「オファー投げつけ」は厳禁! ポップアップWeb接客を成功に導く「体験の階段」とは?

マーケティング接客ノウハウ

高坂 菜津美

イラスト:ポップアップWeb接客の体験の階段

ポップアップ接客のよくある失敗とその要因についてご存知ですか? Sprocketの「ユーザー体験重視」の接客設計がなぜポップアップによる施策を成功させ、成果を上げられるのかを説明します。

こんな広告やポップアップに覚えはありませんか?

Webサイトに訪れた瞬間に、画面を覆う大きなポップアップ。

ページを遷移したら、またポップアップ。

画面をスクロールしていたら、コンテンツを遮るようなポップアップ。

「じゃまだなぁ」と内容も見ずにクローズボタンを連打。

そんな体験はありませんか?

これらはポップアップ接客では「あるある」の失敗施策です。なぜ失敗なのかというと、ユーザーに「嫌だ」と感じさせ「内容も見ずにクローズ」させてしまっているからです。そして、残念ながらこのような体験を「ポップアップ接客」だと思ってしまっている方は大変多いのです。

今回はユーザーの体験を損なわず、さらにしっかりと成果につながる「ポップアップ接客」について、いくつかのコツを交えてご説明します。

ポップアップ接客によくある誤解とは

先に挙げたようなポップアップ接客の失敗は、なぜ生じるのでしょうか?

それは、ポップアップ接客では「とにかく情報をたくさんユーザーに見せればいいのだ」と誤解している人が多い、という背景があります。

CTA(行動喚起)を上げるために画面中央に表示する。離脱される前に見てもらうために来訪してすぐに表示する。伝えたいことがたくさんあるのでたくさん表示する。

ポップアップを出している側からすると最善を尽くしているように感じるかもしれませんが、ユーザーの立場では「ページ遷移をするたびに別のポップアップが出る」といった体験がもたらされることになってしまいます。

ポップアップは単に情報を見せているだけのバナーとは違い、ユーザーに対する明確なアクション、つまり「これをご覧になりませんか?」という「オファー」です。オファーとは、企業からユーザーに対しての「申し出・提案」となる情報のことを指します。

それを踏まえると、ユーザーのことを考えずにしつこく表示され続けるポップアップ接客は「オファーを投げつけるだけの接客」になってしまっています。これではユーザーにとって良い体験を提供できているとはいえません。

もちろんオファー内容によってはユーザーの反応を得られこともありますが、結局は内容頼みになり、オファー内容(商材やクーポンの割引率)で勝負していくしかなくなってしまいます。

むしろ、ユーザーにフィットしないオファーばかりを表示してしまうと、ユーザーの離脱・離反リスクを高めることにもなりかねません。

そうならないためには、「どんなオファーをするか」ではなく「オファーをどのような体験として提供するか」という視点が大切です。

「体験重視の接客」を行う3つの鉄則

「体験を重視するといってもどんなことをすればいいのかイメージができない」という場合は、実際の店舗での心地よい接客を思い浮かべてみてください。

例えばごく一般的な店舗でも、スタッフは接客時に次のようなことを心がけいるのではないでしょうか。

つまり、普通の店舗で普通にやっていることをWebサイトでも行えばいいのです。

オファーを行う際の鉄則は、先ほどの例を踏まえてざっくりとまとめると次の3つです。

それでは、これを踏まえた上で具体的にどのようなオファーをすればいいのでしょうか?

ユーザーの体験を尊重しながらオファーを行う方法はいくつかありますが、本日は比較的取り入れやすい2つの方法をご紹介します。

方法1:オファーを受け入れてくれるユーザーを増やす

1つ目は「オファーを受け入れやすいユーザーを育成する」という方法です。

これは簡単に言うと「ユーザーのサイト習熟度を上げる」ことで、大変重要なポイントになります。サイト習熟度が上がる=そのWebサイトがユーザーにとって「よく知った場所」になることは、再来訪率やサイト利用率の向上、ひいてはCVRにも大いに関連してきます。

例えば、「カートに入れる」「お気に入り機能を使う」「検索機能を使う」といった行動を取ったユーザーは、どのボタンを押したらどんな情報があるかを把握しています。こうしたユーザーは、そうでないユーザーよりも再訪率が高くなります。

「新規だろうと再来だろうと既存だろうと、ユーザーが来訪したらすぐにオファーを送りたい!」という気持ちはあるでしょう。しかし、ユーザーの体験を重視するのであればそこをぐっとこらえて「ユーザーがサイトで本当に求めていること」を叶えてあげる必要があります。それによって生まれる信頼感や安心感が、その後のオファーの受容につながってくるためです。

目的達成を支援する(ユーザーに学習させる)タイプの接客とは?

具体的には、無差別なオファーではなく「ユーザーが今必要としている情報をオファーして、目的を達成してもらう」ことが大切です。「ユーザーが必要としている情報」以外のオファーはじゃまになり、離脱・離反リスクを高めます。

この場合、オファーの目的は購入してもらうことではなく「ユーザーの目的達成」です。ポップアップ接客の評価も、売り上げではなくユーザーの目標達成具合を検証する必要があるでしょう。

一見遠回りに感じるかもしれませんが、ユーザーへのオファーに好印象を持ってもらうことは大切です。オファーによる成功体験があれば、「次のオファーも自分に合っているものではないか?」と期待され、検討の俎上に乗ることができます。

骨子となるのは「ここをクリックするとこうなります」といった、Webサイトの使い方のオファーを行う接客です。この場合、そのオファーを必要としている確率が高いユーザーを表示対象にする必要があります。このオファーは基本的にユーザーのメリットになり、たとえ無視されたとしても機能の存在は伝わるため、サイト習熟度が上がることが期待できます。

