1,000人調査でわかった顧客体験向上のカギは?オンライン接客で売上を上げる3つの要素
コロナ禍により加速したEC市場の成長やインターネット利用者のリテラシー層の拡大により、オンライン接客の注目度は高まっています。この資料では、オンラインでの接客の考え方や実例、接客の本来の価値などについて説明していきます。
マーケティング業務に携わっていると、エンゲージメントという言葉を耳にすることがあります。日本語としてあまり馴染みのない言葉ですから、どういうことを意味しているのかわかりにくいですよね。この記事ではエンゲージメントとはどういう概念なのかについて紹介していこうと思います。
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ここでは、
について説明していきます。
エンゲージメントという言葉はマーケティングだけで使われる言葉ではないのですが、本記事では主にマーケティング領域におけるエンゲージメントを説明の中心にしたいと思います。
エンゲージメント、という単語自体が我々日本人には馴染みがないですよね。エンゲージメントリング(婚約指輪)、くらいでしょうか。
Websterの辞書の定義を見ると、約束、契約という意味があります。感情的なつながりやコミットメント、という意味もあります。軍事用語で敵に遭遇するという意味もあるそうです。
ビジネスとしてエンゲージメントという言葉を使う際には、主にこの「感情的なつながりやコミットメント」というニュアンスで使われていると言っていいでしょう。
ビジネス上でエンゲージメントというと、主に下記の2つの領域で使われます。
こちらに先程のエンゲージメントという言葉の定義を当てはめてみましょう。
従業員エンゲージメントという場合は、企業と従業員の関係性において、従業員が企業に感じる「感情的なつながりやコミットメント」ということを指すことになります。
顧客エンゲージメントの方は、企業と顧客の関係性において、顧客が企業に感じる「感情的なつながりやコミットメント」を指すことになります。
余談ですが従業員エンゲージメントにしても顧客エンゲージメントにしても、感情的なつながりの方向は
をどう作っていくかということで考えてしまうかもしれません。
ただ、企業側に感情的なつながりを感じてもらうためには企業からの働きかけが重要になります。
一方通行ではエンゲージメントを築くことは出来ないので、
の方向性での働きかけがまずあって、その結果として従業員や顧客が企業にエンゲージメントを感じるようになるという順序だということは当たり前ではあるのですがしっかり認識しておきましょう。
以降、本記事では特別なことわりのない限り、「顧客エンゲージメント」を前提にしてエンゲージメントの説明を続けていきたいと思います。
エンゲージメントが感情的なつながりだとしたときに、顧客満足度・顧客ロイヤリティという概念とはどういう違いがあるのでしょうか。
顧客満足という考えかたは、企業が提供している商品やサービスに対して顧客が十分な価値を感じているか、ということを主に指しています。商品・サービスを買ってよかった、と顧客が思えていれば顧客満足を感じていると言えます。
商品・サービスを得るために顧客は何かしらの対価を支払っていますので、対価に対して十分な価値が提供できているかどうか・顧客が十分な価値を受け取ったと感じているかどうかが顧客満足では問われることになります。つまり顧客満足とは個々の取引に対しても一定計測が可能な概念です。
ただ、個々の取引に対して満足をしているからといって、必ずしもその顧客が継続的な取引関係になるとは限りません。今回はこれで満足したけど、次は違うブランドにしよう、ということも十分に考えられます。
一方顧客エンゲージメントとは、個々の取引単位で測る概念ではありません。顧客が感情的なつながりを企業(あるいはサービス)に対して感じているかどうかが問われますので、取引はもちろんですが、それ以外のコミュニケーションを通じても感情的なつながりを生み出す企業努力が求められます。感情的なつながりがあれば、継続的な取引関係に至りやすくなるだろう、ということです。
取引の継続性に焦点を置いている、という点では顧客ロイヤリティと顧客エンゲージメントは同じことを目指す概念と言えます。
ロイヤリティとエンゲージメントの違いはいくつかの観点で説明されているのを見かけます。例えば下記のようなものです。
