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コロナがきっかけだった?!ピザハット「置きピザ」プロジェクトを牽引した薮内氏が語る開発秘話と今後のビジョン《前編》

Koji Fukada
Koji Fukada

新型コロナウイルス感染症に関する世の中の反応も現在ほど顕著ではなかった3月12日、新しいデリバリーピザの形の「置きピザ」(=ピザの宅配員と対面せずにピザが受け取れるサービス)が立ち上がりました。弊社代表 深田がピザハット薮内氏にインタビュー。このサービスを立ち上げた経緯や想い、今後の構想について語っていただきました。
《本インタビューは2020年4月に実施されました》

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プロフィール
薮内浩平
日本ピザハット株式会社 マーケティング部 デジタルマーケティング課 課長

「置きピザ」は企画からリリースまで、実は1週間だった

深田:よろしくお願いします。(オンライン会議の背景からすると)オフィスにいらっしゃるご様子ですね。

薮内さん
:半々です。あまり在宅ではないです。現場があるビジネスじゃないですか、僕たち。やろうと思えばおそらく僕の仕事も在宅でやれるんです。ただ誰かが本部にいなければならないので。

深田:さて、今日の主旨は先日コロナにまつわる事例・取り組みについて簡単にまとめ、弊社のメールマガジンでお送りしたところ好評で、こういったコンテンツ求めているみなさんも多いのかと思い、素晴らしい事例をお持ちのピザハット薮内さんに白羽の矢を立てさせていただいた次第です。

さて、テーマとしては、「置きピザ」です。いただいたURLに概要紹介があります。
▼ピザハットの「置きピザ」とは?新しい形のデリバリーピザ
https://media.pizzahut.jp/oki-pizza/

置きピザとは

深田:こちら「置きピザ」の取り組みが、とてもスピーディだと感じました。今日はここを深掘ってお伺いしたいと思っています。頂いた記事中に、「置きピザ」解説や置き配系の他社紹介、メリット等の記載を拝見しました。「置きピザ」サービスは、以前から検討していたのですか?

薮内さん:いや、正直検討はしていなかったです。今回のコロナの件がなかったら出来なかったと思っています。

深田:やはりコロナを機にという感じではあったんですね?

薮内さん:ありましたね。しかし、世の中への出し方として、便乗と思われるのも嫌じゃないですか。ただ取ってつけた感は正直否めないところであるかなと。

深田:そこをやってみようぜ となったのは?

薮内さん:そうですね。”非接触”がポイントになったかなと思います。

深田:なるほど。「置きピザ」サービスをリリースしたのが3月12日ですよね。コロナがきっかけとはいえ、かなりスピーディな対応を求められたのでは?という気がしていますが、実際企画からローンチまでどの位の期間だったのですか?

薮内さん:それでいうと1週間ぐらいです。

深田:まじですか。めちゃくちゃ早いですね!

キャッシュレス選択した人だけが「置きピザ」を選択できるシステムを開発

薮内さん:そうなんですよ。でも僕らは3月の1日-2日頃には社内ですでにやろうぜ!となってたのですが、実はドミノさんがその週の末にシステムを何も使わずに、開発を要さない形でリリース展開しているんですよ。お客様側で注文時にwebの備考欄に「手渡しを希望しません」と書いてください という方式で。
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デリバリーの手順
ドミノピザの公式サイトより


深田:あーなるほど。

薮内さん:そう。システムを何も使わずにドミノは先んじていきました。ですからちょっとドミノさんに対して負けた感は正直否めないんですが、弊社はこの仕組みで店舗に負荷がかからないように、なんとか乗り越えようというのがまず先にありました。ドミノさんの場合、正直キャッシュレスのみとは謳っているものの、現金のお客様も「安心・安全受け取りサービス希望」と備考欄に書けないわけではありません。

しかし、もしそうなった場合に店舗側は困りますよね。でも弊社はお客様がオーダーサイトで現金を選択した場合、「置きピザ」は利用できない、グレーアウトします。お客様側が現金以外のキャッシュレスを選択した時に初めてチェックボックスから「置きピザ」をチェックできるようになる といった仕組みを作りました。



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※ピザハット注文画面より

深田:その部分でのシステム改修が必要だったんですね。

薮内さん:そうですね。

深田:それを含めてとなるとやはり相当早いですね!

