チャット型とポップアップ型のWeb接客ツールの違いとは?「受け身」と「働き掛け」で体験が変わる

マーケティングノウハウ接客

八木 祐介

イメージ:チャット型とポップアップ型のWeb接客ツールの違いとは?

Sprocketはポップアップ型の接客ツールですが、接客ツールにはチャット機能をメインとしたものもあります。お客さまから質問を受けることも多いので、チャット型の接客ツールとポップアップ型の接客ツールの機能や役割を比較してみます。

チャット型の接客ツール

チャット型の接客ツールをひとことで言えば、ユーザーのアクションに対し、チャットでリアクションを返すツールです。このリアクションをどうやって返すのかという点で、チャットツールは大きく2つに分けることができます。

それは「有人チャット」と「無人チャット」です。どちらのタイプのチャットツールを導入するかによって、企業側で必要な対応が大きく変わります。

有人と無人で何が異なり、導入や運用にあたってどのような準備が必要になるのかを述べていきます。

有人チャットツールの特徴

有人チャットの一番の特徴は、ユーザーからチャット経由で問い合わせが入ったら、チャットに対応をする人的リソースが必要になるという点です。Web上の問い合わせフォームやメールでの問い合わせは、リアルタイムでの返信は求められませんが、チャットで問い合わせてくるユーザーに対しては、即座に対応できる人的リソースの確保が必要になります。

ここ数年の生活スタイルが大きく変わったことも、有人チャットツールを導入する企業が増えている要因かもしれません。カスタマーサポートとも異なり、店舗での店員による接客をオンラインで代替する狙いもありそうです。

無人チャットツールの特徴

無人チャットは、チャットbotとも呼ばれています。インターフェースはいかにもチャットしているかのように見えますが、実際はあらかじめ登録しておいたスクリプトに従ってメッセージを返します。

質問されそうな項目と、それに対する回答をあらかじめ用意しておき、事前に想定問答をすべて設定しておく必要がありますが、リアルタイムでチャットに対応する人的リソースを用意しておく必要はありません。

有人チャットと無人チャットの違い

有人チャットは、運用開始後も固定の人的リソースを必要とし続けるため、ツール費用に加えてランニングコストとして人件費も発生します。無人チャットは準備期間の設定にリソースを割く必要はありますが、運用開始後は細かなチューニングを行う程度で、運用開始後にずっと人的リソースを確保しておく必要はありません。

チャットツールの有人・無人によってコスト構造は明らかな違いがあります。また、そもそもの導入目的も異なります。

チャットツールの強み

チャットツールの強みは、有人無人を問わずに「ユーザー聞いたことに対しての回答が得られる」点と、「ユーザーが聞きたいと思うタイミングで情報収集ができる」点にあります。

「聞いたことに対しての回答が得られる」とは、「解決はできない」という回答も含めて、何かしらのレスポンスが得られるという意味です。電話に比べると、チャットでのコミュニケーションのほうが抵抗が少ないユーザーも多いでしょうし、「自分の聞きたいタイミング」で話しかけ、即座に回答が得られる点は最大の強みでしょう。

従来のカスタマーサポートであれば、メールで問い合わせをして返事が戻ってくるまでにタイムラグが発生します。そのタイムラグに比べたら、チャットツールは即座にレスポンスが得られるので、待機時間のストレスはありません。すぐに回答が欲しい課題の解決策には、チャットツールが向いているといえます。

チャットツールの弱み

チャットツールの弱みは、強みの裏返しともいえますが、問い合わせをしないと回答を得られない点です。自ら問い合わせをしてまで課題を解決しようと思うユーザーは決して多くはありません。チャットツールのスタンスは基本的には「受け身」の姿勢です。

チャットツールは「顕在化した課題を抱えているユーザー」の課題解決にはつながりますが、「問い合わせするほどでもないけれど、漠然とした悩みや不安を抱えているユーザー」にとっては、なかなか課題解決には至りません。ユーザー自身がうまく言語化できない悩みや不安(いわゆるモヤモヤ)を払拭することは、チャットツールの苦手な領域です。

