【いただいた質問への回答-2】4/23セミナー「顧客体験(CX)は“誰”のもの?」

マーケティングセミナー・イベント

深田 浩嗣

先日実施した4/23開催のオンラインセミナー『顧客体験(CX)は誰のもの?~ユーザーを起点とするコミュニケーション転換の実例』において事前にご質問を伺っていたご質問への回答、第2弾です。

※第1弾の回答はこちらから

質問への回答(後編)

第2弾でお答えするのは下記のご質問。なお、最後のご質問はslido経由でセミナー中に頂いたものです。

写真:オンラインセミナー中の弊社代表・深田の様子。

Q6:「顧客体験」における課題をどうやって洗い出すのか。CVRなどの数字が悪いという結果から「具体的な改善すべき課題はここである」をどうやって見つけるのか。

A:セミナーでもお話した、顧客体験=購買体験として考えるとすると、
課題の洗い出しはユーザー起点で考えるとスムーズに出てくるようになります。
あるページが悪いからそこを改善すれば顧客体験が改善される・課題のあるページを探す、という点での発想ではなく、
なにかの意図に沿った行動をサイト内で行おうとするときに、それを妨げているものがあるとするとなにか、
どうであればよりスムーズにその行動が行えるのか、という線での発想で考えてみてはどうでしょうか。

皆さんのサイトで考えたときに、「なにかの意図に沿った行動」にはどんなものがあるでしょうか?定性的、
あるいは想像の範囲で構わないのでまずそこをいくつか出してみてください。
例えばECサイトであれば「(目的買いではなく)なんとなく良さそうなのがないか見に来た」
ということでもOKです。
なんとなく見に来たユーザーが、なんとなく商品を見てもらうことをよりスムーズにするにはどうすればいいでしょうか?
なんとなく見に来たユーザーは、例えば社名検索でダイレクトに来ている人だと定義しましょう。
そのユーザーは現在何商品くらい見て帰っているでしょうか?もっと見てもらうためにはどうしたらしたらいいでしょうか?
・・・ということでデータを見たり、施策の当たりをつけていきます。

あと、宣伝になってしまうのですが、典型的に行動の妨げになっている要因にどんなものがあるか・行動をスムーズにするための
改善点にどんなものがあるか、ということについては一定の共通パターンがあります。手っ取り早くここから取り組みたいという場合は
ぜひ一度お声掛けください。

Q7:CXの推進は、様々な部門での取り組みが必要だと思いますが、どの部門が推進するケースが上手くいくと思いますか?CXのPJを別途立ち上げるのか、もしくは経営層からの強力な推進が必要など

A:おそらくここでおっしゃるCXは、全体設計から入っていくスコープで捉えておられるのではと思います。
その場合はセミナーでも申し上げたように、全体設計を見直せるだけの権限やリソースを持っている部門・人が推進する必要があります。

とある大手の会社さんで、部門横断でCXを推進する新しい部署を設立されたのですが、その部署を任された方が
結局マーケティング部門、プロダクト部門、カスタマーサポート部門などの各部門の調整や教育をまず
進めないとどうしようもない、ということをおっしゃっていたのを聞いたことがあります。
こちらは機能型の組織形態で、単一事業を回すために機能特化の部門がそれぞれある状態のようでした。

その事業の短期・長期の売上利益やその成長をすべて見る立場のいわゆる事業部長的な立場の方がいるような場合は
その方が推進するのが最適ですが、会社によってはそれがイコール経営者であるということもあると思います。

このスコープでCXをなんとかしようとすると、会社全体での仕事の回し方や考え方を大きく見直さざるを得なくなりますので、
かなり強力な権限を持っていないと現実的には頓挫しやすくはなると思います。

セミナーではそこまで申し上げられなかったのですが、
現実的にはいきなりこのレベルでのCX再設計を行うは困難ではないかと思います。
ですのでマーケターで完結できる購買体験から着手し、実際に購買体験というCXを改善することが
一定の売上インパクトがあることをまずは社内で証明する。あるいはその改善結果を原資として
次の大きな投資につなげていき、徐々に経営層を巻き込んでいく。

こういうアプローチを取るのが良いのではないかと思います。

Q8:ターゲット層に沿ったコミュニケーション転換の切り分けについて

A:ちょっと質問の意図が正しくつかめているかわからないのですが、
ユーザーを何かしらのセグメントにわけてコミュニケーションを取るには、という質問として捉えます。

コミュニケーションを考えていくときに、
ユーザー起点でやろうとすると「ターゲット層」という考え方自体を
少し変えていただいたほうが良いのかもしれません。

ユーザー起点で考える場合、ユーザーの気持ちや行動の意図がなんなのか、からまず
考えていくことになります。その場合は共通する気持ちになっている人をどうセグメントするのか、
共通する行動の意図を持っている人をどうセグメントするのか、ということを
考えることになります。

