データ分析で見えたECサイトの穴。ユーザに寄り添ったWeb接客でコンバージョン140%に:Sprocketの裏側

マーケティング事例

静岡県島田市の茶畑の中にティーライフ株式会社はある。同社の玄関をくぐるとまず目につくのが壁に貼られたお客様からのアンケートの数々。顧客第一主義を掲げる同社にとって、お客さまの声は宝の山だ。定期的に張替え、社員に限らず来客も含めて常に目につくようにしている。

そんなティーライフが扱う商品は、自社企画した健康茶、健康食品、化粧品など。カタログとオンラインでの通信販売を専業にしている。近年は特にオンラインでの販売に注力しており、様々な施策を検討、導入している。

ティーライフがECサイトにWeb接客ツールSprocket(スプロケット)を導入したのは、2015年7月。およそ1年を経て、コンバージョン改善にとどまらず、顧客のLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)最大のための施策も可能になりつつある。

実は、ティーライフはスプロケットの新バージョンをリリースしてから、本格的に導入した1社目の会社になる。施策の検討、シナリオの策定などは、手探りだったが、その分チャレンジングでもあった。

今回は、ティーライフのスプロケット導入にあたって、シナリオ策定、データ分析などに取り組んだSprocket社のプロデューサに話を聞いた。

第1の課題:ランディングページでの購入客を定着させるには?

スプロケットの導入でまず解決したい課題として挙げられたのが、ランディングページ経由で商品を購入した新規ユーザを、どうやって定着させるか?ということだった。

オンラインマーケティング施策に敏感な同社が、新規顧客の獲得に最も効果的な施策として選んだのがSaaS型のランディングページシステムだった。検索エンジンから新規顧客を効率的に流入させ、購入しやすい価格で商品を提供する。まずは、商品を試してもらって、商品の良さを実感してもらい、以降定期購入に結びつけるツーステップマーケティングでは、ランディングページが最初の肝だ。

新規顧客獲得という目的に対して、SaaS型のランディングページは効果的だ。しかし、次のステップの定期購入につなげるための会員登録には結びついていなかった。商品が悪いわけではない。単に本サイトへの導線が不十分だったため、ユーザが会員登録に進めなかったのだ。

であれば本サイトに誘導して会員登録を促せばよい。しかし、導線を作るだけでは不十分だ。なぜ、会員登録をしたほうがいいのか?その理由を伝えなければユーザは動かない。「会員登録すると、インセンティブをつける」シナリオを決める議論の中では、そんな意見もあった。

しかし、Sprocket社プロデューサが目をつけたのは、会員登録のそもそものメリットだった。会員登録すれば、次回購入時に住所などを入力する必要がない、購入価格に応じてポイントが貯まる、誕生日月にプレゼントがある、といった基本的なことだ。

「ユーザはメリットを承知の上で、登録しないのでは?」そんな意見もあったが、まずはストレートにメリットを案内することから始めた。

結果、Sprocketガイドを表示した場合は、会員登録率が10倍以上に跳ね上がった。システム担当者にとっては、もはや当たり前と思っていた情報が、ユーザには伝わっていなかったのだ。そこをフォローして案内するだけで、ユーザは自然と会員登録に進んでいった。

2016年6月現在、ランディングページから会員登録の誘導にスプロケットは使われていない。これだけ効果があるのなら、システムのUIそのものに導線を入れるようにしたほうが、シンプルだからだ。

第2の課題:買わずに帰っていく人のニーズを突き止めろ

会員登録のメリット訴求が大きな成果を出したあと、次にどんな施策を当てていくか。すでに、スプロケットのタグをスマホサイト内に埋め込んでいたので、ユーザの行動をデータから読み取ることができた。そのデータを見ながら、どこから手をつけていくべきかをディスカッションしながら決めた。

ディスカッションの結果、第2の施策として選ばれたのが、ECサイトにアクセスしているのに、購入することなく離脱してしまうユーザへのアプローチだった。一度購入してもらえれば、カタログ、メルマガなどを使って再度コミュニケーションすることができるが、買わずに離脱してしまったユーザには、その後コミュニケーションすることができない。だから、ECサイトそのものが最初で最後のチャンスになるのだ。

最初の施策では、イチオシ商品の健康茶についてのお客様からの喜びの声をSprocketガイドで表示することだった。他の人が満足している商品であれば、自分も試してみたい、という気持ちになるという仮説に基づき実施した施策だった。