薮内さん:早かったです!はい!

深田:悪い見方をすると、ドミノさんのリリースは確か3月6日だったので、まさかそれを見てピザハットさんもサービスをリリースしたのかな と思わなくもなかったのですが、それはタイミング的に偶然だったのですね。

薮内さん:偶然というか・・もう出し抜かれたー!と思いましたね。ただ弊社は裏側で開発が伴っていたので、早いリリースができなかったというところは事実です。丁度テスト環境など3月6日にチェックしており、週明け早々に「じゃあ行こう」と思っていたら、先にドミノさんがサービスリリースを出した みたいな・・はは(笑)反省です!

深田:いえいえ。システム対応からやられたのはすごいですね。

薮内さん:はい。

接客体験が無くなるということは、僕たちの存在意義って何だろうとまで考えた


深田:よくそのスピード感で、システムや店舗オペレーションも絡む中、それらをクリア出来ましたね。お店を巻き込む施策の場合、実現のハードルが一気に上がると思うのですが。

薮内さん:店舗にとって何がメリットかと考えた時に、やっぱり接客の簡素化があると思います。受け渡し時間などを考えなくていいなど。また、現金決済以外をお客様が選択されていることからお釣りの受け渡しなども簡素化できる。そもそも店舗側が納得してれるメリットは何だろう、そこを考えたことがポイントでしたね。

深田:この「置きピザ」サービスは、店舗側から理解を得られやすいタイプの施策だったのですか?

薮内さん:正直やったことがないので、店舗側の意見としては「どうなんだろう?」といった反応でした。僕も店長として配達したことが何度もあるのでわかるのですが、接客してその時の接客体験によってお客様が喜んでくれるという反応が実際あるわけじゃないですか。それすらも無くなるということは、僕たちの存在意義って何なんだろうって。

深田:なるほど。

薮内さん:具体的に言えば、例えば、ピザが崩れていたり、トッピングがちょっとズレていたり、カットバランスが悪かったピザを、ものすごい笑顔の接客でいい体験をさせた場合、お客さんの印象ってやっぱりそんなに悪くない。逆に言うと、どんなにいい商品で、あったかい商品であったとしても、その時の接客が悪かったらお客さんは楽しく食べれないじゃないですか。

「お客様がリピートする要素として、接客による体験が6割を占める」という社内教育の中で、「接客体験」という部分が無くなった時に、本当にお客様側は私たちの顔が見えなくても満足してもらえるのだろうか?と、私ですら感じました。接客しないってどうなの?おもてなしってなに?置きピザって大丈夫なの?って。

深田:薮内さんもそういった意味では、もともと店舗にいらした経験があるから、その疑念は感じますよね。

薮内さん:そうですね。でも接客するか・しないかに関してやはりお客様側が選ぶものじゃないですか。接客を受けたいお客様もいれば、顔を見られたくないし、部屋の中も見られたくないお客様も存在するということを踏まえ考え抜いたところ、こういった非対面のサービスもあるのではないか、置きピザさえも体験の1つであると考えればこのサービスでいい体験だったと思う人もいるんじゃないか、という結論に行き着いた次第です。

深田:なるほど。店舗オペレーションの浸透をどうするんだという議論もありつつ、それ以前に、ピザハットとしてのサービスの存在意義とは?といった議論になっていたということでしょうか?