Webサイトによって、年齢やインターネットに関するリテラシーなど利用者の属性は変わりますし、同じWebサイトでもデバイスによっても見え方は変わります。明確な意志をもって課題を解決したいと思うユーザーと、顕在化した課題はないがモヤモヤを抱えるユーザーを比較したときに、どちらのボリュームが大きいでしょうか。ここは想像力を働かせる必要がありそうです。

ポップアップ型の接客ツール(Sprocket)

一方、ポップアップ型の接客ツールは、ユーザーからアクションがあったときだけでなく、困っていそうなタイミングを見計らってポップアップで接客を行います。私たちがSprocketを紹介するときも「店員が行うような接客をオンラインで実現する」と説明をします。

店員とお客さまの間で行われる会話の再現性という意味ではチャットツールのほうが高いでしょう。しかしSprocketでは、チャット機能が必須とは考えてはいません。なぜならば、Sprocketが得意とするポップアップを使った表現でも、ユーザーの態度変容や行動促進につながっているからです。

ユーザー体験の視点からの比較

チャット型の接客ツールと、ポップアップ型の接客ツールをユーザー体験の視点から比較してみましょう。

Sprocketの接客シナリオは、チャットツールの中でも無人チャットツールの特徴に近いといえます。リアルタイムでの有人対応のリソースが不要な点はもちろん、ユーザーの行動を予測してあらかじめシナリオ(スクリプト)を用意しておくという点は共通しています。両ツールの違いは「ユーザーの受ける体験」と、「ツールのスタンス」にあると考えられます。

ユーザー体験の違い

無人チャットツールの多くは、問い合わせボタンをクリックすると最初に「どのようなことでお困りですか?」と選択肢が提示されます。選択肢を選ぶと、対話形式で回答が提示されるので、いわゆる店頭にいる店員に代わりチャットが回答しているような形になります。ユーザーの受ける体験は、実際には無人でも、人と対話しているような印象になるでしょう。

Sprocketが同様のアプローチで接客シナリオを実施する場合は、「どのようなことでお困りですか?」と問いかけるポップアップ内に選択肢となるボタンを配置して、ボタンを選ぶと回答を表示したり、選択に応じたページに遷移したりします。Sprocketではこのような接客シナリオを「問診型」と呼んでいます。この問診型の接客シナリオのユーザー体験は、単に選択肢を選んでいるだけなので、人と対話している印象は薄いのではないかと思います。

人と会話しているような体験を重視するならば、チャットのほうが優れているでしょう。しかし、Webサイト内でユーザーの支援を行うなら、ユーザーの課題を解決することが重要であって、ツールの振る舞いは単なる手段でしかありません。ユーザーが受ける体験や印象は異なれど、本質であるユーザーの課題解決と行動促進においては、無人チャットもポップアップも大差はありません。

ツールのスタンスの違い

チャットツールは、前述したとおりユーザーの能動的なアクションを受けてはじめてリアクションを返す「受け身」の立場です。Sprocketはチャットツールと同様に「受け身」に振る舞うことも可能ですが、むしろユーザーに対しての「働き掛け」が得意です。

「受け身」と「働き掛け」は、ツールのスタンスの違いといえます。チャットツールは、課題を明確に言語化できるユーザーがチャットを開始するのを待つ形なので、ツールの立場から見ると「受け身」です。それに対し、Sprocketは言語化に至らない不安や悩み(モヤモヤ)を抱えているであろうユーザーをセグメントして、ツールからユーザーに対して「働き掛け」を行います。

ユーザーの視点からは、ツールのスタンスとは逆になります。チャットツールに対しては自分の働き掛けが必要ですが、Sprocketのポップアップは向こうから働き掛けてくる受け身の姿勢になります。

