UX向上のためのポップアップ活用法 1,000人調査からわかったコンバージョン改善ヒント
この資料では、ポップアップの種類や利用シーンについて紹介。消費者1,000名を対象としたアンケート調査の結果にも触れながら、UXを向上し、コンバージョンを改善するためのポップアップ活用法について解説します。
ダークパターンとは、ユーザーにとって不利な決定に誘導する手法のことで、各国で規制の動きも出てきています。ここでは具体的にどのような手法がダークパターンとされるのか、どのようなケースがダークパターンに該当する可能性があるのかを解説します。
ダークパターン(Dark pattern)とは、Webサイトの表記やデザインを利用し、ユーザーにとって不利な決定に誘導する手法のことです。
例えば、申し込むつもりがないのに勝手にサービスに申し込まされたり、解約をしたいのに解約メニューが見当たらなかったりなどの「消費者を欺く行為」がダークパターンに該当します。
ダークパターンは2010年ごろにイギリスのUX専門家であるハリー・ブリグナル氏が命名し、広く認知されるようになりました。
欧米では、徐々にダークパターンを規制する動きが出てきています。例えばアメリカのカリフォルニア州では、2021年3月に「消費者プライバシー法(CCPA)」を見直すことで、「解約手続き」に伴うダークパターンの規制を強化しました。
またEUでは、2020年12月に発表した「デジタルサービス法(DSA)」に2022年4月に合意しました。デジタルサービス法にはターゲティング広告やレコメンドアルゴリズムなどに関する内容に加え、ダークパターンの禁止も含まれています。
日本のダークパターン規制は、欧米に比べて遅れ気味でしたが、2021年6月に「特定商取引に関する法律」通称・特商法の改正が行われました。この内容は、2022年6月1日から施行されています。
ダークパターンにかかわる代表的なものとしては「定額購入でないと誤認させる表示」への規制強化があります。これは定期的な購入契約であるにもかかわらず「初回無料!」とだけうたい、定期契約であることを隠したり見づらくしたりして契約させる手法が増えていることを受けたものです。
ダークパターンに該当するかどうかにかかわらず、消費者を欺く行為への規制は世界中で強化されています。
ダークパターンにはさまざまな手法がありますが、2019年に米プリンストン大学が11,000以上のECサイトを分析し、主なダークパターンを7種類に分けた分類を示しました。ここでは、プリンストン大学が分類した7つのダークパターンを紹介します。
これ以外にも、EDPB(欧州データ保護会議)や冒頭でご紹介したハリー・ブリグナル氏の分類も存在します。ここではURLのみご紹介しておきます。
「Sneaking(こっそり)」は、ユーザーの同意なしに別の商品が紛れ込んでいたり、無料の試供品と見せかけて実は定期契約であることを隠したりする手法です。
例えば、商品を注文したら説明なしにオプション商品が自動で選択され、紛れ込んでいるようなケースです。悪質な場合「詳細を見る」などのボタンをクリックしないと最後まで内訳がわからないように意図的に隠されている場合もあります。
「Urgency(緊急)」は、事実と異なる期間を設定してユーザーに購入の意思決定を焦らせる手法です。
例えば「まもなくセール終了、お急ぎください!」といった表示でユーザーを焦らせながら、実際にはセール期間が開示されていないといったケースです。本当のセール情報を伝えることはユーザーの助けになりますが、誤認させることや焦らせることだけを目的にした表示は「消費者を欺く行為」に該当します。
「Misdirection(誘導)」は、文章やデザイン、感情などを利用して、ユーザーに特定の選択肢を選ばせたり、選ばせないようにしたりする手法です。
例えばユーザーの同意を得るポップアップで、拒否する選択肢の文言を「いいえ、私は正規料金で購入することを好みます」などと表記することで、ユーザーの感情に訴えて「はい」を選択するように誘導するケースがあります。
またはメールマガジンの購読を選択する画面などで「私は○○しないことを、希望しません」のようにユーザーを引っかけるような案内をしたり、「いいえ」をグレーアウトしたデザインにして選択できないように見せかける手法もあります。