薮内さん:社内の皆さん、それをはっきりと口には出さないまでも、おそらく深層心理の中にはあったと思います。そして体験した上で、意外と楽だな、今までより簡素化できているな、などメリットとして捉えていただいていると感じている今日この頃です。

深田:では店舗側の方も、「置きピザ」を実際にやってみたら、簡素化できて実は楽でいいと思う側面もあったということでしょうか。

薮内さん:はい。そう思っています。

深田:逆にそれがあって、じゃあやろうってなったわけではむしろなかったと。

薮内さん:そうですね。そもそもがこの社会情勢、コロナ状況下の非接触が叫ばれている中で、ドライバー側でも接触はなるべく避けたい という思いもありました。そういった意味で、双方の思いという部分でうまく合致したのかなと思っています。

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深田:確かにそうですね。逆に言うとこのタイミングでなければ「置きピザ」は実現できなかったのかもしれないですね。

薮内さん:そうですね。でも一方、Twitterなどでお客様の意見を聞いていると「受け取りに出なくていい」という特徴部分に関し、「やっぱりいい。コロナに関係なく。」という評価の声が女性から多く上がっているという事実があります。

深田:じゃあ、お客様からの評判は上々なのですね。

薮内さん:そこは結構意見が分かれます。全部は調べられていませんが、若い方ほど化粧など身なりを気にする結果が出ています。例えば、40代以上のお子様がいるような女性の方は受け取りで顔を合わせること、出て行くことを気にしません。しかし、年齢が若くなるに従って、自分の身なりを気にするお客様は多くなり、出来ればドライバーに会いたくないというご意見もありました。

深田:面白い結果ですね。受け取る方は女性比率が高いのでしょうか?

薮内さん:データを取ろうと思えば取れますが、男女比率まで出せていません。見てみると面白いかもしれませんね。

Webオーダーのうち10%が置きピザサービスを利用

深田:「置き配」のオプションを選ぶ方は、若い女性が多いのですか?

薮内さん:そこはまだ見えていません。利用状況はこれから深く調査し把握する予定です。現在、利用率に関して見るとWebオーダー中の10%程度がこのサービスを利用してくれています。10%ですがそれでも僕は割合として多いと思っています。時系列で言えば、3月12日にサービスローンチして第1週目の3月14〜15日が3%、2週目の3月20〜21日で3〜5%、3週目の3月28〜29で7〜8%、翌週4月に入りさらに利用率の上昇傾向が見られます。

深田:全体的にコロナ感染防止に関する意識も上がってきたという証拠ですね。

薮内さん:そうですね。深田さんのおっしゃられた通り、分析すると面白い結果が出るかもしれないですね。

深田:10%の人が使っているとなるとかなりの大きさ、ボリュームですよね。

薮内さん:はい。そう思っています。

深田:ドミノさんは「置き配」を既にやっていますが、ピザーラさんはまだ取り組まれていないようですね。ピザ3強で言えばまだ差が見られますね。

薮内さん:はい。ドミノさんはもともとデジタルマーケティング対応が早かったところに、ようやく弊社が追いつけてきたのかな と思っています。

深田:しかし、ドミノさんの備考欄に記載する「置きピザ」サービス対応と比較すると、御社のサービス完成度の方が高いと思います。

薮内さん:そう思ってます。ただそこだけで終わらせないっていうところが、やっぱりミソかなと思ってます。

苦労したことは、店舗社員の理解をどうしたら得られるか。そして僕自身が熱意をどう伝えるか

深田:苦労した点はどんなことでしたか?

薮内さん:一番はやはり店舗社員の理解をどうしたら得られるかというところでした。3月初旬はコロナウィルスに関する意識もまだそこまで高くなかったですから。

深田:そうですね。

薮内さん:今の段階(4月14日現在)でこそ、そうだね!やろう!と社内同意を得られますが、3月初旬の段階では、何を今そんなに焦ってやるんだい?必要なの?といった、そのような雰囲気は少なからずあった中で進めること。その部分が一番苦労したかもしれないですね。今だったら多分もっと受け入れられやすいのでは。

深田:ですよね。それら課題はどのようにクリアしたのですか?

