BICPの菅氏に聞く:オムニチャネル対応の顧客体験を作るには
株式会社Sprocketは、株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)と業務提携し、オムニチャネルに対応したデータドリブン型コミュニケーション開発事業を推進する。今回は、ベストインクラスプロデューサーズ代表取締役社長菅恭一氏に今回の提携の狙いや目指すことについてうかがった。
ベストインクラスプロデューサーズとSprocket、 オムニチャネルに対応した データドリブン型コミュニケーション開発事業で協業
今求められるマーケティングのベストインクラスを実現する
−−まず、ベストインクラスプロデューサーズさんの会社概要について教えて下さい。
菅氏:ベストインクラスプロデューサーズは2015年4月に創業しました。社名にある「ベストインクラス」とは、医薬業界で使われる言葉で、新薬開発の時に、成分領域の一番いい部分を集めて既存薬に対する優位性を担保することを言います。
現在アメリカでは、マーケティングのベストインクラスという表現が使われることが増えています。背景には、メディア環境の変化、生活環境のデジタル化によりマーケティング活動が複雑化し、従来型のフォーメーションでは対応できなくなってきたことが挙げられます。
かつてTVCM広告でモノが売れた時代は、広告代理店一社でクリエイティブディレクター、CMプランナー、コピーライター、メディアプランナーなど、マスマーケティングに必要なスタッフをアサインし、それがベストインクラスといえる時代でした。しかし、現在は生活者の意思決定プロセスが複雑化する中で、マスメディアだけでなく、デジタル、店頭など分散化したタッチポイントをつなぎで、顧客を中心としたベストなマーケティングプランをどう作るかというのを問われています。
広告主は、複雑なマーケティング環境の中で必要なパートナーシップを組んで、ベストインクラスを実現しなければいけませんが、我々はそれをクライアントと一緒にやっていきたいと考えています。会社のミッションとして「挑戦するマーケターと共に走る」を掲げているように、チャレンジングなマーケターの横に立って走りたいという思いがあります。
ベストインクラスを実現するために、「シナリオプランニング」「データマネジメント」「チームビルディング」の3つの核を掲げています。
コミュニケーションシナリオのプランニングでは、潜在顧客がロイヤルカスタマーになるまでの横軸のシナリオをタッチポイントを横断して考えます。そのシナリオに裏付けになるのがデータで、最適なチームを作ってシナリオを実行します。Sprocketさんの強みはデータと実行の部分なので、組み合わせて展開できればいいと思っています。
横断型のマーケティング実現のためのシナリオを描く
菅氏:コミュニケーションシナリオでは、お客様との関係の深さによって、マーケティング施策、コミュニケーションの取り方が変わってきますので、時間軸でストーリーを作ります。それを補強するのがデータで、仮説検証しながらシナリオに落とし込みます。
シナリオとデータで施策をサンドイッチすることで、施策の筋が通り、企業のベストインクラスが作れると考えています。
また、社名にはプロデューサーズと入っているように、パートナーのネットワークを持っていることが強みで、最適なチームビルディングをしてプロデュースできます。このネットワークはそもそも創業の1年前にベスト・イン・クラスパートナーズという形で、弊社の会長でもある横山隆治(株式会社デジタルインテリジェンス代表)が発足しました。このネットワークでSprocketさんとも知り合い、それが縁で今回の提携につながっています。
力のあるパートナーが多く、我々は単にアサイン、プロマネをするのではなく、何をプロデュースするかを定義して、シナリオのプロセスを実現することを大事にしています。弊社は、シナリオを描いて終わりのコンサルではなく、マーケタープロデュース業という位置付けで、筋の通った実行ありきの戦略を考えています。
深田:実行可能なシナリオがあるので、弊社としても安心感がありますね。Sprocket側から相談をすることもあります。
先ほどのコピーにもあった「挑戦するマーケター」さんの課題として僕が感じるのは、組織横断型のマーケティングをどう実現するかという点です。菅さんは、デジタルだけでなく、マスも含めた全体のマーケティングのシナリオを描いて、実行のところまで提示する役割で、実は日本でこれができる会社はほとんどないと思います。
というのも、求められるスキルセットが幅広く、マスもデジタルも、技術もマーケティングもわかっていないと全体像を描けません。ネット系のベンダーはマスが弱く、代理店はデジタルが苦手というように、全体像が描けず最後まで頼れないことにマーケターの多くが悩んでいることを実感しています。
双方のニーズがマッチし、業務提携に
−−Sprocketと提携し、関係を強化した理由は?