「Social proof(社会的証明)」は、他人の行動を根拠として商品に人気があるように見せかけて、ユーザーの購入意思決定に影響を与える手法です。
例えば、その商品を多くのユーザーが閲覧してお気に入りに追加しているように見せかけたり、出自が不明なユーザーレビューで人気が高いように見せかけたりするケースです。
もちろん、実在するユーザーレビューを紹介することはダークパターンには該当しません。しかし、自社にとって都合がいい言及だけをつなぎ合わせていくと実在しないレビューになってしまい「消費者を欺く」行為となる可能性があります。
「Scarcity(希少性)」は、商品の希少性をアピールし、ユーザーに購入を急がせる手法です。
例えば商品のカート付近に「在庫3点」「在庫僅少」といったメッセージが表示されると、ユーザーは「急いで買わないといけない」と感じます。本当に品切れが頻発する人気商品であれば、在庫情報は有用な情報です。しかし、この心理を悪用して不当にユーザーを焦らせるのはダークパターンに該当します。プリンストン大学が調査したサイトの中では、すべての商品に対して「在庫僅少」をうたうECサイトも存在しました。
「Obstruction(障害物)」は、登録解除やキャンセルなどの行動を取りたい場合に、過度な障害を設けてユーザーが希望する行動を取らせない手法です。
例えば、サブスクリプションの契約を解除したいのにメニューが隠されていたり、解約する前に数ページにわたる長いアンケートに延々と答えなければ手続きを完了できなかったりするケースです。登録するときはオンラインで簡単に行えるのに、解約するときはカスタマーサポートに電話で告げねばならず、その電話がなかなかつながらないというケースもあります。
「Forced Action(強制)」は、ユーザーが希望の行動を行うために、関係のない行為をユーザーに強要する手法です。
例えば、商品の情報を見たいだけなのに、個人情報を入力してアカウントの作成を強制するようなケースです。さらに、利用規約に合意すると自動的にメールマガジンの配信やプロモーション協力にも合意を強制するパターンもあります。
会員向けのコンテンツであれば、閲覧に登録が必要なのは自然なことでしょう。本来不要なコンテンツで、過度にユーザー情報を収集しようとしたり、選択の余地なく合意を強制したりするパターンが該当します。
ここまで、プリンストン大学が示した7つのダークパターンの分類を見てきました。共通するのは「事実ではない情報を与えて誤認させる」「不当に圧力をかけて判断を誤らせる」といった要素です。適切な情報提供であればユーザーの助けになるものでも、悪意を持って利用すると「消費者を欺く」ことになりかねません。
プリンストン大学の調査だけでなく、国内でも偽装広告や解約のしづらさが問題となることがあります。実際にどのようなダークパターンが存在するのか、事例を見ていきましょう。
日本経済新聞社が2020年12月、プリンストン大学と明治大学の助言を受けて国内の主要100サイトを調査した結果、ECサイトなど6割以上のサイトでダークパターンを確認したというニュースが話題になりました。
日本経済新聞社では「日本経済新聞社の運営サイトでも、メール配信を必須にしたり解約を電話連絡に限ったりするダークパターンが見つかったため、順次、改修しています」と記事内で真摯に表明しています。
サブスクリプション型の動画配信サービスや定期契約のサービスでしばしば話題になるのが「解約のしづらさ」です。解約の経路は複数存在するものの、トップページから10ページ以上も遷移しないと退会手続きが完了しなかったり、サイト内検索で「退会」が簡単に見つからないようにしていた事例もあります。
フリーソフトなどのダウンロードサイトで、ダウンロードボタンらしきものが複数用意されていることがあります。本物のダウンロードボタン以外は、クリックすると広告が表示される偽装広告であることがほとんどです。悪質な場合は、マルウェアが仕込まれていたり、フィッシングサイトに誘導されたりするケースもあります。
また、SNSで大手企業の名前をかたった「なりすまし広告」も出現しています。ダークパターンの分類に直接入らないものでも、「消費者を欺く」という意味では同様です。
日本経済新聞社の調査で、国内で最も多かったのがメールマガジンの配信にかかわる「誘導」です。