薮内さん:やはりここに関しては、社内での横串といった役割、つまり他の部署に対し仕組みの説明、店舗を統括しているそのエリアマネージャーやスーパーバイザーの方々に、内容説明と同時に、世の中を便利にして手間を省くこともできるものですよというメリットを切々と伝えていくということをしました。

深田:丁寧に説明するということ、もうこれに尽きるという感じですね?

薮内さん:そうでうすね。あともう一つあるとするならば、僕自身が「置き配」というサービスをやった方がいいと思いました。始めは疑心暗鬼だった僕が、これやった方がいいなと思うようになり、その熱意を社内にどう伝えるか。僕がもし必要ないと思っていたら多分伝わらないと思いました。そこも大事だと思っています。

深田:薮内さんも前面に立ち、社内にご説明されていたのですか?

薮内さん:はい。僕、最初は「これ俺の仕事だっけ?」て思いながらいたのですが、いつの間にかボール持ってたのは僕だった といった状況でした(笑)。

深田:そうなんですね(笑)

薮内さん:そうですね。基本矢面に立ち、社内の横やいろんな場面で説明したのは私です。

深田:そうなんですね!まさにど真ん中じゃないですか!

薮内さん:そうですね。ど真ん中でやってましたね!

深田:企画は薮内さんだったのではないのですか?

薮内さん:企画発想自体、最初正直僕は無かったのです。Yum!など海外ではこのようなサービスは存在しており、それを横展開していただいた感じです。
※Yum! Brands, Inc. ピザハットの親会社、世界中にピザハットブランドを展開

深田:そうだったのですね。Yum!の横展開ということはシステムなど既に準備があったということですか?

薮内さん:いや、FCDS(= Fast Casual Digital Store)というものがありますよね。

深田:ええ。

カンパニー内日本初、現在グローバルに横展開中

薮内さん:日本ピザハットは実はグローバルの中でも先んじてやれているんです。この「置きピザ」自体も、日本で始めに開発し今グローバルに横展開しているといった感じなんです。

深田:そうなんですね!(驚き)。この「置きピザ」サービスも日本が初めてだったんですね!

薮内さん:そうです。

深田:では今、他国でも展開しているのですか?

薮内さん:展開してますね。

深田:おー!かっこいいですね!

薮内さん:はい。でもやはり各国独自のサービスがそもそも存在するため、オファーがあった上でその国・リージョンが受け取る・受け取らないかは各国で判断しています。またシステム自体も他国でも展開できるか否かといった全体最適の視点で開発してくれており、サービスが良いものであれば横に展開してくれます。今回の件で、そのようなグローバルの良さ、素晴らしさをを実感しましたね。

深田:しかし本当に熱いですね!海外にも日本で生まれたサービスを展開しているなんて!

薮内さん:はい。グローバルサイトってこういうことかと、国や地域を超えた世界規模での結びつきの素晴らしさを実感しております。

深田:素晴らしいですね!いいですね!

薮内さん:この「置きピザ」も何ヶ月開発がかかるのだろうと不安だったところ、僅か2週間程度で終わりました。仕組みとしてはそんなに難易度は高くありませんが、しかし影響度は各所に及ぶわけです。そのような中、重要な開発事項として進めてくれた!というところが凄いと思っています。

深田:確かにそうですよね。全体の中で優先順位がありますよね。この開発が優先度高として進められたのは、やはりコロナイベント自体がグローバルの中で影響力が強いイベントだったからなのでしょうか?

薮内さん:おっしゃる通りですね。はい。


インタビュー後編に続きます!
https://www.sprocket.bz/blog/interview/200502/

  • 今後の構想のひとつは「置きピザ」テイクアウト版
  • 店舗側にいいねと同意と共感を持ってもらえるサービス設計が大事
  • マスクが潤沢に行き渡らない課題
  • 反響が大きかった緊急のお知らせ。ピザハットの宅配もライフラインの一つとご理解いただけた

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