しかし、結果は思うように出なかった。表示しない場合に比べてもほぼ同じか、内容によっては購入率が下がることもあったのだ。「この方向性ではない」、即座に判断し、このシナリオは切り上げて、新しい施策を考え直した。

次の施策も効率が悪い?しかし、データ分析で意外な真実をつきとめた

次に考えた施策は、サイトを訪れた人にオススメの商品のページを順番に見ていってもらうというシナリオだ。これは、連続して異なるページに誘導するSprocketツアーの機能を最初に実現した事例になった。

例えば、ダイエットに興味のあるユーザには、プーアール茶、メタボメ茶、スムージーなどを順番に見せて、一番気になる商品を選んでもらうというツアー。

画像:複数ページをナビゲーションするSprocketツアーのポップアップ画面例

複数のページをナビゲーションしていくSprocketツアー

しかし、この施策も最初は結果が出なかった。この時、プロデューサは興味にマッチするオススメの商品を知らせることで、購入意欲を上げるという仮説はあっているはずなのに、効果が出ないことに違和感を感じたという。

そこで、改めてスプロケットがバックグラウンドで収集したユーザの行動データをローデータから分析した。そのデータ分析の結果、ある特徴を発見した。

それは、新規ユーザには効果は薄いものの、購入経験のある既存ユーザには効果があるということだった。この結果から、ある商品を使って満足した既存ユーザは試したことがない別の商品に対して関心が高いという仮説を導き出した。そこで、Sprocketガイドの表示条件を既存顧客のみに限定して再度試したところ、表示しない場合に比べてのコンバージョンが140%となった。

Sprocketプロデューサは、「実際に収集したデータ分析に基づいた仮説設計、シナリオ設計はスプロケットならでは。ABテストツールだと、単純にAが勝った、Bが負けたという結果になってしまうが、負けている施策の中でも勝っているセグメントを見つけ出して効果を出せたことは大きい」と振り返る。

第3の課題:なぜ、商品を買い物かごに入れたのに、購入をあきらめてしまうのか?

商品を買い物かごに入れたにも関わらず、購入完了に至らずに離脱してしまう「カゴ落ち」。3つ目の課題はまさにカゴ落ち対策だった。カゴ落ちする人がどういうステップでページを遷移しているのか。どの遷移パターンなら購入完了するのか。サイト全体のアクセスについて、大掛かりな分析を実施した。

イメージ画像:購入に至らないかご落ちイメージ

そこで分かった離脱傾向の高い1つのパターンが、「ログインを複数回トライして失敗する」ということだった。言われてみれば、当然だと思うかもしれない。しかし、そのフォローがWeb接客の視点からできているECサイトはほとんどない。
この課題に対して、複数回失敗したユーザに対して、Sprocketガイドで3つのパターンの案内を表示した。1つはログインしなくても購入できること、2つ目は電話で注文できること、3つ目はID/パスワードを忘れた場合はこちら、というメッセージだ。

結果、1つ目のパターンで購入完了率は113%、3つ目のパターンで購入完了率は110%に改善した。2つ目の電話注文はオフラインになるのではっきりとは数字には出せないが、スマートフォンからタップして電話できるようになっているので、効果は出ているはずだ。

ティーライフの担当者は、改善効果はもちろん、買い物かごに投入した後のユーザの離脱パターンがデータで示されたことに対して高く評価をしている。つまり、分析を伴うような中長期的な施策にこそ、スプロケットを活かせるという結論だ。

離脱防止から、リピーター育成、LTV最大化につなげる

今回紹介したティーライフの導入事例は、スプロケットの本格導入の第一弾ということもあり、探りながらツアーシナリオを考えた。その後、様々な導入事例を経て知見を蓄積し、今では必ず効果が期待できる「鉄板シナリオ」のストックが100本以上ある。

ティーライフでも現在は、毎回シナリオをゼロから考えるだけでなく、鉄板シナリオの中から選んでチューニングするようなやり方を追加したため、失敗することが少なくなった。

期間限定の割引キャンペーンを実施するような施策ができるWeb接客ツールは他にもあるが、サイト全体のカスタマージャーニーの中の壁を見つけて、その壁を超えさせるような施策を出していけるのはSprocket社だけだ。

ティーライフでも、「お客さまをロイヤルカスタマーに変えていく、LTVを最大化させる施策としてのWeb接客ができるのがスプロケット」という評価を得ている。今後は、新規顧客に定期購入に進んでもらうためのリピーター化施策、リピーターに異なる商品を購入してもらうクロスセル促進施策など、LTVを踏まえた上でスプロケットを活用していきたいと期待されている。

※記事執筆:深谷歩

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