顧客ロイヤリティを高める施策として代表的なロイヤリティプログラムが一般にはポイントプログラムであって、継続的な取引関係にある顧客を金銭的に優遇するという施策であることから、ロイヤリティというと感情的なつながりをあまり重視していないような印象を受けることはあると思います。
ロイヤリティとエンゲージメントの違いについて、エンゲージメントという概念が登場してきた背景も踏まえて次項でも見ていきましょう。
「なんだ、ロイヤリティもエンゲージメントも結局同じことなのか?」と思われるところもあるかもしれません。確かに本質的には同じことを言っているのだが、見せ方・言い方を変えることで新しいものであるように感じさせるというマーケ業界あるあるの現象として捉えることも出来なくはありません。
ただ顧客エンゲージメントという概念が重要になってきている背景には、それはそれでやはり見るべきものがあるかと筆者は思います。
顧客エンゲージメントという概念が重視されるようになった背景として顧客とは企業が企業の都合で囲い込んだりリレーションを構築したり出来る存在ではそもそもない、という考えかたが広まりつつあるということがあります。
この20年くらいのネットの浸透に伴い、消費者側の情報収集力・情報発信力が企業のそれを上回りつつあるということがこの背景を後押ししていることは今更言うまでもないでしょう。
様々な企業・商品を比較したり、評判を聞いたりあるいは発信したりという活動を日常的に消費者が行うようになっている現状、支払って頂いた金銭に見合う価値を提供出来ているのはもちろんのこと、心情的なつながりも作っていかないと継続的な取引関係を構築・維持していくことができなくなっていくという危機感を企業側が持ち出しています。
顧客ロイヤリティという概念も、ロイヤリティという単語自体が関係性の上下(企業が上、顧客が下)を感じさせるニュアンスを持っているということはさておき、本来的には顧客と気持ちの上でもつながっていたいという姿勢自体は持ち合わせている概念かと思います。
ただ消費者側の力が強くなってきた結果、関係性の上下のニュアンスのある「ロイヤリティ」という言葉自体が消費者に嫌われる要素になりかねない、という危機感が新たに「エンゲージメント」という表現を選択するようになってきているということではないかと思います。
営業マンは店頭販売員のように、直接の顧客接点を持っている立場の人達からすると、特にここはアタリマエだと感じられるのではないでしょうか。「うちの店によく来てくれる顔なじみのお客さん」とは当然心情的なつながりもお互いに感じているはずです。エンゲージメントという言葉が登場する以前であればこういう状態を指して「あのお客さんはロイヤリティ高くてね」という言い方をしていたことでしょう。
ことさらこういう状態を「エンゲージメント」と呼ぶようになった背景には、マーケターがとり得る打ち手の幅の広がりということも見過ごせないと思います。 直接の顧客接点はマーケターの立場としては持ちにくいですから、ロイヤリティをどうこうしようとしたときに、せいぜいの打ち手がロイヤリティプログラムだった時代に比べると今は大きく変わってきています。
テクノロジーの発展に伴い、個々のユーザーにメール・SNSなどで直接メッセージを届けることが出来るようになりました。少し手間を掛ければ、1対1とは言わないまでも、ある程度パーソナライズされた内容にすることも出来るようになりました。顔色や声色を直接には伺えないものの、代わりに収集できるデータも増えてきました。
こうしたことから、心情的なつながりを、必ずしも対面のコミュニケーションでなくても作る方法をマーケターとして現実的に考え実践できるようになってきた。こうした背景も同時に押さえておくべきではないかと思います。
消費者の情報収集力・発信力が強くなった影響は、同時に従業員としての情報収集力・発信力が強くなっているということも意味しています。また終身雇用という概念もいまや薄れてきており、新たなキャリア・ステップアップを求めて転職すること、今の企業が気に入らないから転職することが当たり前になってきています。
企業と消費者の関係性の変化として起きたこととほぼ同じことが企業と従業員の関係性についても起きてきている、ということが従業員エンゲージメントが重要視されてきている背景と言えるでしょう。
では具体的にどのような方法で顧客エンゲージメントの構築が行われてきているでしょうか。