オファーの失敗例

図1は、初来訪のユーザーに、会員登録でもらえるクーポンの訴求を大きく表示した例です。ユーザーはコンテンツを見に来ているのに、それを阻害されて不快に思ったのか、離脱率が上がり会員登録率も改善しませんでした。

図1:初来訪ユーザーに会員登録でもらえるクーポンの訴求を大きく表示した例

オファーの成功例

図2は、1~2個の商品を閲覧してその後回遊していないユーザーに「検索はこちら」と案内し、検索方法のチュートリアルを表示した例です。ほかの商品の探し方がわからず離脱していたユーザーが減り、検索結果画面の閲覧率が改善しました。

図2:検索方法のチュートリアルを表示した例

仮に自分にぴったりなオファーではなくても、ユーザーの助けになろうというオファーを好意的に受け止められてもらえれば、その後のWebサイト側からのオファーを受け入れやすくなります。「必要なら受け入れ、不要なら閉じる」というアクションを自然に受け入れてもらえるようになれば、「オファーと見るや拒絶」という図式が生じるのを防げます。

方法2:今すぐオファーを受け入れてもらうために演出する

2つ目の方法は「自然にオファーを受け入れられるよう促す」ことです。

前提として、ユーザーはWebサイト内の情報をほとんど見ていません。では何を見ているかというと、興味のあるコンテンツ「だけ」を見ています。そのため、Webサイトのほとんどの情報は「書いてあっても読まれてない」と考えてましょう。

そして、ユーザーはいきなり投げつけられるオファーに懐疑的です。仮にユーザーの得になるオファーだとしても、それを意識せず一方的に表示すると「何もしていないのに得になるはずがない、何かさせられるのでは?」「コンテンツを見ているだけなのに、購入しそうと思われている?」などマイナスの心象を与えてしまいます。Webサイトへの猜疑心はいったん発生すると払拭が難しいものです。

しかし裏を返せば「ユーザーがオファーを受け入れるのに自然な状態に導けば、受けてもらえる」とも言えます。

オファーを受け入れてもらう演出の2つのポイント

「ユーザーがオファーを受け容れるのに自然な状態」へユーザーを導く演出のポイントは、2つあります。

1つ目は「返報性に訴える」ことです。返報性とは「善意を尽くされたら、お返しをしなければならない」と思う心理のこと。どんなオファーでも「善意からのもの」だと演出することが重要です。

2つ目は「市場規範を示して納得感を作り出す」ことです。市場規範とは「報酬により成果が変動する規範意識」のことで、簡単に言えば「ギブアンドテイクの関係性である」ということを表します。

骨子となるのは「あなたはこれをしてくれたので、このオファーを差し上げます」という演出を行うことです。これも基本的にユーザーのメリットになることが大前提で、たとえ無視されても好感度やサイト習熟度の向上を期待できます。

オファーの成功例

図3は、ページをある程度スクロールしたユーザーに「ここまで読んでくださりありがとうございます。次の記事もございます」と案内した例です。ユーザーの返報性に訴えかけるテキストで無視される確率を下げ、「確かに自分はここまで読んだし、次も見ようかな」とオファーを受け入れやすい心理になるよう演出をしました。

図3:「ここまで読んでくださりありがとうございます」と別の記事を案内した例

図4は、ページにある程度の時間滞在したユーザーに「ここでクイズです! この商品の特徴はどちらでしょうか?」といったごく簡単なクイズを表示した例です。万が一間違えても、再度選び直すことができます。その上で正解者に対して初回購入のクーポンオファーを表示して会員登録を促すと、会員登録率が3倍近くに向上しました。ユーザーは「クイズに正解したのだから、クーポンをもらってもいいかな」とオファーを受け入れやすい心理になるよう演出しました。

図4:簡単なクイズを出して正解者にクーポンと会員登録を訴求した例

こうした演出のポイントは「ユーザーが行った行為を自認させる」点にあります。

「自分の行いから、それに準じたオファーを受けているのだ」という納得感がユーザーの猜疑心を抑え、オファーを受け入れる心を開く契機になります。

また、対象の情報を知る(擬似的なコミュニケーションや学習を行う)ことで愛着が湧く人間の性質を利用して、クイズや診断といったコミュニケーションを用いてユーザーのオファーに対する心理的なハードルを下げることもできるのです。

接客は要求ではなくユーザーのためのサービス

冒頭で示したような「やってほしいことを一方的に投げかけるオファー」をユーザーに受け入れてもらうのは、想定以上に難しいものです。

例えるなら、高いハードルをいきなり置いて「さあ、飛んでください!」と呼びかけているようなもの。当然飛べる人は限られますし、避けて通るのも面倒に感じるものです。

一見遠回りでも、ユーザーのサイト習熟度を上げたり(その手前で低いハードルを飛ばせてあげる)、そのハードルがいかに低いかを訴えかける(ハードルを飛ぶための階段を作る)ことで、最終的にユーザーはハードルを「飛ぼうか、今は飛ばないか、自分で選べば良い」と感じてくれるようになるでしょう。

これらの考え方の基礎には「ユーザーの体験を重視する」、つまり「ユーザーの心理的な負担を軽減しつつ、いかに自然にオファーを受け容れてもらえるだろうか?」という視点があります。

接客は要求ではなくユーザーのためのサービスなので、ユーザーに対して「あれをして!」「これを見て!」と要求をするのではなく「あなたのためにご用意しています」という演出や体験の提供こそが大切です。

そうしたていねいな体験の提供は、その都度オファーを受容してCVRを高める効果だけでなく、長期にわたるユーザーとの関係性構築を支えるものになるはずです。

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