MarkeZine安成さんのインタビューのあとに思うこと
先日、マーケジン安成さんにインタビューいただいた記事が公開されました。このインタビューでも「顧客体験の定義とは」という話があって、このときの僕は「顧客が企業との接触を繰り返す中で培われる印象の積み重ね」というようなことで答えていました。
MarkeZine|業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究「CX神話に惑わされるな 現場の数値改善に直結するユーザーへのおもてなし体験の作り方」
記事といってもタイアップ記事広告です。広告なんですが、言っていることは真面目に考えてることです。
まあ定義という意味ではこういうことなんですが、どうも質問の意図には答えきれていない感じで、自分の中でずっとモヤモヤしていました。
顧客体験の良し悪しは選定要因になりにくい
インタビュー内でも、顧客体験のスコープの話には触れていて、プロダクトやサービス自体との接触も顧客体験を形作る以上、マーケティングあるいはマーテクベンダーとして関われる顧客体験はほんの一部だという話をしています。
そんな話をした後に思ったことなのですが・・・
顧客体験、顧客体験、といくら言ったところで、顧客の視点からすると、「顧客体験が良いからこの商品を買おう!」ということには本来的にはあまりならない。商品やサービスにお金を払うというのは、直接に得たい便益がまず得られるということが第一であって、その過程の体験の良し悪しは極論二の次、あるいはそれこそ体験しないとわからないので最初の選定要因になりにくい。
例えば僕がスタバによく行くのは、
- 電源がとれて、
- wifiがあって
- 長居して仕事ができて、なんならテレカンもできる
・・・という空間を求めているからです。
メルマガがタイミング良く届くとか、アプリが気持ちよく使えるとか、店員さんの対応が良いとか、ぶっちゃけあまり関係なくて、そういう空間であればスタバであってもタリーズであってもどっちでもいい。
ただ2つのお店が隣接していたら、スタバアプリでポイントが貯まるからスタバにしようかな・・・とはなると思います。でもたまたまそのスタバには電源がなくて、タリーズにはあるなら、間違いなくタリーズを選びます。
得たいと思っている便益をいかにスムーズに得られるように出来るか
この空間での体験というのはもちろん顧客体験ではありますが、電源やwifiがあって長居ができるというのはマーケティングでどうにかできる領域ではなくて、店舗設計やサービスコンセプトに関わる部分なので、プロダクト側の領域になってきます。ここは僕らはあまり関与できない。
そうすると、顧客体験の基本的な役割としては、「顧客がもともとサービスやプロダクトから得たいと思っている便益をいかにスムーズに得られるように出来るか」ということになってくるかと思います。これがサービスやプロダクトを認知してもらうところからスタートしていく。
加えて、応用的な役割としては、「顧客がもともと得たいとは思っていなかった便益に気づいてもらう」とか「便益体感のスムーズさだけでなく、ワクワク感だとか安心感だとか、別の種類のポジティブな体験として実感してもらう」というようなこともあるかと思います。
なので、冒頭のモヤモヤに話を戻しますと、顧客体験の定義付けとしてはインタビューでの回答よりも、顧客が企業から何かしらの便益を得るうえでの役割として定義付けを説明した方が良かったな、という気が自分なりにしています。少なくとも、自分の中のモヤモヤは何となく晴れた気がする。
すいません、自己完結しちゃってなんのブログなんやという気もしなくはないですが、インタビューの補完として。
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