リアルの接客に学ぶWeb接客の2種類のモデル
Web接客という言葉が普及する一方で、「サイトに来訪したユーザにどのような応対をするべきなのか」ということについてはまだなかなかいいモデルがない現状があります。ほうっておくと「とりあえずクーポン配ろう」みたいになってしまいそうなので、まずはリアルの接客がどのような種類があるのかを色々と調べてみました。
「Web接客」という言葉の認知度が高まっています。「Web接客」という言葉自体は、正直に言ってあまりイケてる言葉と思えないのですが、こうした言葉は自分でコントロールできるものでもなく、市場が決めていく面が強いのでやむなくSprocketでもそう呼称している今日このごろです。
多岐に渡る接客モデルを2種類の分類
Amazonで「接客」で調べると1174件の書籍が出てくるので、全部は無理なものの実際の接客シーン別に色々と調べてみました。
接客を扱う業種・業態で見ても非常に幅広く、アパレル、家電量販、美容院、航空会社(キャビンアテンダント)、レストラン、ホテル・旅館、自動車、生命保険、高級ブランド(ルイ・ヴィトンのような)などなど、さらにはディズニーランドという単位でもかなり色々な本があったり、またクラブ・キャバクラといった領域を扱っているもの、中には風俗業界(!)の接客を説明する本もあったりします。あとは高齢者向けや外国人向けといった、業種ではなく特定ターゲット向けの接客を説明する本など多岐にわたっており、一言で「接客」といって非常に幅広い領域を扱っていることがわかります。
取り急ぎ、一通りのジャンルの接客本を計数十冊ほど買い漁って全体像を眺めようとしているのですが、大きくは2種類の接客に分かれてくるようです。接客行為の中にどのくらい「販売」の要素があるかということで、書かれている内容に差が出てきます。
1つがいわゆる販売員と呼ばれる、アパレルに代表される店頭での販売活動を行うための接客です。もう1つがレストランやホテルに代表される顧客をもてなすための接客です(ここでいう「もてなす」とは日頃僕が主張するおもてなしとは違い、一般的な意味でのもてなしを指します)。「セールス型接客」と「コンシェルジュ型接客」という感じでしょうか。
セールス型接客のモデル
セールス型接客は、接客時にまだお客さんは必ずしも購入の意思を固めていません。接客者の役割はお客さんの悩みを解消するためにこの商品が役に立つということを納得してもらい、購入してもらうことにあります。さらには焼き畑にならないよう、ちゃんと次もリピートしてもらうことが究極のゴールになります。
セールス型接客ではお客さんの来店時から、いかにうまくタイミングを見て声をかけるのか、営業行為でお客さんが引いてしまわないようにいかにうまくコミュニケーションを取るか、その中でいかに的確に商品説明・提案を行ってクロージングするか、といったことが接客の基本的なプロセスとなります。
また接客者の側にノルマが存在していたり、販売行為と顧客満足が必ずしも合致しないという心理的なプレッシャーや矛盾をどう考えるべきかといったことも重要なテーマになってきます。
コンシェルジュ型接客のモデル
コンシェルジュ型接客は、接客時には基本的にお客さんは購入の意思を固めた状態です(あるいは既に支払いが終わっています)。接客者の役割は、お客さんにいかに満足して喜んでもらい、場合によってアップセルを獲得し、次回もまたリピートしてもらうこととなります。こちらの場合はお客さんが何をしに来ているかがある程度明確なので、いかに相手の意図を察知して先読み行動ができるのか、不満・不安をもたれないようにするのか、といった接客をすることになります。
販売行為はない(あっても薄い)ため、接客のフォーカスは笑顔・身だしなみ・言葉遣いや気遣いといったところに当たってくることになります。また、クレーム対応やトラブル対応といったことも重視されています。
Web接客では目的に合わせて2つのモデルを使い分ける
Web接客でもこうした違いはやはりあって、セールス型の接客になるのはECサイトが代表的で、またサブスクリプション型サービスの登録をしてもらう部分もセールス型になってくるでしょう。メディアサイトやコミュニティサイト、コーポレートサイトなどはコンシェルジュ型の接客になってきます。
Sprocketでも実際にWeb接客施策を導入していく上で、結果としてサイトの性質によって接客方式の違いがシナリオに出てきています。セールス型の方は、購入の不安を解消したり、うまく背中を押したり、購買後の安心感を醸成したり、といったことをやりますし、コンシェルジュ型の方は機能やコンテンツを案内したり回遊性を高めたりといった形の施策が多くなってきます。
まとめ:接客の究極のゴールはリピート顧客育成
導入するサイトの性質を踏まえると、リアルで行われているどんな接客手法が参考になるかが見えてきます。なお、どの接客本を見ても接客中にクーポンや割引を提案しようとは一切書いてありません。そしてセールス型もコンシェルジュ型も共通するのはリピートを生み出すことが究極のゴールになっている点です。良い接客とはリピートユーザを生むものであるということはWeb接客でも同じですね。Sprocketも長期的なリレーション構築にお役に立てることを目指して事業を行っています。
まだまだリアルの接客から学べることはありそうなので、継続的にここは勉強していきたいと思います。
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