NFTとは?マーケター視点で知っておきたいNFTの仕組みと国内事例

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Sprocket編集部

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NFTとは「Non-Fungible Token」の略で「非代替性トークン」と訳されます。これだけ聞いても何のことか理解するのは難しいでしょう。ここでは、マーケターがどのような視点でNFTを理解すればいいのか、具体的にどのような事例があるのかをご紹介します。

NFTは活用法がまだ手探りの状態

NFTという言葉が有名になったのは、2021年3月にクリプトアーティスト・BeepleのNFTアートが75億円相当で落札されたというニュースでしょう。1枚の画像データに約75億円の値段がついたということで「一体何が起きているのか」と驚いた人も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、2022年7月現在、NFTはまだ投機対象として注目されている側面が強く、具体的な活用法は世界中で手探りの状態です。NFTは「今すぐに自社サイトに取り入れよう」という類いのものではありません。

しかし、NFTならではの価値や楽しみ方を積極的に模索している人や企業は世界中に存在します。変化のスピードは速く、5年後や10年後に世の中がどのような状況になっているかはわかりません。特にデジタルデータを扱う企業であれば、新しくどのような動きがあるのか注視しておくに越したことはないでしょう。この記事では、各企業のNFTにかかわる取り組みについて整理して情報をお伝えすることを目的にしています。

NFTはブロックチェーン上の仕組みのひとつ

NFTは「Non-Fungible Token」の略で「非代替性トークン」と訳されます。名前のとおり「トークン」の一種で「本物であることを表す証明書」の役割を果たします。

トークンについて理解するためには、ブロックチェーンの技術的な仕組みの学習が不可欠です。ここでは簡単にご紹介しますので、興味があれば別途学習して理解を深めることをおすすめします。

トークンとは、ブロックチェーン上で発行され、流通する「価値」や「資産」のことです。代表的なものはBTCとして流通するビットコイン、ETH(イーサ)として流通するイーサリアムなどの暗号資産があります。通貨だけではなく、証券的な価値を持つもの、参加権や議決権といったものもトークンの一種です。

通貨であれば、その価値は代替・交換が可能です。例えばAさんが持っている1ETHとBさんが持っている1ETHは同じ価値を表し、AさんがBさんに1ETHを送金すると、合計して2ETHとなります。こうしたトークンをFT(Fungible Token:代替性トークン)と呼びます。

それに対してNFTは代替不可能な価値を表します。例えばあるNFTアートをAさんとBさんが1点ずつ所有している場合、お互いのアートはそれぞれ別の価値を持ちます。AさんがBさんにNFTを渡した場合も両者が合計されることはなく、それぞれのNFTアートは固有の価値を保ち続けます。同じNFTは世の中に存在しません。

トークンは、同じブロックチェーン上であれば自由に取引可能です。ブロックチェーンにはいくつも種類がありますが、多くのNFTはイーサリアム上で発行されています。「NFT」とだけ書かれている場合は、ほぼイーサリアムのことだと考えていいでしょう。イーサリアムでは数量的なトークンはERC-20、NFTはERC-721という仕組みで発行されるのが一般的です。

「何ものにも代えられない価値を所有する」ことに楽しみをどう見いだすか

NFTは証明書の役割を果たすと書きました。誤解しやすいポイントとして、NFTはデータのコピーそのものを防止する仕組みではありません。「そのデータはAさんのものである」という証明にすぎないのです。

美術館に例えるなら、展示されている絵画は誰でも内容を閲覧できますし、絵画の内容がポストカードで販売されていることもあります。しかし数百人が同じ絵画のポストカードを持っていたとしても、「本物はAさん所有である」ことの価値は変わりません。

現代は代替可能な製品が生活の多くを占めています。「何ものにも代えられない価値を所有する」ことに楽しみを見いだせるかどうかが、NFTに対して企業目線で考える際のポイントになります。

続いては、具体的にどのようなものにNFTが使われているかをご紹介します。

NFTと相性が良いとされている事例

「何ものにも代えられない価値」とは、具体的にどのようなケースが考えられるのでしょうか。実際の例を挙げながら、いくつか見ていきましょう。

アート

一番盛り上がりを見せているのは、デジタルアートの分野です。JPEGやPNGなどのデジタルデータは誰でもコピーできますが、NFTによって「このデータは自分が所有している」ことを証明できます。

OpenSea」というNFTマーケットプレイスでは、多くのNFTアートが販売されています。海外では「CryptoPunks」のようなコレクティブルNFTと呼ばれるアートを自分だけのプロフィールアイコンとして利用して、同じ種類のプロフィールアイコンを持った人同士で交流するのも流行しています。

ゲーム

アートと並んで話題が多いのは、ゲームの分野です。NFTを利用すれば、ゲーム内のキャラクターやアイテムに唯一の価値が生まれます。NFTは同じブロックチェーン上のアプリケーションであれば移転可能ですので、あるゲームで育てたキャラクターを別のゲームでも利用したり、ゲームで獲得した一点物のアイテムをマーケットプレイスで取引したりすることも可能になります。NFTを活用した最初のゲームとしては「CryptoKitties」が有名です。