テクノロジーの活用ということではありませんが、筆者がよく取り上げるのはハーレーダビッドソンというバイクのメーカーです。有名なのでご存じの方も多いと思いますが、ハーレーはオーナー向けのコミュニティ形成に力を入れています。オーナー同士でのツーリングの機会を提供し、一定以上の距離を走行したオーナーを会員向けの媒体で取り上げて表彰したり、定期的にオーナーが集まる大規模なイベントを開催したり、といった活動です。
こうした活動を通じて「ハーレーダビッドソン」という世界観を濃厚にオーナーは実感することが出来ますし、その一員であるという心情的なつながりを強く感じることが出来ます。結果、バイクのカスタマイズパーツや、Tシャツなどの関連グッズなども売れるようになっていきます。
このように、自社や自社の製品が表現している世界観を明確に認識した上で、その世界観に顧客がどっぷりと浸れる状態を作っていくというのは顧客エンゲージメントの構築の方法としてはとてもわかりやすいと思います。
また、顧客対応を徹底することでエンゲージメントの構築を実践している企業もあります。例えば再春館製薬は、カスタマーサポートが優れている事例としてよく見かけます。
同社ではカスタマーサポートのことを「お客様プリーザー」と呼んでいます。お客様を喜ばせる人、という意味合いです。自社商品だけでなく、関連する肌の悩みなどの専門知識も研修で教育していたり、顧客の情報を一元管理するバックエンドのシステムを作り込むことで対応品質を安定させたり、といった工夫をしています。
昨今ですと、D2C(Direct to Cosumer)と呼ばれる直販型のビジネスがトレンドですが、こちらの領域の企業はテクノロジーを駆使しつつも、世界観構築型のエンゲージメント形成に力を入れているケースが多いと思います。
元P&GのCMOであるジム・ステンゲルの著書「Grow」は参考書籍としておすすめします。この本では「ブランド理念」という言葉が使われていますが、主張としては本記事で言うところの顧客エンゲージメント、心情的つながりを作る上でブランド理念を持つことが重要だ、ということを述べている、と筆者は解釈しています。
ジム・ステンゲル自身はパンパースというオムツのブランドでこれを実践したという事例を同書籍中で紹介しています。また世界中でブランド理念の実践をうまくやっている企業を巻末50社取り上げていますので興味のある方はぜひご覧ください。
このような顧客エンゲージメントを構築していくことで、企業はどのようなメリットを得ることが出来るでしょうか?
一般的には次のようなメリットがあります。
昨今、顧客との共創が大事、という表現も見られますが、共創を実践するには自社に強いエンゲージメントを感じている顧客がいることが前提となります。
このように、エンゲージメントを構築していくことで企業は様々なメリットを得ることが出来るようになります。
ただし、顧客エンゲージメントという概念自体がそもそもメリットがあることを起点とすることと相容れない概念ではあります。エンゲージメント構築の純粋性が失われると、顧客からも見透かされかねません。メリットは理解しつつもそこに重きを置きすぎないよう気をつけましょう。
前項で説明したように、エンゲージメントの構築においては大きく2通りの方法が考えられます。1つが自社の持つ世界観を明瞭にし、そこに共感してくれる消費者に対し、より濃度の濃い世界観を実感できるようにすることで、心情的なつながりを作っていくという「トップダウン型」の方法。
もう1つは顧客との接点を重要視し、徹底して顧客のことを考え抜いて対応をしていくことで心情的なつながりを作っていくという「ボトムアップ型」の方法。顧客エンゲージメントの構築というと、テクノロジーベンダーがよく「パーソナライズ体験が重要」などというのはどちらかというとこのボトムアップ型でのエンゲージメント構築をイメージしているのではないかと思います。
この2つの方法は同時に取り入れることが出来ますので理想的には両方実践したいところです。ただ、「世界観といってもうちではピンとこない」という場合もあるかもしれませんので、その場合はボトムアップ型で考えてみてください。
エンゲージメント自体が「心情的なつながり」を意味していますので、直接的にエンゲージメントの強さを数値化することはできません。 ですのでエンゲージメントの強さを表現していると考えられる数値指標がなにかを考えることになります。
NPSとは、米国で開発された手法で、顧客に「自社のプロダクト・サービスを他者に勧める可能性はどのくらいあるか?」を11段階(0点~10点)で評価してもらうことで測定するスコアです。