菅氏:解決したい課題が2つありました。一つはクライアント側の課題で、コミュニケーションにおけるタッチポイントの分散です。ホームページ、テレビ、店頭、アプリなど様々な接触ポイントを横断するために、BICPではブランド、宣伝、店舗、EC、などクライアント社内の担当者からそれぞれヒアリングした上で横串のシナリオを作ります。
このシナリオから施策に落とすときに重要なのが、施策間をつないで継続的にコミュニケーションをとれるプラットフォームです。深田さんと何回かご一緒する中で、Sprocketのおもしろさを知り、オムニチャネルのコミュニケーションシナリオをつなぐための仕組みとして、すごく可能性があると思いました。
もう一つの課題がデータの蓄積、検証です。シナリオの設計には、データが必要でデータを収集・検証するためにはテクノロジーが必要です。データをきちんと貯められて、タッチポイントをつなげられるプラットフォームで、施策の運用もできるパートナーが必要で、まさにSprocketさんがぴったりでした。
深田:Sprocketからするとありがたいお話でした。弊社でもマーケティング全体像の相談を受けることも増えていますが、正直今のSprocketではマーケティングの全体像を描くことは難しいです。マーケティング全体の幅広い知見、経験が足りないので、クライアントの期待に答えられないと感じていました。
しかし、クライアントが悩まれていることはわかっていましたから、そこは安心して任せられる菅さんのような方に支援していただけるととても心強いです。タッチポイントが分散する中で統一したコミュニケーションをすることの重要性を認識している人にとっては、マーケティング施策の全体像は必須事項です。
菅さんは価値の高い仕事をされていて、業界でも高い信頼を築かれている方ですから、組ませていただけるのはSprocketとしてもありがたいです。
−−今回の協業ではどのような役割分担になっていますか?
菅氏:こちらの図に示しているように、まず顧客体験が上位にあり、潜在顧客から優良顧客になるまでのストーリーをシナリオとして設計します。そこから具体的な施策、KPIを設計していきます。その施策をドライブさせる、KPIを検証するためのプラットフォームがSprocketです。
シナリオ設計についてはBICPを中心に、施策、KPIは両社でに設定していきます。データ収集、分析、施策連係は、Sprocketのプラットフォーム上で実現します。
今回の協業では、Sprocketを顧客体験加速エンジンとして位置付けました。我々が描く顧客体験デザインを加速する武器としてSprocketがあるんです。さらにSprocketは分析のダッシュボートで顧客の育成のレベルが見られる機能もあり、施策の検証でも非常に有効です。
深田:Web接客ツールが今注目されていますが、Webサイト、アプリでのリアルタイムのコミュニケーションは今後当たり前になると考えており、それはメールなどでは補いきれない領域です。「Webで自分で情報を探してね」という時代は終わり、企業の方からライトタイミングで、ライトコンテンツを、ライトパーソンに配信していく必要があり、Sprocketが店員のような接客をオンサイトで実現します。
ここで、「そもそもライトってなんだ?」というところを考える上で、シナリオが必要で、総合的なシナリオがあるから、このタイミングで何を伝えるかという施策に落とし込めます。全体のシナリオ策定はその道のプロがやるべきです。
菅さんは、企業目線とユーザ目線のバランスがよくて、ユーザとのコミュニケーションの幅を限定せずに、もう一段上のレイヤにつなげていくようなシナリオを描けるので、この座組は非常に大きな価値を提供できます。
−−今後の期待は?
菅氏:顧客体験を軸にしていきたいので、顧客理解を深めたいです。例えば、データに基づいた精緻なペルソナ策定、データに基づいたシナリオ策定を推進していきたいですね。顧客体験とオムニチャネルはセットですから、オムニチャネル時代のシナリオを策定していきたいです。
深田:今回の座組では、マーケターの目線に合わせたデータを提供することが大事だと思っています。価値を感じてもらえるような、方針策定の羅針盤になるようなデータ、分析を出せたらと思います。
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