しかし世界で最も有名なサンドボックスゲームである「マインクラフト」は、2022年7月にNFTをサポート・許可しないという声明を出しました。これは同社の「誰もが同じコンテンツにアクセスできるコミュニティであり続ける」というポリシーに則ったもので、良くも悪くも価値が高騰しやすいNFTからユーザーを守る意図で出されたものです。

最初にお伝えしたとおり、現状NFTは投機の対象になりがちです。マインクラフトは子どもも多くプレイしているゲームなので順当な判断だといえるでしょう。しかしゲームとNFTの相性が良いことは間違いなく、多くのクリエイターがNFTならではの面白さを模索しています。

コレクターズアイテム

リアルに置き換えて想像しやすいのは、ファン向けのコレクターズアイテムです。

国内の事例では、2021年6月にアイドルグループであるSKE48のデジタルトレーディングカードがcoinbookの「NFTトレカ」として販売されました。通常の画像であればいくらでも複製可能ですが、NFTを利用することで発行数量が限定され、リアルのトレーディングカードと同様にコレクターズアイテムとして成立しています。

NFTトレカは他人と取引することもできますが、NFTにはデータやプログラムを付与できることを利用して、転売時は権利者に手数料の一部が入る仕組みも組み込むことができます。

また2021年9月には、集英社が人気漫画作品の「ONE PIECE」のコマを活版印刷でアートにして、同社の「マンガアート」で販売したことで話題になりました。マンガアートは「マンガを、受け継がれていくべきアートに」というビジョンのもと展開しているサービスで、NFTで証明書を発行することで各16~20点の限定販売となりました。同社が保持する膨大なアーカイブに新たな価値を付与する取り組みといえるでしょう。

不動産

ほかにも、NFTと相性が良いとされているものに不動産があります。不動産は高額なことから、各種証明や手続きに非常に時間がかかっていました。ブロックチェーンのNFTやスマートコントラクト(自動取引)と組み合わせることで、不動産の手続きが簡略化できる可能性があります。

もう1つ、実際の土地ではなく、仮想空間内の土地をNFTで売買する動きもあります。「メタバース」という言葉も注目を集めていますが、仮想空間内にも人通りの多い一等地があります。各企業がメタバース上に店舗を出店したり、広告を掲載したりといった試みも活性化しており、仮想空間上の土地の取引に現実よりも一歩早くNFTが利用されています。

メタバースの定義にはさまざまな考え方があるのでここでは詳しく触れませんが、メタバースとNFTは相性が良く、仮想空間内でのファッションアイテムや一点物のアイテムがNFTで多く販売されています。

会員権やチケット

少し別の視点では、会員権やチケットをNFT化する取り組みもあります。ローソンチケットは、2022年春から「LAWSON TICKET NFT」を開始しました。近年はチケットもデジタル化が進んでいますが、思い入れのあるイベントでは、何かを残しておきたいものです。NFT化されたチケットには当日の座席情報なども記録することができるので「自分だけの思い出」を残しておけるようになります。

また、ジャニーズ事務所もコンサートチケットのNFT化に取り組んでいます。LOWSON TICKET NFTと同様に思い出を残せることに加えて、不当な転売を防止する狙いもあります。NFTの譲渡はブロックチェーン上にすべて記録されるため、毎回転売しているような怪しいアカウントはすぐにわかります。ジャニーズ事務所の顧問を務める伊藤穰一氏は「NFTチケットとは、『ファンの真贋』を証明するもの、といってもいいかもしれません」と説明します。

自社が提供できる「何ものにも代えられない価値」は何かを考える

NFTは投機的な話題が目が行きがちですが、本来は「代替不可能な価値を誰が持っているか証明する」というブロックチェーン上の仕組みのひとつにすぎません。ご紹介してきたように、国内でも各社が実験的な取り組みを進めています。一方で「何でもNFTにすれば良い」というわけではなく、マインクラフトのように「NFTを許可しない」という判断をする企業もあります。

マーケターにとって大切なのは「自社なら、NFTでどのような『何ものにも代えられない価値』や『顧客自身の価値』を提供できるのか」を考えることです。ご紹介したコレクターズアイテムやチケット以外にも、「顔なじみのお得意様」や「シリーズの初回から購入し続けてくれているコアなファン」などを証明する仕組みとしてNFTを活用できないでしょうか。それが、オンラインにおける顧客との関係性の価値を見直すことにもつながるかもしれません。

自社が提供できる価値や魅力を整理する手段として、主要な18種のマーケティングフレームワークをまとめた資料も公開中です。そちらもぜひご参照ください。

マーケティングの主要フレームワーク18選

NFTはブロックチェーン技術やトークンエコノミーと呼ばれる経済圏と密接な関係があり、技術に詳しくないマーケターが理解を深めるためには努力が必要です。しかし、これまでになかった新しい価値や関係性が生まれる可能性がある仕組みでもあります。投機的な視点ではなく、顧客との関係性という視点でNFTを捉え、アイデアを模索してみるのもいいでしょう。

NFTを含めてweb3やメタバースについてより詳しく知りたければ、伊藤穰一氏の『テクノロジーが予測する未来』(SB新書)がおすすめです。現在の技術と未来の可能性について、広い視点で理解が深まります。

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