多くのECサイトでは、商品購入時にメールマガジンの購読可否を選択するチェックボックスが自動的にオンになっており、商品購入時にユーザーの意図と反してメールマガジンも登録してしまう可能性があります。これもプリンストン大の分類と厳密に照らし合わせると「誘導」のダークパターンに該当しますが、国内では法に触れるものではなく、今も多くのECサイトで採用されています。
ダークパターンは故意に行われているとは限りません。しかしキャッチコピーやデザインの配慮不足で、結果的に「消費者を欺く」状態になってしまうと、ユーザーからの信頼を失いかねません。
「セール期間の告知やユーザーレビューはダークパターンなのか」というと、必ずしもそうではありません。「事実と異なることを伝えて騙していないか」「不当にユーザーを焦らせて判断を誤らせていないか」という視点がカギになります。
ユーザーと長期的に信頼し合う関係性を構築するためにも、ダークパターンに陥らないための注意が必要です。ここでは注意すべきポイントをご紹介します。
自社サイトの制作や改善の際、他社サイトを参考にすることは多いでしょう。しかし「他社サイトがやっているから」とそのまま自社にも取り入れるのは注意が必要です。国内で規制がない項目でも、世界中でダークパターンに対する意識が高まり、規制も強化されています。「この手法は、消費者を欺いていることにならないか」という視点を持つことが大切です。
「ユーザーに購入してほしい、登録してほしい」という気持ちが強くなりすぎて数字だけを追い始めると、ダークパターンに陥ってしまう可能性があります。例えばユーザーの意図と関係なく強制的に登録させる仕組みを作れば、当然短期的には登録数は上がるでしょう。しかし今月の数字は良くても、ユーザーからの信頼を損なうことは長期的な視点ではマイナスとなります。
特に注意したいポイントは「事実と異なる」「強制する」ようなことがないかという点です。「年に一度のセールが明日まで」という情報をお知らせするのはユーザーにとって役立つ情報ですが、「まもなくセール終了」と年中表示するのはNGだということはわかりやすいでしょう。「あるページで成果があったから、別のページでも」と施策を横展開するときも、そのページで同じやり方をして嘘や誤解を生まないか注意が必要です。
Sprocketは、WebサイトのCVRを最適化するCROプラットフォームを提供しています。Sprocketは2022年2月、1,000人を対象にしたポップアップに対する調査を実施しました。調査で明らかになった「許容できるポップアップの要素」と「嫌われるポップアップの要素」の1位は、どちらも「×ボタンの押しやすさ/押しにくさ」でした。「強制されて思うように操作できない」という手法が、高いストレスを与えていることが表れています。
ほかにも、さまざまな項目についてWebサイトに対する国内の消費者の声を調査しています。調査結果の詳細は以下のレポートで無料公開していますので、ご興味があればダウンロードしてご活用ください。
Webサイトでも実店舗と同様に、1人ひとりに合わせた適切な接客が必要です。Sprocketでは、短期的な成果のみを見てユーザー体験を損なうような施策は推奨していません。Sprocketのミッションは「顧客と企業の長期的な関係性構築」です。施策に取り組む際も、ユーザーの心理や体験を踏まえたものであるかどうかを重視しています。
ダークパターンに関する批判や規制は、欧米と比べると日本は厳しくはありません。しかし、ダークパターンがユーザーに不利益を与えるものである以上、今後も意識が高まっていくことは必然です。
これまであたりまえだったことでも、見直すべきことが出てくるかもしれません。ユーザーからの信頼を勝ち取るためにも、事実にもとづいた役に立つ情報を、誠実に提供することが大切です。
UX向上のためのポップアップ活用法 1,000人調査からわかったコンバージョン改善ヒント
この資料では、ポップアップの種類や利用シーンについて紹介。消費者1,000名を対象としたアンケート調査の結果にも触れながら、UXを向上し、コンバージョンを改善するためのポップアップ活用法について解説します。
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