サイレントマジョリティーをどう考えるか

店頭での接客は、「受け身」も「働き掛け」も可能です。店頭で商品探しや商品選びで悩んでいるときに、自分から店員に相談することもできますし、気の利いた店員であれば、状況を察して声をかけてくれるケースもあるでしょう。「わざわざ店員に声をかけてまで……」というお客さまは意外と多いものです。

オンラインでも同じです。オンラインのサービスにおいては、能動的にアクションを取るユーザーはごく一部にすぎません。いわゆるサイレントマジョリティーが大半を占めています。

そんな中、重い腰をあげてカスタマーサポートにコンタクトしてくるのは、相当困っている人か、相当怒っている人かです。いずれにせよ、強い動機付けがなければ声を発することはありません。ここで私が言いたいのは、声を挙げることもなく去ってしまう多くのユーザー(サイレントマジョリティー)にも目を向けるべきではないかということです。

そのためには、困っていそう、あるいは悩んでいそうな人の状況を察して「働き掛け」をすることが大切です。そうした人をどのように見分けて「働き掛け」を行うのか。この勘所が、接客ツール選定基準や運用において重要なポイントになります。「受け身」だけでは解決できないことが、「働き掛け」によって解決できるシーンは無数にあります。

「働き掛け」がなぜ大事なのか

想像してみてください。ECを運営している方にしてみれば「ハンバーガーメニュー」と言えば、何を指しているのかパッとイメージできるはずです。世の中の一般消費者も、大抵のユーザーはハンバーガーメニューを目にしていると思います。

しかし、ハンバーガーメニューを目にしていたとしても、その呼び名や機能まで誰もが知っているとは限りません。「なんとなくは理解しているが、うまく言葉にできない」という事象は、ハンバーガーメニュー以外にもありそうです。

Sprocketでハンバーガーメニューを案内した例

リアル店舗での買い物では感じなくても、いざオンラインで買い物をするとなると、うまく言語化できない漠然とした不安やモヤモヤは誰しも経験があるのではないでしょうか。オンラインでモヤモヤに直面したとしても、聞きたいことをうまく言語化できなければ、誰にも相談できません。店頭ならば、わからない言葉があったとしても、身振り手振りで店員に聞いけば解決できるかもしれませんが、オンライン上ではそうはいきません。

こういう状況を鑑みると、オンラインでは対象者をしっかりと見極めた上での「働き掛け」が重要になります。しかし、誰にでも同じように「働き掛け」を行うと、その情報が不要な人にとっては単なるノイズにしかならない、いわゆる「うざい接客」になりかねません。「働き掛け」を行う際は、誰(どんな条件のユーザー)に、何を、どれくらいの頻度で、どのような表現で伝えるかをしっかりと考える必要があります。

まとめ

私自身もこれまでさまざまなWebサービスの支援をしてきましたが、今でも「やってみないとわからない」ことは山ほどあります。最近は、真の正解はなく、限りなく時代に合った正解を永遠に追い続けるものなのかな、と思っています。

自分の考えを整理するためにブログを書いているという側面もあるのですが、Sprocketがコンバージョン率の大きな改善に寄与できているのは「受け身」だけではなく「働き掛け」による接客シナリオを提供できる点にあるのではないかと感じます。

Sprocketでは、適切な条件に絞り込んでポップアップを表示できるため、困っているユーザーを特定し、場合によっては有人チャットに誘導して解決を図る施策も実施しています。このようなきめ細やかな対応は、ユーザーにも喜ばれるはずです。

チャットツールとSprocketは競合する機能もありますが、どちらか一方を選べばいいというものではありません。お互いの強みを生かして共存することで、ユーザーに提供できる最適解の幅を広げるものだと考えています。

Sprocketではチャットツールだけでなくさまざまなツールと連携した接客が可能です。連携可能なツールは「外部サービス連携」ページでご紹介しています。

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