0~6点の回答は批判者、7~8点は中立者、9~10点は推奨者、とラベルづけされ、推奨者の割合から批判者の割合を引くことでNPSが算出されます。
日本では他者に勧めるという行為をそもそもそれほど行わない、自分にとってはいいが(自分と同じとは限らないので)他人には勧めない、という場合もよく見られることから、「1年後のもこの商品を買う・継続利用する可能性はどのくらいかあるか?」という質問で代替するというNet Retention Scoreという概念も提案されています(渡部弘毅著「心理ロイヤリティマーケティング」)。
TwitterやFacebookでは文字通り「エンゲージメント率」という概念が提供されています。投稿に対して「いいね」「コメント」「リツイート」などの他者の行動がどの程度行われたかということでエンゲージメント率が算出されています。
企業もSNS上で情報発信をしているのであればこのような数値も参考にはなるかと思います。ただ対象が「投稿」に対してのことなので企業やプロダクトに対してのエンゲージメントを必ずしも指していないことには注意しましょう。
NPSは質問がシンプルで回答への解釈の仕方も手法が提供されていますが、それ以外の情報が入手できません。アンケートの場合は自由に設計が可能ですので、自社におけるエンゲージメントにつながりそうな質問を考えてみましょう。世界観への共感の度合いも合わせて確認できます。
オンライン上の行動であればデータとして入手しやすいので、いくつかの行動をエンゲージメントの指標として設定することが考えられます。一人あたりの訪問や購入の回数・頻度、企業理念やプロダクト開発に関するコンテンツ閲覧、メルマガの開封率、継続・解約率など自社に合わせて設定してみてください。
ただエンゲージメント自体を直接的には計測できない以上、どのような測定指標を選んでも「これでいいのかな??」という気分は抜けにくいと思います。重要なことは「自社ではこの指標で計測する」ということを決めてチームや社内で共有することです。一定期間計測したあとに振り返ってみてよりよい指標にするために計測の仕方を見直していくということを前提に、とにかく決めてスタートするという姿勢で取り組んでみてください。
指標が決まれば、その指標を向上させるように前述のトップダウン型あるいはボトムアップ型の活動をそれぞれ実践していきましょう。
トップダウン型であれば、
ボトムアップ型であれば
繰り返しになりますが、エンゲージメントの構築という施策は即効性を求めるものではありませんし、ましてや企業メリットを第一に考えて行うものでもありません。顧客視点に立脚して考え、実践することが大前提となります。顧客に見透かされてしまうと逆効果になるだけでなく、SNSなどでの炎上のリスクも出てきます。真摯に取り組みを続けていけば理解してくれる顧客も必ず増えてきますので、長期的な視点で考えましょう。
オンライン上では個人情報の取り扱いがこの数年で大きな変化を見せ始めています。日本でも2022年に改正個人情報保護法が施行されることが予定されており、顧客とのつながりを築くことができていない企業は、購買において選んでもらえないだけでなく、マーケティング活動に必要な情報をそもそも提供してもらえないということにも十分なり得ます。
そういう意味でも今から顧客との信頼関係をしっかり構築していくために、エンゲージメント構築の施策を打っていくことは時宜にかなっていることと言えるでしょう。ぜひ顧客エンゲージメントの構築を検討してみてください。
Sprocketでは、消費者1,000人を対象としたアンケート調査の結果から、Webサイトの顧客体験を向上するオンライン接客についてまとめた資料を公開しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。
参考記事
『本当のブランド理念について語ろう 「志の高さ」を成長に変えたトップ企業50』 ジム・ステンゲル
(※Grow、は表紙には書いてあるのですが洋書のタイトルでした)
『心理ロイヤリティマーケティング』渡部 弘毅
1,000人調査でわかった顧客体験向上のカギは?オンライン接客で売上を上げる3つの要素
コロナ禍により加速したEC市場の成長やインターネット利用者のリテラシー層の拡大により、オンライン接客の注目度は高まっています。この資料では、オンラインでの接客の考え方や実例、接客の本来の価値などについて説明していきます。
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