また、その気持や行動の意図に対して適切なコミュニケーションとはなにか、を考えることにもなります。

例えばプレゼントを買いに来ているのか、自分用を探しに来ているのか、で考えるべきコミュニケーションは
まるで異なります。これを見分けるためにサイト内の行動から推察するか、もしくはダイレクトに聞いてしまって
その回答を使うか、といった基準(あるいは基準を引くためのデータの集め方)を定めます。

この基準を使って切り分けを行うことになります。
もちろん定めた基準が最適とは限らないので、異なる基準で同じコミュニケーションをとってテストしてみるなどの
仮説検証を行っていくことは常に重要になります。

Q9:点を線に変えていくポイントが知りたいです

A:こちらも質問意図を正しく捉えられているかわからないのですが、
個々の施策をどうつなげて1つの意図に沿ったものにするのか、という質問として捉えます。

これはQ6で回答したことと似てくるのですが、
ユーザーの行動意図を考え、それに沿って施策を当てていくことで自然に点が線になっていきます。
点を線にするというよりも、行動意図から考えていくことで、始めから設計思想が線になりやすくなります。

Q10:サポートセンター担当なので、ベストな顧客体験を提供する際にどんな風に顧客の意見を収集してどうマーケ側で活用していったかの事例を知りたいです

A:サポートセンターに限らず、直接顧客の声を聞いている方の経験や手法は実はとても有益です。
この回答でもよくでてきているのですが、ユーザーの行動意図がどのようなものなのか、
またどのような行動意図を持っているユーザーが多いのか、などを最も把握しやすいのは直接の声を聞いている方になります。

マーケあるいはデジタルからユーザーを眺めると、
どうしても顔や声が見えない分気持ちや意図を把握するのが難しくなります。

こういうことで困っている人が多い、こういう目的でうちの商品を買っている人が多い、ということがわかれば、
マーケ側でまずフォーカスすべき行動の意図はなんだろうか、を考える大きなヒントになります。
またこのお困りごとにはこれを提示してあげると解決してもらいやすい、という知見も
コミュニケーションの内容を考える上で大きなヒントになります。

例えばある生命保険の会社さんで、
・会社の歴史の長さや保険金支払い実績に安心して申し込んだ
という声を現場ではよく聞くということで、実際の商品LPでもそうした内容に接触する機会を試してみると、
いままでだと離脱していたユーザーでも資料請求に至る率が上がった、ということがありました。

普通はLPだと商品の説明が中心で、会社の説明はあまり行わないのですが、敢えてこうした点を
アピールすることが効果的だというヒントはこうした実際にお客さんとの接点のある現場の声から
でないと気づきにくかったかと思います。

Q11(slido):買い切りでなくサブスクサービスでも購買体験重視をしますか?買い切りと比べて注意する点はありますか?

A:購買体験をスコープとして捉えましょう、という今日の話の内容は、現実問題としてプロダクト側に手を入れられる立場にある
マーケター(あるいはCMO)の方が日本にはあまりいないという問題意識を起点としています。

ここでおっしゃるサブスクサービスがどのようなものを指すかにもよりますが、サービスがサブスクであったとしても、
やはりプロダクト側に手を入れられる立場にあることはあまりないという状況は変わらないのではないかと思いますので、
そうなると購買体験を現実的なスコープとして考えるのは買いきりでもサブスクでも同じではないかと思います。

ただ、デジタル側でサービスが完結するような種類のサブスクサービスの場合、スタートアップなど比較的規模の小さい
会社が運営していることも多く、その場合はマーケターがプロダクト側に手を入れられる余地は比較的大きいと思います。
僕も何人かの知人が大手企業でのマーケターという立場から、スタートアップ的な企業のCMOとして転職されているケースを
目にしており、聞いてみるとやはり本来のCMOとして自分のスコープを広げて考えられるということを転職の理由として
挙げておられました。このような場合ですと必ずしも購買体験だけを重視する必要はありませんし、本来の顧客体験全体像を
存分に向上させていくということに取り組まれるべきかと思います。

購買体験にスコープを定めたときに、買い切りとサブスクで異なる体験設計になるのか?ということでいうとそれは
当然異なってきます。例えばサブスク型のサービスは、そもそもそういうモデルに不慣れなユーザーも多く、サービス自体に
興味を持っても通常の買い切り型のモデルよりも強い不安を感じるユーザーが多くなりがちです。

そういったことを踏まえて購買体験を設計していくことになります。

また、プロダクトには手を入れられないと申しましたが、一方でサブスク型の場合は申し込み以降の体験を
オンライン側のチャネルに持たせていくことも多いので、その場合は改善の対象と出来る顧客体験のスコープは
買い切りよりも広げやすいはずです。これはぜひ積極的に取り組んでいきたいところですよね。
いただいたご質問への回答は以上となります。
またslidoでいただいた質問回答は、別ブログで追ってあげたいと思います。

またこうした企画を続けていきたいと思いますので、次の機会にもぜひご参加ください!

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