ベンダーが支援できる顧客体験とは

マーケティング

深田 浩嗣

昨今はデジマ業界でも顧客体験という単語を聞く機会がとても増えてきたと思います。「顧客体験」と言ったときに、2種類の顧客体験が、実はまぜこぜになっているケースが散見されると感じています。それは、1つ目が「ビジョンとしての顧客体験」、2つ目が「プロセスとして顧客体験」です。

先日、とあるメディアの編集長さんに取材をいただく機会があって、その中で「顧客体験という言葉がバズワード化している印象がありますが、そもそも顧客体験ってなんでしょうね」というご質問をいただきました。

昨今はデジマ業界でも顧客体験という単語を聞く機会がとても増えてきたと思います。
僕らも10年近く「おもてなし体験」という言葉を使って顧客体験の重要性を訴え続けてきていますので、ここについても色々と考えることがあります。

画像:顧客体験は「ビジョン」か「プロセス」か

ビジョンとしての顧客体験とはなにか。
これは、事業者として顧客にどのような体験を届けたいかという「思い」や「志」を指しています。
例えばスタバは「サードプレイス」という言葉をWebでも(https://www.starbucks.co.jp/company/)使っているように、顧客にとってサードプレイスとなるような空間を提供したいと表明しています。サードプレイスの定義にはここでは深く立ち入りませんが、「くつろげる空間」というような理解の仕方で良いと思います。

顧客にくつろげる空間と感じてもらいたい。
これはビジョンとしての顧客体験、つまりこういう体験を提供したいという企業の思いです。

ビジョンとしての顧客体験は、当たり前ですが僕ら支援ベンダーがどうこうできる領域ではありません。
事業者が作りたい体験のイメージがある。僕らはその前提を踏まえてどう支援するかという話になります。

ではプロセスとしての顧客体験とはなにか。
ビジョンとして設定された顧客体験に近づけるように、顧客がさまざまなチャネルで事業者から受け取るさまざまなコミュニケーションを「設計」し、「実践」していくことがプロセスとしての顧客体験となっていきます。

いわゆるカスタマージャーニーを考えることから始まる、一連の個別具体的なコミュニケーションの設計と実践が、この領域のスコープとなります。
僕らベンダーが関われるのはこちらの方の顧客体験です。

ただ、僕らが関われると言っても、その対象領域は非常に幅広く、支援できるのも基本的にはその一部となります。
特にプロダクトそのものやサービスそのものに立ち入ることは、マーケティング支援の立場だけではなく、事業者側のマーケターであったとしても難しい場合も多くあるでしょう。スタバの例で挙げるなら、店内の内装や店員さんの教育などはもちろん顧客の体験に大きな影響を与えますが、少なくともマーケティング支援ベンダーとして直接に関われることは率直に言ってあまりないかと思います。

とは言え、「できることがわずかです」と自らを卑下したいわけではありません。
こういう状況を踏まえた上で、ベンダーの立場であっても顧客の体験をより良くすることができますし、その結果、顧客の行動を変えられるようなやり方がちゃんとあります。

冒頭の編集者さんの質問がでてくる背景としては、本来プロセスとしての顧客体験の設計にしかコミットできないはずのところを、まるでビジョンとしての顧客体験の設計ができるような表現が散見されるからかなと思います。バズワード化することで業界の注目がそちらに向くこと自体は決して悪いことではありませんが、オーバーコミットメントは結果的に幻滅を招きます。

我々が支援できる顧客体験設計とは何か
どのような体験が顧客の行動を変えられるのか
これからも愚直に向き合っていきたいと思います。

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