ヒーロージャーニーをゲーミフィケーションに盛り込むという視点

マーケティング書評

イメージ:ゲーミフィケーションをイメージするイラスト

ゲーミフィケーションカンファレンスでもお世話になった湯川氏の著作「未来予測 - ITの次に見える未来、価値観の激変と直感への回帰」、遅ればせながら感想など書いてみます。

「未来予測 - ITの次に見える未来、価値観の激変と直感への回帰」を読んで

未来予測 - ITの次に見える未来、価値観の激変と直感への回帰」は、ゲーミフィケーションと直接は関連しない内容ですが、最近ゲーミフィケーション的な視点で関心を持っていた「カスタマージャーニー」を考える上で、リサーチしていた内容とつながるところがあったので、備忘録がてらブログ記事にしておきます。

湯川氏と言えばご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、ブログメディア「テックウェイブ」の立ち上げをされた方です。ネット業界にも長く、常に先を見ていらっしゃる方の一人です。出版後にお話する機会があって、その際に「後半部分、スピリチュアルな内容になっているのがどう受け取られるか・・・?」というようなことをおっしゃっていたので、なぜ湯川さんがスピリチュアル?と不思議に思っていたところでした。

ヒーローになるためのプロセス、ヒーロージャーニーとは


僕の方では、ゲーミフィケーションについて色々と取り組む中で、カスタマージャーニーの視点が非常に重要になってくるため、何か参考になる考え方はないかとリサーチをしていた所でした。カスタマージャーニーと言えば、どちらかといえばマーケティング用語として使われることが多いかもしれません。広告、Web、店舗など、様々なユーザのタッチポイントがある中で、体験の質を同じ水準に保ったりどのタッチポイントにどんなタイミングで触れるのかということを眺めることを指すような言葉です(専門ではないので概要そんな感じ、ということでご容赦ください)。

僕の関心としては、まずはエンドユーザがWebサイト上でどのような体験を経てエンゲージメントを高めていくのかという変遷にフォーカスしたカスタマージャーニーにありました。ジャーニーつながり、というわけではないのですが、ヒーロージャーニーという言葉があります。こちらはいわゆる英雄譚において、主人公が辿る旅路が概ね一定のプロセスに則っているということを表す言葉です。旅立ち、師との出会い、困難との出会い、克服、帰還、といったようなプロセスです(本当はもっと細かい)。

このヒーロージャーニーに何かヒントがないかと色々漁っていた際に読んだ本に、ジョゼフ・キャンベル氏の本があります。「神話の力」など何冊か出しています。彼は、世界中の神話や伝説を研究し、その共通項を抜き出してこの「ヒーロージャーニー」に落とし込むということを行った人です。

人類がヒーローになるプロセスの中でゲーミフィケーションの役割


前置きがずいぶん長くなってしまったのですが、湯川さんの言うITの次に来るのが「スピリチュアル」だという主張は、この「ヒーロージャーニー」の概念を、人類の文明の発展にそのままなぞられたような話だなという印象を受けました。

湯川さんと直接お会いした際には「スピリチュアル」という言葉を使って話をされていたのですが、その単語を使ってしまうとかなりミスリーディングじゃないかと率直に読後に感じました。ヒーロージャーニーの共通項として必ずあるのが、主人公の内面の変化です。自分のためではなく誰か他人のため・世の中のために困難に立ち向かうというある種の自己犠牲的な覚悟をするというプロセスが、あらゆる神話・伝説の中に見られます。スターウォーズのような英雄譚でもそれは共通します。

ヒーロージャーニーが世界中で共通しているのは、「それが普遍的な人間としての成長を表現しているからだ」というのがジョゼフ・キャンベルの主張ですが、だとすると湯川氏のおっしゃる「スピリチュアルな未来が今後待ち受けているはずだ」という主張は、人類全体としてこのような内面の変化をするべき時期に来ているのではないか、という主張に僕の中で読み替えられました。

湯川氏は「予測というよりそうなってほしいという希望である」というようにも書かれていましたが、そこからは人類が全体としてヒーローになるためにはそのような未来にならなければならないが、果たして人類はヒーローになれるのだろうかという不安も感じ取ることができます。

こう考えてみると、湯川氏のこの書籍での主張は非常に明快で、かつ納得の行くものでした。最初に聞いた時には不思議に感じたところがありましたが、個人的にも非常に共感できる主張です。

さらに、僕自身のテーマであるゲーミフィケーションと絡めて発想を飛躍させると、人類の発展(という言葉が適切かどうかはわかりませんが)が「ヒーロージャーニー」の過程を辿れるようにするのは、実はゲーミフィケーションの大きな役割なのかもしれません。ゲーミフィケーションをおもてなしの実践手法であるというように捉えるのが僕の中で一番しっくりくるビジョンなのですが、その方向性としてヒーロージャーニーの視点を織り込むというのはより魅力的なビジョンになる気がします。

まだ考えを整理しきれていませんが、こういう視点を与えてくれた湯川氏に感謝です。

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