果になってない場合がある、ということがあります。CVRxx倍、というのは単純に表示したグループの結果を表示していないグループの結果で割って出していることがほとんどだと思いますが、母集団が小さいと偶然そうなっただけじゃないのかというツッコミに対してどうしても弱くなります。
重要なのは、セグメントを切った小さな集団に対して接客的な手法を当てていく以上はこれは避けようがないという点ですね。1つの接客施策で大きな集団に対して成果を出しに行くというよりは、小さな集団に有効な接客施策をたくさん当てていく、というのがWeb接客ツール系の正しい使い方なんだろうと思います。これはWeb接客ツールに限らず、セグメントメール配信などでも同じかと思います。もちろん大きな集団に成果が出せるような施策があればそれをやるべきではありますのでそれはそれでやると思いますが、基本はきめ細かいおもてなしという観点からも小さい集団に有効な施策をたくさんの集団に当てていくことで成果を積み重ねるという方向性じゃないかと思います。
もう1つぶっちゃけてしまうと、大きな集団に数少ない施策、という方向性だと、「じゃあ自社で作ればいいじゃないか」という話になって僕らのようなツールベンダーがそもそもいらないということにもなってしまいます^^;
実際の店舗などの接客を想像してもらえればイメージが湧きやすいかと思いますが、デキる店員さんはお客さんの状況を観察し、「この人ならこんな対応すると喜んでもらえるだろうな」、ということが瞬時に正しく判断できるので上手な接客ができることになります。「この人にこんな対応」という接客パターンをたくさん持っている方が優秀な店員さんで、同じパターンばっかりで接客する店員さんはイマイチというシンプルなお話です。
市場を盛り上げるためには過大に結果をアピールして期待を盛り上げるというのは大事だと思う一方で、本来のあるべき使い方を正しく啓蒙していく努力も大事だなと思いますので、敢えて自ら書いてみました。
こういう考えもあって、Sprocket社では社内での接客施策の蓄積にはかなり力を入れています。手が足りなくて試しきれていないのですが、既に100近い有効施策のストックがあります。また価格体系も様々な施策を実践しやすい形態を選択しており、お客さんと同じ目線でよりよい施策実現のための取り組みができるようにしています。
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